2月 07 2011

所得税確定申告のあらまし

 年が改まり、個人については昨年一年間の所得を計算し、確定申告をする準備の時期がやってきました。平成22年分の所得税確定申告は、平成23年2月16日から同年3月15日までの期間に行います。
 確定申告とは、一年間に得た所得金額を計算し、その所得について納める税金を計算して申告する手続きをいいますが、その年に源泉徴収や予定納税で納めた税額があるときは、算出した税額からそれらを差し引いた残りの税額を納付することになります。
 さて、確定申告をしなければならない人とはどのような人なのでしょうか。基本的には、平成22年中の「所得の合計額」が「基礎控除その他の所得控除の合計額」を超え、かつ、「算出した税額」が「配当控除額」の額を超える場合となります。
 それでは、所得とは何でしょうか。所得はその性質によって次の10種類に分けられ、それぞれの収入や必要経費の範囲や所得の計算方法などが定められています。

  1. 利子所得・・・預貯金の利子や公社債投資信託の収益の分配など
  2. 配当所得・・・株式や出資の配当など
  3. 不動産所得・・・土地や建物などの不動産や不動産上の権利の貸付などによって生ずる所得
  4. 事業所得・・・商店の経営、医師などの自由業や農業などから生ずる所得
  5. 給与所得・・・勤務先から受ける給与
  6. 退職所得・・・退職金や一時恩給など退職に際して勤務先から受けるもの
  7. 山林所得・・・山林を伐採して譲渡したり、山林を立木のままで譲渡することによって生ずる所得
  8. 譲渡所得・・・資産の譲渡によって生じた所得(資産とは、売買の対象として経済的に価値のあるもの。譲渡とは、所有権その他の財産上の権利を移転させる一切の行為。)
  9. 一時所得・・・1から8の所得に当てはまらず、継続的でなく労務や資産の譲渡の対価でないもの
  10. 雑所得・・・1から9に当てはまらない所得

 また、所得控除は次の14種類があります。(1)雑損控除(2)医療費控除(3)社会保険料控除(4)小規模企業共済等掛金控除(5)生命保険料控除(6)地震保険料控除(7)寄附金控除(8)障害者控除(9)寡婦控除・寡夫控除(10)勤労学生控除(11)配偶者控除(12)配偶者特別控除(13)扶養控除(14)基礎控除

 なお、給与所得者は、普通は年末調整で所得税が精算されているので、改めて確定申告をする必要はありませんが、平成22年中の給与収入が2千万円を超える場合や一箇所から受ける給与以外の給与と他の所得の合計が20万円を超える場合などは申告が必要になります。確定申告をしなくてもよい場合であっても、源泉徴収された税金や予定納税をした税金が納め過ぎになっているときは、還付を受けるための申告書を提出することができます。これは2月15日以前でも提出することができます。
 不動産などの譲渡に係る譲渡所得や山林所得、退職所得は他の所得とは別に分離課税によって申告をする必要があり、計算が複雑です。また、確定申告の必要があるのかどうか迷う場合や計算の方法がわからないなどお困りのときは最寄の税理士にお尋ねください。

(税理士 服部守恭)

2月 07 2011

専門家が実施する税務支援

 税理士会の支部が小学校での租税教育に協力するということで、ある小学校を訪問して校長先生や担当の先生と税金教室の打ち合わせをしたときのことです。最後に先生から尋ねられました。「税理士と計理士は違うんですか?」「弁護士や公認会計士との違いって何ですか?」と。
 計理士というのは今は無くなった戦後の制度ですが、それくらい「税理士とは何か」がまだまだ一般には知られていないようです。
 税理士の仕事は、税務に関する専門家として、中小企業や個人事業者の各種税金の申告や申請、税務書類の作成、あるいは税務相談などをおこなうことであり、この税理士業務は、たとえ無償であっても税理士以外の者が行ってはならないと法律で定められています。
 これは税理士には「独立した公正な立場で適正な納税義務の実現を図る」使命が与えられているためであり、これは「国家の根幹である税法の執行を守る」ことと「納税者が法律で定められている以上の税金の徴収をされない権利を守る」という2つの役割が与えられていることを意味しています。
 そして、税理士以外は税に関する仕事ができないのですから、経済的な理由で税理士や税理士法人に依頼できない納税者に対しても私たち税理士が税理士業務を提供していくことが義務となります。
 そこで社会公共的な役割として、あるいは社会貢献を果たすため、税理士会はさまざまな税務支援事業を実施しています。
 国税局の施策である「青色・白色事業者に対する継続記帳指導」へ税理士会から税理士を派遣したり、名古屋税理士会ビルにおいて一般の納税者向けに「税務相談室」を開設しています。また、青色申告会や商工会議所などについては、指定団体として税務相談や申告書を作成するために税理士の派遣をしております。
 さらに、税理士会の各支部でも「税務相談所」を併設し、小規模な事業者を対象とした無料あるいは低廉な料金にて税務相談や記帳の指導などをおこなっておりますので、関心のある方は名古屋税理士会のホームページにてご確認の上でお問い合わせいただければ幸いです。
 また、本年度もこの確定申告期においては、「年金受給者等に対する説明会」、「所得税・消費税の無料税務相談」、あるいは電話による税務相談「確定申告テレフォンセンター」などを行っておりますし、近年では名古屋国際センターと共同し「外国人のための税理士による無料税務相談」もこの時期に実施するようになっております。
 我々税理士は、税の専門家としての使命を果たすべく、今後も税務支援活動を推進していきたいと考えております。

(税理士 曲直瀬一洋)

2月 07 2011

納税環境整備の行方 ~平成23年度税制改正~

 昨年末に公表された平成23年度税制改正大綱では、高所得者や富裕層により多くの税負担を求める所得税・相続税の見直しと、12年ぶりとなる法人税率の引き下げが決まりました。しかし、大綱にはもうひとつ注目すべき重要な改正が含まれています。国税通則法の改正です。この改正が現実となれば、昭和37年の制定以来、実に48年ぶりの大幅な改正となります。
 大綱では国税通則法の改正を、納税環境整備の一環として行うこととしています。納税環境整備に関しては、昨年民主党が新たに設置した税制調査会専門家委員会の「納税環境整備プロジェクトチーム」において議論されたものが、今回の大綱に反映されました。
 名古屋税理士会においても納税環境整備を目的とした国税通則法の改正については、長年にわたり税制改正要望項目として意見書を出し続けてきたところです。
 では以下において、今回の大綱における納税環境整備に係る重要な改正点について簡単に紹介します。

納税者権利憲章の策定

 国税通則法(第1条)の目的規定を改正し、税務行政において納税者の権利利益の保護を図る趣旨を明確にする。納税者の立場に立って、複雑な税務手続を平易な表現で分かり易くお知らせするとの基本的考え方に沿って、納税者権利憲章を策定する。

税務調査の事前通知

 税務調査について、調査手続きの透明性と納税者の予見可能性の確保の観点から、原則として、課税庁が文書で事前通知を行うことを法律上明確化する。また、調査終了時の手続についても、課税庁の納税者に対する説明責任を強化する観点から、法律上明確化する。

更正の請求

 納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」については、法定外の手続により非公式に課税庁に対して税額の減額変更を求める「嘆願」という実務慣行を解消するとともに、納税者の救済と課税の適正化とのバランス、制度の簡素化を図る観点から、「更正の請求」を行うことができる期間(現行1年)を5年に延長し、併せて、課税庁が増額更正できる期間(現行3年のもの)を5年に延長する。これにより、基本的に、納税者による修正申告・更正の請求、課税庁による増額更正・減額更正の期間を全て一致させる。

理由附記

 処分の適正化と納税者の予見可能性の確保の観点から、全ての処分について、理由附記を実施する。ただし、個人の白色申告者に対する更正等に係る理由附記については、記帳・帳簿保存義務の拡大と併せて実施する。

国税不服審判所の改革

 国税の不服申立手続の見直しについては、「内閣府・行政救済制度検討チーム」の議論が本年本格化することを踏まえて改めて検討を行う。さらに、国税不服審判所の所管を含めた、組織のあり方や人事のあり方の見直しについて検討を行う。

社会保障・税に関わる番号制度

 番号制度は、「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討委員会」を中心に速やかに検討を進める。税務面において番号制度を活用するために、法定調書の拡充や税務情報についてのプライバシー保護の徹底策等の課題について積極的に検討を進める。

(税理士 井川源太郎)

2月 01 2011

一時所得と雑所得について

Q.生命保険契約の満期保険金を500万円受け取りました。確定申告が必要でしょうか?この保険契約で支払った保険料は400万円です。

A.「一時所得」として、確定申告が必要です。一時所得には、この他に懸賞の賞金品や競輪、競馬の払戻金などがありますが、ご質問の保険金以外にこういった一時所得がないとすれば、受け取った保険金(500万円)から支払った保険料(400万円)を引いて、そこから一時所得の特別控除50万円を引いた金額を2分の1したもの(25万円)に対して税金がかかってきます。サラリーマンの方は、働いているところが1か所で年収が2,000万円以下の場合、先程の計算で出た金額が20万円以下であれば確定申告をしなくていいことになっています。ご質問の方は25万円ですので、申告が必要となります。

Q.交通事故で保険金を受け取りましたが、これも一時所得として申告が必要ですか?

A.個人の方が心身や資産の損害に基因して得る損害保険金は非課税となっていますので申告は必要ありません。

Q.生命保険契約の年金をもらっています。これはどのようになりますか?

A.それは公的年金と同じく「雑所得」になります。生命保険契約の年金は総収入金額から必要経費(年金収入に対応する保険料)を引いたもの、公的年金等の場合は、収入金額から公的年金等控除額を引いたものが課税される雑所得となります。

Q.遺族年金も同じように計算するのですか?

A.遺族年金や心身障害者共済制度の年金などは非課税となっています。

(税理士 柘植麻美)

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