12月 06 2010

税理士のにせ者について ~相談する相手を間違えないで~

 税理士となる資格を有するものが税理士となるには、日本税理士会連合会が備える税理士名簿に登録されなければなりません。それぞれの税理士会を通じて、一連の手続きを経て登録がなされます。税理士名簿には氏名、生年月日、事務所名およびその所在地その他が登録され、登録番号が付与されます。従って税理士は所属税理士会と登録番号が必ずありますので、それが明らかでないものは「にせ税理士」ではないか、ということになります。たとえ税理士になる資格があっても、登録がされていなくては「税理士」とはいえませんではありません。
実際、「にせ税理士」なる者がこの世には存在します。会社の従業員で経理を担当している経理のベテランや、税理士事務所に勤務している者が、在職中や退職後に会社の取引先や税理士事務所の顧問先の申告を引き受けたりして報酬を得ているのです。これはとんでもないことなのです。
 税理士会に登録をしていなければ、他人の申告書を代理で作成したり、税務相談を受けたりすることはできません。これは税理士法という法律で禁止されており、それをすれば、その依頼者から報酬を貰う、貰わないにかかわらず、犯罪となります。「にせ税理士」は、実務経験があって、税務相談や代理申告を引き受けても、申告書に税理士として署名押印ができませんし、いい加減な申告書を作成して問題がおきても、その責任は取りません。結局税務相談をし、申告を頼んだ納税者自身が責任を負わなければならなくなります。
 さらに、「にせ税理士」が巧妙になりますと、実在する「税理士」の名前と印鑑だけを借りて申告を行う場合もあります。この場合はその名義を貸した「税理士」にも厳しい罰則があります。
 納税者の皆さんが税務相談、税務申告の依頼や継続的な顧問契約をするときには、先ず、その相談等の相手から税理士証票の提示を受け、所属税理士会、登録番号を確認することが肝要です。本物の税理士は税理士業務を行うときには、税理士証票を携行し、税理士会員章(バッジ)を着用し、「にせ税理士」との区別が常にできるようにしております。税理士は税務に関する専門家として、納税義務者の信頼にこたえ、税法に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とし、税法に精通し、その職責を遂行するため、研修を怠らず、常に教養の保持と品性を磨くことを義務とされています。本物とにせものの違いを是非認識いただきたいと思います。世にいろいろな「にせ税理士」がおりますが、「にせ税理士」に申告や税務相談を頼むことで、被害をこうむるのは結局依頼者自身です。
 今年は50年に1度というきのこの当たり年で、沢山のきのこが生えました。上から見ると、本物そっくりの「毒きのこ」も沢山生え、間違って食べたり、売られたりして大騒動になりました。間違って食べると、30分後には腹痛を起こし、下痢や嘔吐を繰り返し、時には命を落とすこともあるそうです。きのこの本物と偽物の区別は十分調べないと大きな事故につながります。正に「税理士」と「にせ税理士」も同じです。

(税理士 酒井忠造)

12月 06 2010

年末調整

年末調整って何?

 年末調整はなぜ行うのかといいますと、結婚・出産により扶養親族の数が変わる場合は1月にさかのぼって税額を計算するのではなく、変更があった月から計算します。また、生命保険料控除や配偶者特別控除などを年末に計算して控除することになっているからです。
 このようなことから、給与所得者(サラリーマン、パートタイマー、アルバイトなど)が勤務先から毎月の給与や賞与から引かれた所得税をその年の最後にもらう給から、その年の所得税を計算して納め過ぎた額、納め足りない額の精算が行われます。これを年末調整といいます。

 給与所得者のうち大多数の人は年末調整によって所得税の納税を済ますことができるので、確定申告をする必要はありません。

年末調整をする人

 1年間を通じて勤務している人、年の途中で死亡により退職した人、その年の最後の給与をもらった後に退職した人。

年末調整ができない人

 1年を通じて勤務していたが給与の総額が2,000万円を超える人、年の途中で入社・退職した人、年末調整を行うまでに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人など。

給与所得から差引かれる主な控除

(1)配偶者控除(38万円)
 所得者と生計を一緒にする配偶者で合計所得が38万円以下の人

(2)扶養控除(38万円)
 所得者と生計を一緒にする扶養親族で合計所得が38万円以下の人

(3)特定扶養控除(63万円)
 (2)のうち16歳以上23歳未満の人(昭和63年1月2日から平成7年1月1日の間に生まれた人)

(4)障害者(一般)控除(27万円)
 所得者本人、控除対象配偶者および扶養親族で障害者に該当する人

(5)障害者(特別)控除(35万円)
 (4)のうち特別障害者に該当する人

(6)寡婦控除(27万円)
 イ 夫と死別または離婚した後に再婚していない人、夫の生死が明らかでない人で扶養親族または生計を一緒にする子がある人
 ロ イのほか合計所得が500万円以下の人

(7)寡夫控除(27万円)
 妻と死別または離婚した後に再婚していない人、妻の生死が明らかでない人で扶養親族または生計を一緒にする子があり、かつ、合計所得が500万円以下の人

(8)勤労学生控除(27万円)
 所得者本人が児童、生徒、学生または訓練生である人

(9)配偶者特別控除(38万円を限度)
 所得者が生計を一緒にする配偶者で合計所得が76万円未満の人で、控除対象配偶者に該当しない人

(10)生命保険料控除(10万円を限度)
 生命保険契約(5万円を限度)・個人年金保険契約(5万円を限度)に基づいて支払った保険料や掛け金で所得者が支払ったものをいう

(11)地震震保険料控除(5万円を限度)
 所得者または扶養親族が所有している居住用の家屋、動産などに掛けた地震保険料

(12)社会保険料控除(全額を控除)
 所得者または扶養親族の健康保険料、介護保険料、公的年金等の保険料

(13)住宅借入金等特別控除(一定割合)
 税務署長が発行した「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と銀行などが発行した「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」により計算します

年末調整の流れ(年末調整の図を参照)

  1. 給与の総収入金額を基に計算した給与所得控除額を差引き、給与の所得金額を計算します。
  2. 給与の所得金額から配偶者控除などの諸控除の金額を差引きして課税される所得金額を計算します。
  3. 課税される所得金額を基に年税額を計算します。
  4. 年税額から住宅借入金等控除の金額を差引き、さらに毎月の給与などから差引かれた所得税額を差引きして年末調整による過不足税額を計算します。
  5. 過不足税額については、過大の場合は税金が還ってきますが、不足の場合は納めることになります、これで年末調整が終了します。

年末調整の図

(税理士 大矢力三)

12月 06 2010

相続税の連帯納付義務

 相続税は、本来、相続又は遺贈により財産を取得した人が、それぞれその取得した財産の金額に応じて納税するのが原則です。
 しかし、相続税には「連帯納付義務」という規定があります。
 相続税法第34条において「同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の責めに任ずる」とされています。
 これは、自分が負担すべき相続税を納めたにもかかわらず、他の相続人がその相続税を滞納している場合は、他の相続人の分まで納税しなければならないというもので、税務署は差し押さえをしてでも強制的に税金を取り立てるというものです。
 ここで具体例を使ってこの制度の問題点をあげてみます。

問題点1

 被相続人甲の相続人が子A、子B、子Cの3人で、今回子Aが納付すべき相続税を滞納していたと仮定します。当然税務署は子Aに対して督促や財産の差し押さえ等の手続をとります。それでも回収の目途が立たない場合には、他の相続人(今回は子B、子C)に対して、「相続税の連帯納付義務のお知らせ」を送り、その後、子Aの滞納税額と延滞税を、子B、子Cが支払うことになります。これに不服があっても強制的に取り立てられてしまいます。

問題点2

 相続税の納付は最長20年の延納(分割払い)が認められており、今回子Aが20年の延納の許可を受けたとします。相続税の連帯納付義務は、相続人全員が相続税を完納するまで継続しますから、子B、子Cは、長期間にわたって子Aが負担すべき相続税を自分が負担しなければならないという不安な状態が続きます。また、子Aが滞納しているかどうかの確認をしようとしても税務署は個人情報の保護を理由に教えてくれません。

問題点3

 被相続人甲が生前、子Aに対し財産を贈与して、その際合計2,500万円まで贈与税がかからない相続時精算課税の適用を受けていたと仮定します。子Aはその後将来発生するかもしれない相続税のことを意識せず、その贈与財産を全て使ってしまった場合、相続発生時に相続税が払えなくなることが考えられます。また、子Aの意思によらず災害等により財産が無くなってしまい相続税が払えなくなることも考えられます。このようなケ-スの場合、子B、子Cに対して、相続税の連帯納付義務が発生する可能性があります。

 このように相続税の連帯納付義務とは、相続人にとって非常に恐ろしい制度です。注意していても、いつ我が身に降りかかってくるかもしれません。
 相続税がかかる相続により財産を取得し、かつ、他に相続人がいる場合にこの制度の危険にさらされるわけです。この問題を避ける最善の策というものはありません。強いて言うならば、相続人同士連絡を密にして仲良くしていくことでしょう。

(税理士 成瀬守)

12月 01 2010

医療費控除の還付申告について

Q.今年もいよいよ年末が近づき、年明けの確定申告の準備をしようと考えておりますが、話題の電子申告で医療費控除による税金の還付を受けようと思います。準備するものは何必要でしょうか?

A.先ずは、当然ながら電子申告を利用するにあたって環境が整っていることです。パソコン等によるインターネットが出来る状態、市町村等で自身を証明する「電子証明書」や「カードリーダー」の取得、「開始届出書」の提出や、「利用者識別番号等」の取得などです。

Q.電子申告による還付申告と、従来からある紙の申告書での申告との違いは何ですか?

A.大きな違いは、何よりも申告会場へ出かけなくてもよいということです。2月から始まる確定申告時の申告会場は、多くの納税者で大変混み合います。
 電子申告でしたら通常、月曜日から金曜日の午前8時30分から午後9時まで、ご自宅に居ながらにして申告を完了出来ます。
 また、医療費の領収書などの添付書類を省略することができます(確定申告期限から3年間の保存義務等の条件があります)。
 そして、もうひとつは、決められたフォームに入力して申告書を作成していくので、記入ミスや漏れが極めて少ないということです。

Q.そのほか医療費控除による還付申告で気をつける点がありますか?

A.毎年聞かれる代表的な誤りは「医療費が1年間で10万円を超えないと受けられない」という声です。
 保険金などで補てんされた後の自己負担が、同年の所得の5%(上限10万円)を超えていれば還付申告の対象になります。
 また、お年寄りが利用される介護サービスも、その内容によっては医療費控除の対象になります。

(税理士 渡邊人啓)

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