3月 01 2010

青色申告制度について ~節税メリットが多い青色申告~

.勤務先の会社を退職し妻と二人で飲食店を4月1日に開業しようと思います。今後は確定申告をしなければならないと思いますが、先日不動産貸付業の友人から青色申告でやった方が得だとの話を聞きました。青色申告とはどのような制度ですか。

.個人事業者の所得税の確定申告には青色申告と白色申告の二つの方法があります。
 青色申告を選択するには税務署に届出を行う必要があり、一定の帳簿書類を備え付けるなどの義務を負いますが、そのかわりに所得の計算において様々なメリットを享受することができます。
 主なメリットは、(1)青色申告特別控除として経費とは別に最高65万円までの控除が受けられます。(2)青色専従者給与としてあらかじめ届け出た家族従業員に支払った給与が経費に算入できます。(3)事業上の損失を3年間繰越控除できます。ここで改めてあなたに青色申告が認められる条件をまとめますと、(ⅰ)開業年から青色申告を選択する場合は開業日から2ヶ月以内に、また、開業の翌年以降に選択する場合はその選択する年の3月15日までに所轄税務署に「青色申告承認申請書」を提出すること、(ⅱ)原則として複式簿記により必要な帳簿を作成すること、(ⅲ)帳簿や書類を7年間保存することです。なお、奥様を青色事業専従者とされる場合は(ⅰ)に掲げた期限までに「青色事業専従者給与に関する届出」を所轄税務署に提出する必要があります。
 白色申告の場合でも記帳義務がありますし、元々事業の利益を計算する上で記帳は欠かせない訳ですから、青色申告によって各種の特典を受けた方が得策だと考えられます。
 なお、青色申告の対象者には、事業を行っている人の他にご友人のように家賃や地代収入などの不動産収入のある人も含まれますが、規模により受けられる青色申告の特典が異なりますのでご注意ください。

(税理士 坂井一郎)
3月 01 2010

情報システム委員会とは?

税理士会における「情報システム委員会」と聞いて、何を思い浮かべますでしょうか?
 今、私たち名古屋税理士会は、電子申告の普及に取り組んでおります。電子申告は平成16年に導入されましたが、それに対応するため、臨時的に『電子化対応特別委員会』を立ち上げ、研修会を開催するなど普及に努めてまいりました。
 税理士事務所の日常業務は、関与先の法人・個人企業の日々の経済活動を記録・会計処理して財務諸表を作成し、それに基づいて税務書類を作成することです。この日常業務を行う上で、いまやパソコンは必需品となり、I T化は税理士の業務にも浸透しつつあります。そんな中、昨年より、名古屋税理士会全体のI T化の牽引者として活動していくことを目的とし、名称を以前の『電子化対応特別委員会』から『情報システム委員会』と変更し、常設の委員会となりました。現在、情報システム委員会は、名古屋税理士会17支部から各1名ずつ、そして委員長・担当副会長・担当専務理事を含め合計20名で構成され、毎月1回開催される委員会で、会務のI T化などについて協議を重ねております。委員会開催の案内や委員会当日の資料なども、以前はFaxを使用していましたが、IT化に伴い、すべて電子メールでやりとりするようになりました。
 そこで今回、情報システム委員会で最も力を入れているe-Tax(国税電子申告システム)について、少しお話させていただきます。
 ただ今、個人の所得税の確定申告期間(2月16日から3月15日まで)の真っ最中。サラリーマンは、年末調整でその年分の所得税の課税関係は終わりますが、次のような人は、確定申告をすれば納めた所得税が戻ってきます。

1. その年に、一定額以上の医療費を支払った人
2. その年に、一定の住宅の購入・新築または、一定の増改築等を金融機関からの借入で行った人

 これらの還付申告をe-Taxで行えば、わざわざ会社を休んで税務署に行く必要もなく、確定申告期間中は24時間受付してくれるため、会社が終わって自宅に帰ってから申告することができますし、通常の用紙で申告したときよりも早く還付金が戻ってきます。
 では、ここで簡単にe-Taxの手順を紹介します。
 まず、e-Taxを利用される前に以下の3点の手続きをお願いします。

1. 電子証明書及びカードリーダー等の取得
2. 開始届出書を提出し、利用者識別番号を取得
3. 電子証明書等の登録

 あとは、国税庁が提供するe-Taxソフト等をダウンロードし、初期登録すれば準備完了です。(詳しくは、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー(http://www.e-tax.nta.go.jp)」をご覧ください。)
 情報システム委員会では、時代の流れと共に改良され続けている電子申告の利用者拡大に向け、更に、平成22年度までに、名古屋税理士会に登録された税理士の半数以上が、関与先の申告を電子申告するという目標を掲げ、色々と創意工夫を凝らしております。
まだ確定申告がお済みでない方、また電子申告に興味を持たれた方、一度電子申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。もし、何かご相談等ありましたら、最寄りの税理士事務所までお尋ねください。

(税理士 前川直彦)
3月 01 2010

住宅取得等資金の贈与の非課税措置の拡大

昨今、ニュースなどで取り上げられていることから、人から財産をもらった場合、その財産の額によっては「贈与税」がかかることは、みなさんご存じのことと思います。段階的に税率は変わりますが、1000万円を超す贈与の場合、50%の高い税率(そこから225万円を引く)で贈与税を納める必要があります。
 しかしながら平成22年度税制改正では、住宅取得等資金の贈与の非課税限度額が現行制度の500万円から、平成22年中に贈与を受けた人で1500万円、平成23年中に贈与を受けた人で1000万円に引き上げられる予定です。自分が住むための家屋とその敷地を取得するために資金を贈与された場合、 1500万円(1000万円)までは贈与税がかからないというものです。
 ただし、この非課税制度の適用を受けるには、次のような要件が付加される予定です。

* 父母や祖父母など直系尊属からの贈与であること。配偶者の父母や祖父母からの贈与は含まれない。
* 贈与を受けた人が、受けた年の1月1日において20歳以上であること。
* 贈与を受ける年の合計所得が2000万円以下であること。(新たな要件)
* 資金を贈与されてから翌年の3月15日までに住宅取得等にその資金を充てて、その日までにまたはそれから間をあけないで住み始めること。
* その他取得した建物についての要件等。また、翌年には贈与税の申告が必要です。

 なお現行の500万円の非課税制度と前記の拡大される非課税制度は、平成22年においては選択して適用できる予定ですので、所得が2000万円を超える人は、現行の500万円の制度が使えることになります。
 また、贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税の二つがあります。

暦年課税

 1年間※にもらった財産の合計から基礎控除の110万円を引いたものをベースに税額を計算します。「110万円までは贈与税がかからない」と言われるのは、この方法で計算する場合基礎控除が110万円あるからです。また、この方法で計算したものは、将来、贈与者が死亡して相続が発生した時、相続税の計算に加算する必要がありません。ただし、相続の発生前3年間の贈与については110万円以下でも加算する必要があります。

相続時精算課税

 相続時精算課税制度を選択すると、贈与者から1年間※に贈与を受けた財産の価額の合計から2500万円の特別控除を控除した残額に贈与税がかかります。2500万円までは特別控除ができますので、それに達するまでは何年でも控除していけますが、将来、贈与者が死亡して相続が発生した時、相続時精算課税を利用して受贈した財産も加算して相続税の計算をする必要があります。
なお、従来あった住宅取得資金の贈与に係る特例措置の1000万円の上乗せは廃止になる見込みです。(※1年間は1月1日から12月31日まで)

 これらの贈与税の課税方法と住宅取得資金等の贈与の非課税限度額を組み合わせると、左表の限度額まで贈与税の負担なく住宅資金等の贈与が可能となります。(非課税のかっこ内は現行の制度分)

平成22年の場合
暦年課税選択 相続時精算課税選択
基礎控除 110万円
特別控除 2500万円
非課税 1500(500)万円 1500(500)万円 (現行の制度)
合計 1610(610)万円 4000(3000)万円
相続時 加算しなくてよい※ 加算する ※相続開始前3年以内のものは加算
相続加算額 0 ※ 2500万円


 住宅取得資金等の非課税措置1500万円については相続においても非課税財産となりますので、上記のいずれの方法を取っても、また相続開始前3年以内に贈与があったものでも相続税の計算に加算されないことになります。
 なお、具体的な相談などはお近くの税理士にご相談ください。

(税理士 柘植麻美)
3月 01 2010

事業承継(22) 納税猶予枠を超える部分を持株会に

設立は簡単。だが運営に注意

.アゴ博士。いよいよ確定申告が始まっていますが、贈与税の納税猶予を受けるとしても、猶予の枠は3分の2までですよね。何か方策はないでしょうか?
.そうじゃのう~その3分の2を越える部分については、従業員持株会を組成して、これに例えば残りの3分の1を譲渡するのも一考じゃ。
.従業員持株会に譲渡すると何かメリットがあるのですか?
.4駒マンガのように相続税の節税が図れることが第一じゃが、親族承継が減ってきた現在では従業員や役員等への親族外承継に使われることもあるのじゃ。
.こんなに節税になるとは凄いですね。しかも、納税猶予と異なり、猶予ではなく実質的に納税額が減るわけですから。でも持株会作るのは大変ですか?登記は?
.作ること自体は登記も必要なく恐ろしく簡単じゃ。その代わり、簡単に作れるからこそ幽霊持株会が跋扈(ばっこ)しがちなのじゃ。
.幽霊?それって何ですか?怖そうですね。
.持株会を形式的にだけ作ったことにするもので、当然、調査で否認されると大変じゃ。税金に関係するとなると税理士資格がない者が指導したりすると、税理士法違反になるのじゃ。
.他にも注意がありますか?
.持株会の設計から運営に至るまで、ここでは書き切れんので詳しくは本を読んでもらうとしてのう。一言で申せば、民主的運営と、それを成り立たせる、種類株式の設計じゃろう。

(税理士 牧口晴一)

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