8月 04 2008

相続税

平成15年に相続税に相続時精算課税が導入されて5年が経ち、それを原因とするトラブルも出てきました。今回はそういったトラブルに巻き込まれないための注意点についてお話します。何より相続に関連するトラブルは「うちは相続で問題が起きるほどお金がないから大丈夫」と考えている方が亡くなった場合に多く発生しています。
 舞台は30歳で家を新築しようとしたaさんが主人公です。70歳の父親のAさんが新築資金の3,000万円を出してくれるということで、住宅資金の贈与を受けてもその場で贈与税を払わなくても良い相続時精算課税を選択し、aさんの建物として登記しました。10年後父親のAさんが死亡し、兄弟間で遺産分割が円満に終わりかけた時期に税務署からaさんを初めとした相続人に連絡が来ます。以前に受け取られた3,000万円の申告をしてくださいと。この 3,000万円はaさんの建物になっていますので、父親Aさんの資産に有りませんから他の相続人にとっては初耳になります。相続人間の争いの火種となりかねません。また、もしaさんが家を手放し納税資金が無い場合においても、この3,000万円については財産があったこととされ、しかも他の相続人がaさんに連帯してその分の相続税を負担することになります。
 もちろんこれは1つの事例ですので回避する方法はいくらでもあります。例えば相続時精算課税ではなく父親Aさんの建物として登記しaさんに住まわせ、相続のときにaさんに相続させるという方法です。この場合は、相続時精算課税と比べ、相続税の計算上有利になります。評価だけを見ても前者の相続時精算課税では3,000万円として評価されますが、後者では築後10年を経った中古住宅として評価されるため評価額が安くなるためです。また、相続時精算課税を選択した場合、たとえ相続税が課されない場合であっても相続税の申告をする義務が生じます。
 これだけをみると相続時精算課税は相続人間の争いを発生させる悪いもののように感じられますがそうではありません。一部の相続人に相続時精算課税を選択した上で生前贈与を行い、遺留分の放棄をさせるといった手段に用いることもできます。また、贈与する資産と時期を選べることができるため、成長しつつある会社の株式等は評価が高くない時期に贈与すれば相続税の計算時でも贈与時の価格で評価するため、相続税を安くすることができます。
 相続時精算課税の創設により相続税において取り入れることができる幅が増えた反面、不用意な選択により多くの不利益を受ける場面が想定できます。平成19年からは特定同族株式等の贈与についても追加されました。こちらについても選択には様々な条件が決められていますので、後々後悔が無いようにわからない事や疑問に思ったことがあったら専門家に相談をして下さい。

(税理士 市橋裕明)
8月 04 2008

中小企業の会計に関する指針

1.はじめに

 最近「中小企業の会計に関する指針(以下、中小企業会計指針)」という文言をよく目にするようになりました。例えば決算報告書の個別注記表に「この計算書類は中小企業会計指針によって作成しています」と記されていたり、金融機関に提出する中小企業会計指針の適用に関するチェックリストに「中小企業会計指針の適用状況に関して確認を行いました」と記されていたりします。

2.中小企業会計指針の発表

 計算書類の作成に際して旧商法では「公正なる会計慣行を斟酌すべし」となっているだけで、中小企業の会計処理に関して統一的な基準や指針はありませんでした。そこで、平成14年頃から中小企業庁、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会が中小企業の会計に関する研究を始め、その後それぞれが研究報告書を発表するに至り、この3つの報告書を統合化したものを平成17年8月に「中小企業会計指針」として発表しました。

3.会社法の施行と中小企業会計指針

 平成18年5月に施行された会社法では「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」とし、適時性と正確性のある会計帳簿の作成を義務付けました。企業会計の実務で慣習として発達したものの中から、一般に公正妥当として認められた膨大な各種会計基準の総合体を会計基準といいますが、この会計基準を中小企業向けにコンパクトにまとめたのが「中小企業会計指針」です。

4.中小企業会計指針の目的と対象

 「中小企業会計指針」は、中小企業が計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものであり、この指針に強制力はありませんが一定の水準を保つために推奨されています。とりわけ会計参与が取締役と共同して計算書類を作成する際にも拠ることが適当です。適用対象会社は、原則として会計監査適用会社等以外の株式会社とされ、特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社についても適用対象となります。

5.中小企業会計指針の方針と特徴

 企業の規模に関係なく取引の経済実態が同じなら会計処理も同じになるべきですが、専ら中小企業のための規範として活用するため、コスト・ベネフィットの観点から、会計処理の簡便化や法人税法で規定する処理の適用が一定の場合には認められるべきです。「中小企業会計指針」は、このことを基本方針とし、簡便的な方法が示されている会計処理があることと、一定の場合で法人税法の定める処理を認めていることを特徴としています。

6.おわりに

 中小企業の会計は、税法のみを意識して作成する面があり、企業の財務状況を適切に反映しているとは言い難い。いわんや中小企業の会計においても税務申告のためだけではなく、自社の経営状況を実態に即して正確に把握し、適切な経営管理、経営戦略を行う情報という役割があることを認識しなければなりません。質の高い中小企業の会計を目指すアイテムとして、この「中小企業会計指針」をご活用頂き、自社の経営にお役立て下さい。
 名古屋税理士会では、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献できることを期待し、この「中小企業会計指針」の普及推進を図っております。
 なお、「中小企業会計指針」の全文は、日本税理士会連合会ホームページ(URL http://www.nichizeiren.or.jp)に掲載されていますので、是非ご活用下さい。

◎主要ポイント
 1 中小企業の会計処理に関する統一的な指針として中小企業会計指針を発表
 2 会計基準を中小企業向けにコンパクトにまとめたのが中小企業会計指針
 3 中小企業会計指針は計算書類作成の拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すもの
 4 中小企業会計指針は会計処理の簡便化や法人税法の定める処理を認めている
 5 中小企業会計指針は質の高い中小企業の会計を目指すアイテム
(税理士 西川幸一郎)
8月 04 2008

事業承継(3) 「経営承継円滑化法」に足らない税の手当て!

.アゴ博士が先月お話しされた「円滑化法」を使って、後継者以外の相続人が、後継者の相続する事業用資産や自社株に対して、遺留分を請求しないように、生前に合意を取る方法(四コマ漫画参照)をするためには、後継者以外の者に「代償」を渡さねばならないとのことでしたね。
.そうじゃ!必ずではないが相続人の権利意識が強くなっている昨今、代償をもらわねば、合意を得ることは困難じゃろうな。また、代償がなければ裁判所が許可をせん可能性もあるが・・・これについては、もめておってなぁ~現在、最高裁判所の規則を検討中で来年3月1日に施行予定じゃ。
.ということは、遺留分の特例は来年3月以降ということですか?
.そうじゃ。しかし裁判所の規則がどうであれ、多くの場合、代償は必要じゃろうて。
.そう思って、後継者ではない次男には、土地を一筆やろうと考えたのですが・・・よく考えると、次男に贈与税がかかってしまいますよね。
.そうじゃ。ここが重要じゃが、経済産業省等の税制改正案では、遺産取得課税だの納税猶予だの、相続後のことばかりで、代償としての贈与の対策に何ら手当てする様子が見られん。
.それじゃ、合意なんてできないですよね!
.まったくじゃ。今後対策が盛り込まれるかも知れんが、今のところは手当てが足らん!
.私の場合、どうしたらよいでしょう?
.もう少し待って、税制の手当てがなされないのなら、後継者ではない次男との間で、2500万円までの贈与は非課税となる相続時精算課税制度を選択するのじゃ。恐らく土地なら2500万円は超えるじゃろうが、超えた部分には通常の高い贈与税率ではなく、20%という低い税率が適用される。そして、納税がし易いように、土地と現金とを合わせて代償としての贈与をしてやることじゃろ。
.なるほど!

(税理士 牧口晴一)
8月 01 2008

相続税の申告について

相続税とは、亡くなった方の財産を相続したり、遺言によって財産を取得したときにかかってくる税金です。今回は、この相続税の基礎的な部分をQ&A方式で説明します。

<問>相続税は相続が発生したら申告しなければなりませんか?

<答>相続税は相続財産が相続税の基礎控除額を超える場合に申告する必要があります。この相続税の基礎控除額は、相続人の人数によって変わってきます。基礎控除額は「5000万円+1000万円×法定相続人数」となり、例えば相続人が妻と子供2人の計3人の場合ですと基礎控除額は8000万円になります。ですから、この場合、相続財産が8000万円以下なら相続税の申告は必要ありません。

<問>相続税の対象となる相続財産及びその評価額はどのようにするのですか?

<答>相続税の対象となる財産は、原則として亡くなった方名義の土地・建物、現金預金、有価証券などすべての財産です。また、死亡保険金や死亡退職金も一定額を超える場合は対象となります。
 一方、財産から控除できるものもあり、亡くなった方の葬儀費用、借入金などは財産から差し引くことができます。
 また、これらの財産の評価額は、原則として時価評価となっています。ただし、通常の土地の評価については、毎年国税庁から公表される「路線価評価」に基づいて評価することになりますのでご注意ください。

<問>もし、相続税の申告をする場合、どのようにすればよいですか?

<答>相続税の申告が必要となった場合、亡くなった日(または亡くなったことを知った日)の翌日から10ヶ月以内に相続人等は税務署へ申告書を提出し、納税しなければなりません。
 なお、詳しいことは税務署又は税理士へお問い合わせください。

(税理士 藤川師弘)

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