Category: 資産税

2月 05 2015

贈与税の主な改正点について

 1月1日の相続税法の改正により課税対象者が拡大しましたが、相続税の補完税としての性質を持つ贈与税は一部で軽減されました。

 贈与について、民法では「当事者の一方が自己の財産を、無償で相手方に与える意思表示をして、相手方が受諾することによって、その効力を生ずる契約である」と規定していますが、簡単に表現すれば、贈与とはお互いに合意して財産を無償であげること、と言えます。このような贈与行為に対して贈与税が課税されますが、その課税方法には暦年贈与課税と相続時精算課税の2つの制度があります。

 暦年贈与課税とは、1月1日から12月31日までに贈与を受けた時点で課税をする方法です。もう1つの相続時精算課税制度は、2,500万円までの贈与であれば贈与の時点で贈与税を課税せず、相続が発生(贈与者が死亡)した際に生前に贈与した分も合わせて相続税を計算する方法です。いずれも贈与があった翌年の2月1日から3月15日までに申告しなければなりません。

 平成27年分の贈与税の主な改正点は、暦年贈与に適用される税率構造の見直しと相続時精算課税の適用条件の緩和です。

 暦年贈与の贈与税には、年間110万円の基礎控除があります。この金額を超えて贈与を行った場合に、贈与税の申告をする必要があります。これまでの贈与税は、税率が10%から50%の6段階でしたが、平成27年1月1日より、10%から55%の8段階に改正されました。さらに、適用される税率の区分が「20歳以上の人が父母や祖父母など直系尊属から贈与を受けた場合」と「その他の場合」とに分けられました。

 双方の税率区分によると、基礎控除後の贈与額が300万円を超える場合には、「20歳以上の人が父母や祖父母など直系尊属から贈与を受けた場合」の方が低い税率が適用されることになっています。

 相続時精算課税制度については、平成27年1月1日から(1)贈与する人は、60歳以上の親又は祖父母、(2)贈与を受ける人は20歳以上の子ども及び孫となりました。これまでは対象外であった祖父母から孫への贈与も対象となるとともに、贈与する人の年齢が65歳以上から60歳以上に引き下げられ、適用対象者が広がりました。

 ただし、注意点もあります。相続時精算課税制度における年齢は、1月1日現在の年齢でなければいけません。また、孫への贈与の場合、贈与者が将来亡くなって相続税の計算をする際に相続税額が2割加算されます。

 以上、贈与税の改正点について概説をしましたが、贈与税の申告にあたり気を付けなければならない点もあります。今後贈与を検討されている方や贈与税についてさらに知りたい方は、ぜひ税理士にご相談ください。

(税理士 川崎賢二)

1月 08 2015

直系尊属からの教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置

Qどんな措置なのですか?
 直系尊属(両親・祖父母等)から教育資金に充てるために、30歳未満の子らに対し教育資金を贈与するため、信託会社や金融機関などとの間で教育資金としての特別な契約を結び、教育資金口座を開設等した場合には、その口座に預けられた金額の内1500万円までの金額については贈与税の課税はされない(非課税)にするというものです。

Q期間はいつからいつまでですか?
 平成25年4月1日から平成27年12月31日(今年中)です。

Q特別な契約とは何ですか?
両親・祖父母等と信託会社との間で、信託の場合では、目的が教育資金の管理である等の契約がされていること、金融機関などの場合では、預金払出しや証券売却をする際場合に、契約したその金融機関などに教育資金として使用した領収書の提出が定められた契約であることなどがあります。

Q教育口座開設等をする時に手続きは必要ですか?
 教育資金口座を開設等するまでに開設する金融機関の営業所を通じて子らの納税地である税務署に「教育資金非課税申告書」を提出する必要があります。

Q教育資金とはどんなものですか?
 学校(文部科学大臣が定めるもの)に直接支払われる入学金、授業料や施設設備費などです。
 また、学校以外でも教育に関するサービス(学習塾・スイミングスクール・ピアノ教室etc.)にも該当します。
 ただし、学校以外の資金は、1500万円のうちの500万円までとされています。

Q子らが30歳になるとどうなるのですか?
 子らが30歳になると契約は終了します。また、子らと金融機関との間で契約終了の同意がされても終了します。契約終了時に開設されていた教育資金口座に残高がある場合は、契約が終了されした年に贈与されたものとして、贈与税の申告をする必要があります。

(税理士 松永 研嗣)

12月 09 2014

相続税・贈与税の改正

Q 平成27年から相続税が改正されると聞きましたがどのような改正ですか?
A まずは①相続税の基礎控除の縮小です。
改正前では定額控除額5000万円に法定相続人一人につき1000万円の比例控除額を加えた金額とされている相続税の基礎控除が、27年1月1日以降の相続からはそれぞれ4割減額され、定額控除額3000万円に法定相続人一人あたり600万円の比例控除額を加えた金額に改正されます。次に②相続税・贈与税の最高税率の引上げです。50%の最高税率が55%へ引上げられ、6段階ある税率構造も8段階へと改正されます。最後に③小規模宅地等(土地の評価額を減額する特例)の対象面積の拡大です。居住用の宅地について改正前は240㎡までしか適用できませんが、平成27年以降は330㎡に拡大されます。主な改正としてはこの3項目があげられます。今回の改正で全国平均4.2%の相続税の課税割合(申告件数/死亡者数)が6%程度になることが予想されています。課税割合の増加だけをみれば課税対象者が約1.5倍になることになりますが、改正後でも9割以上は課税対象にならい計算ですので様々な情報に振り回されないように気を付けてください。

Q 改正に備えて何かしておかなければいけないことはありますか?
A まずは所有している財産を把握し、それらの相続税評価額がどのくらいになるかを正確に計算する必要があります。相続税評価額がQ1の改正後の基礎控除を超えるのであれば生前贈与などの生前対策を活用してください。基礎控除を超えなかったとしても、将来相続人の間で相続争いが起こらないように遺言を作成しておくことをお勧めします。また、改正前の基礎控除を前提に遺言を作成された方は、遺言の見直しが必要になる場合もあります。

(税理士 青山徹)

12月 04 2014

相続税制の改正

 相続税と贈与税の改正が直前に迫りました。今回の改正により課税対象者の裾野が広がることが予想されています。今後、賢く財産を引き継ぐためには、相続税制の最新知識や情報を正しく理解し、相続に備える準備が必要かどうかを確認しておくことが大切です。
 以下において、平成27年1月1日から適用が開始される相続税制に関する改正事項について基本的な部分を取り上げました。しかし、その他にも最近の相続税制の改正事項においては、その適用開始が平成25年から平成27年と多岐に渡っており、重要と思われるものがいくつも見受けられます。したがって、いざという時に備えて、相続の現場をよく知る税理士に、必要な相続対策等を事前にご相談されることをお勧めめします。

Ⅰ 相続税

相続税は、平成25年税制改正により抜本的に改正され、課税強化が行われることになりました。以下に述べるように、基礎控除が引き下げられ、かつ、最高税率が55%になるなど税率構造の見直しが行われました。一方で、このような改正に対する激変緩和策の一環として小規模宅地等の課税の特例が拡充されることになりました。

 1.相続税の基礎控除の引下げ

  • 基礎控除が改正前の6割水準に引き下げられました。(基礎控除5,000万円 ⇒ 3,000万円、法定相続人比例控除額1,000万円 ⇒ 600万円)
改 正 前 改 正 後
定額控除 5,000万円 3,000万円
法定相続人比例控除 1,000万円×法定相続人の数 600万円×法定相続人の数

 2.相続税の税率構造の見直し

  • 最高税率が55%(改正前50%)に引き上げられ、8段階(改正前6段階)税率とされました。
改 正 前 改 正 後
法定相続分に
応じた取得価格
税率 控除額 法定相続分に
応じた取得価格
税率 控除額
1,000万円以下 10% ―― 同左
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円 2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
3億円超 50% 4,700万円 6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 3.小規模宅地等の課税の特例の見直し

  • 特定居住用宅地等の限度面積が330㎡(改正前240㎡)に拡充されました。
小規模宅地等の区分 改 正 前 改 正 後
限度面積 減額割合 限度面積 減額割合
特定居住用宅地等 240㎡ 80% 330㎡ 80%
特定事業用宅地等 400㎡ 80% 400㎡ 80%
特定同族会社事業用宅地等 400㎡ 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50% 200㎡ 50%
  • 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能となりました。
選択特例対象宅地等 適用面積の上限
改正前 改正後
特定事業用宅地等と特定居住用宅地等 400㎡ 730㎡
特定同族会社事業用宅地等と特定居住用宅地等

Ⅱ 贈与税

 相続税の補完税としての性質をもっている贈与税についても税率構造の見直しが行われました。相続税に比べ贈与税の税率構造は相対的に厳しいものとされてきましたが、若い世代への積極的な生前贈与が促進される効果を期待して緩和が図られました。従って、一般的な贈与税の税率構造は原則的に維持しつつ、直系尊属(父母、祖父母など)から20歳以上の者への贈与に係る贈与税については、軽減税率を適用することになりました。

 1.暦年課税の税率構造の見直し

  • ○ 歴年課税方式の税率を「軽減税率」(直系尊属から20歳以上の者への贈与)と「一般税率」(その他の贈与)に区分した上で、最高税率が55%(改正前50%)に引き上げられ、8段階(改正前6段階)税率とされました。
改 正 前 改 正 後
右以外の場合(一般税率) 直系尊属から20歳以上の者への贈与の場合(軽減税率)
基礎控除(110万円)を
差し引いた後の課税価格
税率 控除額 基礎控除(110万円)を
差し引いた後の課税価格
税率 控除額 基礎控除(110万円)を
差し引いた後の課税価格
税率 控除額
200万円以下 10% 同左 200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円 400万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 600万円以下 20% 30万円
600万円以下 30% 65万円 1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円以下 40% 125万円 1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円以下 45% 175万円 3,000万円以下 45% 265万円
1,000万円超 50% 225万円 3,000万円以下 50% 250万円 4,500万円以下 50% 415万円
3,000万円超 55% 400万円 4,500万円超 55% 640万円
  • 贈与者の年齢要件が60歳(改正前65歳)に引き下げられ、受贈者に20歳以上の孫が追加されました。
改 正 前 改 正 後
贈与者 65歳以上の者 60歳以上の者
受贈者 20歳以上の贈与者の推定相続人 20歳以上の贈与者の推定相続人
20歳以上の贈与者の孫(追加)

以上

(税理士 井川源太郎)

8月 07 2014

NISA(ニーサ)とは

Q.NISA(ニーサ)とはなんですか?
A.平成26年1月から始まった、個人が投資した株式や投資信託の運用益や配当金が一定の範囲内で非課税になる制度です。正式名称は少額投資非課税制度と言います。現在、制度の対象者は20歳以上、投資枠は年に100万円まで、非課税の期間は5年間となっています。個人の貯蓄を投資へ変えることによって経済の成長を促すことが狙いです。

Q.今からでも始められますか?
A.始められます。口座開設可能期間(現行10年間)がありますので、今年中に始めればNISAを最大限に活用することができます。

Q.NISA口座で上場株式を70万円で買付し、その年の間に80万円で売却したとき、売却した80万円の枠を使ってさらに買付はできますか?
A.NISA口座の利用額は買付代金で計算します。このケースでは既に70万円を利用しているので、年間限度額100万円から差し引いた30万円までは買付を行うことができます。

Q.NISAを利用する注意点を教えてください。
A.メリットは前述の通りですが、デメリットもあります。損益通算や3年間の損失繰越はできません。購入した銘柄は非課税期間が終了した後、一般・特定口座か、新たな非課税投資枠に移すことになります。また、NISA口座で扱うことができるのは新規の株式や投資信託なので、既存の口座から移すことはできません。他にも、NISA口座は一人につき一つまでなので商品内容や売買手数料等を考慮して証券会社・銀行を選びましょう。また、非課税期間が終わった後の課税にも気を付けておきましょう。2014年現在の一般・特定口座の税率は20.315%です。

Q.今後NISAは変わっていくのでしょうか?
A.拡充される可能性が高いです。非課税枠を200万円以上に拡大したり、非課税の期間を延長したりする案が検討されています。

(税理士 鈴村明己)

7月 03 2014

路線価とは

Q1 路線価とはどんな価額ですか。
A1 路線価は、その路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額で相続税・贈与税の土地などの評価に用います。売買実例価格、公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基にして、毎年、国税局長がその路線ごとに評定します。7月1日から国税庁のホームページで平成26年分の路線価図の閲覧ができるようになっています。

Q2 路線価による土地の相続税評価額の算出のしかたを教えてください。
A2 路線価を基に土地を評価する方法を「路線価方式」といいます。正面路線価に土地の面積を乗じて土地の評価額を算出します。土地の形状に応じた「奥行価格補正率」「間口狭小補正率」「不整形地補正率」等の補正を加えます。又、複数の道路に面している場合は「側方路線影響加算率」「二方路線影響加算率」を乗じて評価します。これらの調整率表は国税庁ホームページに掲載されています。路線価の設定の無い地区は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛ける「倍率方式」で評価します。

Q3 貸家等がある場合の評価はどうなりますか。
A3 A2で算出した価額は自用地の価額で、貸家等権利関係がある場合は、評価額を調整します。貸家がある場合は、自用地の価額に借地権割合、借家権割合、賃貸割合を乗じた金額を控除します。貸地で、借地権が発生している場合は、自用地の価額に借地権割合を乗じた金額を控除します。借家権割合は30%、借地権割合は地域により異なりますので、路線価図で確認します。

Q4 その他特例等はありますか
A4 相続した土地が、事業用や居住用として使われている場合は、小規模宅地等の特例の適用が受けられる場合があります。負担付贈与あるいは個人間の著しく低い対価を伴う取引より取得した土地等について贈与税を計算するときは、通常の取引価額によって評価しますので注意してください。

(税理士 林 俊彰)

7月 03 2014

NISA(少額投資非課税制度)

 2014年1月からこの制度が開始になり、すでに多くの方が利用されていると思いますが、
要点をまとめて説明します。

 従来、上場株式の譲渡所得に係る税率は所得税7%・住民税3%の軽減税率が適用されていましたが、これが廃止され2014年1月1日より、所得税15%・住民税5%の税率が適用されるようになりました。(*)そこで新たに導入された個人投資家向けの税制優遇措置がNISA(少額投資非課税制度)です。この制度はイギリスのISA(Individual Savings Account)をモデルにしたもので、イギリスでは国民の約4割が利用しています。
 NISAはNISA口座を証券会社や銀行、郵便局などで開設することで利用でき、日本国内に住む20歳以上の方ならどなたでも利用できます。ただし、1人につき1口座しか開設はできません。対象となる商品は上場株式、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)、株式投資信託等(以下:上場株式等)で国債や社債は対象となりません。
 この口座では、取得した上場株式等の売買益や配当が年間100万円を限度として非課税となります。ここで注意して頂くことは、現在、証券会社などの口座(特定口座・一般口座)に預けている上場株式等をNISA口座に移すことは出来ない点で、新たな資金で購入することが必要ということです。また、NISA口座で購入した上場株式等は購入した年の1月から起算して5年以内に売却しないと特定口座や一般口座に移り、売買益や配当は非課税になりません。ただし、翌年のNISA口座の非課税枠内(100万円)で保有を続けることは出来ます。

 ここで、年間100万円の非課税枠についてもう少し詳しく説明します。
 非課税枠は、未利用分を翌期へ繰越すことは出来ません。たとえばNISA口座で1年間に70万円しか上場株式等を購入しなかったとしても、残りの30万円の枠を翌年に繰越すことは出来ません。
 また、売却した部分の再利用は出来ません。たとえばNISA口座で2014年6月に上場株式等を80万円購入し、8月にすべて売却したとしても、年中に残されている非課税枠は20万円だけです。
 次に、NISAのデメリットについて説明します。
それは、損益通算が出来ない点です。NISA口座では上場株式等の売却による損失は無いものとされ、他の特定口座や一般口座での売却益とは損益の通算が出来ません。
例えば、A株式をNISA口座で売却し80万円の損失が発生し、B株式を特定口座で売却し50万円の利益が生じたとしてもA株式の損失は損益通算されず、B株式の譲渡所得50万円はそのまま課税されます。
 つまり、NISA口座はあくまでも利益が出なければメリットはありません。
NISA口座で保有する上場株式等の配当金や分配金を非課税とするには、株式数比例配分方式を選択する必要があり、郵便局の窓口で受け取る配当金領収証方式では非課税になりません。ここでは紙面の都合上、詳しい説明は省きます。ご不明な点は「NISA(少額投資非課税制度)に関するQ&A」日本証券業協会を参考にされるか、お近くの税理士にお尋ねください。

*復興特別所得税0.315%を含めると合計では20.315%となります

(税理士 佐藤敏弘)

6月 05 2014

名義が異なる財産の取り扱い ~名義預金を例に~

 税務上、財産の名義人と本来の所有者が異なっているケースが、しばしば問題になります。名義人が実際と異なる財産は、「名義財産」(預金については「名義預金」)と呼ばれています。被相続人の名義と異なる預金その他の財産について、これらが相続財産なのか、それとも贈与(または貸付)なのかは、困難な問題で、それぞれの事案ごとの事実関係によって、その取扱いや考え方は異なります。今回は、「名義預金」について、下記の事例で考えてみることにします。

資産家Aは、自己の預金の一部を移して、子Bの名義で100万円の定期預金を作りました。5年後Aが亡くなり相続が開始しました。相続人となったBは、このB名義の定期預金について相続税の申告をしなければならないでしょうか。

 名義が異なるからといって、この定期預金がAの相続財産から除外されると考えるのは、短絡的であることはお分かりになると思います。またその一方で、AからBに贈与がなされたという考え方もできそうです。もしも贈与であるならば、100万円の定期預金は相続財産から除外され、さらに贈与税の基礎控除110万円を下回っていて贈与税の申告義務もないので、心情的には、「ならば贈与だ」と思いたくなるかもしれません(ただし、相続開始前3年以内の贈与であれば当該贈与財産は相続財産に加算されますので、注意が必要です)。
 上記事例をどのように判断すべきかについては、次の項目を総合的に勘案して判断されることになります。

  1. Bが事実を知っていたか
     まず、Bがこの事実を全く知らなかった場合には、定期預金の実質的所有者はAとなり、名義に関係なくAの相続財産として相続税申告が必要となると考えられます。
  2. 贈与契約の有無
    それでは逆に、Bがこの定期預金の存在を知っていた場合は、どうでしょうか。実は、単にこれを知っているというのみでは、贈与と判断されるとは限りません。贈与があったというためにはAB間において「(無償で)あげます」「いただきます」という合意があることが前提となります(民法549条参照)。
  3. 預金を誰が管理していたか
    この預金を現実に誰が管理していたかについても、判断の要素となります。状況にもよりますが、B名義でありながら、通帳と印鑑がAの手許に保管されていたような場合には、この定期預金はAのものと判断される可能性もあります。
  4. 果実を誰が収受したか
    上記のほかに、株式等の配当金等のような法定果実(事例の定期預金の場合は利息)を誰が収受していたかについても判断要素となります。

 安易な判断で親の預金を家族等の名義にしてしまい、無申告でいると相続税や贈与税のほかに、加算税等の追加的税負担が生じてしまうことがあります。また、これが税負担の回避を目的とした隠ぺい等と判断され重加算税の対象となってしまうこともあり得ますので注意が必要です。
相続開始後にトラブルになってしまわないために、最低限、贈与契約書を作成し、受贈者の家族等とも十分に話し合い預金等の財産が誰に帰属するのか、事実関係を明確にしておくことが必要です。その際には、我々税理士にご相談していただくことをお勧めします。

(税理士 小林正俊)

3月 06 2014

相続税の改正について

 来年1月1日以降、相続税の基礎控除が縮小されるとのことですがどの程度引き下げられるのでしょうか。
 定額分5000万円+相続人1人当たり1000万円の控除が4割引き下げられます。

 課税対象者はかなり増加するのでしょうか。
 名古屋国税局によると平成24年では管内全ての被相続人(死亡者数)の内約6%の方が課税対象者となっていますが改正後は約10%程度になるのではと予測されています。

 意外に少ない印象ですが。
 被相続人には財産を形成する前に若くして亡くなられた方も含まれています。また、のでマイホーム用地や事業用地を所有されている方、とりわけ地価の高い名古屋市やその近郊に土地を所有されている方は課税対象となるケースが多くなると思われます。

 増税の影響を緩和するような措置は講じられるのでしょうか。
 小規模宅地等の特例が大幅に拡充されます。この特例は相続人が引き続き生活の基盤とするような居住用、事業用及び貸付用の宅地等を取得する場合は一定の限度面積についてその評価額を最高で80%減額し相続税を軽減するというものです。

 どの程度拡充されるのでしょうか。
 居住用宅地の限度面積が240㎡から330㎡に拡大されるとともに、居住用宅地(330㎡)と事業用宅地(400㎡)の完全併用が可能となります。

 この特例を適用するために必要な要件はありますか。
 宅地の利用区分や取得した人ごとに定められた要件を満たさなければなりません。この特例の適用の可否によって税負担が大きく変わってきますので、事前にご自身のケースが要件に適合しているかを確認しておく事は相続対策として有効だと思われます。本特例の詳細や相続に関する質問等、お気軽にお近くの税理士にお問い合わせください。

(税理士 三島幹雄)

1月 09 2014

非嫡出子と相続税

 非嫡出子の相続分について教えて下さい
 非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子供)の相続分は、民法の規定により、嫡出子の2分の1とされていました。
 しかし、平成25年9月4日に最高裁判所は、非嫡出子の相続分に関する民法の規定(非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とする規定)は、憲法に違反するとして、無効の判断を下しました。この結果、民法の相続分において、嫡出子と非嫡出子の差はなくなりました。

 最高裁判所の判決を受けて相続税の取り扱いも変わったのですか
 平成25年12月5日に民法が改正され、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」との従来の規定は削除されました。税務上も、平成25年9月5日以後、申告等により相続税額を確定する場合においては、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定が無いものとして相続税額を計算することとなりました。

 過去に行った相続税の申告を訂正することもできますか
 違憲判断のあった平成25年9月4日以前に、申告又は処分により相続税額が確定している場合には、更正の請求は基本的にできません。
 ただし、9月4日以前に既に申告していても、相続税の申告期限前まででしたら、嫡出子と非嫡出子の相続分を同額として申告し直すことができます。
 なお、平成25年9月4日以前に相続税額が確定していた場合でも、9月5日以後に税務調査で申告漏れなどが見つかったり、遺留分の減殺請求などにより分割が決まった場合には、改めて相続税額を確定する必要があります。その際の更正の請求や修正申告は、嫡出子と非嫡出子の相続分を同額として、相続税額を計算します。

(税理士 増田信雄)

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