Category: 税理士会

8月 07 2014

租税教育の重要性

 4月に消費税率が3%上がり、4ヶ月過ぎた今でも日々買い物をするたび、3%の重みを実感します。そんな折、今度は数年間かけて法人税率の引き下げを行うというのです。
一方で、税率を引き上げる増税をし、同時に税率を引き下げる減税をするような状況について、子どもたちにわかりやすく説明するにはどうしたら良いのでしょうか?

 今回のようなことが政策的に行われる背景には、税金にいろいろな種類があること、そしてその成り立ちや計算方法が多岐にわたっていることが挙げられます。法人税率引き下げにあたっては「法人の国際競争力を高めるため、また企業を活性化することによって法人に元気になってもらい、そこで働く従業員の給料を上げることができるよう、まず法人税率を下げて…」などとメディア同様の説明をすることができるかと思います。

 では、一転、ご自身の給料から天引きされている「税金」がどの様なもので、どれだけ払っているかを正確に知っている方はどれほどいるのでしょうか。

 平成26年5月現在、働く日本人のうち正規・非正規含めサラリーマンといわれる方は87%を超えています。一般的にサラリーマンといわれる方は、年末に企業で所得税の精算を行う年末調整が行われるため、月々の給料からは概算で所得税が天引きされています。そのため手許に入る給料は、所得税天引き後の金額であり、さらには住民税や社会保険なども天引きされた差引残額になります。給料明細を見なければ、何をいくら引かれているかを明確に答えられない人が多いと思います。サラリーマンの多くの方は、自分で税金を計算することなく、税金の支払いまで済ませているため、痛税感を感じることが少ないと言われています。

 痛税感が少ないと何が起こり得るか?
 税金について関心が薄くなりがちになるのです。
 朝起きてから夜眠るまで、税金と関わらず過ごすことはあり得ない日常でありながら、税金について何も考えなくても暮らしていける
 日本では、「税金について自分の言葉で説明し判断すること」ができないことにもなりうるのです。
 そんな大人が多ければ「税金について」家庭で話題にあがることも少なく、子どもたちは「税金についてあまり知らない」こととなるのです。

 名古屋税理士会では、そんな危機的状況を打開するために、租税教育推進協議会(注)と連携しながら小中学校、高校、大学、社会人に向けて「租税教育」を推進しています。
 例えば小学生に対しては、自分の身近なところで税金が使われていることを再確認し、自らが納める税金の大切さを学習するといった機会を設ける必要があります。以降段階に応じて、納税者であることを自覚し、申告納税制度における種々の税金の算出・計算方法や、税金の使途等を学習、社会の構成員としての正しい判断力と健全な納税者意識を持った社会人になるための租税教育が要されます。

 租税教育は、いずれかの時点で行えばよいというものではなく、各年代において何度も繰り返し行うことが効果的なのです。
最後に、国会で3月20日に可決・成立した改正税法の中で、租税教育への取り組みの推進が税理士法に明記すべきことになりました。名古屋税理士会では、より一層、租税教育に力を入れていきたいと思っております。

(注)租税教育推進協議会は、国税関係機関、地方税関係機関および教育関係機関が協力し、租税教育の推進等を行うことを目的とする会である。

(税理士 小原香織)

7月 03 2014

名古屋青年税理士連盟の活動の紹介

・会員相互の親睦
・税法、その他の研修
・税理士会の発展並びに税理士の社会的地位の向上

 私たち名古屋青年税理士連盟(以下、名青税)は、ご覧のような目的を掲げ、主に名古屋市及び知多半島の若手税理士が中心となって組織されている約半世紀の歴史を持つ団体です。  
 名青税は、地域ごとに10支部を抱え、中心となって活動している正会員とその活動の趣旨に賛同していただいている賛助会員を合わせると557名という大所帯で活動を行っています。
 突然ですが、皆さんにとって税理士とはどんな存在でしょうか。頼りになるビジネスパートナーでしょうか。将来の人生設計を描くための良きアドバイザーでしょうか。このように税理士という職業は、皆さんの暮らしにとって無視することができない税金というものに関する専門家であるが故に、税に関する知識は勿論、皆さんを取り巻く環境に応じて、適切なアドバイスが求められる職業だと考えています。名青税においてもそのような皆さんからのご相談にお応えすべく日々能力の向上を目指し、各部・各委員会を設け、様々な取り組みをしております。

スローガンは、「ともに学び、ともに語ろう」

 昨今、税務行政は目まぐるしく変化し、年々その変化のスピードは増しています。そのような税制の変化に対応するべく名青税では研究部、制度部が中心となって毎年、シンポジウムや合同研修などを行い、最新の税制やあるべき税理士制度を考え、常に自己研鑚に努めています。
 また、私たちは「対話を通してお互いを理解する」という行為も、税理士の日常業務において非常に重要であると考えています。名青税では、知識の詰め込みだけに偏ることがないよう会員同士の懇親や語らいの場を提供するため、家族会や新入会員歓迎会などを厚生部が中心となって企画し、社会性やコミュニケーション能力の重要さを学んでいます。
 また組織・広報部では、名青税という団体をPRするために、社会貢献の一環として、無料税金相談など納税者の皆さんとふれ合えるイベントを企画しております。
 若手税理士の集まりという特徴を活かし、自由な発想を持って活動していくことが私たちの目標です。
 名青税は以上のような活動を行っているのですが、皆さんの中にはそもそも税理士ってどんな職業なの?と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな皆さんに耳寄りな情報があります!
 今年度、名青税では私たちの活動を会員や未入会者にはもちろん、より広く一般納税者の皆さんにも知っていただくために組織・広報部が担当となり、ホームページの充実刷新を考えています。名青税の活気あふれる活動の状況をブログや写真などを用いてご紹介できれば良いな、と考えています。皆さんが税理士という職業をより身近に感じていただき、私たち名青税を通じて税金への興味と理解を深めていただく一助となれば幸いです。
 皆さんからのご意見、ご要望をお待ちしております。

ホームページ(http://www.meiseizei.gr.jp/
ブログ(http://meiseizei.blogspot.jp

(税理士 濱田和希)

6月 05 2014

研修制度について

 税理士法では、日本税理士会連合会及び名古屋税理士会が行う研修を受け、その資質向上に努めなければならないと定められています。名古屋税理士会では、研修細則を定め、税理士会員は最低でも年間36時間以上研修を受講するように努めなければならないと定めています。その研修以外にも、名古屋税理士会には認定研修制度があります。各種団体が開催する研修について、認定依頼された中から、そのテーマや内容を考慮した上で、定められた基準を満たした研修について認定し、税理士会会員に告知することで、さらに追加の研修を促しています。

 これらの研修制度に伴い、名古屋税理士会は所属税理士が1年間に何時間の研修を受講しているかを毎年把握しています。「研修受講管理システム」により、名古屋税理士会が行う研修会の受付を会員に配布したバーコードで行う事で、受講時間を把握し、民間開催の認定研修についても開催者から直接受講者の記録を提出頂くことで受講時間を把握します。

 研修部の役割は、研修計画の策定、研修会の運営、申請された認定研修の承認、研修細則の見直し等です。研修部は、所属する税理士会員に対して、如何に充実した研修機会を企画運営するかを心がけて会議を行っています。その成果として、従来から、全国統一研修会(年2回)、名古屋税理士会特別研修会、登録時研修、3回連続ゼミ、夜間研修講座、商業登記実務に関する研修会、ほぼ毎月行う各支部においての研修会、さらに、主要な研修は当日受講できなくても、ホームページのライブラリによる動画配信で受講できる様になっています。

 昨年からはインターネットを使い、岐阜市の会場で行う研修を高山、多治見、中津川会場にライブ配信することで、各地域の会員が研修を受け易くしました。

 また、今年度から、名古屋税理士会が行う全体研修会(前述全国統一研修会と特別研修会)を1回増やし年4回開催にします。

 何故、これ程研修を重視する必要があるのか、その理由は、毎年改正される税法を税理士は、常に知識として吸収し続けなければならない専門家であるからです。

 税理士資格も他の士業と同様に一度取得し登録をすると廃業するまで維持されます。30年前の税法による試験で税理士になった税理士も、昨年の試験で税理士になった税理士も同じ税理士で、いつ資格登録をしたかに拘わらず、今年の税法について熟知していなければなりません。資格制度に胡坐をかかず、日々の自己研鑽を怠らぬように、また、その品質を維持することが、名古屋税理士会の研修制度の目的です。

 税金の事でお困りの際は名古屋税理士会の税理士に、安心してご相談ください。

(税理士 前田吉彦)

5月 01 2014

国税通則法の改正について

 国税通則法とは、国税に関する基本的事項について定めている法律です。昭和37年(1962)に施行されました。国税とは、国が賦課・徴収する租税で、所得税・法人税・相続税などの直接税と、酒税など間接税とがあります。国税通則法は、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の公正な運営を図り、もって国民の納税義務の適正かつ円滑な履行に資することを目的として制定されました。今回は平成23年度税制改正で、国税通則法が大きく改正され、平成25年度から施行されている内容や、今年度から適用される内容のものもあり、以下改正点の全体像を紹介します。

1.白色申告の場合の記帳義務

 従来は、個人の白色申告者の前々年分あるいは前年分の事業所得、不動産所得又は山林所得の合計額が300万円を越える場合には、記帳と帳簿の保存義務が課せられていました。今年分からは、事業所得、山林所得などがある場合は、所得が生じなく申告義務がない場合でも、記帳と帳簿の保存が必要となりました。

2.更正の請求の期間の延長

 確定申告をした後で、申告した金額が多すぎた事に気づいた場合は、更正の請求という手続きで、払いすぎた税金を還付を受けることが可能です。しかし、国税通則法の改正前は、更正の請求を行うことができる期間は法定申告期限から1年間しか認められておらず、気づいた時には期限切れというケースが一般的でした。期限が過ぎてしまった場合は、法定の手続きではありませんが更正の嘆願を行うことにより、職権での更正を期待するより術がありませんでした。
 国税通則法が改正され、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税については、更生の請求期間が5年に延長されました。また、平成23年12月1日までに法定請求期限が到来しているものについては、更生の請求という手続はできないのですが、「更正の申出書」を提出することで、還付が受けられる場合があります。

3.税務調査手続の法定化

 税務調査手続について、法定化されました。平成25年1月1日以後に開始する税務調査について適用されています。
 昨年より、何件かの税務調査の立会を行っていますが、以前までと大きく違うのが、事前通知が行われることと、調査が終了した際に書面で通知を受ける点です。
 事前通知は、納税者と関与税理士に、調査の開始日、開始場所、調査対象税目、調査対象期間などを通知することで、これが義務付けられました。実務上は、最初に電話で日程の調整をして、その後改めて、法律の要件を満たす形式で電話により事前通知が行われているようなところがあり、日程調整の段階で概ねの了解ができている部分を、改めて通知という雰囲気で、やや形式的な側面が強いように思います。
 もう一つ従来と変わったと感じるのは、調査結果について、問題がなければ「更生または決定すべきと認められない」という文書が送られてくる点です。追加で納税が発生する場合、修正申告書の提出などで調査終了が分かる程度で、調査が継続しているのか否か不明な状態が何か月も続くことがありました。しかし、今回の改正により納税者にとっても調査終了が書面により出されることによって、終了が明確に確認できるようになるというメリットが挙げられます。
 なお、修正申告をした場合には、異義の申立てや審査請求はできませんが、その内容について更正の請求が行えるので、後日、証拠となるような資料が追加的に見つかった場合などは、更正の請求をすることで救済されるケースも考えられます。

4.同一年度の再調査

 同一年度の調査については、「新たに得られた情報に照らし非違があるときは」という要件を満たす必要があることが法律上明記されました。この要件に該当する場合とは、たとえば、ある年度の調査において初めて売上除外の事実が発見されたのが、その事実が前回調査年分にも及ぶことが分かったときや、新たな資料情報によれば特定の外注費の支払口座が架空経費の口座であることが別の法人の調査等で判明したという資料があった場合などがこれに当たります。

 以上、概ね国税通則法の全体像について解説させていただきましたが、納税者のみなさんと税の専門家として独立公正な立場から税理士である我々の対応も時代の要請にこたえ、納税義務の適正な実現に向けて積極的に取り組んでいきます。

(税理士 加藤清和)

4月 03 2014

税理士の使命と税務支援

 読者の皆様、2月から始まった平成25年分所得税・消費税の確定申告や4月からの消費税率5%から8%への増税などで税に関する話題を耳にする機会が増えていませんか。友人や知人から確定申告に行ったら税金が戻ってきたという話を聞いたことがありませんか。
 たとえば、消費税の増税前にと平成25年中に住宅ローンを借りて家を建てた方やマンションを買われた方は、ほとんどの方が住宅借入金等特別控除を受けることができます。また、昨年1年間で医療費が家族合わせて10万円以上かかった方は、医療費控除を受けることができます。
 しかし、どうすればいいのかわからないという方、税理士にお任せ下さい!
 税理士法は、その第1条において、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」と定めております。また同時に無資格者による税理士業務を禁止することも定めております。近年の社会経済の急速な多様化、複雑化等、業務独占資格士業にも国民各層から一層の利便性が求められる中にあって、税理士制度も、時代の要請を的確に捉え、社会の要請に応え得る磐石な制度であらねばなりません。税理士会会則では、経済的な理由から税理士や税理士法人へ依頼できない納税者に対して、全ての税理士が税務支援に従事することを明記しています。「税理士の社会公共性(税務援助事業)」と「税理士の社会貢献(税務指導事業)」の二つの事業を基軸として、まさに税理士の使命として構築されたものが「税務支援」です。通常の税理士報酬を支払う能力に乏しい小規模納税者や税理士会が地域事情その他を考慮して税務指導を必要と認めた者に対して、税理士業務を無償又は低額で提供することにより、税理士の社会貢献とし同時に納税者との信頼関係に応え得ることを目的としております。

税務支援の3つの柱

(1)独自事業
 独自事業とは名古屋税理士会が設置し運営する、常設の税務相談室等で行う税務支援や電話相談等を言います。例えば名古屋市千種区池下の税理士会ビルにおいて一般納税者向けの「税務相談室」があります。また名古屋市・知多半島・岐阜県内には17の支部があり、その各支部においても同様の「税務相談所」を設置しております。小規模な事業者を対象として無料或いは低廉な料金にて税務相談や記帳指導等を行っておりますので、関心のある方はホームページ等を確認いただくか、各支部へ直接お問い合わせ下さい。
(2)受託事業
 受託事業としては、国又は地方公共団体が発注し受託した、所得税の確定申告期における「年金受給者等に対する説明会」や「所得税・消費税の無料税務相談」や「電話相談センター」などを行っております。
(3)協議派遣事業
 協議派遣事業とは、国もしくは地方公共団体、またこれらに類する団体等との協議により、税理士を派遣して税理士業務を実施するものです。具体的には、商工会議所や商工会、青色申告会や法人会等への派遣事業があります。また、名古屋国際センターと共同し「外国人の為の税理士による無料税務相談」も実施しております。
 名古屋税理士会では、これからも税理士としてその職能を生かして使命を果たし、少しでも社会へ貢献したいと考えております。

(税理士 桒原光博)

3月 06 2014

名古屋税理士会成年後見支援センター

 名古屋税理士会では、税理士がその職能及び専門的経験を活用し、成年後見人等への支援を行うため、平成24年7月5日に「名古屋税理士会成年後見支援センター」を開設しました。
当支援センターでは、成年後見制度に精通した指導員(税理士)が、税理士会会員だけではなく一般の方からも電話及び面談による相談を受け付けています。相談件数も当初予想していたよりも多く、成年後見制度への市民の関心の高さがうかがえます。
ここで、成年後見制度について簡単に説明しておきます。成年後見制度とは、認知症などで判断能力が十分でない方々を支援するため、共に生きる社会の実現を目指す仕組みです。成年後見人には、親族のほか、税理士等の第三者もなることが出来ます。また、本制度は、以下の三つの個別の制度から構成されています。

1.法定後見制度
本人(後見等を受ける人)の多様な判断能力や保護の必要性の程度に応じて補助、保佐、後見の三つに分け、家庭裁判所が適当と認める成年後見人等を選任して、支援する制度
2.任意後見制度
本人の判断能力が健常な段階で、契約によって、判断能力が低下した場合の後見の範囲や後見人をあらかじめ定めておくことが出来る制度
3.後見登記制度
制度の利用に関する情報の「登記」を義務付けるとともに、限定された者以外はその情報の入手を不可能とする制度

 さて、このような制度でスタートした成年後見制度も導入から早14年が経過しました。そしてこの期間の制度の利用状況は着実に広がりをみせており、当初年間15,000件程度であった申立て件数は、平成24年には34,000件を超えました。今後、更にその利用者は増加していくであろうことが予想されます。
 そして、少子高齢化が進む中、成年後見制度は国民だれもが関わる身近なものとなっていくのではないでしょうか。

〈名古屋税理士会成年後見支援センターのご案内〉

例えばこんな時・・・

  • 物忘れがひどくなって財産管理が出来なくなりました。どうしたらいいですか?
  • 銀行から成年後見制度を利用するように言われました。
  • 保佐人になってとわれました。どうしたらいいですか?
  • 将来、認知症になったらと不安です。今出来る事ありますか?
  • 任意後見と法定後見の違いを教えて下さい。
  • 子供が知的障がい者で将来が不安です。

 相談方法は、電話、面談の2つがあります。
相談料は無料です。まずは、お気軽にお電話下さい。

専用電話 052-752-5130
相談日 電話相談 毎週木曜日、金曜日
面談相談 毎週金曜日(事前予約制)
相談時間 午後1時30分~午後4時30分(受付は4時まで)
休室日 祝日及び夏季、年末年始等

名古屋税理士会ホームページ http://www.meizei.or.jp/

(税理士 小林直樹)

1月 09 2014

新年のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年の我が国の経済は、デフレ脱却への金融政策または財政政策によって株式相場の持ち直しあるいは円高の修正が進み、景気回復への期待感が高まって参りました。また、2020年のオリンピック東京開催の決定も好材料とされております。

 しかし、景気回復の実感は中小企業や地方経済にはいまだ浸透しているとは言えず、中部地方においてもいまだ不透明な状況が続いております。また、本年4月からの消費税率の5%から8%への引き上げが間近に迫っていること、また我が国の財政状況等大きな不安材料が存在しています。

 このような状況のもと、税理士に対する社会からの期待はますます大きなものになってきております。

 昨年12月12日に決定された平成26年度与党税制改正大綱の、「円滑・適正な納税のための環境整備の項目において、税理士制度について、申告納税制度の円滑かつ適正な運営に資するよう、税理士に対する信頼と納税者利便の向上を図る観点から、税理士の業務や資格取得のあり方などに関し見直しを行う。」とされ、税理士界が要望してきた税理士法改正がついに国会に上程されることとなりました。

 その具体的な項目は、下記のように分類され税理士会の要望はほぼ網羅されることとなりました。

  • 納税者利便の向上
  • 税理士の業務の活性化・人材確保
  • 税理士制度の信頼性の向上
  • その他

 その中でも、税理士制度の信頼性の向上のために、唱えてきた資格取得のあり方については、根本的な解決には至らなかったものの、問題点の存在は認識され大きな前進ができたものと思っております。

 また、租税教育への取り組みの推進も取り上げられました。税理士界は、徐々ではありますが租税教育への関わりを大きくしてきました。それは、大げさな言葉で言えば、租税教育こそが申告納税制度、ひいては民主主義の根幹を支えるものとの認識を持ったからです。それに対する評価がなされたものと思います。

 さて名古屋税理士会は本年も、事業活動の基本方針としている「急激に変化する時代、社会からの要請に的確に対応し、誇りある税理士制度の維持発展に努める。 税理士法の精神に立脚し、国民・納税者から信頼される税務・会計の専門家としての自覚を持ち、責任を果たすための事業を遂行する。 組織機構を見直し。会員の参加しやすい効率的な会務運営に努める。」の実現のため一層の努力をして参ります。本年が皆様のご多幸と希望に満ちた一年となることを御祈念申し上げまして新年の御挨拶とさせていただきます。

名古屋税理士会
会長 小川令持

11月 07 2013

税を考える週間

 毎年11月11日から17日までの一週間は「税を考える週間」です。この機会に、国民の皆さんに税の仕組みや目的などを考えていただき、国の基本となる税に対する理解を深めていただこうという目的で定められました。ここで、税金とは何か、改めて考えてみましょう。

税金とは

 私たちは、国や地方公共団体から様々なサービスの提供を受けて暮らしています。このような公共サービスの提供をするには非常に多くの費用がかかりますが、その費用をみんなで「税金」という形で負担しているのです。いわば私たち国民が社会の一員として暮らしていくための「会費」のようなものといえます。また、税金は国民の間での所得格差を縮める役割も持っていて、そのために所得の多い人には高い負担を求める累進課税制度がとられています。税金がないと、私たちの間の貧富の差はどんどん開いていってしまうことになります。また、税金には景気の安定を図る役割もあります。

税理士とは

 それでは、税に関する専門家である税理士とはどのような役割を果たしているのでしょうか?我が国では、納税者が自らの所得を計算し、納税額を算出する申告納税制度を採用しています。しかし、税金の計算は複雑で専門的知識が必要となります。そこで、税理士が独立公正な立場で以下の業務を行っています。

  1. 税務代理
    納税者を代理して、確定申告、青色申告の承認申請、税務調査の立会いなどを行います。
  2. 税務書類の作成
    納税者に代わって、確定申告書、法人税申告書、相続税申告書その他税務署に提出する書類を作成します。
  3. 税務相談
    納税者が税金のことで困ったとき、わからないときに相談に応じます。
  4. e-Taxの代理送信
    納税者の依頼でe-Tax(電子申告)を利用して申告書を代理送信することができます。
  5. 税理士の社会的貢献
    税理士は租税の意義や重要性を説き、納税意識の高揚を図る活動の一環として小中学生・高校生向けに租税教室を開催しています。救急車を呼ぶ費用や公園を造る費用、毎週回収するごみを処理する費用は誰が負担しているのかなど、身近な事例から税金の大切さを説き、税についての正しい認識を子供のうちからもってもらうようわかりやすく説明しています。また、名古屋税理士会では社会に出る前の大学生や、今年初めての試みとして一般企業の新入社員向けにも租税教室を開催しています。

 他にも、地方公共団体の外部監査委員や裁判所の民事・家事調停制度、成年後見人制度にも積極的に参画しています。
 今年は特に、来年四月に消費税の税率アップも控え、より税金への関心が高まっている時期です。名古屋税理士会は、税の仕組みや目的を今一度国民の皆さんに考えていただき、税についての理解を深めていただこうということで、この期間は無料税務相談などの行事を積極的に行っています。この機会に税金に関することはどんなことでも気軽にご相談ください。

(税理士 武山卓史)

10月 02 2013

税理士会が行う「税制改正に関する建議書」について

 日本税理士会連合会では、税理士法の規定に基づいて、財務省、国税庁、総務省等に、税制改正の建議を毎年行っています。税理士法第49条の11には、「税理士会は、税務行政その他租税又は税理士に関する制度について、権限のある官公署に建議し、又はその諮問に答申することができる。」と定められており、税理士は、その職業領域において広い知識を有していることから、税理士法でこのような建議が認められています。

 そこでここでは、「平成26年度・税制改正に関する建議書(平成25年6月26日)」についてご紹介します。はじめに、同建議書は税務に関する専門家として納税者の立場に立ち、次の5つの税制に対する基本的な視点を示しています。

(1) 公平な税負担

 公平な税負担は、税制を考える上で最も基本的な視点であり、納税者が負担能力に応じて分かち合うという意味である。また、公平には、水平的公平、垂直的公平とともに世代間の公平の問題があり、それらが相互に補完し合うバランスのとれた税制を構築していく必要がある。

(2) 理解と納得のできる税制

 わが国の国税のほとんどは申告納税方式によって税が確定し、賦課課税方式による個人住民税なども所得税の確定申告を基礎としている。申告納税制度の下では、納税者自らが課税標準及び税額を計算し申告を行うので、租税制度は納税者が理解できるものであり、また、その目的や内容についても納得できるものである必要がある。

(3) 必要最小限の事務負担

 租税収入に係る費用は、税務行政庁側の費用だけでなく納税者側の事務費用も併せて認識されるべきであり、過度の負担を納税者に強いることは避けなければならない。

(4) 時代に適合する税制

 税制には、納税者の経済活動における選択を極力歪めないよう中立であることが求められるが、一方では財政や経済とも密接な関係を有している。経済社会の構造変化に応じて税制が適切に対応していかなければ、新たな不公平が生じるなどの弊害を招くことになる。したがって、税制を常に時代に適合するものとすべく、その見直しを継続しなければならない。

(5) 透明な税務行政

 透明な税務行政は、公平な税負担の確保と申告納税制度を維持発展させるためには必要不可欠であり、納税者から更なる信頼を得るための施策を行っていく努力が求められる。

 以上のような基本的視点の下、同建議書は、「今後の税制改正についての基本的な考え方」として、各税目における検討すべき課題を示し、また、「税制改正建議項目」においては、所得税における所得区分の見直しや、法人税における損金算入規定等の見直しなど、具体的な改正要望として35項目を明示しています。さらに、次の2点については特に強調して意見表明しています。

(1)消費税率の引き上げに伴ういわゆる逆進性の問題は、個人所得課税及び社会保障給付を合わせた社会保障と税の一体改革の中で検討することが適切であって、個人所得課税における所得再分配機能の強化と、番号制度の導入による社会保障給付の一層の効率化・重点化により対処すべきである。
(2)平成25年度から復興特別法人税と復興特別所得税が課せられることとなったが、措置の期間に差があることから復興特別所得税額の還付を受けるために復興特別法人税申告書を長期間に渡って提出することが実務上要請されることとなる。そこで、復興特別所得税は所得税の税率構造等を見直すことで、所得税に吸収し、復興財源に充当することが適当である。

 こうした税理士会が行う建議等が契機となって、最近では、更正の請求の見直し(平成23年12月改正)や、法人税率の引き下げ(平成23年12月改正)等が実現しています。税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることが使命であり、税理士会の意見表明は、まさに税理士の使命に基づいた税理士会の義務と言えます。
 今後も、名古屋税理士会は公平かつ合理的な税制の確立と、申告納税制度の維持発展をめざすために積極的に提言していきます。

(税理士 井川源太郎)

10月 02 2013

中小企業経営力強化支援法における認定支援機関について

 中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う「経営革新等支援機関」(認定支援機関)を認定する制度が創設されました。

 認定支援機関とは、中小企業が安心して経営相談等を受けられるために、税務、金融及び企業財務に関する専門知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を国が認定する公的な支援機関です。認定支援機関は、8月15日時点で15,884機関が認定されており、このうち約76%が税理士・税理士法人が占めております。全国420万の中小企業の内366万に及ぶ小規模事業者の活性化は日本経済の成長に不可欠です。そこで①自社の経営を「見える化」したい②事業計画を作りたい③取引先を増やしたい、販売を拡大したい、新たな事業を展開したい方を対象に認定支援機関はきめ細かい経営相談を行います。また国が認定支援機関に期待している役割は(1)ホームドクター的役割(2)専門性の高い支援③継続的フォロ-アップ(3)地域支援体制の強化⑤中小企業会計の普及です。

 認定支援機関による支援が必要な制度は、大きく「金融支援」「税制」「補助金」となっています。その中でも特に認定支援機関の役割は、平成25年3月末で「中小企業金融円滑化法」が最終延長期限到来を迎えたこともあり、中小企業が安定して経営相談等を受けられるためには、非常に重要な位置づけになっています。円滑化法を利用して条件変更等を行った事業者の内、約2万社を対象として経営改善計画策定支援事業として405億円が計上されました(24年度補正予算)。経営改善計画策定支援等について、必要となる費用の2/3を補助(事業規模等に応じ、十数万から上限200万)しています。経営改善が必要な企業への経営改善計画の策定支援、モニタリングを認定支援機関が支援することが今後も必要とされています。

補助金・ミラサポの有効活用

さらに、その他補助金としては「ものづくり補助金」「創業補助金」等がトピックとなっています。ものづくり補助金とは、中小企業の持つものづくりの底力を発揮させるため、中小企業が実施する試作開発(テスト販売を含む)や設備投資を支援する制度です。創業補助金は、後継者を含む若者や女性が、業種転換や新事業・新分野に進出する場合に認定支援機関による支援を条件に補助金が交付されます。

 そして認定支援機関は、事業計画等の策定・実行支援に留まらず、7月30日に構築されたITクラウドを活用した支援ポ-タル「ミラサポ」(https://www.mirasapo.jp/)に積極的に参画して経営支援に取組むことが期待されています。

 ミラサポとは、中小企業・小規模事業者の未来をサポートするサイトです。会員登録すれば、コミュニティへの参加でき専門家との情報交換の場として利用でき、専門家派遣も利用できるというメリットがあります。今後の展開としては、補助金申請や消費税転嫁対策支援、中小企業会計の普及、中小企業税制の活用促進など、幅広く中小企業支援に取り組むことにより地域の活性化、日本の中小企業の活性化に繋がることが期待されています。

(税理士 河合伸治)

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