6月 02 2008

新リース会計基準の中小企業への影響

平成19年3月30日付で「リース取引に関する会計基準」(以下『新リース会計基準』)が公表され、平成20年4月1日以降開始する事業年度から、適用される事となりました。
 これまでは、リース取引の大部分を占める所有権移転外ファイナンス・リースについて、財務諸表への一定の注記を行う事を条件として「リース料」として損金経理する事が認められていましたが、『新リース会計基準』では、この取扱を廃止し、売買処理が義務付けられるようになったものです。(所有権移転ファイナンス・リースについては、従来から売買処理が義務付けられています。)
 平成19年度税制改正では、『新リース会計基準』との整合性を図るため、ファイナンス・リース取引については、リース資産の引渡し時に売買があったものとして所得計算を行う事となり、消費税法上も売買として取り扱われる事となりました(以下『新リース税制』)。『新リース税制』は、平成20年4月1日以降に締結するリース取引から適用されます。
 さて、これらの改正は、中小企業にどの様な影響を及ぼすでしょうか?
 『新リース会計基準』の適用が強制されるのは、公認会計士の監査が義務付けられるような特定の会社に限られ、中小企業は、その適用を義務付けられていません。これに対し『新リース税制』は、全ての法人に適用となります。『新リース税制』では、リース資産引渡し時にリース期間中のリース料の合計額でリース資産を取得し、「リース期間定額法」により減価償却費として損金計上する事となります。但し、今回の税制改正は、中小企業の経理の負担にも配慮されており、中小企業が、従来と同じ様にリース料として損金経理した金額についても償却費として損金経理した金額とみなされるので、法人税法上の所得計算には影響を及ぼさない事とされています。
 『新リース税制』で、中小企業に与える最も重要なポイントは消費税です。
 『新リース税制』では、リース資産の引渡しの時に一括して消費税の仕入税額控除が行われます。『新リース税制』適用後にリース取引を締結した場合は、仕入税額控除の漏れが無い様に注意が必要です。
 『新リース税制』適用後に締結したリース取引に係るリース料については、リース料として経理処理したとしても(減価償却費とみなされるので)、仕入税額控除の対象にはなりません。『新リース税制』適用前に締結したリース取引については、リース料支払時に仕入税額控除が行われるので、同一のリース会社に支払うリース料であっても、仕入税額控除の対象となるリース料と、対象とならないリース料が混在する事となります。仕入税額控除が過大とならない様に注意が必要です。
 消費税の免税事業者や簡易課税の適用事業者は、『新リース税制』改正の影響はほとんど有りませんが、消費税の課税方法の選択については、従来と同じ設備投資の金額や業況の変化だけでなく、リース取引の金額や時期についても検討する必要があるので注意が必要です。

中小企業の『リース税制』に係るチェックポイント(消費税を中心に)

番号 チェックポイント チェック
リース契約の締結を検討する場合、消費税の課税方法の変更(届出)の必要が無いか検討したか?
新しくリース契約を締結した場合、経理処理の方法について打合せを行ったか?
新しくリース契約を締結した場合、一括して消費税の仕入税額控除を行ったか?
月々のリース料の支払をする場合、仕入税額控除の対象となるか否かの確認をしたか?
4について、今後、同一のリース会社に対するリース料でも、消費税の取扱の異なるリース料が混在する可能性がある。パソコン会計のマスター設定を変更する等、処理を間違えないように工夫したか?
リース料として経理処理した場合についても、法人税法上は売買である。租税特別措置法上の税額控除の適用が出来ないか検討したか?

※リース取引に係る税務処理は、リース料支払時ではなくリース資産の引渡し時に発生します。リース取引を締結した場合、顧問税理士等への連絡を忘れずに行ってください。

(税理士 小林正治)
6月 02 2008

税の専門家は「税理士」です

私が税理士事務所を開業して23年が経ちますが、今でも「会計士さん」とか「計理士さん」とか呼ばれることがよくあります。「税理士さん」と呼ばれることの方が少ないのではと思うほどです。税理士法が昭和26年に施行されて以来半世紀以上が過ぎたと言うのに、何故正しく「税理士」と呼ばれないのでしょうか。原因の1つは事務所名を通称として○○会計事務所と名付けておられる税理士事務所が多いからではないかと思います。また、もっぱら会計帳簿の記帳代行を主たる業務としている税理士が多いため「計理士」というイメージを持たれているのではないかと思います。
 税理士法第1条には税理士の使命として「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」と規定しており、その業務については、他人の求めに応じて行う、税務代理、税務書類の作成、税務相談を業務とし、これは有償、無償を問わず、税理士でなければできない業務となっています。
 このように崇高な社会的使命を持った税(法)の専門家である「税理士」を、国民の皆様に正しく理解いていただくよう、努力して行かなければと思っております。
 税理士が国民の信頼をまだまだ頂いていないと思えるのは、税金のことで困ったとき、何処へお尋ねになっているのかに現れています。国民の何割かは、税金の問題で困ったときには税務署に尋ねておられるのではないでしょうか。法律の問題で困っているときは、弁護士に相談するのは常識となっているように思いますが、税金の問題で困ったときは税理士に相談するのが常識となっているでしょうか。
 税金の専門家は「税理士」であると、国民の皆様に信頼を得、期待に応えるべく、税理士会会員は自己研鑽に努めています。税理士会では、会員に年間36時間以上の研修受講義務を課し、名古屋税理士会および17支部において毎月のように研修が実施されています。その内容も、租税法、会計学(監査論を含む)、経済学、経営学、財政学、商法、会社法、民法、民事訴訟法、行政法、行政手続法、その他税理士の業務に関するものの範囲の中で研修が計画されています。
 毎年改正される税法を中心に上記のような業務に関連する研修を受講し、自己研鑽に努め、国民の信頼を得、税金のことで困ったときは、「税理士」に相談しよう、が当たり前になるよう、国民の身近な存在になれるよう努めてまいりたいと思います。

(税理士 杉山美智晴)
6月 02 2008

事業承継4つの方法

一つの方法に固守しては、今後の可能性の芽を摘む

難しい話を分かり易く話してくれる、アゴ博士に。今回から連続で事業承継の質問をしてみた。

* .私は、今年で六十歳になるので、事業を三十歳の息子に引き継がせようと考えていますが、長男は、その気があるのかどうか、中々煮えきりません。どうしたらよいでしょう。
* .事業承継は、親族に承継させることに限定し考えるのは適切ではないじゃろうな。
*.折角、息子がいるのにですか?
* .そうじゃ。例え、息子さんが十分その気でもゼロベースで考えることが必要じゃ。数十年に一度のチャンスじゃからな。
* .そう言われれば、そうですよね。私は、すっかり悩んでいました。
* .そうじゃ。悩んではいかんのじゃ。「考えて」強くなる時なのじゃ。竹は節があるから強くなるのと同じで、企業も、代替わりという節を作って強くしなやかになって行くのじゃ。
* .それではアゴ博士。ゼロベースで考えるとして、事業承継は、どう考えれば良いので?
* .オーソドックスには4つのパターンに分けるのが良いじゃろう。
* .えっ?4つですか?通常は「親族承継」「従業員等への承継」「M&A」の、3つだと、これまで思ってきたのですが。まだあるのですか?
* .そうじゃ。しかし流石じゃのう。3つをご存知とは。それなら話は早い。4つ目は、諸説あるが、「廃業」という場合もあるが、ここでは、あくまで継続すると考えるとしよう。しかし「上場」等という万に一つという方法では可能性はないので、一般的な方法として4つ目に挙げる方法は「信託」じゃ。
*.それは意外でした。信託というと、貸付信託とか・・・言うあれでしょうか?
* .まあ、それも信託の一種ではあるのじゃが、事業承継に使う信託は少々違うと考えたほうが良いじゃろう。非常に荒っぽく言うと、他人に事業を信託、つまり任せるのじゃな。
* .なるほど!内の息子は、経営に自信がなさそうなので、もっと経営力のある人に任せて、配当を得るわけですな!
* .配当、すなわち収益受益権と言うのじゃ。その他の信託の方法もあるのじゃが、それも一つの信託の形じゃ。
* .で・・・4つをゼロベースで考えるとは、どういうことでしょう?
* .4つのどの方法を検討し、結果的にいずれかの方法に決まっても、役立つのじゃ。さらには、組み合わせることもできることじゃ。
*.なるほど!息子が承継するにしても、M&Aで他社を取得して第二創業するのですね?
*.事業承継のM&Aで売る側の立場を検討すると、買手の立場になった時にも役立つ訳じゃが、それだけではない。会社分割して、一部を親族承継、他の部分をM&Aで売るとか、信託するとか、従業員に任せるとか、様々な組み合わせ、すなわち、可能性があるのじゃ!代替わりという大きな変化をチャンスとして捉え、様々な可能性をさぐり、検討し、経営計画を後継者候補と話し合うのじゃ。
* .なるほど、これは平時であっても必要なことですが、事業承継ではその切迫感が違いますものね。
*

(税理士 牧口晴一)
6月 01 2008

保険金の課税について

.先日、保険が満期になって現金を受け取り、保険会社から届いた計算明細書に、確定申告に必要なため、大切に保管するよう書いてありました。保険会社から受け取った現金については全て申告しなくてはいけないのでしょうか?

.保険の契約者(保険料の負担者)と受取人が同じ場合は、一時所得として所得税の申告が必要となり、契約者と受取人が別な場合は、贈与税の申告が必要になります。
 ただし、一時所得はその年の受取保険金の額から、支払った保険料を差し引いた利益部分から50万円を引いて、さらに2分の1した額が所得金額になりますから、利益部分が50万円に満たないなら申告は不要ですし、他に収入がなくて、一時所得があっても、その額が(所得税計算の)基礎控除額38万円以下なら申告する必要はありません。
 また、贈与税の申告に該当する場合でも、その年に贈与を受けた額が(贈与税計算の)基礎控除額110万円以下であれば、贈与税はかかりません。(ただし、相続時精算課税を選択された場合は異なります。)

.保険金を受け取る時、年金形式でも受け取れると保険会社から言われましたが、年金で受け取っていたら申告も変わるのでしょうか?

.年金形式で受け取る場合は、一時所得ではなく雑所得となり、その年に受け取る年金額から、その金額に対応した払込保険料を差し引いた額を所得金額として申告する必要があります。

.保険金を受け取らず、新しい保険に加入するために保険料として充当しても申告は必要ですか?

.満期で受け取ることと、新しい保険に加入することは別ですから、満期の保険については申告が必要です。

(税理士 服部守恭)

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