10月 06 2008

新たなる税理士法の改正に向けて

現在、我々の業界では、日本税理士会連合会を中心として、税理士法の改正に取り組んでいます。税理士法は、平成13年に改正されたばかりですが、環境の急速な変化により更なる改正が求められるようになってきたのです。例えば、平成18年における会社法の創設により、会計参与制度が導入されたこともその例の1つです。会計参与制度とは、主に中小企業の会計におけるミスや粉飾決算などの不正を防ぐために、専門家が株式会社の内部機関として関与し、取締役とともに計算書類を作成し、その作成した計算書類に対して取締役とともに責任を負うという制度です。この会計参与になり得る専門家の資格として、我々税理士が登用されたのです。つまり、税理士法の中では、我々税理士は、税務の専門家という位置づけがされていただけですが、会社法で会計の専門家としても位置づけられたことにより、税理士法の中でも会計の専門家としての位置づけが必要になったということです。
 このような社会・経済的な環境の変化により、税理士法の改正が必要になってきたのですが、日本税理士会連合会では、改正項目のうちの2つの最優先項目と 5つの優先項目を掲げています。そのうち最優先項目の2つを紹介しますと、まず1つ目は、資格取得制度の改革です。税理士法には、税理士になり得る資格として、国家試験たる税理士試験の合格者の他、さまざまな試験免除者が規定されています。ここで問題なのは、税理士の中に試験免除者の占める割合が、税理士試験合格者の占める割合よりも多いということです。この点につき前回の税理士法の改正で一部歯止めがかかったものの、いまだ不十分です。税理士の資質を測るための試験を受けずに税理士の資格を得ることには矛盾があります。そのため、試験制度もあわせて早急に資格取得制度の改革を考えています。
 最重点項目の二つ目は、税理士の信頼性の確保です。この方法として三つのことを考えています。まず一つ目は、税理士資格の更新制度の導入です。資格は一度取ってしまえば、自ら放棄するまでは永久に資格を保持し続けることができます。そこで、何らかの方法により税理士資格の更新制度を導入し、納税者の一層の信頼を確保しようと考えています。二つ目は、研修の義務化です。毎年のように改正される税法の他にも、商法の改正、会社法の創設など企業関連法が頻繁に改正されています。かつては、そういった改正についていけない税理士は、自然淘汰されると考え、自己責任の範疇に考えていましたが、税理士会としての管理義務もあり、義務として規定したいと考えています。三つ目は、税務支援の従事を義務化することです。税理士は、小規模納税者に限らず、すべての納税者の納税義務が適正に実現できるよう、社会貢献の一つとして、税務指導事業を実施し、納税者の利便性の向上に資することが必要です。ひいてはこれが税理士制度の維持発展につながると考えています。
 この他にもさまざまな改正項目はありますが、すべてこれらの目的は、税理士制度が更に一層納税者の利便に資するものになること、真に信頼される税理士制度を確立することにあります。我が名古屋税理士会においても、制度部を中心として、この目的を重んじ、新たなる税理士法の改正に向け研究を行っています。納税者のための新しい税理士制度をご期待下さい。

(税理士 中西 毅)
10月 06 2008

事業承継(5) 生前譲渡の価額

決まっているのは、相続・贈与の税務上の価額だけ

.先月は、事業承継にあってはアゴ博士から、「重要なのは生前譲渡。贈与ではないので、遺留分の計算の基礎財産に含まれないから、安全に承継できる。しかし問題は譲渡価額」という部分までお伺いしました。どう問題なのでしょう?
.いわゆる「取引相場のない株式」の価額はどうやって決めるのか、ご存知かの?
.我々の様な非上場会社株式は「財産評価基本通達」で評価しますね?
.それは半分正解じゃの。つまり、「相続」「贈与」の時の課税の際の評価は確かにその通りじゃ。しかしその時価は「譲渡」、つまり生前に経営者が後継者などに譲渡する場合の価額とはイコールではないのじゃ。「譲渡」は相続税の世界ではなく、法人税や所得税の世界のことじゃからのぉ。
.でも法人税や所得税で何か時価の通達がありませんでしたか?
.そうじゃ。勿論ある。何段階に亘って判断する通達になっておるのじゃが、その4段階目に「純資産価額等を参考にして決め」、最後にそれでも決められなければ、「財産評価基本通達」で評価して良いとある。
.それじゃ、結局「相続・贈与」と同じで良いではないですか?
.まあな。しかし生前譲渡となると、安く譲渡したいじゃろ?
.そりゃそうですよ。息子の役員給与や蓄えで買うんですから、相続税評価額の高い値段では多くを譲渡できません・・・あっそうか!
.気付かれたようじゃな。「財産評価基本通達」の通りでなくとも、その前段階の「純資産価額等を参考にして決める」段階で工夫の余地がある。
.どんな工夫ですか?
.「財産評価基本通達」では退職給付引当等は控除できないが、譲渡にあっては引ける可能性がある等じゃ。
.そりゃ大きい!
.しかし高等技術じゃ。その他にも後継者が買わなくとも、分散した株を会社が買取る自己株の価額の問題があるが、これはまた、来月じゃ。

(税理士 牧口晴一)
10月 01 2008

ふるさと納税

平成20年度の「地方税法等の一部を改正する法律」により、いわゆる「ふるさと納税」が創設されました。大阪府の橋下知事がたくさんの寄附を集めていることや、さまざまな自治体が寄附をした方に特産品を贈呈するなど何かと話題となっています。しかし「ふるさと納税」という言葉だけが有名になり、制度の内容そのものについてはよくわからないという方もいらっしゃると思いますので、今回は制度の内容について見ていきたいと思います。(なお、文中の説明につきましては、掲載時点の情報により作成しておりますのでご了承ください。)

 まず、この「ふるさと納税」とはどのような制度なのかを見てみましょう。
 そもそも「ふるさと納税」と一般的に言われているこの制度は、納税先を自身の意思で
 自由に指定できる様なイメージを持たれている方も多いと思います。しかし実際は、直接納税先を変更できる訳ではなく、(1)納税者が「ふるさと」をはじめとする自治体へまず寄附を行い、(2)その寄附金について本来納めるべき所得税と住民税から税額控除を受けるというように、間接的に納税先を変更する制度となっています。したがって、税額控除を受けるために寄附をした年の翌年3月15日までに確定申告により所定の手続きをしなければなりません。手続きをしなければ、単なる自治体への寄附で完結してしまいますので、サラリーマンの方などで、確定申告が不要な方は特に注意が必要です。(なお、地方税の税額控除のみを受ける場合には、住民税の確定申告となります。)
 次に、「ふるさと納税」で期待できる特徴を考えてみます。

1. 選択・・・納税者が自らの選択により税金の一部を「ふるさと」をはじめとする地方自治体に移譲できる点
2. 政治への関心・・・納税者サイドで「ふるさと納税」を通じて寄附した自治体などへの関心の高まりが期待できる点
3. 競争・・・自治体サイドで税収獲得のための競争原理が働く点と寄附を受けたことより自治意識の向上が期待できる点
4. 税源移譲・・・東京一極集中から地方への税源移譲の一助となる点

 さて、以上を踏まえて実際に「ふるさと納税」を検討するとなった場合には、以下の点に十分ご注意ください。

* 税額控除には適用下限額(足切り)が設けてあり、5000円以下の寄附では税額控除は受けられない。(5000円までは自己負担。)
* 控除対象限度額(頭打ち)が設けてあり、総所得金額等の40%(住民税は30%)までしか税額控除は受けられない。
* 確定申告まで寄附の領収書を保管しなければいけない。
* 実際に税額控除を受けられるのは寄附をした年の翌年となる。
* 税額控除制度であるため、本来納付すべき税金がなければ税額控除は受けられない。

 なお、「ふるさと納税」とは呼ばれていますが、実際のご自分の出生地等の「ふるさと」に限ることはなく、都道府県・市区町村であれば対象はどこでも構わないとされていますので、今は縁のない自治体であっても寄附をする事が可能です。
 また、「yahoo公金支払」のサイトを通じて寄附をする場合には、寄附先の自治体が登録をしているという条件付きではありますが、クレジットカードによる寄附も可能です。今後の広がり次第では、更に利用しやすくなるでしょう。(掲載現在では佐賀県・北海道夕張市等一部の自治体に限定。)
 「ふるさと納税」を通じ、国民が自ら納税先を選択することにより自治体が切磋琢磨するという結果につながれば大変画期的な制度となります。納税者として今後の運営をしっかりと見守っていきましょう。

(税理士 水野 誠)
10月 01 2008

所得税関係の改正点

所得税関係の改正について

.住宅に省エネ改修工 事を行った場合の税額控除制度が創設されたようですが。

.住宅借入金等により居住用家屋に「一定の省エネ改修工事」(1)居室の全ての窓の改修工事又は(1)の工事と併せて行う(2)床の断熱工事(3)天井の断熱工事若しくは(4)壁の断熱工事でその改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上であり工事費用の合計額が30万円を超え200万円を限度に住宅借入金等の年末残高の1%~2%を五年間控除される。

.証券税制の見直しが行われるようですが。

.上場株式等の配当及び譲渡益に対する10%の軽減税率が平成20年末で廃止され平成21年より20%の本則税率(所得税15%、住民税5%)となる一方、次の(1)(2)の特例措置が設けられた。(1)市場特例措置、上場株式の譲渡所得のうち年間500万円以下の部分・・・10%(所得税7住民税3、(2)少額配当の軽減措置、上場株式等の配当所得のうち年間100万円以下の部分・・・10%又「上場株式等の譲渡損失」と「上場株式等の配当所得」との間の損益通算制度が創設された。

法人税関係の改正について

.人材投資を促進するために税額控除制度の見直しについて

.中小企業者等に係わる措置について、労務費に占める教育訓練費の割合が0.15%以上の場合に、教育訓練費の総額の8%~12%が税額控除出来る。適用時期・平成20年4月1日以後開始する事業年度より適用されます。

.減価償却制度の見直しについて

.平成19年度税制改正で250%定率法の導入、償却可能限度額及び残存価額の廃止などの抜本的な改正がなされ、他方リース資産についてはファイナンス・リース取引のうち従前は売買とはされていなかった所有権移転外リース取引についても平成20年4月1日以後に契約するものから賃借人においてリース期間定額法による償却を行う事とされた。又、20年度税制改正においても法定耐用年数区分の大括り化及び耐用年数の短縮特例制度の手続の簡素化が行われ改正前の法定耐用年数区分(機械・装置)は390区分であったが見直しにより55区分に大括り化されました摘要時期・平成20年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。

(税理士 森 安彦)

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