6月 07 2010

消費税のポイントと納税準備

 消費税が導入されて20年余りが経ちました。昨今は消費税率の引上げが頻繁に議論され、税収面での重要性が今後も増大することと思われます。消費税率の引上げにともない、事業者の納税額も大きくなる可能性がありますので、消費税に対する理解を深め、適切に対処していくことが必要です。事業者としての消費税の基本事項をご紹介します。

1.消費税の性格
 消費税は、消費一般に広く公平に課税する間接税です。「預かった消費税」から「支払った消費税」を差引いて、残った金額を納付しますので、本来は事業者に負担がかかるものではありません。税金分は事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて、次々と転嫁され、最終的には商品、サービスの提供を受ける消費者が負担することになります。

2.2種類の課税方式
 消費税の課税方式は2種類あります。原則課税方式と簡易課税方式です。

 原則課税方式
 「預かった消費税」から「支払った消費税」を差引いて納税額を計算します。消費税の基本的な考えに沿った計算方式で、通常はこの方式により計算して納税します。

 簡易課税方式
 先に述べました原則課税方式は、「預かった消費税」と「支払った消費税」の両方を計算しなければなりません。ところが中小の事業者、特に小規模の個人事業は簡易な帳簿に頼る事業者もあり、「支払った消費税」を正確に算出することが負担となる事業者もいます。そのため、消費税法では、基準期間の課税売上高が5千万円以下の中小事業者が選択できる課税方式として、簡易課税方式が設けられています。
 この簡易課税方式は、「預かった消費税」に一定率(みなし仕入率)を掛けて算出した額を「支払った消費税」とみなして簡便的に納税額を計算する方法です。大変わかりやすい課税方式ですが、原則課税に比べて不利になる場合もあります。
 例えば大規模な設備投資をした場合や多額の修繕を行なった場合など、みなし仕入率により算出した「支払った消費税」の額よりも、実際に「支払った消費税」の額の方が大きくなる場合があります。このような場合には、簡易課税方式で計算すると、原則課税方式より不利になってしまうことがあるわけです。
 原則課税方式と簡易課税方式のどちらを選択するかについては、選択届出の期限もありますので、早めに税理士に相談することをお勧めします。

3.消費税の納税準備
 消費税の納税時には納税資金に苦労する場合が多々あります。消費税率が引上げられた場合、納税額も大きくなることが予想されますので、経営の安定上、納税予想額を把握できるようにしておくべきです。簡易課税方式を選択した場合は、「預かった消費税」の額が把握できれば、納税額を算定することは容易ですので、月次においても大きな手間をかけずに納税額を知ることができます。原則課税方式で消費税計算をする事業者であれば、税抜処理(取引毎に「預かった消費税」、「支払った消費税」を抜き出して計算する方法)を採用することにより、「預かった消費税」の額と「支払った消費税」の額とを常に把握することができ、納税額を算出することが可能です。消費税の納税に苦労している事業者には、税抜処理による消費税計算の採用をお勧めします。

○簡易課税方式の事業区分とみなし仕入率

事業区分 みなし仕入率 該当する事業
第一種事業 90% 卸売業(他の者から購入した商品を、その性質及び形状を変更しないで他の事業者に販売する事業)
第二種事業 80% 小売業(他の者から購入した商品を、その性質及び形状を変更しないで消費者に販売する事業)
第三種事業 70% 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業等
第四種事業 60% 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業以外の事業(飲食店業、金融、保険業等)
第五種事業 50% 不動産業、運輸通信業、サービス業等(第一種事業から第三種事業までに該当しないもの)

(税理士 出口 茂)
6月 07 2010

研修で日々新たな税知識を

1.はじめに(税理士の使命)
 私たち税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命としています。この使命を果たすためには、逐次改正される租税に関する法令に対応することが必須です。また、納税者の様々な相談に適格に応じるために、日々新しい情報を吸収し、資質の向上に努めています。

2.名古屋税理士会の研修
 税理士にとって必要な情報は、税務雑誌、研修等の方法で得ることが出来ますが、名古屋税理士会では、4,000名を超える会員の資質の向上を図るため、多くの研修会を実施しています。例年2回、名古屋と岐阜の会場で開催される全国統一研修会を主軸として、昨年度に実施された研修は、当会に関連する団体が実施するものを含めて、38種類、研修時間にして160時間以上です。これらの研修は、一部を除き、無料で提供しています。このほか会員が所属する支部でも、支部会員に対して月1回程度の研修を実施しています。これらの研修の内容は、税務に関するものに限らず、会計学、民法、会社法、経済、経営、情報処理等、多種多様な研修を提供しています。
 また、名古屋税理士会の会則では、会員に対し、これらの研修を年間36時間以上受講するよう努力することを義務付けており、会としても、会員が必要とする研修をタイムリーに企画、実施する必要があるのです。

3.今年度の新しい取り組み
 名古屋税理士会では、会員のニーズに応えるため、昨年度から新しい研修の形式を検討してきました。当会は、愛知県名古屋市、知多半島周辺および岐阜県で業務を行う税理士を会員としており、それぞれの会員の活動拠点は広範囲に渡ります。現在の研修は、研修会場において受講する形式ですので、研修会場から遠方の会員のことを考慮し、今年度は、名古屋税理士会のホームページ上で一部の研修をインターネット配信するということを企画しています。このようなネット配信型の研修を会員に提供することにより、時間や場所の制約を受けずに、効率良く研修を受講することができます。また、この取り組みは、自動車等を使用して会場まで行かずに済むということを考慮すると、エコにも繋がるのではないでしょうか。

4.おわりに
 今後も税理士という職業が、多くの納税者、ひいては国民からの信頼を得続けていくためには、税理士ひとりひとりが知識を深めるための自己研鑽を怠らず、資質の向上に努める必要があります。名古屋税理士会の実施する研修は、会員の資質向上の一端を担っており、研修の実施を含めた会の活動が、適正な申告納税を実現するとともに、納税者を守ることにも繋がることと期待したいと思います。最後になりますが、納税者の皆様、タイムリーに税務の知識を更新している税理士を、是非お気軽にご活用下さい!

(税理士 林めぐみ)
6月 07 2010

事業承継(25) 強制されるグループ法人課税

9月末までに方針を決める

  • Q.アゴ博士。今年度税制改正によって、100%子会社などの場合にはグループ法人課税が強制されるんですね。
  • A.そうじゃ。事業承継対策などで子会社を設立してグループ経営をしている会社は少なからずあるから、今の内に得失を検討して完全支配関係になるのか離れるのか決めることじゃ。
  • Q.いつから適用になるのですか?
  • A.本年10月1日の取引からが原則じゃが一部分については4月から始まっているものもある。
  • Q.10月1日から開始する事業年度ではなく、途中からでも変化するのですね。で、内容は?
  • A.全部を詳しく述べる紙面はないので、全てに共通する要点を2つお話しよう
    まず完全支配関係の間での取引に損益を生じさせない仕組みにすることじゃ。したがって、4駒マンガのように、子会社同士の寄附金は双方とも損益を生じないように申告調整をすることになるのじゃ。
    2つ目に、強制されるのは100%の完全支配関係に限定されるが、この判定がなかなか難しい。例えば従業員持株会など5%未満の場合の例外などもある。またマンガの場合、一つの法人が支配しているのじゃが、この頂点が個人の場合には、さらに複雑になるから注意じゃ。
  • Q.相当勉強しなければなりませんね。
  • A.そうじゃ。連結納税制度は選択性じゃが、グループ法人課税は強制じゃからのう。
(税理士 牧口晴一)
6月 01 2010

贈与税について

Q.私はこの春大学を卒業して就職しました。在学中は一人暮らしをしていて、親から毎月の仕送りと学費の支払いをしてもらっていました。その金額は一年間に150万円くらいでした。贈与税の申告はしていませんが、問題はありませんか。

A.扶養義務者である親からもらったお金のうち、通常の日常生活に必要な金額の生活費や、学費や教材費などの教育費に充てるためのものについては、贈与税が課税されないことになっています。

Q.通勤のための自動車を買いたいのですが、そのお金を親からもらった場合は贈与税が課税されますか。

A.自動車は通常の日常生活に必要とはいえませんので、その購入のためにもらうお金が110万円を超える場合には、贈与税が課税されます。

Q.自動車の購入のために150万円をもらった場合は、贈与税はいくらになりますか。

A.この場合、150万円全額が贈与税の課税の対象となるわけではありません。150万円から基礎控除額110万円を差し引いた40万円が課税の対象となります。この金額に税率を掛けます。このケースでは課税の対象となる金額が200万円以下なので、税率は10%で、税額は4万円となります。

Q.親からお金を借りた場合は、贈与ではないので贈与税は課税されませんか。

A.借りたお金はもらったわけではありませんが、親子間の場合、返済条件があいまいで、「ある時払いの催促なし」ということが多いようです。このような場合には、贈与とみなされることがあります。くわしくはお近くの税理士にご相談ください。

(税理士 倉智子)

WordPress Themes