Category: 企業会計

2月 06 2014

「業務プロセス改革計画」のポイント

国税庁では、平成24年5月に、「業務プロセス改革計画」を策定しました。
この計画を推進する目的は、e-Taxの利用率の向上に加え、納税者の利便性の向上や行政運営の効率化です。
今回の「業務プロセス改革計画」において、新たに取り入れた取組等は次のとおりです。
(改定の概要)
(変更前)
○e-Tax還付申告については、処理期間を6週間程度で処理します。
(変更後)

  • e-Tax還付申告(個人及び法人)については、原則、3週間程度で処理します。
    <1月・2月 3月
    個 人(自宅等) 3週間程度(2,3週間で還付) 3週間程度
    個 人(来 署) 3週間程度 3週間程度(3,4週間で還付)
  • 社会保障・税番号大綱を踏まえ、住民票の省略を検討。
  • 法人税等の申告が集中する5月末、8月末、11月末の受付時間の延長。
  • 法定調書(利子等の支払調書を除く)や納税証明書の交付請求等について、e-Taxホームページ(Web)からの入力により作成・送信を可能とする取組。
  • 納税証明書を税務署窓口でe-Taxにより交付請求する場合の電子署名の省略。
  • 所得税のe-Tax還付申告について、自宅等からの申告と来署による申告とを区分管理するシステムに修正後、それぞれの処理期間等を測定し、その結果を踏まえ、今後、新たなインセンティブ措置及び成果指標・目標を検討。
  • 所得税の医療費控除における医療費の領収書や源泉徴収票等は、記載内容を入力して送信することにより、添付を省略。
  • 確定申告期間については、24時間受付を実施。
  • ヘルプデスクへの受付時間の延長。
  • e-Taxに登録するメールアドレスの登録可能件数の追加。
    メールアドレスの登録については、メインメールアドレス1件及びサブメールアドレス2件、最大で3件まで登録することが可能となりました。
    e-Taxでは、メールアドレスを登録している方へ、メッセージボックスに情報が格納された段階や、暗証番号の再設定のための秘密の質問と答などの登録を受け付けた段階で、登録しているメールアドレスあてに「税務署からのお知らせ」メールを送信しています。
     また、メールアドレスに加えて、メールに表示する宛名をe-Taxに登録することで、お知らせメールの件名や本文に登録した宛名が表示されます。

(ご利用方法)
 e-Taxソフトを利用して新たな機能を利用する場合
 ⇒e-Taxソフト起動後、「利用者情報登録」からご利用下さい(e-Taxソフトを初めてご利用になる場合は、ダウンロードが必要となります)。

 e-Taxソフト(WEB版)から利用する場合
 ⇒e-Taxソフト(WEB版)にログイン後、「利用者情報の登録・確認・変更」からご利用下さい。

 受付システムから利用する場合
 ⇒受付システムにログイン後、「メインメニュー」からご利用下さい。

*初めてe-Taxをご利用になる場合には、e-Taxの開始(変更等)届出書を提出していただく必要があります(e-Taxの開始(変更等)を提出する段階で新たな機能を登録することが可能です)。

国税庁HP参照

このように、国税庁では、「業務プロセス改革計画」の推進により、e-Taxホームページの使い勝手をより向上させ、利用者満足に向け、今後も検討を行っていく方針です。

(税理士 末松昌樹)

1月 09 2014

時価評価のススメ

 昨年からのアベノミクスへの期待、大胆な金融緩和などから、全国的に商業地域の土地の評価額や株価も上がりました。アベノミクスが掲げる名目3%以上の経済成長が実現されれば、不動産や株式だけでなく、様々なモノの価格が上昇していくと思われます。

 このような経済の転換期においては、会社であれば所有、運用している財産の時価を把握し、経済環境の変化に備えた会社資産の効率的な運用を行うべきですし、個人であれば、財産を時価評価し、デフレ時と異なる資産運用を検討することが望まれます。

 ただし、「時価」と言いましても、どのような評価方法に基づいて時価を算定するかは、なかなか難しいことです。例えば、土地の評価額には、相続税法上の評価額、公示価格、基準地価、固定資産税評価額、収益還元価額など多数あり、これが1物4価とも、1物5価とも言われます。また、破産等で破綻した会社の財産は平常時よりも安く買いたたかれてしまうなど、価格は売り手買い手の平常時、緊急時などの状況に大きく影響を受けます。従いまして、何をもって「時価」とするかは、どのような目的で時価を求めるかを明確にして、目的に合った時価を算定することとなります。

 さて、会社の貸借対照表で時価を知りたい財産は何があるでしょうか。土地、建物、株式、ゴルフ会員権、売上債権や貸付金なども回収可能性をチェックしたいところです。また、簿外となっている保険の解約返戻金も把握しておくべきです。時価評価に基づく“時価貸借対照表”の作成は、最初は少し手間がかかりますが、翌年からはそれほど手間ではなくなるはずですし、自社の株価の算定も素早くできるようになります。次に、時価評価したそれぞれの財産がどの程度利用されているか、また会社の業績にどの程度貢献しているのかを検討します。含み損があり利用も少ないゴルフ会員権は、利益が大きい年には処分してしまうとか、銀行からの借入金額と担保に供している財産の評価額を比較して、担保を解除していただくなど、会社の財産がより効率的に運用できる財務状況を整備していくことができます。また、「時価ベースで債務超過となったら会社をたたむ」という基準を経営者が自ら設定するなど、時価貸借対照表は、会社の方向性を決める大切な判断資料となります。

 個人でも、個人財産を時価で評価し、時価ベースの財産状況を把握しておくべきです。デフレ時とインフレ時では、資産運用方法が大きく異なります。また、相続税が、基礎控除額の縮小など、増税の方向に進んでいますので、相続税がご心配の方は、財産を相続税評価し、どの程度の相続税が課税されるか、どのような特例が使用できるか、どうすれば特例が使用できるか、財産の分割は相続税評価ベースで妥当かなどを早目に検討しておくのが良いと思います。

 このように、会社でも個人でも、財産を時価評価することは、単に評価する時点の価格を知るだけでなく、利用状況、収益への貢献度なども確認し、経済環境の変化に備えた効率的な利用の再検討や財産の組替など、将来の会社の財務状況のあり方や、個人財産のポートフォリオを検討できる機会ともなります。

 経済状況の変化に備えて、財産を時価評価してみてはいかがでしょうか。

(税理士 出口茂)

10月 02 2013

中小企業経営力強化支援法における認定支援機関について

 中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う「経営革新等支援機関」(認定支援機関)を認定する制度が創設されました。

 認定支援機関とは、中小企業が安心して経営相談等を受けられるために、税務、金融及び企業財務に関する専門知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を国が認定する公的な支援機関です。認定支援機関は、8月15日時点で15,884機関が認定されており、このうち約76%が税理士・税理士法人が占めております。全国420万の中小企業の内366万に及ぶ小規模事業者の活性化は日本経済の成長に不可欠です。そこで①自社の経営を「見える化」したい②事業計画を作りたい③取引先を増やしたい、販売を拡大したい、新たな事業を展開したい方を対象に認定支援機関はきめ細かい経営相談を行います。また国が認定支援機関に期待している役割は(1)ホームドクター的役割(2)専門性の高い支援③継続的フォロ-アップ(3)地域支援体制の強化⑤中小企業会計の普及です。

 認定支援機関による支援が必要な制度は、大きく「金融支援」「税制」「補助金」となっています。その中でも特に認定支援機関の役割は、平成25年3月末で「中小企業金融円滑化法」が最終延長期限到来を迎えたこともあり、中小企業が安定して経営相談等を受けられるためには、非常に重要な位置づけになっています。円滑化法を利用して条件変更等を行った事業者の内、約2万社を対象として経営改善計画策定支援事業として405億円が計上されました(24年度補正予算)。経営改善計画策定支援等について、必要となる費用の2/3を補助(事業規模等に応じ、十数万から上限200万)しています。経営改善が必要な企業への経営改善計画の策定支援、モニタリングを認定支援機関が支援することが今後も必要とされています。

補助金・ミラサポの有効活用

さらに、その他補助金としては「ものづくり補助金」「創業補助金」等がトピックとなっています。ものづくり補助金とは、中小企業の持つものづくりの底力を発揮させるため、中小企業が実施する試作開発(テスト販売を含む)や設備投資を支援する制度です。創業補助金は、後継者を含む若者や女性が、業種転換や新事業・新分野に進出する場合に認定支援機関による支援を条件に補助金が交付されます。

 そして認定支援機関は、事業計画等の策定・実行支援に留まらず、7月30日に構築されたITクラウドを活用した支援ポ-タル「ミラサポ」(https://www.mirasapo.jp/)に積極的に参画して経営支援に取組むことが期待されています。

 ミラサポとは、中小企業・小規模事業者の未来をサポートするサイトです。会員登録すれば、コミュニティへの参加でき専門家との情報交換の場として利用でき、専門家派遣も利用できるというメリットがあります。今後の展開としては、補助金申請や消費税転嫁対策支援、中小企業会計の普及、中小企業税制の活用促進など、幅広く中小企業支援に取り組むことにより地域の活性化、日本の中小企業の活性化に繋がることが期待されています。

(税理士 河合伸治)

7月 03 2013

「中小会計要領」を採用する中小企業への信用保証料率割引制度について

 平成25年4月から、中小企業庁の主導のもと、「中小企業の会計に関する基本要領(以下「中小会計要領」という)を会計基準として採用する中小企業に対し、信用保証料率を0.1%割り引く制度が始まっていることをご存知でしょうか?今回は、この制度の概要について解説します。

中小会計要領とは

 「中小会計要領」とは、中小企業の実態に配慮し、多くの中小企業で実現可能な会計処理方法として平成24年2月に公表された中小企業向けの会計ルールです。ここでは、税法上の処理との調和や事務負担の軽減を考慮して、多くの中小企業の会計実務において必要と考えられる項目に重点を置いて、簡潔な14項目の会計基準につき実務に適合する処理が示されています。14項目の内容は以下のとおりです。
①収益、費用の基本的な会計処理 ②資産、負債の基本的な会計処理 ③金銭債権および金銭債務 ④貸倒損失、貸倒引当金 ⑤有価証券 ⑥棚卸資産 ⑦経過勘定項目 ⑧固定資産 ⑨繰延資産 ⑩リース取引 ⑪引当金 ⑫外貨建取引等 ⑬純資産 ⑭決算書注記これらの項目を順守することで、決算書の信頼性は向上し、経営者は自社の財務内容を正確に把握し経営改善につなげることができます。また、金融機関や取引先からの信頼も向上し、円滑な資金調達や取引拡大につながるでしょう。

信用保証料割引制度について

 信用保証制度を利用する中小企業は、「中小会計要領」を順守した計算書類を作成することで、信用保証料率が0.1%割り引かれます(セーフティネット保証等、特定の政策目的により設けている保証制度は対象外となります)。具体的には、その旨の確認書類(「中小企業の会計に関する基本要領」の適用に関するチェックリストと「中小企業の会計に関する基本要領」に基づく保証料割引制度の利用に関する確認・同意書の2点です)を税理士、公認会計士等に作成してもらい信用保証協会に提出する手続きによります。信用保証料率の割引は、平成28年3月末までに申し込んだ分について適用されます。なお、この割引制度の開始により、従来の「中小企業の会計に関する指針」を採用する中小企業に対する信用保証料率の割引は平成25年3月末の申込みをもって終了しました。

利用上の留意点

 この制度において、保証料率の割引を得るためには、チェックリストにある項目すべてに準拠することが要求されています。また、事実と異なる記載があると信用保証協会が判断するチェックリストが、複数回にわたり同一の税理士等から提出された場合において、当該税理士から提出されるチェックリストの添付をもって、計算書類の信頼性の向上に寄与することが認められないと信用保証協会が判断するときは、当該税理士等が確認したチェックリストについては、本割引制度の利用を1年間認めないこととされています。よって、本制度を利用する際は、税理士等に真実の会計情報を提供し、虚偽や見落としのないチェックリストを作成する必要があるでしょう。より詳しい情報については、中小企業庁の以下のホームページをご覧ください。

信用保証料率の割引制度の概要
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/2013/0128Waribiki3.pdf
信用保証料率割引制度申込に関する応募書類
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/2013/0128Waribiki1.pdf
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/2013/0227Waribiki2.pdf

9月 03 2012

新しい会計ルール「中小企業の会計に関する基本要領」について

 日本の会計基準は、昭和24年に「企業会計原則」が制定されてから実務の中で慣習法として取り入れられてきました。その後、経済取引の複雑化・グローバル化に伴い追加的に多くの会計基準が作成され、また国際的調和という観点からも検討が加えられてきました。しかし、その基準の多くは上場企業を対象としたような複雑で中小企業には馴染まないものが多く見受けられます。そのような中で、中小企業の実態に配慮し、その成長に資するための新たな会計ルールとして平成24年2月に「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)が公表されましたので、その趣旨と背景について述べさせていただきます。
 中小企業は、「経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制を持っていない。」「会計情報の開示を求められる範囲が、取引先、金融機関、同族株主、税務当局に限定されている。」「主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い。」といった実態を持ち合わせており、中には会計のことは税理士にお任せというケースもあります。中小会計要領はそのような実態を考慮して、税制との調和や事務負担の軽減を図る観点から、多くの中小企業の実務で必要と考えられる項目に絞って、簡潔な会計基準等が示されています。わかりやすい会計を用いることは、経営者自らが自社の決算書を理解し、財務状況の把握をして投資判断や経営改善等に役立てることに繋がります。例えば決算期末の貸倒引当金の計算方法として、債権全体に対して法人税法上で中小法人に認められている法定繰入率により算定することを容認しています。今回の中小会計要領の意義は、中小企業が税制を意識して処理している会計方法が認められることを明確にしており、税効果会計、組織再編の会計等は除外し、基本的な14項目に限定し使うことのできる会計基準として作成されていることです。
 さて、このような会計ルール変更の背景には、人口減少や少子高齢化による需要の減少、大企業依存型のビジネスモデルの限界、アジア諸国との競争激化に大企業の海外進出加速化など、中小企業を取り巻く環境は厳しさを増す中で、経営支援はもとより地域金融機関とのリレーションシップ・バンキング構築の重要性が指摘されています。そして平成22年6月に閣議決定された「中小企業憲章」においては中小企業の役割の意義や重要性が謳われ、平成23年12月に公表された中小企業政策審議会企業力強化部会では、強化すべき戦略的経営力として財務経営力の強化が挙げられています。そのような観点から中小企業会計の整備が必要であり、決算書の信頼性の確保が求められています。さらには経営計画や資金繰り計画の作成が説明能力の向上や地域金融機関との信頼関係構築に繋がることも期待されています。
 あらためて我々税理士も新しい会計ルールへの対応と今求められる会計、決算書の信頼性の確保に努め、中小企業の経営力の強化と資金調達力の強化に尽力するとともに、中小企業のお役にたてるよう努めてまいります。
 最後に、中小企業庁は支援策等についてホームページで紹介しており、日本政策金融公庫ではこの中小会計要領を活用した利率の優遇制度を設けておりますので、ご活用ください。

(税理士 小関剛史)

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