7月 07 2008

事業承継に関する税制改正

中小企業の相続には中小企業ならではの問題があります。これを解決しようと民法の特例の創設などと併せて税制改正が行われました。

◎現行税制の抱える問題点
 中小企業の株式に対しても相続税は課税され、納付は現金で行われます。中小企業の株式というのは買い手がつかない上、下手に売却すると会社の運営に支障をきたす危険もあるため売却することができません。つまり納付のための現金がその財産から払えないのです。

◎納税猶予制度の説明
 この問題に対して設立されるのが納税猶予制度です。これは相続税の一部の納付を猶予することにより生活の基盤である中小企業を守ろうというものです。
 猶予の対象となるのは会社を運営し重要な事項を決定する場合に必要な議決権のある株式の2/3を基準にしています。
 また、相続税を猶予しているあいだ原則としてその株式の全部を担保に供します。
 相続人がその後、株式を一生保有していた場合には免除されますが、あくまでも猶予であり相続時点では免除されない点には注意が必要です。

◎ 猶予される税額の計算方法
 相続で取得した中小企業の(1)発行済み株式数の2/3に達するまでの部分(相続前から保有していた部分を含めて)の(2)価格の80%に対応する金額を猶予するものです。これを図に表すと次のようになります。

(例)相続人が相続前より会社の1/3を保有しており、今回相続であらたに1/2を取得したとした場合。図で表すと次のようになります。

◎適用についての条件
(1)会社の規模

資本金 従業員数
製造業その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 100人以下

資本金または従業員数のいずれかの用件を満たせばよい。
申告期限(10ヶ月)内に経済産業大臣から認定を受け、以後継続的な確認を受ける。

(2)相続直前において
1. 被相続人が代表者であったこと
2. 被相続人と同族関係者で株式の過半数を保有する事
3. 被相続人が同族関係者グループの中で筆頭株主である事

(3)相続後
1. 相続人が代表者に就任すること
2. 相続人の同族関係者で株式の過半数を保有する事
3. 相続人が同族関係者グループの中で筆頭株主である事

◎相続後における条件
相続税の法定申告期限(10ヶ月)から5年の間に会社やその相続人は次のことを継続することが条件となっております。

1. その相続人が代表者である事
2. 雇用の80%以上を維持している事
3. 株式を保有し続けること

 これらを、満たさなかった場合には猶予されていた相続税を納付することとなると共に、利子税を納付することになります。
 また、Ⅲの株式を保有することについては5年を経過しても継続して保有しなければならず、譲渡した場合にはやはり相続税と利子税を納付することとなります。

 この改正は予定では平成20年10月1日以降に発生した相続から適用されます。

 現段階では税制改正の要綱でこのようになっておりまして、今はまだ法律自体が成立しておりませんので諸条件が変更となる可能性もあります。

 今回の改正についても、これで中小企業の株式の相続税の問題がすべて解決するわけではございません。私見ではございますが、やはり相続税への効果・その他の条件を考えますと生前に株式の贈与・経営者の交代を進めていくことのほうがより有効な方法ではないかと感じています。
 皆様の事業承継がスムーズに進めば幸いですね。

7月 07 2008

青年税理士の活動

名古屋の税理士の平均年齢は、56歳です。えっ、と驚かれる方も多いと思いますが、実はそうなのです。それでも、名古屋はまだ全国平均より若いそうです。その名古屋で、40歳までの税理士が中心となって活動している団体があります。それが、「名古屋青年税理士連盟」です。私たち名古屋青年税理士連盟は、税法や税理士業務に関する研究活動を通じて、税理士個人の資質の向上を図り、さらに、税理士の社会的地位の向上のために活動を続け、はや、42年を迎える歴史ある税理士集団です。
 毎年改正される税法に対応するため、私たちは、専門家として日頃から勉強しなければなりません。ただ、税理士1人の知識の量には限界があります。しかし、税理士たちが集まり、一緒に研鑽を積むことによって、各個人の「知識」を共有でき、新たなアイデアを得ることができます。そして、各税理士は、より多くの情報の中から、お客様にとって一番良い答えを導き出すことが出来るのです。このような場を提供するのが、名古屋青年税理士連盟であり、若手税理士の知識の源泉となっているのだと思います。
 さて、名古屋青年税理士連盟では、毎年、数多くの中からテーマを絞り、研究活動を行っています。最近では、合併や分割などの組織再編やLLPそしてDESなどの新しい制度、租税の基礎的な研究、消費税、来日外国人・海外勤務者の税務について研究しました。
そして今年度は、「事業承継」、そして「税理士法」について取組みます。「事業承継」は、中小企業の皆さんにとって身近で深刻な問題ですので、税理士としても本腰を入れて研究しなければならないテーマです。一方、税理士法は、皆さんにとって馴染みの少ない法律だと思いますが、若手税理士にとっては、今後の税理士業界を左右する重要な法律なのです。
 また、1年間、研究を進める過程で、多くの会員と議論することにより、結果、お客様にとって役立つ知識をより多く得ることができます。しかし、一方で税法が抱えるさまざまな問題や矛盾点が見えてきます。税法の専門家として、一般には知られていない問題点を明らかにし、一石を投じていくのも我々の仕事だと考えています。
 最後に、名古屋青年税理士連盟が、以上のような活動をする団体であることを一般の皆さんに理解していただくため、確定申告期には無料税務相談会を実施したり、ホームページも用意しています。青年税理士の活動にご興味のある方、今後、税理士を目指そうと考えている方など、是非、我々青年税理士の今後の活動にもご注目ください。
 尚、詳しい活動内容につきましては、ホームベージ(http://www.meiseizei.gr.jp/)をご覧下さい。

(税理士 鈴木春美)
7月 07 2008

事業承継(2) 「経営承継円滑化法」成立!

事業承継の足かせだった「遺留分」に特例創設

引き続き、アゴ博士に質問してみた。

*.博士が3月にお話してくれた「経営承継円滑化法」が成立しましたね。
* .そうじゃ!しかしこれは税金の話とは違う「遺留分(いりゅうぶん)」の特例法なのじゃ。しかし、財産の評価を通して税理士にも関係してくるのじゃ。
* .「遺留分」って 相続人の最低の相続保障分のことですね?
* .そうじゃ。この「遺留分」が事業承継では足かせになることが多いのじゃ。事業経営者の財産はほとんど事業用資産じゃ。まとめて使ってこそ意味を成すから「後継者の長男に全財産を相続させる」という遺言を書きたいのだが、後継者以外の相続人、例えば弟が、「私には遺留分がある!」と、専門用語では「遺留分の減殺請求」と言うのじゃが、これを申し立てしてくる。
* .無視できませんか?
* .「遺留分の減殺請求」は「形成権」と言ってな、強力で、申し立て即効力発生の、待った無しじゃ。
* .その「遺留分」の特例ができた訳ですね?
* .そうじゃ。ここが重要じゃが、親父さんが生きとる間にする「生前遺産分割」と考えると分かりやすいじゃろ。つまり、親父さんが音頭をとって「会社の株式は全部、後継者の長男に相続させたいから、俺が死んだら、遺留分を計算する時に、この株式はそこから『除外する合意文書』を作ったので印鑑を押してくれ。その代わり弟のお前には別の財産をやろう」と言った具合じゃ。
*.その合意文書は、どうするんですか?
* .これを1ヵ月以内に経済産業大臣に確認をもらって、さらに1ヶ月以内に家庭裁判所で許可を得て初めて有効になるのじゃ。
* .先ほど、博士は「代わりに別の財産をやろう」と言われましたが、必要なのでしょうか?
* .こういう代わりになる財産を「代償」と言うのじゃが、結論を言えば、無くても良い。しかし弟が納得すればの話じゃ。だからこそ、親父さんが生きている間だからこそ納得が得やすいのじゃ。しかしそれでも渋ることはある。
* .弟の奥さんが黙ってはいないでしょうね。
* .そこで妙案がある!代償として渡すものはないとしても、相続の際に遺留分を計算する場合の「財産の評価を合意時点の価額で固定するという合意」をするのじゃ。これなら金はいらん。
* .????
*.つまり、後継者が一所懸命、会社を伸ばして企業価値を上げると、弟の相続分も増えるから、その半分である遺留分も自動的に増えてしまう・・・
* .なるほど!後継者は自らの首を絞めるので、やる気がしないのですね。
* .その通りじゃ。したがって、合意時点の評価に固定し、その後の企業価値の増加分は弟の遺留分には反映しないように合意しておくのじゃ。
*.その評価は誰がするのですか?
* .税理士、弁護士、公認会計士やこれらの法人組織が行うことになっちょる。しかしじゃ。相続税の非公開会社の株価計算と別の尺度で、計算せねばならんのじゃ。
*

(税理士 牧口晴一)
7月 01 2008

親子間の金銭の貸し借りに係る課税の問題

.2500万円で居住用のマンションを購入する予定なのですが、自己資金が500万で残りの2000万円は父から借り入れることになりました。このようなときに注意することは何でしょうか。

.一般的には親子間の貸借は贈与を受けたものとみなされますが、この場合親からの住宅購入資金の贈与に該当するので「住宅取得資金贈与の特例」(非課税枠3500万円)の優遇措置をうけることができます。しかし、この特例の適用要件を満たしていない場合は、この 2000万円は贈与税の対象となり、720万円の贈与税が課せられます。
 このような贈与とみなされないためには、親子間に貸借かあったことを明確にする必要があります。それは「借りたこと」、「返せること」、「返したこと」の3点を明確にすることです。
 まず、「金銭消費貸借契約」などの書式により、借入の日付、借入金額、返済方法そして当事者双方の署名捺印をした書類を作成してください。親子間の貸借では無利息とされる場合が多く見られますが、無利息部分が贈与と認定されますので、利息の条項を記載することが必要です。具体的な利率としては、税務通達の提示する利率4.75%(基準貸付利率0.75(平成17年2月21日実施)+4%)などで計算する方法が考えられます(所得税法基本通達三六―四九)。なお、この利息は、利息を受ける側(父の方)の所得となるので雑所得として確定申告することも忘れないでください。
 また、返済の際には父親の名義の銀行預金等に振り込む方法により、返済日と返済の金額を明確にしてください。

(税理士 丹下 亮)

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