12月 08 2008

年末調整 ~早めに準備しましょう~

今年も12月になり、年末調整の時期となりました。年末調整は、毎月の給与などから源泉徴収された税額と本来1年間に納めるべき税額の過不足を精算する手続きで、1年の最後の給与支払日(通常は12月)に行います。12月は事務が忙しくなる時期ですので年末調整のポイントをよく確認し、余裕をもって、早めに準備するとともに、ミス等の無いように注意しましょう。

年末調整のポイント
(1)年末調整の対象となる人、ならない人を選別しましょう。

 年末調整の対象者は、次の要件に該当する人です。

1. 扶養控除等(異動)申告書を提出している人
2. 本年中に支払うことが確定した給与総額が2,000万円以下の人(通勤費等の非課税給与は除きます)
3. 災害等に遭った場合で給与等に対する源泉所得税の徴収猶予または還付を受けていない人
4. 一年通じて勤務している、または年の中途で就職し年末まで勤務している人(途中入社の場合は前職の会社の源泉徴収票が必要となります)

(2)扶養控除等(異動)申告書などの必要書類の記載内容等を確認する。

 扶養控除等(異動)申告書は原則として本年最初に給与の支払を受ける時までに給与支払者に提出することになっており、また、年の中途で扶養親族の数などに異動があった場合には、その都度異動申告をすることになっています。出産や子供の就職や結婚などにより扶養家族の異動について、訂正漏れがないか再確認をしましょう。その他、本人が障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生になった場合や、控除対象配偶者や扶養親族が障害者に該当することとなったような場合には、年末調整をやり直すことになります。あるいは、本人が確定申告によって所得税の還付を受けることができます。

(3)家族の今年1年の所得金額を確認してもらう。

 配偶者控除、配偶者特別控除や扶養控除の対象となるかどうかは、その年の合計所得金額をもとに判定されます。例えば、年末調整後に奥さんの所得が控除要件の金額を超えてしまっていた場合、年末調整をやり直すことになってしまいますので、家族の正確な所得金額(奥さんや子供の給与明細等)を確認してもらいましょう。

(4)提出書類の記載漏れや不備がないかを確認する。

 生命保険料、地震保険料の控除証明書、国民年金保険料等の支払明細書など、各種の保険料控除に必要な添付書類(コピーではなく原本が必要です)をきちんと保存しておきます。控除証明書等は通常、10月下旬頃に保険会社等から郵送されてきますので、紛失されている場合は、急いで再発行してもらいましょう。

(5)年末調整ではなく確定申告が必要な各種の控除

 次のような控除は、年末調整では控除が受けられませんので、各人が確定申告をすることで、源泉徴収された税金が戻ってくる(還付される)場合があります。

1. 災害(地震、風水害、火災等)や盗難などで損害を受けた場合の雑損控除
2. 災害減免法による所得税の減免(雑損控除の適用を受けた場合は受けられません)
3. 多額の医療費支払った時の医療費控除
4. 住宅ローン控除等(住宅を新築・購入し、居住した年のみ)
5. 自宅を増改築、バリアフリー化、省エネ改修をした場合のローン控除(住宅ローン控除との選択性)
6. 一定の耐震改修費用についての減税
7. ふるさと納税など、寄付をしたとき

 なお、平成20年度の年末調整について、詳しくは国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/index.htm)に掲載されておりますので、是非ご活用下さい。

平成20年度年末調整準備チェックリスト
 1 配偶者など扶養親族に所得がある場合、今年1年間の所得金額を各自確認したか
 2 医療費控除、雑損控除などは年末調整で控除は受けられないが、確定申告で控除を受けられるためきちんと保存しているか
 3 扶養控除等申告書、保険料控除申告書などの記載内容を正確に記入し、記載漏れがないか確認したか
 4 必要な添付書類を入手し、不備がないか確認したか
 5 会社等への提出期日を守り、早めに提出したか
 6 年末調整の対象となるか、ならない確認したか
(税理士 川喜田兼政)
12月 08 2008

親切心の行為でも「税理士のにせ者」に?!

毎年確定申告の時期になると、「税理士のにせ者に注意!」といったポスターをよく見かけるようになります。情報技術の進歩が著しい今日にあっては、税務申告のような専門的な知識を要するものであっても、ご自身で申告をされる方や税に興味をお持ちの方は、比較的容易に必要な情報を得ることができます。そのような情報や職場等で身につけた税務知識を、ご自身の申告のために利用される分には全く問題はありません。しかし、これらの情報や知識を他人のために用いた場合には、例え親切心からであっても、またタダ(無償)で引き受けたことであっても、税理士登録をしている方以外は法律違反となって、いわゆる「にせ税理士」「税理士のにせ者」になってしまいます。といいますのは、税理士法第52条によって、税理士又は税理士法人でないものは、法律に別段の定めがある場合を除き、税理士業務を行ってはならないと規定されているからです。これに違反した「税理士のにせ者」は、同法第59条により、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金が科せられます。例えば、納税者の皆様は、お知り合いやそうした方々の紹介等で、税理士登録をしていない下記のような人に税務相談に乗ってもらったり税務申告を依頼したりしてはいませんか?

* ・経営会計コンサルタント
* ・税務署員
* ・元税理士事務所職員
* ・会社等の経理担当者
* ・その他業者

 税理士又は税理士法人ではないこれらの人に申告書を作成してもらった場合、申告書に税理士の署名押印がなければ明らかに「税理士のにせ者」ということがわかりますが、例え申告書に税理士の判が押されていても、判を押した税理士が実質的にその申告書の作成に関与していない場合(いわゆる名義貸しの場合)、判を押した税理士は税理士の署名押印義務(税理士法第33条)及び信用失墜行為の禁止(同法第37条)に違反することとなり、申告書を実際に作成した人はやはり「税理士のにせ者」ということになります。
 「税理士のにせ者」に関する事件として、近年では、平成18年には神奈川県川崎市で元税務署員、東京都杉並区で経理代行会社社長が、今年平成20年には東京都品川区で行政書士が、それぞれ資格がないにもかかわらず税務申告書を作成した疑いで逮捕されています。
 このように「税理士のにせ者」が取り締まられるのは、もちろんそれが法律上認められていないからなのですが、実質的にも「税理士のにせ者」は調査に立ち会えないため、納税者の皆様に対して責任を持てず、また納税者の皆様も、税務調査によって例えば過少申告又は過大申告が判明すれば、経済的には損失を被り、社会的には信用が失墜するといった事態に陥ってしまう危険があるからです。
 ですから、納税者の皆様のお知り合いに税務に詳しい方がいるからといって、その方に税務相談に乗ってもらったり税務申告をお願いしたりすると、皆様自身が上記の損害を被る危険があるだけでなく、親切心で相談に乗ってくれたり申告書を作成してくれた方を結果的に前科者にしてしまうことになるのです。そのようなお互いに不幸な結果にならないようにするためにも、税務相談や税務申告を依頼する場合には、その方が必ず税理士登録をしている方であることを、(1) 税理士証票及び税理士バッジの提示を求める、(2)税務申告書の税理士の署名・押印を確かめる、(3)その税理士の事務所所在地を管轄する税務署の玄関にある税理士一覧に名札がかかっていることを確かめる、といった方法等で確認してください。
 納税者の皆様と、われわれ税理士の信頼関係が今後も揺るぎなきものであり続けるためにも、どうか今一度、皆様の「税理士」が「税理士のにせ者」にあたらないことをお確かめください。ご相談・ご連絡先は、名古屋税理士会(電話052-752-7711、FAX052-752-5055)です。

(税理士 安島祥矩)
12月 08 2008

事業承継(7) 普通の会社でも使う自己株式2

「みなし譲渡」になる危険

.アゴ博士。先月は、後継者の安泰のために株を買い取る場合や、逆に親戚から買い取って欲しいと言われた場合、当事者が安値で合意すると難解な問題になるとのことでしたが、どういうことでしょう?
.例えば、議決権の9割が社長で、1割が叔父さんで、叔父さんから株を買い取るとしよう。全株で10億円なら叔父さんの分は1億円じゃ。
.先月の話の通り、1億円では社長や後継者個人では借り入れしても返済できないので、会社で買い取ることになるということでした。
.さすれば、会社にとっては自己株式となるのじゃが、会社の買い取り価額は難問じゃ。実務上この定説は出とらん!万全を期すとすると、会社も「同族株主」として評価すると1億円が税務上の適正時価となるわけじゃ。
.でも、会社でも、そんな大金は借り入れしても大変ですね。
.そこで、叔父さんと交渉し、4千万円で話がついたとしよう。
.1億円の株ですから会社は6千万円得をしたので、受贈益ですね?
.いや、税制改正で自己株式の取得は資本等取引とされて受贈益はゼロじゃよ。ただし、ここからが難解じゃ。叔父さん(個人)から法人へ時価の2分の1未満の価額で譲渡したため、「みなし譲渡課税」とされ、時価1億円で譲渡したとされるのじゃ。
.えっ!そうすると叔父さんは4千万円しか貰っていないのに、1億円で譲渡したことにされちゃって税金が大変じゃないですか!
.そうじゃ、実は貰った4千万円を超える税金となるのじゃが、問題はそれだけでは済まん。これはまた来月じゃ。

(税理士 牧口晴一)
12月 01 2008

サラリーマンと年末調整

確定申告に代わる重要な手続き

【問い】
 私はサラリーマン1年生です。毎月受け取る給料の所得税は先払いだそうですが、これはどのような方法で精算されるのでしょうか。

【答え】
 所得税は、所得のある人が、毎年1月から12月までの所得金額とこれに対する税額を計算し、これを申告して納税する「申告納税制度」が建て前ですが、サラリーマンの給与などは、その支払者が支払う際に所得税を徴収して納税する「源泉徴収制度」がとられています。
 サラリーマンの毎月の給与やボーナスから源泉徴収される所得税額は、「給与所得の源泉徴収税額表」により求められますが、「毎月の給与から源泉徴収された所得税額の合計額」が近似値的計算であるため「1年間の給与総額に対する所得税額」とは一致しないのが普通です。そこで、給与の支払者が、その年最後の給与を支払うときに、源泉徴収した所得税の過不足を精算しますが、これを「年末調整」というのです。
 ただし、給与収入が二千万円を超える人や「扶養控除等申告書」を提出できない勤務先からの給与がある人は年末調整ができないので、確定申告することになります。
 大部分のサラリーマンは、年末調整によって1年間の所得税の納税が完了しますので「確定申告」の必要はありません。逆に見れば「年末調整」は「確定申告」に代わる重要な手続きであるということができます。

年末調整を受ける注意点

1. 「扶養控除等申告書」は正しいか=配偶者、扶養親族の中に、アルバイト、年金収入などで所得の限度を超える人がいないか(限度を超えると、所得税の追加徴収や扶養手当の返還が起こる)
2. 「扶養控除等申告書」の「異動申告」は済んでいるか=結婚、離婚、出生、死亡、就職、寡婦(夫)、障害者、勤労学生などによる控除対象配偶者や扶養親族の増減などを、勤務先に届け出てあるか(控除金額が増えれば所得税は過払いとなって還付され、逆に、減れば追加徴収される)
3. 生命保険料などを申告したか=自分が直接払った社会保険料、小規模企業共済等掛金、生命保険料、地震保険料などを申告書に記載して勤務先に提出してあるか(控除金額が増えれば所得税は還付される)

 なお、住宅ローンの「住宅借入金等特別控除」は、最初の年は確定申告し、2年目からは年末調整で控除を受けることができます。また「医療費控除」「寄付金控除」「雑損控除」は確定申告でなければ控除されません。

(税理士 古山 精)

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