9月 01 2008

相続・贈与の宅地は路線価で評価

道路に面した標準的な宅地1㎡当りの価格(路線価)を基に計算

 去る7月1日、国税庁から平成20年分(1月1日現在)の「路線価」(ろせんか)が発表されました。一体「路線価」とは何でしょうか。どういう役目をしているのでしょうか――親などから財産を相続したり贈与されたりしたとき、相続税や贈与税を計算しなければなりませんが、現金や預貯金ならその金額によればよいわけです。ところが土地(宅地、田、畑、山林など)や建物などになると、幾らで計算したらよいか迷ってしまいます。そこで、相続税・贈与税を計算する場合の土地の評価方法として、「路線価方式」または「倍率方式」が使われているのです。
 「路線価方式」は、道路(路線)に面した標準的な宅地の1平方メートル当りの価格(路線価)を基に計算します。国土交通省が3月に公表する「公示地価」をベースに、不動産鑑定士の評価などを考慮して算出されています。評価対象は「公示地価」の全国約2万9千地点よりはるかに多い約38万地点で、同じ地点での評価額は「路線価」が「公示地価」の約80%の水準となっています。また、38万地点標準宅地の平均額は1平方メートル当り14万3千円となり、三年連続で上昇し、上昇率は前年の8.6%を上回る10.0%となりました。
 なお、「路線価」が決められていない地域では「倍率方式」といって、固定資産税評価額に一定の倍率(「評価倍率表」としてまとめられている)を掛けて計算する方式をとっています。また、建物については。建物の固定資産税評価額によって評価します。
 全国の「路線価図・評価倍率表」は、皆さんのご自宅でインターネットによりご覧になれます。国税庁のホームページ(http://www.nta.go.jp/)を開き、トップの「平成20年分の路線価等を公開しました」をクリックしていただきと、「路線価図・評価倍率表(平成18・19・20年分)」が現れます。あとはご覧になりたい地区を選ぶだけで、極めて簡単です。昨年までは、インターネットのほか、主要な税務署に「路線価図」が置かれていて閲覧できましたが、今年から税務署のIT化、ペーパレス化で廃止となりました。

「路線価方式」による評価額の計算例
 「路線価方式」は、「路線価」が定められている地域の土地の評価方法です。「路線価」とは道路に面した標準的な宅地1㎡当たりの価格で、原則的には「路線価」に面積を掛けた金額となりますが、実際には土地の形状に応じた補正率(奥行価格補正率、間口狭小補正率、奥行長大補正率、不整形地補正率など)で補正した後に、その土地の面積を掛けて計算します。

複雑な土地の評価については、税理士にご相談ください

(税理士 古山 精)
9月 01 2008

税理士によるNPO法人の支援について

 税理士は税務の専門家であるとともに会計の専門家であります。税理士自身が持つ豊富な専門的知識と経験を活用し、社会貢献活動に積極的に参画していくことは税理士の使命であると同時に、社会的にも求められていることであります。
 このような時流の中、名古屋税理士会では、公益活動対策部を設置し、多くの税理士が社会貢献活動に参加できるような土台を築き、社会貢献活動に関する業務、すなわち公益的業務に携わることを重要施策として会務運営をしております。
 公益的業務につきましては、名古屋税理士会でも従来からその業務に対応できるよう調査及び研究がなされてきました。とりわけ、NPO(特定非営利活動)法人への支援活動につきましては、名古屋税理士会は全国の税理士会に先駆けて取り組んで参りました。
 このNPO法人に対する支援は、内閣府や国税庁からも税理士会に対してその要請がありました。NPO法人は公共部門及び民間部門とともに、第3のセクターとして今後もその社会的役割を期待されております。すなわち、NPO法人は行政や企業が対応しにくい分野においても国民のニーズにきめ細かく応えることができ、人々の自己実現意欲を発揮する場として社会から大きな期待が寄せられており、今後はその成長と発展が求められております。
 しかしながら、NPO法人の場合、一般企業とは異なり、非営利活動を目的とすることに起因する特有の問題を抱えております。特に財政基盤が脆弱なことや会計処理等に関する専門的知識を持つ人材の不足が課題となっております。これらの諸問題が継続的に安定したNPO法人の運営を難しくしている状況にあるといえます。
 税理士会としましては、このようなNPO法人を積極的に支援することで、税務に関する専門家として申告納税制度を堅持でき、税理士制度が社会の中に一層深く根ざし、国民から信頼される制度の確立に寄与できることから、その支援は大変意義あるものと考えております。
 現在、NPO法人の認証数は全国でおよそ3万法人を超えており、愛知県及び岐阜県におきましても相当数のNPO法人があります。
 これからも増加することが予想されますNPO法人の支援策として、名古屋税理士会では平成17年12月より『NPO法人のための無料税務相談室』を開設しました。この相談室は毎月第1及び第3水曜日の午後から名古屋税理士会内にて開所し、NPO法人に対して税務だけでなく会計に関する相談にも幅広く対応しております。公益活動対策部では、この相談室を今後も様々なNPO法人に利用してもらえますようPR活動を行なっております。
 NPO法人制度の定着は、より良い社会、住みやすい社会を構築する重要な社会的基盤を構成するものと考えられます。公益活動対策部では、税理士によるNPO法人の支援がより多くのNPO法人の成長と発展に寄与することとなれますよう、努めて参ります。

(税理士 川崎賢二)
9月 01 2008

事業承継(4) 遺産取得課税になると・・・

贈与の他に、生前譲渡を上手く活用しよう!

今月もアゴ博士への質問が続く。

.来年度税制改正では、遺産取得者課税方式に変わるとのことでした。3月3日の紙面でのお話しのように、この方式は、実際に相続人が取得した財産から基礎控除等をして、残額に応じた税率が適用されますよね。すると、後継者が一人で相続すると累進税率で高くなってしまうんじゃないでしょうか?。
.その通りじゃ。だから後継者でない相続人に分ければ分ける程、適用される税率は低くなるのじゃ。現行は、現実の分け方とは別に、法定相続分で分けたとみなして税額を計算するのと異なるわけじゃな。
.つまり、「分け方によって税額が変わる」のですね。この結果、「兄さん一人で相続するより、皆で分けた方が節税になるよ」と、分割がより推進される方向に働く改正となりますね。
.しかしそうなると、事業用資産や自社株の後継者への承継はより困難になる。だからこそ、「納税猶予を使え」という誘導がされる訳じゃが・・・この制度では相続後5年間に、相続株式を一株でも譲渡すると納税猶予が取り消される等の縛りが強くなるし、5年経過後であっても安易な株式譲渡で猶予取消、場合によっては本税より多額の利子税が発生しかねんのじゃ。
.つまり事業承継という「航海」の航路は、場合によっては、より狭くなったとも言えるんですね。
.そうじゃ。それ故、計画の必要度が高まる。事業用資産と自社株の集中を図りつつも、納税猶予を受けずに済むよう、生前譲渡・生前贈与・相続・納税の計画を立てねばならんのじゃ。
.この場合、どれが大切なのでしょうか?
.より重要なのは生前譲渡じゃな。生前譲渡であれば、贈与ではないので、遺留分の計算の基礎財産に含まれんから、承継はより安全にされるのじゃ。しかし問題は、譲渡価額じゃ。これについては、次回話そう。

(税理士 牧口晴一)
9月 01 2008

相続時精算課税制度について

.息子の家の建設資金の一部2000万円を出そうと思いますがどうすれば一番節税になりますか?

.お子さんの家の建設資金を出してあげる方法は大きく二つあります。まず例えば総額5000万円の住宅でしたら、5分の3を息子さん名義で残り5分の2を親の名義にする共有持分登記という方法があります。
 二つ目は全てをお子さんの名義にしたい場合で資金を贈与することになりますが、年間2000万円の贈与ですと贈与税は720万円にもなってしまいます。これでは1300万円ほどしか手元に残らず資金が不足してしまうので景気刺激策の一環として「相続時精算課税」という制度が作られました。
 贈与した年の1月1日現在で親が65歳以上子が20歳以上であること等一定の要件を満たす場合は、この制度を選択した後毎年の贈与の累計が2500万円に達するまで贈与税を無税、以降は一律20%とした制度です。ですので、2000万円なら無税で贈与できるようになりました。
 注意すべきは、この制度を選択すると親の相続財産は基本的にまったく減らないということです親が亡くなった時に相続時精算課税を適用して生前に贈与された財産を残った親の相続財産にプラスして相続税を計算するからです。
 ご紹介した方法にはそれぞれメリットとデメリットがありますのでそれを十分検討されることが大事です。
 まずは子供の名義にする必要があるか否か、これは税金の問題ではなく兄妹等で将来相続に争いが起こる可能性の問題です。
 相続税の節税という点では多くの場合相続時精算課税はお勧めできません。ただし、相続時に加算されるのは贈与した時の価格ですので、一定以上値上がりが確実な場合には有利なことがあります。詳細については税理士にご相談されることをお勧めします。

(税理士  向田真一)

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