Category: 消費税

9月 04 2014

消費税の軽減税率について(先行諸外国を例に考える)

 早いもので消費税率8%への引き上げから数か月経過しました。安倍首相は来年10月の消費税率10%への引き上げをするか否かの判断を今年末に行うとのことです。引き上げの場合、導入が検討されているのが「軽減税率」です。軽減税率とは、特定品目の税率を標準税率より低くすることで、低所得者の負担を軽くすることを目的にしています。諸外国では広く導入されています。
各国の導入例で、少し首をかしげるような事例をいくつか紹介します。(税率は2014年1月1日現在のもの)

【フランス】

 標準税率20%、基本的に食料品は軽減税率5.5%を適用、贅沢品については標準税率が適用されるものもあります。

世界三大珍味

キャビアは輸入品かつ高級品のため標準税率、フォアグラ・トリュフは国内産業保護のため軽減税率が適用されます。

マーガリンとバター

マーガリンは企業で生産しているので標準税率、バターは国内畜産業保護のため軽減税率が適用されます。

チョコレート

 原則贅沢品で標準税率ですが、カカオ含有量50%未満の板チョコなどは生活必需品とされ軽減税率が適用されます。

【イギリス】

標準税率20%、食料品は原則として0%の軽減税率が適用されます。

テイクアウト商品

温かい商品は標準税率、冷たい商品は軽減税率。基準は販売時点で気温より高い温度に温められているか否かです。

お菓子

お菓子は原則贅沢品として標準税率ですが、ケーキ・ビスケットは日常的に食される大衆食として軽減税率が適用されます。

【ドイツ】

 標準税率は19%、食料品は7%の軽減税率です。

店内か?持ち帰りか?

ファストフードなど店内飲食は外食とされ標準税率、持ち帰り用は食料品扱いで軽減税率となります。

【カナダ】

 標準税率5%、食料品は基本的に0%の軽減税率が適用されます。

ドーナツの個数

5個以下が標準税率、6個以上が軽減税率です。販売個数が少ないものはその場ですぐに食べる=外食とみなして標準税率が適用されます。

 いくつかの国の例を見て、もしも同様な形で軽減税率が日本に導入されたら、消費者も事業者も混乱は避けられないだろうと感じます。事業者の事務負担も増大し、そのコストが商品に転嫁されることになれば結局は消費者にとっての不利益にもなりかねません。立法目的が低所得者保護であるならば、他の方策も検討されることを望みます。

(税理士 間下京子)

4月 08 2014

「総額表示」の義務付け

Q1.消費税に関して価格の表示方法が定められていると聞きましたがどのように表示するべきなのですか?
A1.消費税法では、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者には、値札やチラシなどにおいて、あらかじめその取引価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含みます。)を含めた価格を表示することを原則としています。
 例えば、次に掲げるような表示が「総額表示」に該当します。
 10,290円
 10,290円(税込)
 10,290円(税抜価格9,800円)
 10,290円(うち消費税額等490円)
 10,290円(税抜価格9,800円、消費税額等490円)

Q2.総額表示の対象となる業種、表示媒体を教えてください。
A2. 対象となる価格表示は、商品本体による表示(商品に添付又は貼付される値札等)、店頭における表示、チラシ広告、新聞・テレビによる広告など、消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるものであるかを問わず、総額表示が義務付けられます。
 ただし、事業者間での取引は総額表示義務の対象とはなりません。

Q3.今回の消費税率引き上げ時には、どのように価格の表示をすればいいですか?
A3. 総額表示の方法によると消費税率引き上げのつど価格表示を改める必要が生じ、事務的に煩雑になることが予想されます。そこで今回の消費税法改正に伴い、平成25年10月1日から平成29年3月31日までの間において、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じている場合に限り、税込価格を表示(総額表示)しなくてもよいこととされています。
 例えば、次に掲げるような表示が該当します。
 9,800円(税抜)
 9,800円(本体価格)
 9,800円+税
 なお、消費者の方々にも配慮する観点から、この特例の適用を受ける事業者は、できるだけ速やかに「税込価格」を表示するよう努めることとされています。

(参考)
国税庁ホームページタックスアンサーNo.6902 「総額表示」の義務付け

(税理士 矢田宏昌)

4月 04 2014

消費税の軽減税率について

<与党税制協議会> 

 平成26年度与党税制改正大綱の中で、「消費税の軽減税率制度については、『社会保障と税の一体改革』の原点に立って必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。」と決められた。これに基づく協議が自公で進められ、平成26年6月5日与党税制協議会から資料が公表されるとともに、軽減税率の対象範囲と社会保障の充実・安定との関係について広く国民の意見を聞きながら、検討していくこととされた。
 軽減税率の対象となる飲食料品は、①全ての飲食料品から、⑧精米のみ、までの8種類のパターンが示されている。また、区分経理のための仕組み(案)について、インボイス方式を含めた4種類の案について比較検討が行われている。
 (政府)税制調査会では、中里会長から「軽減税率の導入について否定的な意見が強く出ました。」と記者会見で発表された。また、与党税制協議会による業界団体からの意見聴取では、消費者団体は導入を求め、経済団体などからは導入に慎重な意見が出されている。さらに、飲食料品だけに限らず、住宅購入など軽減税率の対象範囲を広げてほしいという意見も出された。

<軽減税率の問題点>

 広く消費一般に負担を求めるという考え方に基づき、平成元年4月、消費税は3%という単一税率で導入された。従前の物品税(個別間接税)は、特定の物品だけが課税されるため、課税対象の「線引き」が困難であった。これらの不公平感、アンバランスを解消することが消費税導入の目的のひとつであった。軽減税率の導入は、再び「線引き」の問題を生じさせ、業界団体の政治的な駆け引きに繋がることになる。
 また、以下のような問題点も指摘されている。

  1. 軽減税率は納税義務者に追加的な事務負担をもたらす。
  2. 同じような商品の税率の高低が、消費行動やモノの売れゆきに直結する。
  3. 軽減対象範囲が広ければ広いほど、軽減分を埋め合わせるための財源の規模は大きくなり、その分、社会保障財源に影響を与えることとなる。

<公平で、簡素な税制を目指して>

 税制は、公平なものであり、かつ、国民に分かりやすい制度でなければならない。消費税の負担は、所得に対して逆進的であり、消費税率のアップにより問題が大きくなると言われている。所得が高い人は所得の一部を貯蓄するため、所得の全てを消費にまわさない。一方、所得の低い人は所得の全てを消費にまわすため、消費税率のアップによって所得に対する税の負担割合は、低所得者ほど増加するというのが逆進性の問題である。
 現在、わが国の税制は、複数の税を組み合わせて成り立っており、タックスミックス型税制と呼ばれている。所得税は累進税率が採用されており、所得が増えればより高い税率が適用される。消費税は比例税率であり、消費金額に応じて一定の税率で課税される。所得や消費、資産の状況に応じて、どのような課税体系にするべきかは、総合的に考えていかなければならない。
 低所得者に対する消費税率アップに伴う税負担の増加は、消費税の仕組みを変えるのではなく、簡易な給付を行うなど他の何らかの措置として検討すべきである。今般検討されている消費税の軽減税率は制度を複雑化するものであり、簡素な税体系を構築するという視点も忘れてはならない。

(税理士 木村幹雄)

3月 06 2014

消費税の軽減税率制度の問題点

消費税10%時の軽減税率制度導入

 平成26年度税制改正大綱において、消費税10%の税率の時に、軽減税率制度を導入することが明記されました。しかし、無条件に軽減税率制度の導入を行うのではなく、その条件として、(1)「社会保障と税の一体改革」の原点に立って必要な財源を確保すること(2)関係事業者を含む国民の理解を得ることの2点があげられています。

軽減税率制度の導入理由

 そもそも、軽減税率制度を導入する根拠は、何でしょうか。これは、「消費税の逆進性」を緩和するための措置であると言えます。「消費税の逆進性」というのは、消費に対して比例的に課税する消費税では、所得が高い人ほど消費税の負担が重くなるものの、所得に占める消費の割合が高所得者ほど低くなるために、所得に対する税負担率は、所得が高くなるにしたがって低下してしまうという現象をいいます。
 この消費税の逆進性を緩和する手段として、生活必需品などの一部の品目に対して軽減税率を導入するということであります。しかし、軽減税率には次のような問題があり、消費税は、「単一税率」を維持し、「消費税の逆進性」対策は、別の方法を採るのが望ましいと名古屋税理士会は考えています。

軽減税率制度の問題点

  1. 何を軽減税率の対象とするか決定することの難しさ
    人々の生活様式や価値観の多様化によって、逆進性緩和のための軽減税率の適用範囲を合理的に決定していくことは極めて困難になっています。すでに消費税導入の先輩である欧州諸国では、軽減税率制度があるのは、当然であるように思われています。  しかし、軽減税率制度を導入したために、消費税=(欧州における付加価値税)は、税務当局にとっても、最も手間ひまのかかる税目となっているようです。
  2. 軽減税率の恩典は、富裕層にも及ぶ
    軽減税率の恩典は、軽減税率が適用される財・サービスの絶対消費額は、低所得者層よりも富裕層の方が大きいので、生活必需品への軽減税率の適用は、低所得者層も恩恵を受けるが、富裕層の方がより一層恩恵を受けることになることも考えられます。
  3. 軽減税率に伴う事業者の事務負担の増加
    消費税は、消費者が税金を負担する仕組みを採っていますが、納税および税額の計算については、事業者が行うことになっています。軽減税率が導入されれば、消費税の税額を計算するのが大変煩雑になり、その事務負担は、事業者が負うことになります。
  4. 軽減税率導入が、消費税率高騰を招く
    軽減税率を導入すると、その分だけ消費税の税収が減ることになってしまいます。そこで、これを補うために、標準的な消費税率をさらに上げねばならないという事態となってしまいます。

おわりに

 税率8%時には、逆進性緩和手段として、「簡易な給付」が実施されることになっています。この給付制度をより発展させた制度として、マイナンバー制度を前提とした「給付付き税額控除」という制度もあります。この制度は、すでにカナダ、ニュージーランドにて導入されており、上記問題点を合理的に解決してくれる制度なのです。なにも欧州で一般的となっている制度をまねる必要はなく、「日本の消費税率は、単一税率で」を貫徹することこそ、消費税が未来の安定財源となる基礎を築くことになるのです。

(税理士 国枝宗徳)

11月 07 2013

消費税転嫁対策について

 消費税法の一部が改正され、消費税及び地方消費税を合わせた消費税等の税率が従来の5%から平成26年4月に8%、平成27年10月に10%に引き上げられる予定です。
 1997年に消費税率を5%に引き上げた際には、スーパーなど大手業者の取引先だった多くの中小企業が、商品に価格を転嫁できず、負担をかぶる結果になったことがあり、経営に大きな影響を及ぼしました。そこで、消費税の円滑かつ適正な転嫁ができるように、消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(以下「転嫁対策特別措置法」)が成立しました。
そこで、「転嫁対策特別措置法」の4つのポイントをQ&A方式でみていきましょう。

Q1.消費税の転嫁拒否等の行為が禁止とありますが、具体的にはどういったことですか?
A1.禁止される行為は表(1)の5つとなっております。
違反行為があると認めるときは、公正取引委員会が勧告を行い、その旨を公表します。

表(1)
禁止される行為 具体例
減額 本体価格に消費税分を上乗せした額を対価とする旨契約していたが, 消費税分の全部又は一部を事後的に対価から減じること
買いたたき 原材料費の低減等の状況変化がない中で,消費税率引上げ前の税込価格に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めること
購入強制・役務の利用強制・
不当な利益提供の強制
消費税率引上げ分を上乗せすることを受け入れる代わりに,取引先にディナーショーのチケットを購入させること
税抜価格での交渉の拒否 消費税抜価格(本体価格)で交渉したいという申出を拒否すること
報復行為 転嫁拒否をされた事業者が,①~④の行為が行われていることを公正取引委員会などに知らせたことを理由に,取引の数量を減らしたり,取引を停止したりするなど、不利益な取り扱いをすること

Q2.消費税還元セールなどのような宣伝、広告が禁止とあるが何がどうだめなのですか?
A2.例えば、「消費税は当店が負担」「消費税率分値引き」「消費税ポイント還元」などの表示は禁止されます。ただ、「春の生活応援セール」や「3%値下げセール」など消費税を意味することが客観的に明らかでない場合には、禁止表示にはなりません。

Q3.メニューや値札、チラシ等で価格をどう表示したらいいのですか?
A3.消費者に誤解や勘違いをされないようにした上で、別紙②のように、表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば「税込価格」を表示しなくても良いとする特例が設けられます。
この特例は、平成25年10月1日から認められています。

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Q4.業界団体や組合等で転嫁方法や表示方法を統一することができますか?
A4.はい。ただし、公正取引委員会が定めた期間内にあらかじめ届け出ることが必要です。

 なお、詳細につきましては、税理士にご相談ください。

(税理士 金田崇志)

6月 05 2013

消費税率の引き上げに伴う経過措置について

 消費税の税率については、平成26年4月1日から8%に、平成27年10月1日からは10%に引き上げられることになります。
平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率の取扱いについて、原則と経過措置規定を紹介します。
 なお、8%から10%への税率引上げ時における経過措置については触れておりません。

1.新税率適用時期の原則

 新税率は、平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等並びに課税仕入れ等について適用されますから、平成26年3月31日までに他から仕入れた資産を施行日以後に販売する場合には、原則として、資産の譲渡等については新税率が、当該資産の課税仕入れ等については旧税率が適用されることとなります。
 また、平成26年3月31日までに締結した契約に基づき行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、これらが平成26年4月1日以後に行われる場合には、原則として、当該資産の譲渡等及び課税仕入れ等について新税率が適用されます。

2.税率に関する経過措置

 平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等については新税率が適用されますので、旅客運賃、映画又は演劇等の入場料等についてもその資産の譲渡等が平成26年4月1日以後に行われる場合には、本来、新税率が適用されることとなります。
 しかしながら、これらの料金等については前売りを行うことが一般的であることから、平成26年3月31日までに前売りに係る料金等を領収している場合には、これらの前売りに係る旅客運賃、映画又は演劇等の入場等が平成26年4月1日以後に行われる場合においても旧税率を適用する経過措置が設けられています。
 このように、資産の譲渡等を平成26年4月1日以後に行う場合においても、旧税率を適用する経過措置が設けられている主なものは以下の通りです。

(1)旅客運賃等

 平成26年4月1日以後に行う旅客運送の対価や映画・演劇を催す場所、競馬場、競輪場、美術館、遊園地等への入場料金等のうち、平成26年4月1日前に領収しているもの

(2)電気料金等

 継続供給契約に基づき、平成26年4月1日前から継続して供給している電気、ガス、水道、電話に係る料金等で、平成26年4月1日から平成26年4月30日までの間に料金の支払いを受ける権利が確定するもの

(3)請負工事等

 平成8年10月1日から平成25年9月30日までの間に締結した工事(製造を含みます。)に係る請負契約(一定の要件に該当する測量、設計及びソフトウエアの開発等に係る請負契約を含みます。)に基づき、平成26年4月1日以後に課税資産の譲渡等を行う場合における、当該課税資産の譲渡等

(4)資産の貸付け

 平成8年10月1日から平成25年9月30日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、平成26年4月1日前から同日以後引き続き貸付けを行っている場合(一定の要件に該当するものに限ります。)における、平成26年4月1日以後行う当該資産の貸付け

(5)特定新聞等

 不特定多数の者に週、月その他の一定の期間を周期として定期的に発行される新聞又は雑誌で、発行者が指定する発売日が平成26年4月1日前であるもののうち、その譲渡が平成26年4月1日以後に行われるもの

参照:国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp

(税理士:萩原芳宏)

3月 12 2013

e‐Taxについて

 最近e‐Taxという言葉を耳にしますが、どのようなものでしょうか?
 e‐Taxとは、国税の各種の手続きについて、
インターネット等を利用して電子的に手続きが行えるシムテムです。
今までは、書面で持参したり、送付したりして提出していたものが、インターネットを通して送信することもできるようになりました。

 どのような人が利用できますか?
 e‐Taxは所得税、贈与税、法人税、消費税(地方消費税を含む)などの申告、全税目の納税、国税関係の申請、届出等の各種手続きを行う納税者等の方が利用できます。       
但し、原則としてインターネットを利用できる環境があり、電子署名に用いる電子証明書を取得している必要があります。
 また、電子証明書がICカードに格納されている場合には、ICカードリーダ等も別途必要となります。

 e‐Taxを利用するとどのようなメリットがありますか?
 税務署や金融機関に行かなくてもよくなるという距離的な制約がなくなりますし、税務署の執務時間外でも受付システムが稼動している時間であれば、申告等の提出や納税ができ、金融機関等の窓口に並ばなくてもいいというような時間的な制約がなくなるなどのメリットがあります。
 また確定申告では、医療費の領収書や源泉徴収票等は、その記載内容を入力して送信することにより、これらの書類の提出または提示を省略することができます(法定申告期限から5年間、税務署から書類の提出または提示を求められることがあります)
 なおe‐Taxをご利用いただくには事前準備が必要となります。詳しいことはお近くの税理士または税務署にお尋ねください。

(税理士:石井聰子)

3月 04 2013

e-Taxとは 【Q&A】

e-Taxとはインターネットを利用した国税の申告納税システムです

 e-Taxとは何ですか?
 国税の申告、納税、および届出などをインターネットを利用して行うことができるシステムの通称です。国税庁のホームページから利用することができます。手続きとして、申告と届出に関する「電子申告」と税金の納付に関する「電子納税」に分類されます。

 電子申告に必要なものは?
 電子申告をする場合は、電子証明書で電子署名する必要があります。電子証明書とは、インターネット上で本人確認をするためのICカードです。電子証明書の取得は、住所地の市町村で発行手続きができる公的個人認証サービスが便利です。また、電子証明書で電子署名するのにICカードリーダライタという器具が必要になります。ただし、税理士を通して電子申告をする場合は、納税者本人の電子署名を省略することも可能です。

 電子申告のメリットは?
 個人の確定申告の場合は、医療費の領収書や源泉徴収票などの提出または提示を省略することができます。(ただし、内容確認のため現物提出を求められる場合もありますので、法定申告期限から5年間保存しておいてください。)また、法定申告期限までに本人の電子証明書で電子署名して申告をすると、所得税額から最高3千円の控除を受けることができます。(ただし、平成19年から平成24年分の申告でいずれか1回のみの控除になります。)

 電子納税の方法は?
 2つ方法があります。事前に税務署へ届出等をした預金口座から振替により納付する方法と、インターネットバンキング・モバイルバンキング・ATMから納付する方法があります。

 電子納税のメリットは?
 自宅や会社からインターネット等、または、金融機関の窓口でなくATMを利用して納付手続きができるため、時間の制約が少なくなります。

(税理士:倉田崇史)

2月 04 2013

電子申告

インターネットの普及は私たちの生活や仕事のスタイルを大きく変えてきました。行政手続のオンライン化もそのひとつです。今回は確定申告の時期に合わせて「e-Tax」のご紹介をしたいと思います。
全国に先駆けて名古屋国税局管内から運用が開始されたe-Tax(イータックス)「国税電子申告・納税システム」は、インタ-ネットを利用して国税に関する手続きが行えるシステムです。これまでにも様々な改善がなされてきましたが、今年から贈与税の申告が可能になる等その利便性が更に向上しました。主な内容は次のとおりです。

 利用できる手続
 国税に関する申告等が行えます。

  1. 申告 ― 所得税、贈与税、法人税、消費税、酒税、印紙税
  2. 納税 ― 全ての税目(納税証明書の手数料を含みます。)
    インターネットバンクを利用する方法と、ダイレクト納付の方法があります。
  3. 申請・届出等 ― 青色申告の承認申請、納税地の異動届、納税証明書の交付請求等

 事前準備

  1. 住基カード等の電子証明書とICカードリーダライタの取得
  2. e-Taxの開始届出書を提出し、利用者識別番号を取得
  3. 電子証明書の登録
  4. 納税を利用する場合は、インターネットバンクの契約やダイレクト納付利用届出書の提出が必要です。

 メリット

  1. 24時間申告が可能です。
    平成25年1月15日から3月15日までの期間は、メンテンナンス時間を除き、24時間利用できます。
  2. 一定の書類の提出が不要です。
    医療費の領収証や源泉徴収票等の記載内容を入力して送信すると、これらの書類の提出又は提示を省略することができます。
  3. 書面による申告に比べて早期に還付されます。
  4. 所得税の確定申告をe-Taxで行うと最高3,000円の税額控除を受けることができます。(平成25年3月15日までに申告した場合で、平成19年分から平成24年分の間でいずれか1回のみ)
  5. 「確定申告書作成コーナー」は自動計算になっていますので、正しく入力すれば所得や税額の計算ミスを防ぐことがきでます。

 デメリット

  1. 事前準備にコストと手間がかかります。
  2. 電子証明書の有効期間が3年ですので、3年後には電子証明書を再取得し更新手続きをしなければなりません。
  3. 提出を省略した源泉徴収票等は、申告期限から5年間、税務署からの提出要請に応じなければいけませんので保存の必要があります。また、e-Taxで送信できない添付書類に関しては郵送しなければなりません。

 平成24年分の所得税、贈与税の申告期限は、3月15日(金)です。
国税庁HP「平成24年分の確定申告特集」に、e-Taxを利用した申告方法と書面による申告方法が掲載されていますので、e-Taxを利用する場合のパソコン推奨環境をはじめ詳しい内容を必ずご確認ください。

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/index.htm

(税理士:東本真依)

1月 07 2013

平成25年1月1日以降の税務調査手続について

 平成23年度の税制改正において税務調査手続の明確化等を内容とする国税通則法の改正が行われました。
 なお、この改正は平成25年1月1日以降に新たに納税者に対して開始する税務調査について適用されます。

- 一般的な税務調査手続きの流れ -

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上記に基づき、いくつかの点につき確認したいと思います。

1 事前通知事項の法定化

 以下の事前通知事項につき法定化されました。

  1. 実地の調査を行う旨
  2. 調査開始日時
  3. 調査開始場所
  4. 調査の目的
  5. 調査の対象となる税目(法人税、所得税、消費税、相続税等)
  6. 調査の対象となる課税期間
  7. 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
  8. 調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所または居所
  9. 調査を行う当該職員の氏名及び所属官署
  10. 調査開始日時または調査開始場所の変更に関する事項
  11. 事前通知事項以外の事項について非違が疑われることとなった場合には、当該事項に関し調査を行うことができる旨

2 事前通知事項の留意点

 税務調査に際しては、原則として納税者に対し通知されますが、税務代理を委任された税理士に対しても同様に通知されます。なお、合理的な理由がある場合には調査日時の変更の協議を求めることができます。
 ただし、税務署等が保有する情報から、事前通知をすることにより正確な事実の把握を困難にする、または調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあると認められる場合には、事前に通知せず税務調査を行うことがあります。具体的には、納税者の申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、

  1. 違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にする恐れがある
  2. その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがある

と認められる場合を示します。(従来においても事前通知のない税務調査は、現金商売や過去に重加算税が課された場合などは行われていました。)

3 提出された帳簿書類等の留置き

 税務職員は、国税の調査について必要があるときは、その調査において提出された帳簿書類等の物件を留め置く(預かる)ことができます。
 この「留め置き」は納税者の理解と協力のもと、その承諾を得て行うこととなりますが、正当な理由がなく提示・提出を拒んだり、偽りの記載をした帳簿書類の提示又は提出をした場合には、法律に罰則の定めがあります。

4 調査結果の説明と修正申告や期限後申告の勧奨

 以下の項目が法定化されました。

  1. 調査の結果、更正決定等をすべきと認められない旨を書面にて通知する。
  2. 調査の結果、更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には、原則として口頭により内容を説明する。
  3. 2.の場合、原則として修正申告又は期限後申告(以下「修正申告等」という)を勧奨することができる。

 なお、修正申告等をした場合には、不服申立てをすることはできないが、更正の請求をすることができる旨を説明したうえで書面により通知します。

5 処分理由の記載

 税務署長が、更正又は決定など納税者にとっての不利益処分をする場合には、その通知書に処分の理由を記載することとなりました。

 以上のとおり、税務調査手続が法律により明確化されたため、税理士の役割も一層重要になっていくと思われます。

(税理士 溝江重紀)

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