11月 08 2010

「税を考える週間」に向けて

 税理士は、日頃から租税の意義や重要性を説き、納税意識の高揚を図る努力を行っています。その一環として、名古屋税理士会においても、日本の将来を担う小中学生・高校生向けに租税教室を開催しております。

  1. 税金はどんどん払いたい!
  2. 国民の義務だから払わなければいけない
  3. みんなのより良い生活のために払う
  4. 払わなくてよいのなら払いたくない
  5. 別に関係ないし…どうでもいいよ

 以上の5つの選択肢より挙手してもらう事から、私の「税理士による中学生のための租税教室」が始まります。生徒たちは(2)の国民の義務だから…と(4)の払わなくてよいのなら払いたくないを選択することが多いのですが、授業時間の終了を告げる50分後には(3)のみんなのより良い生活のために払うを選択する生徒が一番多くなります。
 読者の皆さんの中でも、自分自身がいくらの税金を払っているかすぐに答えることが出来る方は少ないのではないでしょうか。ましてや、所得税と言われる国税がいくらで、住民税と言われる地方税がいくらと明確に答えられる人はもっと少ないでしょう。そのような環境の中では、家庭の中で税金の話題が上ることはあまり多いとは思えず、子どものうちから税金について考える機会は皆無といっても過言ではないでしょう。
 私たちが租税教室を行うことで、子どもたちは「救急車が無料で来てくれる」事も「自分たちが使っている教科書が無料で配布される」事も「ごみが毎週回収される」事も税金があるからこそだと初めて認識し、あらためて税金の大切さを知ることになります。
 名古屋税理士会では、名古屋市と知多半島の5市5町、岐阜県内全域に17支部を擁する税理士団体で、そのすべての支部において租税教室が積極的に行われています。「税の専門家である税理士による租税教室」は多くの開催校で大変喜ばれていますが、今後は税金がより身近になってくる世代に、税金の計算から使われ方までを自分の事として再認識・再考し、納税意識の高揚につなげて頂きたく、社会に出る前の大学生や、一般の方向けにも租税教室を開催していきたいと考えています。

 毎年11月11日から17日までの1週間は「税を考える週間」です。この週間が定められた目的は、国民の皆さんに税の仕組みや目的などを考えていただき、国の基本となる税に対する理解を深めていただこうというものです。税理士も税の専門家として、この「税を考える週間」の期間中は税務相談などの行事を積極的に行っています。詳細につきましては名古屋税理士会までお尋ね下さい。

(税理士 小原香織)

11月 08 2010

オーナー課税制度の廃止について

 平成22年度の税制改正で法人税法の特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度(いわゆるオーナー課税制度)が廃止されました。

1.オーナー課税制度創設の背景

 この制度は、平成18年に大改正された会社法に呼応するように同年の税制改正により新設されました。会社法では、最低資本金制度を撤廃し資本金1円でも会社の設立が可能となり、容易に会社を設立できるようになりました。法人税法では、実質一人オーナー会社が設立された場合を視野に、一定の同族会社のオーナー役員に対する給与(役員報酬)については法人経費と給与所得控除との『二重控除』となるとの見解から、税負担の公平を図るとの趣旨で、この制度が新設されました。

2.オーナー課税制度の問題点

 この制度に対しては、主に次のような問題があるとの批判がありました。

  1. 会社法の立法趣旨は、容易に会社が設立できることで起業を促進させ、経済活動の活性化を図ることにあるが、同制度は税制面からの新たな制約を生み出し起業しようとする者の起業意欲を損なってしまうおそれがある
  2. 既に役員給与として社外に流出してしまった金額の一部を課税対象とするのは、明らかに担税力の無いところに課税がなされ、応能負担の原則に反する
  3. 法人税法の規定に所得税法の概念である給与所得控除を混入することは租税法の体系を無視したものであり不合理である
  4. 役員給与は特殊支配同族会社のみが支払うものではなく、それ以外の会社においても同様に支払われるものであるのに、一方の役員給与だけを『二重控除』として課税することは、会社法上、等しく有効に成立した会社間で公平性を欠くものである

3.オーナー課税制度の廃止

 平成22年度税制改正大綱によれば「この制度は、特殊支配同族会社の業務主宰役員は自ら給与を決めることで税負担の調整を図ることが可能であるという点を踏まえ、そうした役員給与が法人段階で損金算入され、個人段階でも給与所得控除の対象となる『二重控除』の問題に対抗するために設けられたものです。しかし、この制度については、『二重控除』を是正する手段として適当かといった批判がある」として制度の廃止を決定し、同制度は、平成22年4月1日以後に終了する事業年度から適用されないこととなりました。

4.オーナー課税制度廃止後の展望

 この制度は平成22年度税制改正で廃止されましたが、今後は、給与所得控除を含めた所得税のあり方について議論をしていく中で、個人事業主との課税の不均衡を是正し、『二重控除』の問題を解消するための抜本的措置を平成23年度税制改正で講じることとされ、オーナー課税制度に代わる新たな制度が導入されるもようです。具体的には、一般の給与所得者と業務主宰役員の給与所得控除の仕組みを別ものとし、業務主宰役員の給与所得控除に上限を設けることなどが検討される可能性があります。

(税理士 呉岡文二)

11月 04 2010

住宅取得借入金について

 今日は、住宅ローンで住宅を取得した方のための所得税の優遇制度についてご説明したいと思います。

減らすことのできる税額

 それでは実際ににいくら税金を減らすことができるのでしょうか。平成22年に新築住宅を購入した場合は以下のような計算式で控除税額を算出できます。
   控除可能な期間:10年間
   [住宅借入金の年末残高] × 1% = [控除額(最高50万円)]
 例 借入金の年末残高が3,000万円の場合、控除される税額は30万円となります。

適用要件

1.住宅について

 取得した住宅が新築住宅でも中古住宅でも次の3つに必ず該当しなければなりません。(ただし、中古住宅の場合には築年数に制限があります。)

  • 主として生活している居宅であること
  • 床面積のうち2分の1が居住専用のスペースであること
  • 床面積は50㎡以上であること

2.借入金について

 借入金についての要件は、返済期間が10年以上でかつ分割で支払う契約であることが必要です。借入先の規定もありますが、銀行や住宅金融支援機構は控除の対象となります。

3.住宅を取得した方について

 住宅を取得した方の取得後の状況についての条件については図1に記載の通りです。
 合計所得が3,000万円というのは給与所得や事業所得、不動産所得などすべての所得の合計額のことです。

控除を受けるための手続き

1.住宅を取得した年の手続き

 翌年3月15日までに次のような手続きが必要となります。これは、毎年年末調整をしているサラリーマンも必ず必要ですのでご注意ください。

  1. 図2の書類を用意する
  2. 確定申告書を作成する。(具体的な方法は国税庁発行の手引を参照してください。)
  3. 1と2を合わせて税務署に提出する。

2.住宅を取得した年の翌年以降の手続き

 1または2の手続きを取る必要があります。毎年必要ですので注意してください。

  1. 確定申告をしている方の場合
    • 申告の時に次のような手続きが必要です。
      1. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書を添付する
      2. 確定申告書の「住宅借入金(取得)等特別控除」欄に必要事項を記入する
  2. 給与所得者の場合
    • 以下の書類を勤務している会社に提出し、年末調整で控除を受けます。
      1. 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(あわせて「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」も記載されています)
      2. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書

参考

 前述の他にも次のような制度がありますので、参考までにご紹介します。
  ・「認定長期優良住宅」に該当する新築住宅を新築・購入した場合
    → 普通の新築住宅とは違い、
       [住宅借入金の年末残高]×1.2%=[控除額(最高60万円)]となります。
  ・居宅に一定の増改築を行った場合
    → 改築工事費が100万円以上であるほか工事の内容にも制限があります。
   ※2件とも、適用要件1の「新築住宅の条件」に該当している必要があります。

おわりに

 この控除は所得税を大きく減らすことができます。ただし、その分控除が認められなかった場合のリスクが高くなりますので税理士にご相談されることをおすすめします。

図1 取得後の適用要件

(税理士 飯田哲也)

11月 01 2010

寡婦控除について

Q.夫が亡くなった場合、妻が税制上の優遇を受けられると聞きましたが、どのような制度ですか。

A.「寡婦控除」(かふこうじょ)という制度です。寡婦である女性の所得税と住民税の計算をする場合に、所得税の所得金額から27万円(住民税の場合は26万円)を控除します。寡婦とは、次の(1)から(2)のいずれかに該当する人です。

(1)夫と死別あるいは離婚後に再婚していない人や、夫の生死が不明で扶養親族あるいは生計を同じくする子どもがいる人。(子どもの所得が38万円以下であるなどの要件があります。)

(2)夫と死別後に再婚していない人や、夫の生死が不明の人で合計所得金額が500万円以下である人。(この場合、扶養家族や子どもの有無は問いません。)

なお、次の(3)に該当する人は「特定の寡婦」といい、所得税の所得金額から35万円(住民税の場合は30万円)を控除します。(1)(2)の一般の寡婦よりも優遇されます。

(3)夫と死別後に再婚していない人や、夫の生死が不明の人で扶養親族である子どもがいる人。かつ、合計所得金額が500万円以下である人。

Q.妻が亡くなった場合、夫が受けられる税制上の優遇はありますか。

A.「寡夫控除」(かふこうじょ)という制度があります。寡夫とは次の要件に該当する人をいいます。一般の寡婦控除と同じ金額の控除が受けられます。
妻と死別後、もしくは離婚後にに再婚していない人や、妻の生死が不明の人で生計を同じくする子どもがいる人。(子どもの所得が38万円以下であるなどの要件があります。)かつ、合計所得金額が500万円以下である人。

(税理士 宮脇治嘉)

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