8月 02 2010

消費税法の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用の改正

 平成22年度の税制改正で消費税法の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用の改正が行われました。

課税事業者を選択した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用の見直し

 免税事業者が消費税課税事業者選択届出書を提出して一般課税を選択した場合において、その事業者が、課税事業者の選択が強制される期間中(2年間)の課税選択1期目に、調整対象固定資産(税抜きの支払対価の額が100万円を超える棚卸資産以外の建物などの資産)の課税仕入れを行い一般課税で申告を行った場合、調整対象固定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、課税事業者選択不適用届出書及び簡易課税制度選択届出書は提出できなくなりました。したがって、3年間は一般課税での申告が必要となり、免税事業者となることはできません。
 また、課税選択2期目に調整対象固定資産の課税仕入れを行い一般課税で申告を行った場合、調整対象固定資産の課税仕入れを行う前に、既に課税事業者選択不適用届出書や簡易課税制度選択届出書を提出している場合でも、これらの届出書の提出はなかったものとみなされるようになりました。よって、この場合は課税選択3期目と4期目は一般課税での申告が必要となり、課税選択5期目以降でなければ免税事業者となることや簡易課税での申告はできません。
 この制度は、平成22年4月1日以後に課税事業者で、かつ、同日以後に開始する課税期間から適用されます。

資本金1千万円以上の法人を設立した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用の見直し

 資本金1,000円以上の新設法人が、基準期間がない事業年度の期間中(2年間)の設立1期目に調整対象固定資産の課税仕入れを行い一般課税で申告を行った場合、調整対象固定資産の課税仕入れを行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、免税事業者となることができませんし、簡易課税制度選択届出書の提出もできなくなり、設立1期目から3年間は一般課税での申告が必要となります。
 また、新設1期目は一般課税で新設2期目に調整対象固定資産の課税仕入れを行い一般課税で申告を行った場合、調整対象固定資産の課税仕入れを行う前に、既に簡易課税制度選択届出書を提出している場合でも、当該届出書の提出はなかったものとみなされます。よって、この場合は設立4期目までは一般課税での申告が必要となり、設立5期目以降でなければ免税事業者となることや簡易課税での申告はできません。
 この制度は平成22年4月1日以後に設立された法人で、事業年度の開始の日の資本金が1,000万円以上である法人に適用されます。

これから創業する方は十分な検討と注意を

 資本金1,000万円以上で設立された法人の設立1期目の課税売上が1,000万円以下の場合、設立3期目で消費税の納税義務が免除されますが、一般課税を選択された設立1期目に開業に必要な調整対象固定資産を取得し課税仕入れを行った場合には、設立3期目については免税事業者になることができなくなりますので、設立1期目については簡易課税の選択も含め総合的に検討する必要があります。そして、簡易課税制度の適用を受ける課税期間中に調整対象固定資産を取得した場合には、事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用の見直しはありませんのでご注意下さい。

(税理士 中山清文)
8月 02 2010

相続税評価額について

 相続税・贈与税計算時に用いる財産の価額(=相続税評価額)は、読者の方が売買等で目にする価額(=通常の取引価額)と異なっていることがあります。
 どのように異なっているかというと、『価額が低め』になっていることが多いのです。
 今回はその違いを具体的に説明し、金銭に替えて当該財産で持つことの意味、相続税評価額が低かったとしてもその財産の持つ実質的価値、等がイメージできるようになればと考えます。

 相続税・贈与税計算時に用いる財産の価額は、「通常の取引価額」と異なることがある、というのはご存知でしたか?
 もちろんご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、異なっていることを知っているか知らないかでは大きな違いが出てきます。
 例えば、相続が起こり遺産分割した際、その財産目録の財産額が相続税評価額で示されていたとすれば、金額上均等分割したことになっていても、実質的価値は偏りが生じていることがある、といったことが挙げられます。
 今回は、その価額が異なっている財産の代表的なものを説明していきます。

 一つ目に土地が挙げられます。
 土地は、公示価額(=通常の取引価額)を100とした場合、相続・贈与の評価額(=相続税評価額)は80%の水準となります(こちらについては、いろいろな記事で掲載されているため割愛します)

 二つ目にゴルフ会員権等を説明します。
 ゴルフ会員権には様々な種類のものがあるため、順を追って挙げていくと

1.取引相場のある会員権

  • 通常のゴルフ会員権の相続税評価額・・・課税時期における「通常の取引価額」の70%相当
  • 取引価格に含まれない預託金等があるゴルフ会員権の相続税評価額(いわゆる『入会預託金』があるもの等)・・・課税時期における通常の取引価額の70%相当 + 課税時期に返還を受ける預託金等の額(一定期間後に返還を受ける場合を除く)

2.取引相場のない会員権の相続税評価額

  • 株主会員権・・・課税時期において株式として評価した価額(=取引相場のない株式の評価)
  • 預託金制度を用いている会員権・・・返還を受ける預託金等(一定期間後に返還を受ける場合を除く)

プレー権のみの会員権の相続税評価額

  • 評価の対象とならない

4.リゾート会員権の相続税評価額(不動産所有権付施設利用権)

  • 課税時期における「通常の取引価額」の70%相当

 三つ目に一般動産(車、家具、什器備品、衣服、機械など)及び船舶を説明します。

  • 原則的な相続税評価額・・・売買実例価額、精通者意見価格等(=通常の取引価額)(インターネット等の発達により価額の把握も容易になっていることから業者等への売却価額に相当する金額にて評価でもよい)
  • 特例的な相続税評価額(=“特例的”となっているが一般的に用いられる相続税評価額)・・・同種・同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造のときから課税時期までの期間の償却費の合計額又は減価の額を控除した金額

注)償却費または減価の額を計算する場合の基礎となる起算日は『製造の時』からで『取得の時』ではない。耐用年数は耐用年数省令に規定する耐用年数、償却方法は定率法

 また、上述の財産等とは異なり、相続税評価額と通常の取引価額とが一致しているものとして、現預金・上場株式(市場で成立した取引価格を使用する)等があります。

 『相続税評価額』と『通常の取引価額』の違いのある代表的な財産をわかっていただけましたでしょうか?より詳しいことはお気軽に税理士にご相談ください。

(税理士 押田篤)
8月 02 2010

ご存知ですか?書面添付制度

1.「書面添付制度」とは
 書面添付制度とは、税理士法第33条の2に規定する計算書類等が記載された添付書面を基にした税理士法第35条に規定する「税務調査の事前通知前の意見聴取制度」を指します。
 分かり易く表現するとすれば、書面添付制度とは、企業が税務申告書を税務署に提出する際に、その内容が正しいことを税理士が確認する書類(税理士が計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面)を添付する制度です。云わば、税理士が提出した税務申告書について品質保証をする行為です。
 この書面の提出がある場合は、実地調査をする前に税理士に意見聴取をする事になっています。実際に、書面添付の件数としては、全国ベースで14万7千件の添付があります(平成21年3月末)。

2.制度の効果
 この制度は、税理士が税務の専門家として計算等した事項を記載した添付書面について、国税当局は税理士の意見を尊重し、税務執行の円滑化等を図る趣旨であり、税理士のみに付与された権限であります。
 この書面を提出することにより、調査の要否の判断等に積極的に活用されるほか、税務調査の事前通知前の意見聴取の結果によっては、帳簿書類の調査が省略されます。

3.書面添付に求められる水準
 書面添付はすべての企業にできるとは限りません。下記の様な水準が求められます。

  1. 脱税はしない、という強い決意があり、それを実践していくこと。
  2. 日々の現金管理をきちんと行うこと。
  3. 帳票、証憑書、原始記録などの整理、保管をきちんとすること。
  4. 棚卸表を正確に作成すること、etc。

 上記の要件を満たす企業を書面添付企業として、税理士が選定をし、納税者に書面添付の趣旨について説明した上で、書面添付を実施します。

4.書面添付のメリット
 書面添付は税理士による情報開示の手段であり、何らかの直接的なメリットを得る為に行うものではありません。しかし、実際には次のようなメリットが考えられます。

税務署が税務調査を行う場合には、事前に税理士の意見を聞かなければなりません。その結果、疑問点等解消した場合には、調査が省略される事もあります。
決算と申告の水準が高くなるとともに、税務署に対してより多くの情報が伝わります。

 現実として、「書面添付制度」については、納税者の皆さんに周知されているとはまだまだ言えません。一度、納税者の顧問税理士にお尋ね下さい。

(税理士 青山真琴)
8月 01 2010

路線価と固定資産税について

Q.先月「路線価」が国税庁から発表され、道路に価格が付けられていましたが、これはどういう時に使うものですか?

A.土地の相続をした時や贈与を受けた場合、相続税や贈与税の計算をするために、個々の土地の評価額を算定する必要があります。ご覧になった「路線価(相続税路線価)」は、路線価のついている道路に接する宅地の1平方メートル当たりの価格になっていますので、それを土地の面積にかけて評価額を計算する時に使います。

Q.固定資産税の計算の際の土地の評価にもこの路線価を使うのですか?

A.固定資産税の計算の際には、国税庁発表の路線価ではなく、各市町村が独自に算定している「路線価(固定資産税路線価)」を使います。

Q.それぞれは価格が違うのですか?

A.違います。国土交通省から毎年1月1日を評価時点として土地取引の際の目安となる地価公示価格が公表されますが、その8割程度が相続税路線価で、7割程度が固定資産税路線価となっています。

Q.住居の近くに畑を持っています。その土地の固定資産税評価も路線価を基にしているのでしょうか。

A.農地や山林などは、一般的に宅地の評価額を算出する方式とは違った方法で評価・算定されています。地域によっては路線価が付与されていないところもあり、そのような地域では地目ごとに一平方メートル当たりの価格が決められていますので、それらを基に算出されています。

Q.固定資産税路線価はどうしたら見ることができますか?

A.どなたでもその土地の存在する各市町村の税務課で、固定資産路線価図を閲覧することができますし、財団法人 資産評価システム研究センターのホームページで見ることもできます。

(税理士 柘植麻美)

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