6月 01 2009

平成21年度税制改正について

平成20年9月のアメリカの金融危機からはじまった世界的な経済不況により日本経済も急激に冷え込みました。平成21年度の税制改正はそのような現況を踏まえ、様々な減税策による景気対策を重視したものとなりました。その中でも住宅ローン減税は私たちの生活に馴染み深いものです。今回の税制改正で何が変わったのでしょう。

.住宅ローン減税、何が変わるのでしょうか?

.従来からの住宅ローン減税は平成20年12月で終了する予定でしたが、5年間延長され、住宅の取得等をして平成21年から平成25年までの間に居住した場合、控除期間10年間で最高500万円の税額控除が受けられるようになりました。
 例えば、平成21年に取得し居住した場合、住宅借入金等の年末残高の限度額は5,000万円、控除率は1%なので、年あたり最高50万円の税額控除を受けることができます。

.住宅ローン減税以外の住宅関係の減税制度はあるのでしょうか?

.住宅ローンがなくても認定長期優良住宅の新築等をした場合と既存の住宅に省エネ改修工事などをした場合に所得税額の特別控除が新たにできるようになりました。
 認定長期優良住宅の新築等をした場合、一定の条件のもとで認定長期優良住宅の新築等に係る標準的な性能強化費用相当額(1,000万円を限度)の10%に相当する金額をその年の所得税額から控除できるようになりました。また、居住する家屋に一定の省エネ改修工事または一定のバリアフリー改修工事を行った場合、一定の条件のもとでその改修工事費用とその改修工事に係る標準的な工事費用相当額のいずれか少ない金額(200万円を限度。太陽光発電装置を設置する場合は300万円を限度)の10%に相当する金額をその年の所得税額から控除できるようになりました。

(税理士 西田 央)
6月 01 2009

税理士の使命を果たすために

「税理士ってどんな仕事をするの?」と小学生の娘から尋ねられて言葉に詰まってしまったことがあります。税の専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ・・・等と説明したところで、到底理解してもらえるはずもありません。「いろんな会社の税金の計算をしてあげるんだよ。」と説明しても、どうも腑に落ちないような顔をしていました。相手が小学生でなくても、一般のサラリーマンの方達にとって、税理士とは、おそらく具体的なイメージの湧きにくい縁遠い存在なのではないでしょうか。
 法律上の問題で困ったときに弁護士や司法書士に相談するのは一般的だと思いますが、税金の問題で困ったときに税理士に相談する、という人は果たしてどれだけいるでしょう。残念ながら税理士は、一般納税者にとって身近な存在になっているとはいえないのが現状だと思います。その一因として、税理士は特定の企業と顧問契約を結び、専らその企業の会計帳簿を監査し税務書類を作成し税務代理を行うことで報酬を得るのが主要な業務となっているということが挙げられます。このため特定の企業経営者とのつながりはできても、一般納税者との接点がなかなか無いのが実情です。
 毎年春の確定申告時期になると、各地の無料相談会場で一般納税者の皆様とお話しする機会がありますが、残念ながら税理士の高度な専門知識を発揮できる場ではありません。というのも、無料相談の性格上、たくさんの納税者を、なるべく長時間お待たせすることなく迅速に処理していく必要があり、そこで受け付ける相談は定型的で簡単な内容のものに限られるからです。複雑な事案については、混雑する税務署窓口へ直接行っていただくか、あるいは最寄りの税理士に個別に相談していただくことになります。せっかくの専門知識を身につけた税理士でありながら、無料相談会場ではその力を発揮することはできません。その代わりに、個別に相談を受ければ、とことん親身になって相談に乗ることが出来ます。
 我々税理士は、納税者の皆様の期待に応えられるよう、常に自己研鑽に努めています。特に税法は毎年さまざまな改正が行われるため、常に最新の情報を勉強していないとたちまち取り残され、納税者・課税庁双方に多大な迷惑をかけてしまうことになりかねません。もちろんそれは税理士ひとりひとりが自分で努力すべきことなのですが、税理士会としても会員全員に対して年間36時間以上の研修受講義務を課して、一定の水準を維持すべく努力しています。その研修内容は、税法にとどまらず、会計学や民法、商法、会社法など非常に多岐にわたります。こうして常に税理士会員全体の資質の向上を目指しています。
 税理士法では、他人の求めに応じて行う税務代理・税務書類の作成・税務相談などの業務は、有償・無償を問わず、資格を持った税理士でなければ出来ない業務とされています。税は国家の基本であり、それを扱う税理士には崇高な社会的使命が求められているからです。納税者の皆様の信頼を得て、期待に応えられるよう、ますます自己研鑽に努めて行きたいと思います。税金のことで何か困ったことがあれば、どうか遠慮無くお近くの税理士に相談してみて下さい。

(税理士 大久保道男)
6月 01 2009

相続税節税の選択肢

相続税の課税

 相続税は、亡くなった人の財産を相続や遺贈で取得した場合にかかる税金です。
 相続税の課税対象は、民法上の相続財産だけでなく、実質的に同じと考えられる生命保険金や死亡退職金などもみなす相続財産として課税の対象となります。また、亡くなった人からの死亡前3年以内の生前贈与や過去に相続時精算課税を選択した以降の贈与も課税の対象となります。

相続の心配

 相続で心配なのは、相続税の納税の問題や残った子供たちの相続争い(相続紛争)の発生です。
 納税については、預金や上場株等を処分して納税ができれば一安心といえるでしょう。相続財産が換金しにくい不動産や自社株が大半だと深刻です。しかし、自分が死んでからの話なので、遺産から払ってもらえばよいと案外容易に考えてみえる人も多いものです。
 相続税対策の第一歩は、財産はいくらあるかを知ることです。土地評価の路線価額や固定資産税評価額に乗じる倍率は、どちらも国税庁ホームページで確認できます。
 自社株の非上場株式等の評価は、会社の資産内容である純資産価額や収益ないし配当の状況等を基に行う類似業種比準価額など、とても複雑な評価となる場合があるので、税理士に相談するのがよいでしょう。

相続税の計算

 相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改める検討はされていますが、現行法は、遺産総額をもとに10%から最高50%までの6段階の税率による遺産課税方式で算出されます。

相続税の納付の心配

 概算の相続税が分かれば、どう収めるかです。換金しやすい財産ばかりではなく土地や自社株ばかりだと10か月の申告期限内に納税できるか心配です。実際、相続人ごとに生活や事業に必要な財産を除くと納税資金として処分できる財産が以外と少ないことも多いものです。

節税の選択肢

 相続税の節税では、配偶者の法定相続分又は1億6,000万円までの分割財産に適用される配偶者の税額軽減、被相続人の居住用宅地や事業用宅地から選択できる小規模宅地等の減額、農地の納税猶予、平成21年の改正で創設された非上場株式等の納税猶予などの特例があります。これらの特例については、相続人間の分割協議の成立が要件の一つとなります。
 創設された非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例は、非上場株式の80%部分に相当する事業承継相続人の税額が猶予される制度で、原則として生前に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づき会社が計画的な事業承継に係る取組を行っていることについての経済産業大臣の確認を受け、相続開始後申告期限までに会社の後継者一人を決定し、大臣の認定をもらう必要から、生前から準備しておく必要があります。
 昨年、遺留分についての民法の特例も創設され、代表者の生前中に相続人全員の同意によって、自社株について相続時の遺留分の計算から除外したり、金額を固定できるようになり、生前中に後継者を決定することにより、安心して相続を迎えられるようになってきました。
 相続人間で相続争いが無くスムーズな分割ができれば、節税の選択肢も多くなるので、後悔することのないよう、早い段階から税理士と相談しておくとよいでしょう。

相続税の計算(PDFファイル

相続税の比較例 (単位:万円)
法定相続分で分割成立 未分割(相続争い)
子2人 子2人
正味の
遺産額
2億円 0 950 950 950 950 1,900
3億円 0 2,300 2,300 2,300 2,300 4,600
5億円 0 5,850 5,850 5,850 5,850 11,700
10億円 0 16,650 16,650 16,650 16,650 33,300
(税理士 菅谷厚子)
6月 01 2009

事業承継(13) 3分の2のパズル

誰が買うか?資金は?猶予枠が変化する

* .納税猶予を受けられるのは3分の2までというのは、後継者の既に持っている株数を引いて計算するというのは、複雑ですね。アゴ博士はどう考えられますか? 
* .そうなんじゃ。例えば、全株の3分の1づつを父と息子と叔父さん持っているとしよう。後継者の息子のためには、叔父さんの3分の1は、将来わずらわしいから買い取りたいという場合を考えてみよう。
* .そうするとアゴ博士。誰が買い取るかが問題になりますよね。
* .そうじゃ。普通には、後継者の息子が買い取る。すると、何と父に相続が起こった時には納税猶予は使えんのじゃ。
* .えっ?何故ですか?
* .息子は、叔父さんから取得した結果、合計3分の2じゃから納税猶予は全株の3分の2から後継者の保有株数を引くと0.すなわち納税猶予枠はなしじゃ。
* .ああ、そうか!でも逆に言えば、既に経営権が息子に移って事業承継は完了してますね?
* .そこじゃ!これを良いことと考えることも出来る。しかし、父の3分の1を相続する時に評価が高いと納税に窮するやもしれんのう。
* .逆に父が買い取ったら、父が3分の2になって、息子が3分の1のままなので、3分の2に達するまでは納税猶予が受けられますよね。
* .それでも父の残り3分の1は納税せねばならんから同じじゃ。それに、そもそも叔父さんから買い取る資金がどちらの場合も大変じゃ。
* .じゃあ会社が買う?
* .よく気が付いたのう。しかし、それは第6回から3回にわたって話した自己株取得という難問にぶち当たるのじゃ。

(税理士 牧口晴一)

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