5月 11 2009

公益法人税制について ~「公益」と「一般」との選択の重要性~

2006年5月26日、公益法人制度改革関連3法(「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」)が通常国会において成立し、同年6月2日に公布されました。今回の改革は民法で公益法人制度が規定されてから、何と110年ぶりの大改革になります。そして、この3法とも2008年12月1日から施行され、新制度に移行しました。
 2006年10月1日現在、全国の公益法人の総数は、約2万5千法人、社団法人と財団法人とではほぼ2分され、都道府県所管法人が全体の約7割を占めており、これらの公益法人が今回の改革の対象になります。
 今回の改革では、現行の公益法人は公益社団法人、公益社団法人の認定申請をするか、一般社団法人、一般社団法人として認可申請するか、又はその他の業態への移行をするかの選択をしなければなりません。公益法人として存続することを選択した場合は、法律完全施行日から5年間の移行期間中に移行申請が必要です。公益認定を受けず(あるいは受けられず)に登記のみした場合は、一般社団法人・一般財団法人へ移行されます。万一、移行期間のうちに移行申請がなされなかった場合は、移行期間満了日に解散とみなされてしまうので注意が必要です。公益法人としての存続を選択した現行公益法人は、移行の体制を整備することが急務となってきます。いずれにしても、一般社団・財団法人法や公益法人認定法に適合するように所要の準備を進めていく必要があるのです。その場合「公益」と「一般」とでは、税の優遇措置等に大きな違いがあります。よって「公益」と「一般」との選択は、今後の法人の将来を大きく左右する重要な課題でなりますので、十分な検討が必要です。
 公益法人は、経済不況における我が国において、重要な要素となっています。今回の公益法人制度改革は、現行の社団法人・財団法人はもちろん、新たに公益法人の設立をする場合や、現行のNPO法人や中間法人など、様々な組織に大きな影響を与えることとなります。そのため新制度を正しく理解し、幾つもの比較検討を行い、その組織にとって最適な選択ができるように、今後の対応が各団体にとって大変重要となってくるのです。
 公益法人課税については、昭和25年の法人税改正により、現行の公益法人等に対する課税制度が創設されました。公益法人等は原則として、法令第5条に該当する収益事業から生じる所得についてのみ課税されますが、その税率は普通法人が30%であるのに対して、公益法人は22%と軽減された税率となっています。

(税理士 加藤厚)
5月 11 2009

「検討中の課題について」 ~相続税の課税方式と事業承継税制~

1.はじめに

 政府は今回の税制改正に際して、相続税については、法定相続分を勘案して税額を計算する現行の方式(法定相続分課税方式)から遺産取得者課税方式に改めることにつき検討を行ってきたとされています。この「遺産取得者課税方式」とは各人の取得分に応じ個別に税額を計算する方式を言いますが、税理士会もかねてから要望していたものです。
 現行の「法定相続分課税方式」は、(1)同じ額の財産を取得しても財産の総額の多寡で税負担に違いがでるといった水平的な公平性に問題があること、(2)ある相続人の申告漏れが他の相続人にも影響を及ぼすこと、(3)現行の事業等の継続に配慮した特例措置による税負担の軽減の効果が事業等の継続と無関係な相続人に及ぶこと、などの課題があるとされています。
 しかし、相続税の税額計算についての現行の方式は、約50年の長きにわたり定着してきた制度であり、その見直しは、課税の公平性や相続のあり方に関する国民の考え方とも関連する重要な問題であり、さらに検討を進め、税制抜本改革の際に実現を図るものとされました。
 こうした状況の下、平成21年度税制改正においては、相続税制における喫緊の課題に対応するため、中小企業の事業承継の円滑化を通じた雇用の確保や地域経済活力の維持を図る観点から、新たな事業承継税制が導入されましたが、その際、株式等の生前贈与による事業承継を促進する観点から、贈与税の納税猶予制度をあわせて創設することとされました。

2.事業承継税制の導入
(1)取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度の創設
 経営承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式等の総数等の3分の2 に達するまでの部分)に係る課税価格の80 %に対応する相続税の納税が猶予できることとなりました。

(2)取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度の創設

1. 後継者が、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社を経営していた親族から、贈与によりその保有株式等の全部(贈与前から既に後継者が保有していたものを含めて、発行済議決権株式等の総数等の3 分の2 に達するまでの部分、以下「猶予対象株式等」)を取得し、その会社を経営していく場合には、その猶予対象株式等の贈与に係る贈与税の全額の納税が猶予できることとなりました。
2. 贈与者の死亡時には、猶予対象株式等を相続により取得したものとみなして、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税額を計算しますが、その際、経済産業大臣の確認を受けた場合には、相続税の納税猶予が適用されます。

3.相続の場合の猶予税額の計算
 事業承継税制における相続税の税額計算概要は次のようになります。

1. 相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行い、各相続人の相続税額を算出します(経営承継相続人以外の相続人の相続税額は、この額で確定します)。
2. 経営承継相続人以外の相続人の取得財産は不変としたうえで、経営承継相続人が、特例適用株式等(100 % )のみを相続するものとして計算した場合の経営承継相続人の相続税額と、特例適用株式等(20 % )のみを相続するものとして計算した場合の経営承継相続人の相続税額の差額を、経営承継相続人の猶予税額とします。

4.おわりに
 このように今回の税制改正で導入された事業承継税制では経営承継相続人の猶予税額の計算が経営承継相続人以外の相続人に影響がないように手当てされています。
 これは、上述した現行方式の課題③をうまく解消しているといえますが「法定相続分課税方式」で基本的に内在しているその他の問題点を解消したとは言えません。遺産取得者課税方式への移行を含めて今後の推移を見守りたいと思います。

(税理士 浅野洋)
5月 11 2009

事業承継(12) 資産管理会社に厳しい

たった1日でも該当すると納税猶予取消し!
* .納税猶予の対象に資産管理会社の株はならないそうですが、アゴ博士どうなんですか? 
* .資産管理会社とは、簡単に言えば、有価証券や賃貸不動産等の資産、これを「特定資産」と言うが、これを保有し、その収益で成り立っておる会社じゃ。一般的に、このような会社は、雇用を生み出さんから今回の事業承継税制の趣旨から外れることが多い。したがって、資産管理会社の内、一定の条件に該当する会社は納税猶予の対象外とした訳じゃ。
* .そうすると、その一定の条件というのが重要ですね。アゴ博士、どんな条件ですか?
* .まず「特定資産」が全資産の70%以上占めておる会社を「資産保有型会社」といい、「特定資産」が生み出す収益が全収益の75%以上の会社を「資産運用型会社」とした基準がある。
*.それでは、子会社株を持っている持株会社はアウトですね。
* .大丈夫じゃよ。「特定資産」の中には子会社株は含めんから、全てではないが、通常の持株会社は問題なしじゃ。
* .それから「特定資産」が70%以上で、現に沢山の雇用を生んでいる会社もありますよね?
* .そこで、実質基準として、資産保有型会社や資産運用型会社であっても、5人以上の従業員を雇用し、現業をばりばりやっている会社は、納税猶予が受けられるようにもしてあるのじゃ。
* .5人は厳しい。一般の資産家が節税のために資産管理会社を経営している場合には役員は一杯居ても従業員は5人も居ませんからね。他にも何か?
* .問題は、納税猶予期間中ず~っと、例え1日たりとて、「特定資産」が70%以上になると、即アウトで納税猶予取消しとなり、利子税も合わせて一括納税することになることじゃ。
*.超厳しい!怖くて納税猶予できないですね。
* .その通り!慎重に納税猶予を判断し、選択したら日々「特定資産」の管理を厳重にせんとな。

5月 01 2009

準確定申告

.死亡した場合の確定申告は、どのようにすればよいのでしょうか。

.故人に事業所得・不動産所得・譲渡所得などの申告すべき所得がある場合は、相続人が故人に代わって所得税の申告をしなければなりません。この申告を準確定申告といいます。通常の確定申告書の提出期限は翌年の3月15日ですが、故人の準確定申告は、死亡後4ヶ月以内となっています。

.死亡日が1月1日から3月15日で、故人が前年分の確定申告書を提出していなかった場合は、どのようにすればよいのでしょうか。

.相続人が前年分の確定申告書を提出することになります。たとえば死亡日が平成21年2月25日であれば、20年分の確定申告書と21年分の準確定申告書を6月25日までに提出する必要があります。

.納付税額は、どの用紙で計算するのですか。

.通常の確定申告書で納付税額を計算します。そして相続人全員が署名をした確定申告書付表に、法定相続分により按分した納付税額を記載します。実際の相続分により按分することも可能です。

.医療費控除・扶養控除は、どのようになりますか。

.故人が1月1日から死亡日までに支払った医療費は、所得控除の対象となります。扶養親族となるかどうかは、死亡の日において生計を一にする親族の1年間の所得を見積もって判定します。

.故人の所得が給料のみ場合は、準確定申告書を提出する必要がありますか。

.原則として勤務先で年末調整が行われますので、提出する必要はありません。なお医療費控除がある場合などは、還付のための申告書を提出することができます。還付申告書の提出期限は定められていませんが、死亡日の翌日から5年以内に提出しないと時効により還付を受けられません。

(税理士 工藤博之)

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