Category: 中部経済新聞

9月 07 2017

税理士の使命と倫理

日本の労働人口は、約6385万人(平成27年)、そのうちの約5643万人が給与所得者です。つまり働く人の約90%がサラリーマンであることをご存じですか?

私ども税理士のクライアントは、そのほとんどが中小企業の会社や個人事業主の方々ですので、サラリーマンが税理士に接する機会はかなり少ないということになります。

今回は、税理士の仕事やその使命と倫理についてお話しさせていただきます。

まず、税理士制度は、昭和17年に現税理士法の前身である税務代理士法が制定されてから、平成29年で75周年を迎えることになります。戦前からある制度で、かなり歴史ある資格制度と言えます。国際的にみれば、日本、韓国、ドイツなど税理士制度を採用している国は数ヶ国しかありません。税理士制度は税理士法という法律に則って運用されています。その第1条には「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、 納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と謳われています。

税理士は、税の専門家であること、納税者との信頼関係をもとに公正な立場であることが重要です。よって、税理士は決して脱税相談に応ずることはしません。税理士さんに頼めば税金を安くできるなんて思われている方も多いのではないでしょうか。我々税理士は、租税に関する法律に則って納税者の税額を計算するので、決してごまかすことはいたしません。また、納税者が租税に関して不正な行為を行っていることを知った場合には、納税者に対して是正をするよう助言しなければなりません。さらに納税者の信頼に応えるため、税理士は業務に関して知り得た秘密を守る義務があり、税理士の信用または品位を害するような行為も禁じられています。

税理士は、必ず事務所の所在地を管轄する税理士会に所属し、税理士法第18条により日本税理士会連合会に備える名簿に登載され、税理士証票が交付されます。税務代理をする場合において、税務官公署の職員と面談するときには、税理士証票を提示しなければならず、必ずこの証票を携行しています。平成26年の税理士法改正により証票を定期的に交換することとされ、交付日から10年を経過するごとに交換することとしています。

他人の求めに応じ税理士業務を行うことは、有償・無償を問わず、税理士または税理士法人以外の者がすることはできません。ところが、毎年、税理士でない“無資格者”によって多くの方々が被害を受けています。この税理士名簿に登録がないにもかかわらず、税務書類の作成等の税理士業務を行う者は、「ニセ税理士」として税理士法第52条違反となります。このような「ニセ税理士」に対し、業務の依頼を行ってしまった結果、その申告等に不測の損害が生じるおそれがあります。また最近、不特定多数の納税者に対し、税理士を名乗り、「高額の還付金がありますので、ご連絡ください」等のメールが送信されるという事例が多数報告されております。

日本税理士会連合会では、現在税理士名簿に登録のある税理士及び税理士法人を氏名、事務所所在地等で検索し、その情報を参照できる「税理士情報検索サイト」を公開していますので、不審に思われた方は、このサイトで検索してみれば、間違いなく税理士であるかどうかが確認できます。なお、インターネット上に存在する種々の税理士紹介サイトは日本税理士会連合会とは一切関係がありませんのでご留意ください。

平成14年4月より、従来、税理士会が定めていた税理士の業務に関する報酬規定を廃止しました。その後は、税理士又は税理士法人は自由な意思のもと自己責任と説明責任に基づいて報酬を算定し委嘱者に請求することとなりました。税理士に委嘱される場合には、委嘱の範囲と報酬額について契約書を締結されることをお勧めします。

平成29年6月末日現在、全国に76,358人の税理士登録者がいます。その内、名古屋税理士会に所属する税理士は4,537人です。税に関することは、税理士へご相談ください。

 

【税理士 大川雅彰】

9月 07 2017

テーマ「中小企業経営強化税制の創設について」

Q.平成29年度税制改正により中小企業経営強化税制が創設されましたが、どのような位置づけなのでしょうか?

A.中小企業等経営強化法により、これまでの中小企業投資促進税制(中小企業者等が、特定機械装置等の取得等をした場合に取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除ができる制度)の上乗せ措置を改組し、中小企業経営強化税制として新設されました。尚、適用期間は平成29年4月1日から平成31年3月31日までの2年間です。

 

Q.これまでの中小企業投資促進税制の上乗せ措置とは、何が違うのでしょうか?

A.対象設備が拡充され、器具備品及び建物附属設備が対象に追加されました。但し、器具備品は30万円以上、建物附属設備は60万円以上に限られます。尚、法人税(個人にあっては所得税)において、即時償却、又は、7%(資本金3,000万円以下の法人は10%)の税額控除が受けられる措置は変更ありません。また、指定事業として一定の事業者が対象となる点も同様です。

 

Q.この制度の適用を受けるために必要な手続きを教えてください。

A.生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)により要件が異なります。

生産性向上設備(A類型)は、①一定期間に販売されたモデル、②経営力向上の指数が旧モデルより年平均1%以上向上する設備となり、これは工業会等から証明書を取得することが必要となります。

また、収益力強化設備(B類型)は、年平均の投資利益率5%以上となることが見込まれる投資計画に必要不可欠な設備となり、投資計画は経済産業局からの確認書を取得するなど一定の要件を満たすことが必要となります。

 

Q.この他に中小企業等経営強化法に基づく税制措置はありますか?

A.固定資産税の特例として、同法の認定を受けた経営力向上計画により新規取得した一定の設備に対して、固定資産税を3年にわたって1/2に軽減する制度が設けられています。

税理士 早川功剛

9月 07 2017

配偶者控除等の改正について

平成29年度税制改正において、個人所得税改革の第一弾として、①配偶者特別控除が適用可能となる配偶者の所得上限の引き上げ、②配偶者控除の利用に所得制限を設ける、という配偶者控除及び配偶者特別控除に関する見直しが行われました。

 

1.控除対象配偶者の定義の改正

今回の改正により、従来の控除対象配偶者は「同一生計配偶者」と改められ、同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者について「控除対象配偶者」と規定されました。

老人控除対象配偶者についても、従来通り控除対象配偶者のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上で、合計所得金額1,000万円以下である居住者の配偶者と定められました。

 

2.控除額の見直し

(1)配偶者控除

配偶者控除とは、収入の少ない配偶者がいる納税者に課せられる所得税や住民税において一定金額を所得から控除することで税負担を軽減する制度のことです。現行では、配偶者の合計所得金額が38万円(給与のみの場合年収103万円)以下であれば38万円(老人配偶者控除48万円)が控除されています。

今回の改正では、適用を受けることができる者について合計所得金額が1,000万円(給与のみの場合年収1,220万円)以下とする所得制限が設けられました。また、合計所得金額が900万円以下の場合、38万円(老人配偶者控除48万円)、900万円超950万円以下の場合、26万円(老人配偶者控除32万円)、950万円超1,000万円以下の場合、13万円(老人配偶者控除16万円)と、居住者の合計所得金額に応じて控除額が3段階となりました。

(2)配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、配偶者の合計所得金額が38万円を超えることで、配偶者控除を受けられないことによる手取額の逆転現象を税制上起こさないようにするために設けられた控除で、配偶者の所得が増加するにつれて減少する仕組みになっています。現行では、配偶者の合計所得金額が38万円超76万円(給与のみの場合年収141万円)未満の場合に受けられます。

今回の改正では、配偶者の合計所得金額が38万円超123万円(給与のみの場合年収201.6万円)以下に適用対象が拡充されました。なお、従来通り居住者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には配偶者特別控除は受けられません。配偶者控除と同様に居住者の合計所得金額(①900万円以下、②900万円超950万円以下、③950万円超1,000万円以下)に応じ、かつ、配偶者の合計所得金額の区分(9区分)に応じて配偶者特別控除額がそれぞれ逓減されます。

 

3.源泉徴収事務や年末調整の見直し

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しに伴い、源泉徴収事務に関し改正がありました。新たに「源泉控除対象配偶者(居住者(合計所得金額が900万円以下である者に限る)の配偶者でその居住者と生計を一にする者(青色事業専従者を除く)のうち、合計所得金額が85万円以下である者)」が規定され、配偶者控除等の適用にあたっては源泉控除対象配偶者に限ることとなりました。

つまり、配偶者控除等について、居住者の合計所得金額が900万円以下の場合には、月々の源泉徴収で控除されることになりますが、合計所得金額が900万円超1,000万円以下の場合には、年末調整又は確定申告において配偶者控除等の適用を受けることになります。

なお、上記の改正は平成30年分以後の所得税について適用されます。

 

 

税理士 林  豊文

8月 03 2017

税理士の国際交流と他国制度比較

1.税制の他国比較を行う意義

名古屋税理士会はドイツのミュンヘン税理士会と友好協定を結び交流を続けています。この交流では4年毎に双方を訪問し、租税制度や税理士制度に関して意見交換や講演を行っています。租税制度などを他国と比較をすると、日本では当然と思っていた事項が他国ではそうなっていないことがあります。その理由を考えることで租税に対する理解が深まりますので、他国との交流や制度比較は有意義です。

以下、この交流で意見交換したドイツと日本との税制の違いの中で主なものを紹介します。普段日本で当然と思っていることについて、改めて考えさせられる機会になるものと思います。なお、ドイツは連邦のため州による税法の違いがありますが、以下ではミュンヘン税理士会が所在するバイエルン自由州の税制度を紹介します。

 

2.日本とドイツの税制等の具体的な相違点

(1)申告方法と所得概念

日本では所得税、法人税は納税者自身が税額計算を自ら行う申告納税制度ですが、ドイツは課税当局が税額を確定する賦課課税制度です。申告納税制度では税額まで納税者が計算し申告しますが、賦課課税制度では税金計算の基礎となる課税標準は納税者が課税当局に提供するものの、税金計算自体は課税当局によって行われます。税金計算を誤った場合の責任が日本のほうが重いといえるでしょう。

 

(2)所得概念

税金計算の基礎となる所得の概念自体も国によって異なります。日本は新たに得た経済的利得全てを所得と考えます(包括的所得概念)。しかし、ドイツでは反復継続的に発生しない経済的利得の中には所得に含まれないものがあります(制限的所得概念)。所得の範囲が国の実状により異なることを知らされます。

 

(3)課税単位

課税単位とは、課税対象となる所得を個人ごとに捉えるか、世帯全体で捉えるかということですが、日本の所得税の課税単位は個人単位のみです。これに対してドイツでは個人単位課税と夫婦単位課税の選択制で、納税者にとって有利なほうを選択できます。なお、課税単位の考え方には上記以外に家族単位で考えることもあります。

 

 

(4)法人税の対象

日本では法人の所得に対して課される税金は法人の規模の大小を問わず法人税ですが、ドイツの場合、法人の種類が人的会社と資本会社に分類され、人的会社(合名会社など)に対する課税はその会社ではなく、その会社の持分を持つ個人に課税され、税目も所得税になります(パススルー課税)。このためドイツでは歳入に占める法人税の割合が低くなっております。日本でも中小企業に対する税制として、パススルー課税の導入について検討してもよいのではないでしょうか。

 

(5)納税者番号制度

日本では平成28年1月からのマイナンバー導入で、本格的な納税者番号制度が開始されたといえますが、ドイツは日本に先行して番号制度を開始しております。ただし、ドイツでの番号制度の利用範囲は税分野に限られております。日本のように社会保障制度の分野に番号制が採用される予定は現在のところないようです。ドイツで番号制度の対象を限定しているのは、プライバシーに対する配慮が影響しているようです。

 

以上のように税制をドイツと比較してきましたが、他国との違いを理解することで、日本の税制の考え方を理解する一助になればと思います。

 

 

【税理士 大島幸一】

 

8月 03 2017

中小企業の設備投資に関する税制上の特典

中小企業に積極的な設備投資を促すことを目的とした税制には、これまでも中小企業投資促進税制、生産性向上設備投資促進税制などがありました。平成29年度税制改正では、既存の制度の一部を変更・拡充して中小企業経営強化税制が創設されました。既存の制度と組み合わせることにより、従来よりも幅広い範囲で設備投資に対する税制上の優遇を受けることが可能となります。

 

◆中小企業投資促進税制の見直し

中小企業者等が平成31年3月31までに対象資産を取得し事業の用に供した場合にその取得価額の30%の特別償却が認められます。また資本金等の額が3000万円以下の特定中小企業者等については特別償却に代えて税額控除を選択することが可能です。対象資産は、従来の対象範囲から器具備品を除いた機械装置、車輌運搬具、船舶、ソフトウェアが対象となります。それぞれに取得価額、対象物の要件が定められています。

 

◆中小企業経営強化税制の創設

平成29年度税制改正前まで施行されていた、生産性向上設備投資促進税制が適用期限をもって廃止されました。また、中小企業投資促進税制の上乗せ措置は改組され、新たに中小企業経営強化税制が創設されました。

中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等が、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウェアで経営力向上設備等に該当するものの内、一定の規模以上のものを取得等し指定事業の用に供した場合には、その取得価額から普通償却限度額を控除した金額までの特別償却(即時償却)、もしくは税額控除のいずれかを選択することができます。対象となるのは、①旧モデルと比べて生産性が年平均1%以上改善する設備、②投資収益率が5%以上の投資計画に係る設備、となります。改正前の中小企業投資促進税制の上乗せ措置と比べ、対象となる指定業種、資産の範囲が変更されています。

 

◆商業・サービス業・農林水産業活性化税制

中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の認定経営革新等支援機関による経営の改善に関する指導助言を受けた中小企業者等が、平成31年3月31日までの間に、経営改善設備の取得等をし、指定事業の用に供した場合には、その取得価額の30%の特別償却が認められます。また資本金等の額が3000万円以下の特定中小企業者等については特別償却に代えて税額控除を選択することが可能です。対象となる経営の改善に資する資産等は建物附属設備、器具備品となり、詳細は中小企業庁の「認定支援機関向けガイドライン」に例示されています。

 

◆固定資産税の特例

中小企業者等が平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得した場合、固定資産税(償却資産税)が3年間にわたって2分の1に軽減されます。

対象となる設備は次の二点について工業会等より証明書を取得できるものとなります、①一定期間内に販売されたモデル、②経営力の向上に資するものの指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備。また、対象設備は機械装置、工具、器具備品、建物附属設備となりますが、それぞれに取得価額、販売開始時期、対象地域・業種などが定められています。

【税理士 長尾幸展】

8月 03 2017

Q&A  配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

平成29年度税制改正により、源泉所得税関係について配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われました。

 

Q1.配偶者控除の改正点について教えてください。

A1.配偶者控除について、配偶者の年収制限を現行の103万円から150万円に引き上げる一方で、居住者の合計所得金額が1,000万円以下とする所得制限が設けられました。

また、居住者の合計所得金額が①900万円以下の場合には38万円(老人控除配偶者48万円)、②900万円超950万円以下の場合には26万円(老人控除配偶者32万円)、③950万円超1,000万円以下の場合には13万円(老人控除配偶者16万円)と、3段階の控除額が設定されました。

 

Q2.配偶者特別控除の改正点について教えてください。

A2.配偶者特別控除について、配偶者の合計所得金額が現行の38万円超76万円未満から38万円超123万円以下に改正されました。

また、配偶者控除と同様に居住者の合計所得金額に応じて、配偶者の合計所得金額により、表のとおり9段階の配偶者特別控除額が設定されました。

配偶者の合計所得金額 配偶者特別控除① 配偶者特別控除② 配偶者特別控除③
38万円超85万円以下 38万円 26万円 13万円
85万円超90万円以下 36万円 24万円 12万円
90万円超95万円以下 31万円 21万円 11万円
95万円超100万円以下 26万円 18万円 9万円
100万円超105万円以下 21万円 14万円 7万円
105万円超110万円以下 16万円 11万円 6万円
110万円超115万円以下 11万円 8万円 4万円
115万円超120万円以下 6万円 4万円 2万円
120万円超123万円以下 3万円 2万円 1万円

 

Q3.改正はいつから適用されますか。

A3.平成30年分以後の所得税について適用されます。

 

【税理士 宮田文香】

7月 06 2017

孫への相続   相続税の二割加算にご注意

【質問】私の財産を孫に引き継がせたいと思っていますが、孫が相続すると相続税が二割加算されると聞きました。養子にしても加算されますか?

 

【回答】相続税は相続財産を取得した人が、その取得割合に応じて納税義務を負っていますが、配偶者と一親等の血族(親と子)以外の人が相続した場合には、相続割合により負担することになる相続税に加えて二割税額加算される制度があります。

質問の、孫を養子にした場合を検討してみましょう。養子は実子と同様に扱われますので原則的には一親等の血族に該当し二割加算の対象とはなりません。しかし、これには例外があり、孫を養子にしている場合は、その孫養子について二割加算の対象とされています。実子が亡くなり孫を養子にした場合は、子の代襲相続人になるので、この場合には二割加算の対象とはなりません。

孫に財産を引き継がせるケースは、遺言書による遺贈や死因贈与契約など孫養子以外にも考えられます。

遺贈や死因贈与により取得した財産や、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の保険金は相続税の課税対象となります。これらを孫が取得した場合にも二割加算の対象となります。

生前贈与により孫に財産を引き継がせる場合には、被相続人から死亡前3年以内に贈与を受けた財産は、贈与された時の価額が相続税の課税対象となります。この場合にも相続税の二割加算の対象となります。

生前、相続時精算課税の適用を受けて孫が贈与により取得した財産も、その贈与財産の贈与時の価額が相続財産の価額に加算されます。この場合にも二割加算の対象となります。

相続の有利不利はケースバイケースですので、考慮に入れて検討することが大事です。

【税理士 戸谷隆夫】

7月 06 2017

定期同額給与の改正

はじめに

平成29年度の税制改正において、法人の役員給与の税法上の取扱いがいくつか改正されています。そのうちの1つが定期同額給与の改正です。役員に対する給与はこの定期同額給与により支給している法人が多いと思います。改正前まで定期同額給与は、社会保険料や税金を天引きする前の「総支給額」が一定でなければなりませんでした。今回の改正で、天引き後の「支給額」が一定であれば良い、という取扱いが増えました。以下で詳しくみていきます。

 

今までの役員給与の取扱い

法人の役員に対する給与は、以下の3種類が税法上の経費(損金)として認められています。

①定期同額給与

②事前確定届出給与

③利益連動給与

 ここではこの中の「①定期同額給与」の改正について解説をします。定期同額給与とは、支給時期が1ヶ月以下の一定期間ごとで、各支給時期における支給額が同額であるものをいいます。そして、金額の変更は、事業年度開始の日から毎年3ヶ月以内に行われる定時株主総会で改定されたものや、役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更があった場合に改定されたものが、認められます。

少し大雑把に表現しますと、決算後の定時株主総会で決定された総支給額が毎月の給与額となるものです。

 

改正のポイント

今回の改正でこの定期同額給与について、総支給額から「税及び社会保険料」を差し引いた後の金額が一定であるものも、認められることになりました。

役員の給与を計算する実務では、総支給額から社会保険料を差し引きし、その計算によって導き出された金額から源泉所得税を計算します。そして算出された源泉所得税と市町村から通知された住民税を差し引きします。さらに、通勤手当が加算されたり、財形貯蓄や社員旅行積立金等が差し引かれたりすることも多いと思います。

そして「税及び社会保険料」とは具体的に以下の①~④が該当します。

①源泉所得税

②住民税

③健康保険料(介護保険料を含む)

④厚生年金保険料

 これらの中で、②の住民税は毎年6月から改定されます。そして6月分では金額の端数調整がされますので7月以降分はおおよそ一定金額となります。また③の健康保険料は毎年おおよそ3月分から保険料率が変更されます。④の厚生年金保険料もまた9月が保険料率改定の時期になっています。最後に①の源泉所得税ですが、③と④の社会保険料の料率変更によって金額が変わることもあります。また所得税の税率の変更がある場合は1月が変更月となると思います。

 

まとめ

今回の改正は平成29年4月1日より施行されています。この日以後に役員給与の改定を行うタイミングをむかえた法人で利用することができます。

ただし、前述しましたように、1年の間に金額の変更が起きる月は、意外に多くあります。実際に利用される場合は、金額が変更になるタイミングを失念しないよう、十分な注意が必要となります。

 

(税理士 水野貴文)

 

7月 06 2017

名古屋青年税理士連盟

名古屋青年税理士連盟(以下、「名青税」)は、会員相互の親睦、税法・その他の研修、税理士会の発展並びに税理士の社会的地位の向上を目的に掲げ、主に名古屋市及び知多半島の若手税理士が中心となって組織されている団体です。当連盟は、原則41歳未満の正会員と名青税の活動に賛同していただいている賛助会員で構成されており、総会員数は550人を超え、昨年度は創立50周年を迎えました。若手税理士がその時世に沿った研究等を自由な発想で行ってきた結果、名青税は任意団体でありながらも半世紀に亘る歴史を築いてくることができたと自負しております。

昨今、税理士を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、中でも税制に関してはその変化に対応すべく毎年改正がされています。しかし、その改正点ばかりに目を向けるのではなく、本来の制度趣旨にも目を向け、理解することも必要なのではないかとの観点から、名青税研究部では、「消費税の非課税制度」を今年度の研究テーマとし、研修会やシンポジウムなどを行います。また、現在の「税理士制度」をしっかりと理解し、今後のあるべき税理士制度を考えていくために、制度部では税理士制度の研修、ディスカッションなどを行います。

しかし、研修等による自己研鑚だけでなく、会員相互の親睦の場があるのが名青税です。厚生部では会員の家族も参加できる懇親会や新入会員歓迎会を開催しています。多くの会員と交流し、語り合うことで違う角度からの自己研鑚ができると考えています。

では、名青税が具体的にどのような活動を行っているのか。それを、効果的に広報・PRする活動を行っているのが、組織・広報部です。私たちの活動を知っていただき、一人でも多くの税理士が当連盟の活動に賛同していていただき、仲間となってもらえるよう活動しています。また、学生向けに職業セミナーも開催しており、一人でも多くの学生に税理士という職業を知っていただき、税理士が職業選択の一つとなるよう、活動をしています。

前述の活動をしていくうえで、今年度の名青税では、「Chance、Challenge、Change~あるべき姿を求めて~」をスローガンとして掲げています。「Chance」は、「機会、きっかけ」、「Challenge」は、「実践、困難」、「Change」は、「変わる、改める」を意味します。私たち名青税という団体が永続していくためにはどのように活動をしていけばよいか、創立50周年を迎えたことを機会と捉え、変化を恐れず実践し、従来の活動に固執することなく改めていくことが永続への第一歩になると考えています。また、構成員である会員も同様に、名青税の会員として活動することにより個々が成長できる様々なきっかけがあり、たとえ困難と思えることでも仲間と共に悩み、取り組むことで、今までの自分と変わることができます。ひいては、税理士として成長し、納税者の方々にとって信頼のできる税理士となりうるでしょう。

最後に、当連盟の活動をホームページ及びブログにて写真付で紹介させていただいています。納税者のみなさまにとって税理士がより身近な存在であると感じていただき、税金への理解を深めていただく一助となれば幸いです。

 

ホームページ http://www.meiseizei.gr.jp/

ブログ http://meiseizei.blogspot.jp

Facebook  https://www.facebook.com/meiseizei

 

【税理士 太田麻紀】

6月 01 2017

名古屋税理士会の中小企業支援についての取組み

名古屋税理士会では、平成27年度総会時において中小企業支援対策部が創設され2年が経過しようとしております。中小企業支援に係る業務は、税理士法第1条の使命・職責に鑑みれば極めて需要な責務であり、中小企業の存続・発展は、国や地域産業・経済の振興・発展に欠かせないものであるとともに、税理士制度の基盤を支えるものでもあることから、支援業務を積極的に推進する必要があると考えます。<税理士法第1条(税理士の使命) 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。>

名古屋税理士会では、次の4点を重点施策として、活動しております。①中小企業の経営支援・金融支援・税制支援に関する研修会を開催する。②会員が行う中小企業支援業務に係る関係機関と連携を図る。③会計参与制度及び『中小企業の会計に関する指針』の普及を図る。④『中小企業の会計に関する基本要領』の普及を図る。

具体的な活動としましては中小企業を支援する会員を支援するため、時事に適した研修会を年に3回程度開催したり、地域金融機関との懇話会も定期的に開催し、中小企業を支援するための協力体制を強固にすべく積極的に情報交換をしております。

名古屋税理士会は平成27年11月に岐阜県信用保証協会、平成29年3月に愛知県信用保証協会・名古屋市信用保証協会と、それぞれ「税理士連携短期継続保証制度」についての覚書を締結しました。同制度は名古屋税理士会に所属する税理士と各保証協会が連携をして、中小企業に短期的な資金を疑似資本的な形で供給するものです。内容としましては、保証期間1年以内の手形貸し付けで最大4回まで借換えが可能。最長5年間は利息のみの支払いとなり毎月の返済はありません。期間経過後は、一括返済または分割返済が選択できます。保証限度額は3000万円です。税理士が月次管理を行うことが条件の一つです。その他詳しい内容につきましては、最寄りの信用保証協会にお尋ねください。平成20年のリーマンショック以降の貸し渋りの解消策として拡充された信用保証制度により、企業は、銀行から資金の融資を受けやすくなりましたが、中小企業にとっては、長期の約定弁済のローンであるため、元本返済が毎月あり資金繰りをよくするものとは言えませんでした。この度、平成27年1月金融検査マニュアルの改訂により、これまで不良債権とされていた、「短期継続融資」いわゆる「短コロ」での融資が公認されました。短期で借りて金利だけを払っていく「短コロ」は、「疑似資本」に近い効果を持ちます。その結果、中小企業の資金繰りが安定し、財務体力の強化に大きく貢献するものだと考えられています。現に岐阜県信用保証協会では、この制度を開始してから1年以上になりますが、利用件数が470件以上、保証額は総額で81億円を超える金額で予想をはるかに超えるものです。上記の利用実績は当該制度が、いかに中小企業の実情に即した制度であるかを表しています。平成29年4月に愛知県・名古屋市でも同様の制度がスタートしております。資金繰りの解決策の決定打になり得る制度です。資金繰りに悩んでいる中小企業の事業主の皆さん、一度税理士に相談してみてください。税理士は中小企業を全力で支援してゆきますので、何かあれば是非、お気軽にご相談ください。

 

【税理士 今枝 清】

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