1月 03 2011

会長あいさつ 年頭所感

 新年明けましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 この一年間税理士会に対する皆様のご支援に対し、あらためて御礼申し上げます。
 新しいこの一年、我々はどのような希望と抱負を持つべきでしょうか。
 現在の我が国は、政治・経済ともに大きな転換点を迎え、はっきりとした方向を見出せないまま手探りで進んでいるといっても過言ではないと言えます。
 特に財政においては引き続き大きな歳入不足を生じており、財政再建のための歳出削減の要請と、経済発展のために必要とされる歳出の増加との挟間の中で身動きが取れない状態にあるといわれています。
 税制においても、人口構成をはじめとする社会構造の変化に対応して、諸税すべてについて根本的に組み立てなおさなければならないところに来ています。また、もっとも層の厚い中間層が経済停滞のため痛んでいるともいわれています。
 このような状況の中で、税について誰がどれだけ負担すべきかをしっかり問い直す必要があるでしょう。さらには給付つまりマイナスの税をも議論されており、それらをしっかりとした国民の議論と理解の中で整理していくべきときであります。
 その中で税理士が、唯一の税務の専門家として国民に対して果たすべき役割はますます重要になってきております。
 税理士は、日本の経済を支えているといえる中小企業をはじめとする実体経済の現場にいるため、税制の影響を代弁できる立場にいます。
 そのためか、税制改正においても、税理士会の意見を求められる場面が非常に多くなり、税制を検討する政府機関への税理士の任用も数多くなって参りました。
 また平成23年度税制改正大綱に「納税者権利憲章の制定や、税務調査手続きの見直しなど納税環境整備に係る諸課題が進展し、その一環としての租税教育の重要性も一層高まる中、税理士の果たすべき役割は今後益々重要になっていくものと考えられます。(以下略)」と記載され、税理士法の見直しについても言及がされました。このように税務の専門家たる税理士は、さらに大きな役割を期待されております。
 まさに本年、一昨年より検討を重ねてきた税理士法改正活動がキックオフを迎えます。
 日本税理士会連合会において昨年9月発足した税理士法改正特別委員会も4回にわたる「税理士法改正に関する意見書(案)」に対する再検討作業を終え、具体的な活動を開始する時期となりました。
 さらにその正念場を迎える平成24年は、税理士制度発足70周年にあたります。
 税理士会は本年その記念事業のための準備にはいりますが、税理士法改正作業を含め、税理士制度はまさに国民の財産であって、国民のため非常に重要な制度であるということの再確認を中心とした記念事業となるでしょう。
 さて名古屋税理士会は、事業活動の基本方針としている「急激に変化する時代、社会からの要請に的確に対応し、誇りある税理士制度の維持発展に努める。税理士法の精神に立脚し、国民・納税者から信頼される税務・会計の専門家としての自覚を持ち、責任を果たすための事業を遂行する。組織機構を見直し、会員の参加しやすい効率的な会務運営に努める」の実現のため、一層の努力をして参ります。
 税理士および税理士会が社会に対しての責務をしっかりと果たしていくことをお約束し、皆様のご多幸と希望に満ちた一年となることを御祈念申し上げまして、新年の御挨拶とさせていただきます。

名古屋税理士会 会長 小川令持

1月 03 2011

課税売上割合が著しく変動した場合の仕入控除税額の調整の制度の概要

 平成22年度の税制改正で消費税法の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用の改正が行われました。この改正により、課税事業者を選択した免税事業者や資本金1,000万円以上の新設法人が、課税事業者の選択が強制される期間中(2年間)に調整対象固定資産を取得した場合には、現行の「課税売上割合が著しく変動した場合の仕入控除税額の調整」をしなければならないケースが生じます。

課税売上割合が著しく変動した場合の仕入控除税額の調整

 消費税法では、仕入に係る消費税額は仕入時の課税期間において控除することとなっています。しかし、固定資産のように長期間にわたり使用されているものについて、仕入時の状況のみで税額控除が終了し、その後の課税売上割合が著しく変動した場合において何ら調整しないということは適切ではありません。そこで、課税事業者が調整対象固定資産を購入し、かつ、その課税仕入等の税額につき比例配分方式により仕入に係る消費税額を計算した場合(課税売上割合が95%以上であることにより課税仕入等の税額が控除された場合を含む)において、第3年度の課税売上割合が著しく変動した場合には、固定資産購入時の消費税額をその第3年度の課税期間における仕入税額控除に加算又は減算することになっています。
 この調整規定は、調整対象固定資産を第3年度の課税期間の末日に保有している場合に限って適用されるので、除却、廃棄、滅失又は譲渡等があったことにより保有していない場合には適用されません。また、仕入等の課税期間と第3年度の課税期間がどちらも原則課税を選択している場合に限り適用されるため、第3年度の課税期間が簡易課税及び免税事業者となっている場合にも適用されません。
 調整対象固定資産とは、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の棚卸資産以外の資産で購入価額(消費税抜き)が100万円以上のものをいいます。また、調整対象固定資産の修理や改良をした場合においても、その支出が資本的支出に該当する場合には、その金額(消費税抜き)100万円以上であれば調整対象固定資産として取り扱われます。
 通算課税売上割合が仕入れ等の課税期間における課税売上割合に対して、著しく変動した場合には、第3年度の課税期間の控除する仕入税額の加減算が必要になります。なお、著しく変動した場合とは、仕入時の課税売上割合に比べて、3年間の通算課税売上割合が50%以上変動し、かつ仕入時の課税売上割合と通算売上割合との差が5%以上の時、この調整計算の対象となります。
 したがって、建物等100万円(消費税抜き)の購入があった場合で、非課税売上又は課税売上が増減した等、課税売上割合が著しく変動した場合には、消費税額の調整が必要になりますので注意が必要です。

税理士 古田貴巳

1月 03 2011

電子申告所感 ~我が事務所の取組~

 平成16年に電子申告制度が導入されてかれこれ6年近くが経ちます。我が事務所では当制度が確実に浸透しておりますが、全国的な普及率からするとまだまだ、といった感がございます。
 私が事務所に入所したのが平成8年。まだ入所したころの日常の業務と言えば、所内で監査及び決算申告業務に向けての勉強、データ、書籍の整理、そして税務署、県税事務所等への申告書提出が主でありました。その頃に一度、税務署に申告書提出に行った際、窓口で担当された方と「いつかはこうして申告書を持ってきて頂かなくても良くなる日がくるのですかねえ。」と何気なく会話を取り交わしたことを今でも覚えています。当時はこの電子申告システムを全く想像していたわけではなく、ただ夢のような話として思い描き、目まぐるしく技術革新、開発を成し遂げてきた我が国ならばさほど遠くない話であろう、そんな程度で考えておりましたが、まさかこれほど早く導入されるとは、というのが正直なところです。
 しかしながら前述の通り、今ではごく自然に電子申告制度を利用している我が事務所ですが、実際の導入に踏み切るまでには2年近くの年月を費やしました。その障壁となったのが顧問先の住民基本台帳カード取得でありました。電子申告制度の説明をさせて頂き、その制度における充分なご理解を頂戴することはできたのですが、如何せん、住民基本台帳カードの取得に際しては、本人取得が原則であったため、時間的な部分でなかなか取得して頂けないというが現状でした。またいくらかの取得費用が発生することもあり、こちらからも催促しにくいというもどかしさもありました。その部分は電子証明書等特別控除(所得税において5,000円の控除)でクリアできると考えていたのですが、「その特別控除を適用してまで電子申告しなくても・・・」ということで、電子申告におけるメリットはさほど浸透せず、導入に踏み切れないのが現状でした。
 結局この障壁は、税理士による電子申告の代理送信が可能になったことで乗り越えることができました。我が事務所は全顧問先の方々に、「電子申告同意書」を作成して署名、捺印を頂き、ほとんどの税務申告を電子申告によって申告することが可能になりました。
 ここまで浸透してきた当制度について、本来のメリットは何か、今改めてふと考えることがあります。当制度において最大のメリットはやはり何と言っても事務所のコスト削減ではないでしょうか。紙媒体の減少に伴うもの、つまり紙媒体の保存、保管スペースの減少。税務署、県税事務所、市役所へ申告書を提出する際の燃料費などの減少。また、コスト面だけではありません。時間的な削減により各所員の労務時間も短縮されました。本当に多くのメリットが生まれたと思います。少なくとも我が事務所ではこのメリットの影響は大きかったと思います。まさにこれこそが「アナログからデジタルへ」なのでしょう。
 ただ、私たちの業務は税理士法第2条に掲げられている税務代理であります。今まさに感じているこのメリットが、顧問先の方々にも何かしらの形で感じて頂ければと切に願っております。顧問先あっての私たちです。是非、顧問先とも電子申告のメリットを共有していきたいと思っています。

(税理士 竹内眞)

1月 01 2011

所得税の不動産所得について

 所得税の不動産所得について簡単に解説してみましょう。

1.不動産所得ってなんでしょうか?

 不動産所得でよく間違えられるのは、土地建物の「譲渡」との混同です。不動産所得は、あくまでも不動産の「貸付から得る所得」であり、不動産の「譲渡から得る所得」とは区別しなくてはなりません。

2.続いて不動産所得の事業的規模についてお話します。

 事業的規模になるかならないかは、税法上においては大きな意味があります。事業などの確定申告は、青色申告と白色申告の二種類がありますが、複式簿記で記帳する青色申告者が、事業的規模を満たしていれば青色申告控除が65万円あるのに対して、そうでない場合は10万円しかないのです。白色申告者の特別控除はありません。
 では事業的規模とはどれくらいの規模を指すのでしょうか。税務当局は、「5棟10室」基準を採っています。つまり単独の貸家が5棟以上か、もしくは貸室全部で10室以上ある場合は、事業的規模として65万円の青色申告特別控除が受けられます。

3.では家族に対する給与について考えてみましょう。

 青色申告者で事業的規模であれば、青色専従者給与の届出を出せば、必要経費として経費に算入されます。この給与支給の要件は色々あり、ここでは取り上げませんが、要するに適正な給与であれば他人に支払う給与と同様に経費になるのです。
 但し、白色申告者にも86万円を限度として事業専従者控除があります。

4.最後に、不動産所得のみの特例計算を説明します。

 個人の所得は、事業とか給与とか、所得ごとに分けられていますが、それぞれの所得を合算して申告する場合、ある所得にマイナスが生じた場合には、これを他の所得から控除することが出来ることを原則としています。これを損益通算と言いますが、不動産所得については、土地等を取得する為に要した負債の利子に関しては、これを損益通算の対象にしていませんので、注意が必要です。
 以上、不動産所得について、重要な部分を簡単に説明いたしました。少しでも皆様のお役に立つことを願っています。

(税理士 小島新治)

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