10月 05 2009

新事業承継税制の注意点

1.はじめに

 税制改正により、平成20年10月1日以降の相続等に係る相続税について非上場株式についての相続税の納税猶予の特例制度が創設されました。
 この制度は経営承継者(後継者)が相続等により取得した非上場株式等について発行済 議決権株式等の3分の2を上限として、その価額の80%相当額に対応する相続税の納税を猶予するという制度です。
 この制度を利用して相続税の申告及び納付ができるかどうかについてもさまざまな要件がありますが、今回は相続税の申告及び納付後に納税猶予が受けられなくなる場合について説明します。

2.納税猶予が受けられなくなる場合

Ⅰ.申告期限後5年間(経営承継期間)に受けられなくなる場合

1. 後継者が代表権を有しなくなった場合。ただし、その後継者が要介護認定をうけるなど特別な事情がある場合は除く。
2. 相続税申告期限後の1年ごとの基準日における会社の常時使用従業員数の数が、相続開始の時における常時使用従業員数の80%未満となった場合
3. 後継者及び同族関係者の議決権合計数が50%以下となった場合
4. 後継者が同族関係者内で筆頭株主でなくなった場合
5. 納税猶予を受けた株の全部または一部を譲渡または贈与した場合
6. 会社が解散をした場合
7. 会社が資産保有型会社または資産運用型会社に該当した場合
1. 資産保有型会社とは、総資産のうちに(※)特定資産(有価証券、使用していない不動産、ゴルフ会員権、預貯金など)が70%以上となる会社をいう。
2. 資産運用型会社とは、総収入金額のうちに特定資産の運用収入が75%以上となる会社をいう。
8. 会社が合併により消滅した場合(会社が存続する一定の合併を除く。)
9. その他一定の事由


Ⅱ.経営承継期間経過後に受けられなくなる場合

1. 納税猶予を受けた株の全部または一部を譲渡または贈与した場合
2. 会社が解散をした場合
3. 会社が前記1.7の資産保有型会社または資産運用型会社に該当した場合
4. 会社が合併により消滅した場合
5. その他一定の事由

3.納税猶予税額及び利子税の納付

 納税猶予が受けられなくなった場合には、納税猶予を受けた相続税の全部または 一部と利子税(年3.6%変動あり)を納付しなければなりません。例えば納税猶予を受けた相続税が1億円で、相続税申告後5年後に納税猶予が受けられなくなったとすると、利子税を合わせて1億1,800万円を納税しなくてはなりません。
  この制度の利用を検討している方は、税理士とよく相談して、相続税申告後のことも考えてからこの制度を利用したほうがよいでしょう。

(税理士 山田 基)
10月 05 2009

税理士制度の社会的役割

民主党のマニフェストには、「公平で透明な税制を創る」とありますが、「公平な税制」は納税義務を負う国民にとって、また我々税理士にとっても、重要な目標であります。税理士の使命は、「申告納税制度の理念にそって、適正な納税義務の実現を図ること」(税理士法第1条)にありますが、不公平な税制の下にあっては、幾ら法律の規定どおりに計算し申告しても不公平な納税義務の実現を図ることになってしまい、納税者にとって納得のできる結果にはならないからであります。

公益法人としての税理士会の役割

 さて、個々の税理士事務所は、顧問先の企業や個人事業者の会計帳簿の記帳代行、税務申告書類の作成、提出等の業務を行う民間企業ですが、個々の税理士は公益法人である税理士会の構成会員でもあり、その会員として、公益に資する事業を税理士会とともに担って行かなければならないという義務があります。その事業の一つとして、国民の為の「公平な税制」の実現を目指して、税理士会は毎年税制改正の建議をおこなっています。平成22年の改正要望として、「交際費課税について、社会通念上必要な交際費の支出は損金算入すること、10%課税制度を廃止すること」、「土地建物の譲渡損益について、損益通算及び繰越控除を認めること」、など15項目を要望しております。また、税務当局は、行政事務の合理化のため、電話相談、確定申告期の無料相談所など、多くの事業をアウトソーシング(外部委託)しており、その担い手として税理士会は、税務行政の円滑な運営に寄与しており、その役割は今後ますます増大してゆくものと思われます。その他にも、地方公共団体の包括外部監査人の推薦、政治資金規正法に基づく政治資金団体の監査人の選任等々、多方面にわたって税理士と税理士会が活用される場面が広がってゆくことでしょう。

平成23年税理士法の改正を目指して

 税理士と税理士会に対する社会的な要請に応えうる税理士制度を構築するため、税理士法の改正が検討されております。まず重要なのは、税理士の資質の向上と信頼性を確保することです。そのためには、資格取得制度の見直しと登録更新制度、研修受講の義務化などが検討課題としてあがっております。また、税理士会では、平成17年度から、それまでの「税務援助」から「税務支援」と名称を変更し、税務支援規定を改定して、全ての納税者の納税義務が適正に実現できるよう、全会員に従事義務を課し、税理士と税理士会の社会貢献の一環として税務支援事業を行っております。税理士業務は、たとえ無償であっても税理士でない者はこれを行うことができないのでありますから、税理士の社会的責務として、税理士報酬を支払う規模に達していない小規模な事業者等に対する税務援助に、全ての税理士が従事することを税理士法で法定(義務)化することを検討しております。その他、税理士の代理権限を充実すること、職業賠償責任保険の義務化などが検討されております。
 今回の改正では「納税者の利便の向上に資するとともに信頼される税理士制度の確立」を目指し、より時代の要請にマッチした社会的に有用な税理士制度に生まれ変わるものと思います。ご注目頂きたいと思います。

(税理士 猪塚功)
10月 05 2009

事業承継(17) 「特別の関係がある者」で納税猶予注意

株主構成の確認を確実に

* .アゴ博士、質問です。相続税や贈与税の自社株の納税猶予を受けるのに、先代経営者は親族等の内で筆頭株主でなければならないそうですが、この判定が難しい時があるそうですね。
* .そうなんじゃ。余程注意せねばならん!4駒マンガの1駒目のように、納税猶予に係るA社の株主の中の、「特別の関係がある者」の内で先代が筆頭株主でなければならんのじゃが、この時、後継者の方が40%で多くても、この「特別の関係がある者」には「後継者を除く」とされているので、後継者を除くと筆頭のように見える。しかし2駒目のように、35%を持つB社の議決権は、先代が全て持っておるので、B社も「特別の関係がある者」となるのじゃ。そうすると、B社が筆頭となるため、納税猶予が受けられんのじゃ。
* .この「特別の関係がある者」の定義はどうなっているのですか?
* .3つある!第一に、先代の親族。第二に、先代と親族とが議決権の50%超を有する会社。これがB社に該当するわけじゃ。さらに第三に、先代と第一と第二の者が議決権の50%超を有する会社じゃ。
* .第三の例は、どんな場合ですか?
* .4駒目がそれで、じっくり判断せねば判らんぞ!まずC社は親子で60%で第二の関係から「特別の関係がある者」となる。次にD社の判定をすると、第二の者であるC社が40%と先代の親族の後継者が15%で、計55%となる。これが第三の関係となり、これも納税猶予は受けられんのじゃ!
* .ひえ~っ!クラクラしてきましたぁ!

(税理士 牧口晴一)
10月 01 2009

『所得税』について

所得税は、個人の一年間の所得=「もうけ」に対してかかる税金ですが、どんな所得にもかかる訳ではありません。所得税のかからない所得には実にさまざまなものがあります。これを「非課税所得」といいます。次のような相談をよく受けます。

.勤務先が倒産したため、失業手当を受け取っています。この失業手当に税金はかかりますか。

.失業手当は非課税所得ですので、課税されません。

.定額給付金を受け取りましたが、税金はかかりますか。

.定額給付金は非課税所得ですので、課税されません。

.裁判員として裁判所に出頭しました。裁判所から日当を受け取りましたが、この日当は確定申告する必要がありますか。

.裁判員の日当は、雑所得として確定申告する必要があります。

.サラリーマンです。中古車を販売店に売ったり、古着や古本を業者に買い取ってもらった場合に、税金はかかりますか。

.生活に通常必要な動産を売った場合は、課税されません。

.宝くじに当せんしました。この当せん金に税金はかかりますか。

.「日本の宝くじの当せん金は非課税所得ですので、課税されません。

 失業手当や生活保護費、定額給付金、宝くじの当せん金など、非課税所得は法律で細かく決められています。非課税所得にどんなものがあるのか、インターネットで調べることができます。しかし、中には判断に迷うものもありますので、そんなときにはお近くの税理士会や税務署までぜひお問い合わせください。

(税理士 宮脇治嘉)

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