Category: 中部経済新聞

11月 03 2016

マイナンバー ~書類作成における留意点~

平成28年1月1日よりマイナンバー(社会保障・税番号)制度の運用が開始され、1年が経過しようとしています。ここでは、マイナンバーの記載が必要となる源泉徴収票・支払調書の作成に当たっての留意点を紹介したいと思います。

1.源泉徴収票

「平成28年分 給与所得の源泉徴収票」から、様式サイズがA6サイズからA5サイズに変更されました。これは、従業員本人及びその控除対象配偶者・扶養親族そして支払者(事業所)のマイナンバーを記載する欄が追加されたためです(退職所得の源泉徴収票にもマイナンバー記載欄は追加されましたが、様式サイズに変更はありません)。
運用当初は、従業員に交付する給与所得・退職所得の源泉徴収票にはマイナンバーを記載することとなっていましたが、法令が改正され、受給者に交付する源泉徴収票には記載しないこととされました。ただし、税務署へ提出する際はマイナンバーの記載は必要ですので、注意してください。

2.支払調書

事業所は毎年1月31日までに、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」(以下、法定調書)と提出範囲に該当する支払調書を税務署へ提出しなければなりません。法定調書には提出者である事業所のマイナンバー、支払調書には事業所及び支払先のマイナンバーを記載して税務署に提出することとなります。法定調書作成にあたり、従業員のマイナンバーについてはすでに事業所では把握していると思いますが、その他の対象者のマイナンバーについては把握しているでしょうか。

支払調書の提出範囲に該当する支払者からはマイナンバーの取得という作業が必要となります。マイナンバーを取得する際には、身元確認も必要なため、①マイナンバーカード(番号確認と身元確認)、②通知カード(番号確認)と運転免許証等(身元確認)、③マイナンバーの記載された住民票の写し等(番号確認)と運転免許証等(身元確認)のいずれかの方法で確認する必要があります。ただし、代理人から本人のマイナンバーを取得する場合は、本人の番号確認と身元確認だけではなく、戸籍謄本等(法定代理人の場合)や委任状(任意代理人)で代理権の確認をすると共に、代理人のマイナンバーカード・運転免許証などで代理人の身元確認をする必要があります。

特に不動産に関する支払調書の対象となる取引については、支払者と顔を合わせることなく不動産仲介業者との間で取引が進められることが多いため、直接本人からマイナンバーを取得するより、代理人である不動産仲介業者を介して取得することとなるでしょう。

なお、支払調書は支払者本人に交付する義務はありませんが、交付を求められた場合、源泉徴収票と同様、マイナンバーは記載せずに交付することとなります。

以上、源泉徴収票・支払調書の留意点を紹介しました。なお、平成29年1月1日以後に提出する場合はマイナンバーの記載を不要とする改正がされるなど、マイナンバーについては今後も法令が改正される可能性は十分あります。マイナンバーを取り扱う事業所の皆さんは注視していく必要があるでしょう。

税理士 太田 麻紀

11月 03 2016

税を考える週間

毎年11月11日から17日までの一週間は「税を考える週間」です。この期間、国民の皆さんに税の仕組みや目的等を考えていただき、国の基本となる税に対する理解を一層深めてもらうことを目的に定められました。そこで、改めて税金の役割について考えてみましょう。

「税金の役割について」

私たちは、健康で豊かな生活を送るために、国や地方公共団体から様々なサービスを受けています。このような公共サービスの提供を受けるには多くの費用が掛かります。その費用をみんなで負担しているのが「税金」です。税金には、以下の様々な役割があります。

① 公共サービスの資金調達

国民の安全を守る警察・消防や、道路・水道の整備といった「公共サービス」や、年金・医療・福祉などの「相互扶助制度」のために、その必要となる資金を調達する役割があります。

② 富の再分配

所得の多い人ほど高い税負担を求める「累進課税制度」が導入されていることから、国民の間の富の格差を縮め、社会の安定化・公平な社会秩序を維持する役割があります。

③ 景気調整

景気の良い時は所得が増えることで税収も増加し、 逆に景気の悪い時は所得が減ることで税収も減少しますので、民間需要を自動的に調節する役割があります。

④ 経済対策の推進

特定の政策目的を達成するために、税制上の例外規定である「租税特別措置法」を制定し、特別償却や税額控除などの減税措置が行われることにより、経済政策を補充する役割があります。

⑤ 国内産業の保護

外国からの輸入品に対して関税を課すことで、国外産業から国内産業を保護する役割があります。

「税理士の役割について」

我が国では、納税者が自らの所得を計算し申告を行うことにより、税額を確定させ納付する「申告納税制度」を採用しています。しかし、正しい申告を行うには、税法や会計等の専門的な知識が必要になります。そこで、納税者に代わって、税理士が独立公正な立場で以下の業務を行っています。

① 税務代理

納税者を代理して、確定申告、青色申告の承認申請、税務調査の立ち合いなどを行います。

② 税務書類の作成

納税者に代わって、確定申告書、相続税申告書、青色申告承認申請書、その他税務署などに提出する書類を作成します。

③ 税務相談

納税者が税金のことで困った時、分からない時、知りたい時に相談に応じます。

④ e-Taxの代理送信

納税者の依頼により、e-Tax(電子申告)を利用して申告書を代理送信することができます。

⑤ 会計業務

税理士業務に付随して財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務に関する業務を行います。

⑥ 税理士の社会的貢献

税金の正しい知識と理解を深めるために、特に将来を担う子供たちに対しての「租税教育」を積極的に取り組んでいます。また、税に関する専門家という立場から、税制及び税務行政の改善要望として、国に対し「税制改正建議書」を提出しています。他にも、国税不服審判所で「国税審判官」として、地方公共団体においては「監査委員」、家庭裁判所では「民事・家事調停員」として携わり、高齢化社会に向けての「成年後見制度」にも参画しています。

名古屋税理士会では、税金の役割と目的を今一度国民の皆さんに考えていただき、税についての理解をさらに深めていただくために、この期間は無料税金相談会などを積極的に行っています。是非、この機会に税金に関することを税理士へ気軽にご相談ください。

 税理士 大野 治彦

11月 03 2016

経営力向上計画の認定による固定資産税軽減の特例措置

Q:経営力向上計画とは何ですか?

A:平成28年7月1日に中小企業等経営強化法が施行されました。この法律では、国は基本方針に基づき事業分野ごとに生産性向上の方法を示した「事業分野別指針」を策定すること、そして中小企業・小規模事業者等は、その「事業分野別指針」に沿って、人材育成・コスト管理等のマネジメントの向上・ITの利活用や設備投資などにより自社の経営力を向上するために実施する事業計画を策定し、その計画について国の認定を得ることができることとされました。この経営力を向上するために実施する事業計画を「経営力向上計画」といいます。認定事業者は、税制優遇や金融支援等の措置を受けることができます。

Q:固定資産税軽減の特例の概要について教えてください。

A:認定計画に記載された一定の機械及び装置について、取得翌年度から3年間、その機械装置等にかかる固定資産税が半額になります。対象設備は、以下の要件を満たすものです。⑴販売開始から10年以内のもの ⑵旧モデルに比して生産性1%以上向上するもの ⑶160万円以上の機械及び装置

Q:固定資産税軽減の特例を受けるための具体的な方法を教えてください。

A:①対象設備について、設備メーカー等を通じて工業会等による証明書を入手する。②事業所管大臣に、その設備の取得を含む「経営力向上計画」を提出し認定を受ける。計画には、上記①の証明書を添付する。③取得翌年1月の償却資産税申告の際に、申請書の写し、認定書の写し、工業会等による証明書の写しを申告書に添付して市町村に提出する。

Q:固定資産税軽減の特例と、生産性向上設備投資促進税制や中小企業投資促進税制との重複適用は可能ですか。

A:可能です。

自社の「稼ぐ力」を強化するチャンスです!ぜひご活用ください。 以 上

(名古屋税理士会岐阜南支部・小田切清子)

10月 06 2016

加算税・延滞税の改正について

Q.加算税の制度が今年度の税制改正で見直されたと聞きました。どのように見直されたのでしょうか。

A.平成28年度税制改正により、平成29年1月1日以降に法定申告期限等が到来するものについては、調査の事前通知以後、その調査があることにより更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない修正申告又は期限後申告について5%(一定額を超える場合は、10%)の加算税を新たに課すこととし、期限後申告又は修正申告に基づく無申告加算税の割合を、10%(一定額を超えるの場合は、15%)に引き上げました。

Q.重加算税についても、今年度の税制改正で見直されたと聞きました。どのように見直されたのでしょうか。

A.繰り返しの無申告や短期間の再度の仮装・隠蔽を防止する為、修正申告(更正予知によるものに限る)若しくは期限後申告又は更正若しくは決定等(以下、「修正申告等」という)があった場合において、その修正申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その修正申告等に係る税目について無申告加算税(更正予知によるものに限る)又は重加算税を課された事績があるときは、その修正申告等に対して課する無申告加算税の割合を25%(一定の場合は30%)とし、重加算税の割合を過少申告加算税・不納付加算税:45%、無申告加算税:50%とする改正が行われました。

Q.延滞税についての見直しは無かったのでしょうか。

A.平成26年12月12日最高裁判決を受け、更正による税額が当初申告税額を越えない等一定の場合には、増額更正でも延滞税は発生しないこととされました。

税理士 長谷川浩康

10月 06 2016

名古屋税理士会の成年後見制度への取り組み

「税理士は、あなたの頼れるパートナー」日本税理士会連合会の本年度全国統一キャッチコピ-です。税理士は税務代理・税務書類の作成・税務相談・e-Taxの代理送信・会計業務などを行い、事業を営む方の税務や経営に関する相談・個人の方々の資産管理に関することをお手伝いしています。

最高裁判所事務総局家庭局が公表する『成年後見関係事件の概況-平成27年1月~12月-』を見ますと、おもな成年後見関係事件の申立て動機別件数の内80%以上が「預貯金等の管理・解約」となっています。税理士は成年後見制度の維持・発展にその豊富な経験を活かし、皆様の貴重な財産の保全と適切な管理を行います。

名古屋税理士会では、会員向けに成年後見制度の啓発のための一般研修会、さらに成年後見人等としての基礎知識を習得するための養成研修会、名古屋家庭裁判所・岐阜家庭裁判所からの成年後見人等の推薦依頼を受けるための専門的な知識の継続的学習の場として専門研究会を設けています。

名古屋税理士会成年後見支援センタ-は成年後見制度に関わる相談を毎週木曜日・金曜日の午後1時30分から同4時30分(受付は、午後4時)まで無料で行っています。相談専用電話は052-752-5130です。

「相談の例えばこんな時・・・」

  • 物忘れがひどくなって財産管理ができなくなりました。どうしたらいいですか?
  • 銀行から成年後見制度を利用するように言われました。
  • 保佐人になってと言われました。どうしたらいいですか?
  • 将来、認知症になったらと不安です。今出来ることはありますか?
  • 任意後見と法定後見の違いを教えてください。

などがあります。

(名古屋税理士会ホームページでもご覧いただけます。)

もう少し実例を参考にしてみましょう。

雑貨屋を個人で営むAさんと法人で営むBさんの場合、もし経営者であるAさん、Bさんが突然の病で寝たきりになり意思表示が出来なくなった場合事業はどうなるのでしょうか、法人を営むBさんは会社法上、取締を務めることは出来ませんので、身内の方が取締役に就任すれば、事業として財産関係に何の影響も無く営業を続ける事が出来ます。

個人営業のAさんの場合は複雑で、事業の預貯金を停止された場合、事業用の預金と言えども最寄の家庭裁判所に成年後見人の申立てをし、家庭裁判所から指定された成年後見人の判断に委ねる事になります。

寝たきりになった事が公にならずに預貯金の入出金も発病前と同様の状態で出来た場合はどうでしょうか。

事業主は寝たきりのAさんでしょうか。それとも事業を引き継いで行う身内の方でしょうか。

もし関与してる税理士が居たならば、寝たきりで意思表示出来ないAさんの確定申告書を代理する事が出来るのでしょうか。その時、如何に判断してどう対処したら良いのか、個々の事情によって異なる事と思われます。

税理士は税の専門家であると共に、顧問税理士として親の代からの継続した関与も少なくありません。成年後見制度についても、先ずは顧問税理士に質問してください。きっと相談に乗って貰える筈です。

前述の相談日のほか、全国一斉に平成28年10月22日(土曜日)午前10時から午後3時まで下記の会場で成年後見及び相続税・贈与税に関する無料相談会を開催します。事前の予約を電話にて受け付けています。

お気軽に相談にお越しください。

名古屋会場 名古屋市千種区覚王山通8-14 税理士会館ビル3階
岐阜会場  岐阜市橋本町1-10-11 じゅうろくプラザ5階小会議室2
予約電話 052-752-7711

税理士 熊澤彰人

10月 06 2016

【税制面から考える災害への対応】

今年4月に発生した熊本地震により多くの方が被災されました。未だその爪痕も痛々しく自然の脅威を改めて思い知らされ、私たちの暮らす地域においても日常の備えがいかに大切か、を考えさせられます。被災された皆様のいち早い復興をお祈りするとともに、今回は、税制面で手当てがなされている災害に関する項目を個人に関係するものに絞って再確認したいと思います。

1. 地震保険料控除

昨今、頻繁に発生し、その度に深刻な被害を引き起こす大地震に備えるため、地震保険への加入の重要性が注目されていますが、その加入率は現在全国平均30%程度にとどまっています。そのような状況の中、地震保険への加入を税制面で後押しするため、所得税法には地震保険料控除という制度が設けられています。この制度では対象となる地震保険等に加入しその保険料を支払った場合、その年中に支払った当該保険料のうち最大5万円までが所得控除として所得金額から控除されます。

2. 雑損控除

災害等による損害が発生した場合又は災害に直接関連して支出された金額がある場合には、所定の算式により計算された金額が雑損控除として所得から控除されます。但し、生活に通常必要でない資産について受けた損失に関してはこの控除は受けられません。

また、生じた雑損失の金額がその年分の各種所得の金額から引ききれないときは、その引ききれない部分の金額は翌年以後3年間に繰り越して控除を受けることができます。

3. 災害減免法による減免

災害によって住宅又は家財に甚大な被害を受けた場合には、前記2の雑損控除との選択により所得税の額の軽減又は免除を受けることができます。

合計所得金額 免除額
~500万円以下 全額免除
500万円超~750万円以下 50%相当額免除
750万円超~1,000万円以下  25%相当額免除

 

4. 災害による申告、納付等の期限の延長

災害その他やむを得ない理由により、申告、納付等に関する期限までにこれらの行為ができない場合に、手続きを行うことにより申告、納付等の期限延長の指定を受けることができます。また災害による被害が広い地域に及ぶ場合は、国税庁長官が延長する地域と期日を定めて告示しますので、その告示の期日までに申告・納付などをすればよいことになります。

5.寄附金控除

ご自身が災害による被害を受けなかった場合でも、被災地へ義援金や寄付をされる方もあると思います。そのような場合にも以下のような税制上の手当てがなされています。

(1) 個人の方が、被災地等の災害対策本部に対して支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除(所得控除)の対象となります。

(2) 個人の方が、被災地等で救護活動を行っている「認定NPO法人」に対して寄附金を支払った場合、寄附金控除(所得控除)又は寄附金特別控除(税額控除)の対象となります。

(3) 災害義援金等に係る「ふるさと納税」の取扱いについて
最近盛り上がりを見せている「ふるさと納税」。この「ふるさと納税」の仕組みを利用して被災地へ返礼品不要の寄付をする方も増えています。被災地自治体の負担を考慮して、代理受付を行う自治体も多くありますので、一度調べてみるのも良いかもしれません。

以上、今回は災害に関連する税制上の手当てを見てきましたが、冒頭に述べたように一番大切なのは日頃の備えと心構えだと思います。皆さんも、ご家族で万が一の時の備えと対応などを話し合ってみてはいかがでしょうか?

(税理士 濱田和希)

9月 01 2016

住宅の多世帯同居改修工事等に係る特例の創設について

平成28年税制改正において、出産・子育てへの不安や負担が大きいことが少子化の要因の一つであることを踏まえ、安心して子供を育てられる環境整備の手段として、世代間の助け合いを図るための多世帯同居を促進する観点から、住宅の多世帯同居改修工事等に係る特例が創設されました。ここでは、住宅借入金等で一定の多世帯同居改修工事を含む増改築等(以下「多世帯同居改修工事等」という。)を行った場合を説明します。

一 適用要件

1 その者の所有する居住用の家屋であること。
2 その居住用の家屋を平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間にその者の居住の用に供すること。
3 多世帯同居改修工事等を行ったこと。
4 工事後の住宅の床面積が50㎡以上で、その2分の1以上に居住していること。
5 合計所得金額が3000万円以下であること。
6 対象となる住宅借入金等は償還期間5年以上であること。

(注)3の多世帯同居改修工事等とは、①調理室、②浴室、③便所又は④玄関のいずれかを増設する工事(改修後、①から④までのいずれか2つ以上が複数となるものに限られます。)であって、その工事費用(補助金等の交付がある場合には、その補助金等の額を控除した後の金額)の合計額が50万円を超えるものをいいます。

二 税額控除額・控除期間

住宅借入金等で、多世帯同居改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高(1000万円を限度)の区分に応じ、それぞれ次に定める割合に相当する金額の合計額が所得税の額から控除されます。

1 一定の多世帯同居改修工事に係る工事費用(250万円を限度)に相当する住宅借入金等の年末残高  2%
2 1以外の住宅借入金等の年末残高  1%
また、控除期間については5年間となっています。

三 注意点

この控除を受ける場合には、確定申告書に控除に関する明細書、多世帯同居改修工事が行われた家屋である旨を証する書類、登記事項証明書及びその他の書類の添付がある場合に適用されます。多世帯同居改修工事を証する書類についての発行元は、

1 住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する登録住宅性能評価機関
2 建築基準法に規定する指定確認検査機関
3 建築士法の規定により登録された建築士事務所に所属する建築士
4 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定による指定を受けた住宅瑕疵担保責任保険法人
となっています。この書類の発行には時間がかかる場合があるので、発行元に早めに依頼するとよいでしょう。

またこの特例は、住宅借入金で一定の要件に当てはまる居住用家屋の増改築等をし、居住の用に供した日の年分以後10年間税額控除の適用がある「住宅の増改築等に係る住宅借入金を有する場合の所得税額の特別控除」との選択適用ですので、どちらが有利か検討して選択するほうがよいでしょう。また、この特例のタイトルを一見すると、多世帯同居が適用条件と思われがちですが、そのような要件はないので注意が必要です。

また、多世帯同居改修工事等を自己資金で行った場合、一定の要件のもと、その年に限り、税額控除の特例があります。
詳しい内容については、最寄りの税理士か税務署にご相談ください。

【税理士 古屋 明栄】

9月 01 2016

Q&A 経営戦略のツールとしての「会計参与制度」

平成18年に施行された会社法にて新たに設けられた会計参与制度とはどのような制度であるのかについてQ&A形式で解説します。

【Q1】会計参与とはどのようなものですか?

【A1】会計参与とは、取締役と共同して計算書類等を作成することを専門とする役員をいいます。計算書類を専門的に作成できる者でなければならないということから、会計参与になる資格があるのは、主に税理士とされています。

 

【Q2】会計参与制度にはどのような効果がありますか?

【A2】会計の専門家が計算書類の作成過程に携わることから、正確性の高い計算書類を作成することができるようになります。
そして、正確性の高い計算書類であれば、企業外部の第三者は、企業が作成した計算書類を信頼して利用しやすくなります。例えば金融機関からの信頼が得られれば、会社の定性的評価が高まり、借入利率の低下というメリットを受けることができるかもしれません。融資に際して迅速な審査や金利優遇などを行っている金融機関は全国に存在します。また、建設業の場合であれば、公共工事の入札時に必要な経営事項審査でポイントが加算されるというメリットもあります。
さらに、適切な計算書類を作成することができれば、自社の正確な財務状況を把握することができるようになるため、適切な経営戦略の策定が可能になります。

 

【Q3】デメリットはありますか?

【A3】会社がメリットを受ける一方で、税理士側は、業務も責任も増加すると言われています。このことから、顧問税理士に会計参与就任への打診をした場合、その増加する業務と責任に対応する報酬が生じる可能性があり、特に報酬が大幅に増えるようなことがあればデメリットと言えます。このようなデメリットがあるのであれば、費用対効果を総合的に勘案しながら、導入の要否を検討することになるものと考えます。

【税理士 吉岡生馬】

9月 01 2016

名古屋税理士会が取組む外国人のための税務支援

税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命としています。(税理士法第一条)

この理念に基づき、全国の税理士会は、申告納税制度の維持・発展に寄与すべく、「税務支援」事業に取り組んでおり、名古屋税理士会では、十七支部での確定申告期無料税務相談所の開設と、青色申告会や商工会議所等の団体への税理士派遣などを行っています。

特徴的なものでは、公益財団法人名古屋国際センターとの共催事業として、「外国人のための税理士による税務相談会」を毎年開催しています。

平成二十八年確定申告期(平成二十七年分申告期)においては、二月中旬から三月初旬の土・日を中心に七日間で六十六名の外国人納税者の相談を十五名の税理士により対応いたしました。今回においてはブラジルの方が最も多く、続いてペルー・フィリピン・アメリカ・英国・カナダ等の十七か国の相談者が訪れました。

この相談会は、完全予約制で相談時間を十分にもうけ、英語・ポルトガル語・スペイン語等のボランティアの通訳の方に同席していただく事で、税理士と相談者との意思疎通も十分にはかることが出来、安心してご相談していただけます。

従事する税理士は事前に研修を受け、細部への対応ができるように準備をしています。

外国人納税者の相談を受けるにあたりまず検討しなければならないのは、納税者の居住形態です。我が国の所得税法では、所得税の納税義務者を居住者、非居住者、内国法人、外国法人の四つのグループに分けてそれぞれ納税義務を定めています。
居住者とは、日本国内に住所があるか又は現在まで引き続いて一年以上居所がある個人です。さらに、居住者は、「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれます。

非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、そのすべての所得に対して課税されます。

非永住者は、居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去十年以内に住所又は居所を有する期間の合計が五年以下である個人を言います。国内において生じた所得(国内源泉所得)と、これ以外の所得(国外源泉所得)で日本国内において支払われたもの又は日本国内に送金された者に対して課税されます。

次に検討すべきは、国外居住親族に係る扶養控除等の適用についてです。母国に生活費や教育費の送金をして、親族を扶養している場合、確定申告書に「親族関係書類」や「送金関係書類」を添付しなければなりません。

「親族関係書類」とは、国外居住親族が居住者の親族であることを証するもので、パスポート・戸籍謄本・出生証明書・婚姻証明書等がこれにあたり、国外居住親族の氏名・生年月日・住所等を明らかにします。外国発行の見慣れない書類が多く、日本語訳を用意する必要があります。

「送金関係書類」は、国外居住扶養等へ送金した事実となる外国送金依頼書控えや、クレジットカードの利用明細書がこれにあたります。

平成二十七年度の税制改正ではより厳格化が求められ、被扶養者本人への送金等の事実が明らかな書類が必要となりました。
外国人を雇用している事業所においても、年末調整等において前述同様の書類を確認する必要があります。

名古屋税理士会においては、「外国人のための無料税務相談会」をより充実したものとする為、また各税理士が外国人納税者に関しての相談に十分対応できるよう、一般会員全体での研修会を行い日々研鑽しています。

【税理士・山田康博】

8月 19 2016

税理士はあなたの頼れるパートナー

Q      税理士はどんな仕事をされているのですか?   

A 具体的には、確定申告、青色申告の承認申請、税務署の更正決定などに不服がある場合の申立、税務調査の立会などについて代理をする税務代理。申告書など税務署等に提出する税務書類の作成。税金のことで困った、分からない、知りたいときの税務相談。これらの税理士業務に付随する財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行などの会計業務。税務訴訟において納税者の正当な権利、利益の救済を援助するため、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し陳述する保佐人。「税を考える週間」や確定申告期間における無料税務相談などの税務支援や租税教室の講師、裁判所の調停制度、成年後見制度へ参画等の社会貢献です。

Q      確定申告書の税理士欄に「税理士法第30条の書面提出有」と「税理士法第33条の2の書面提出有」のふたつがありましたがどう違うのですか。

A 前者は、税理士が税務代理をすることを証する書面(税務代理権限証書)を併せて提出する場合で、後者は、「計算事項、審査事項等を記載した書面」を作成して申告書に添付して提出する場合です。

Q      第33条の2の書面を提出した場合の違いは? 

A 平成13年の税制改正による「書面添付制度」は、税務の専門家として、独立した公正な立場において、納税義務の適正な実現を図る税理士の立場を尊重し、税務署は調査の通知をする前に税理士に対して意見聴取を行い、その結果、申告内容に疑義が無くなった場合には、調査省略となるケースもあります。

税理士は税に関する唯一の専門家です。税法を知らないことにより、思わぬ不利益をこうむることが数多くあります。税理士は身近な税の専門家です。税金に関することは、どんなことでもお気軽に税理士へご相談ください。

【税理士 菅谷賢一】

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