3月 07 2011

贈与税について

 この間たまたま入った喫茶店で、熟年のご婦人数人が相続や贈与についての情報交換をしていらっしゃいました。

A子: うちのダンナも70歳を越え、そろそろ相続税の問題が気になり始めたらしく、何か対策を考えとるんだけど、よい節税方法はあるかね?
B子: 私は7年前に土地を売ってまとまったお金が入ったもんだから、その時から同居している家族と、嫁に出した娘2人に、毎年続けて100万円づつ贈与して自分の財産を計画的に減らしているわ。
A子: あんたのとこの娘ってまだ若いでしょう? 若い者にお金を持たせたらせっせと使ってしまって、すぐ無くなってまうよ。
B子: そうそう。だから娘が幼い頃から私が少しづつ蓄えていた娘の名義の預金口座を私が管理しとるもんで、その口座に贈与しとるんだわ。
C子: そのお金のことを娘は知っとるんかね?
B子: そんなもん知るわけないがね。私が全部金庫に入れてしっかり管理しとるで安心よ。
A子: その手があったか! 私の家にも子供が小さい頃から少しずつためていた預金通帳があるから、早速やってみようかな。
D子: ちょっと待って! 最近私の妹のダンナの実家に相続税の調査が入ったらしくて、そのときに、贈与したはずの家族名義の投資信託やら預金やらを、申告漏れ相続財産と認定されてたんまり税金持っていかれたらしいよ。
A子:B子:C子:・・・どうゆうこと?

 ここまで聞いて、「私がご相談に乗ります」と名刺を差し出して話に入っていきたかったのですが、そこは押えて少し考えてみました。世の中には、預金や株式の名義さえ変えておけば贈与があったと考えている方がなんと多いことか。たとえば預金を贈与した場合には、一般的には、通帳や印鑑の管理、その預金での入金や出金、などは当然にその預金の名義人の意志により行われていなければ贈与があったとは認められません。
 贈与とは、与える人が自分の財産を無償で相手に与える意思表示をし、相手方がこれを受諾して初めて効力を生じる契約行為です。契約といっても、契約書を作成せず、口頭でのやり取りでも有効とされています。しかし、与える人の一方的な贈与の意思表示のみでは民法上の贈与は成立していないことになります。また、贈与を受けた人は、その贈与を受けた財産について、当然に自らの意思で管理、運用し、また、与えてくれた人の意思にかかわらず、自由に処分することができる、そのような状態になって始めて贈与された財産と認められる訳です。
 B子さんのように、預金の名義人である子供たちに内緒でお金を移動しても、名義人がそれを知らず、通帳と銀行印の管理もしていない場合は贈与とは認められず、B子さんが家族の名義を使用して自分の財産を運用していたものと判断されます。
 将来、B子さんがお亡くなりになり相続税の調査があれば、B子さんが管理していた家族名義預金は、B子さんの相続財産と認定され、相続税が課税される結果となるでしょう。

(税理士 志村亘)

3月 07 2011

グループ法人税制

 我が国の企業は、分社化や完全子会社化による企業グループの形成など、企業グループの一体的な経営を展開している。その実態に着目して、100%支配関係にある法人グループ内の取引について、含み損益の課税を繰り延べるなど円滑に資産移転ができるように、平成22年度税制改正によりグループ法人税制が導入されました。この制度は、100%支配関係にある法人グループ内の取引であれば、資本金など会社の規模に関係なく強制的に適用されます。グループ経営における選択が増えたことは良いことですが、管理上の事務手続きが増加するため、中小企業にも大きな影響があると考えられます。

1.グループ法人税制の適用法人

 グループ法人税制は、完全支配関係のある内国法人を対象にしています。この完全支配関係は、次の2種類に分けられます。

  1. 一の者(法人又は個人同族関係者)が法人の発行済株式等の全部を直接、もしくは間接に保有する関係(これを当事者間の完全支配関係といいます)。
  2. 一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係とされており、グループ法人税制の適用範囲は図解のようになります。

2.グループ法人間の資産譲渡取引

 平成22年10月1日以降に、完全支配関係のある法人に、簿価1,000万円以上の資産など一定の資産を譲渡した場合には、その譲渡損益はその時点では認識せずに繰り延べます。そして、譲受法人がその譲受資産を譲渡するなど一定の事由に該当した時に、譲渡法人において譲渡損益を認識します。
 例えば、100%親子会社間で親会社から簿価3,000万円(時価5,000万円)の土地を子会社へ売却した場合、これまでは親会社では売却益2,000万円(=5,000万円-3,000万円)が計上され、法人税が課税されました。しかし、グループ法人税制では、親会社はこれまでと同様に売却益2,000万円を計上しますが、法人税申告書別表で2,000万円を減算して税金の計算を行います。つまり、会計上の売却益2,000万円を税金の計算上はマイナスするため、無税で資産を子会社に移転することができます。
 その後、子会社がこの土地を売却した場合には、親会社は売却益を法人税申告書別表で加算し、法人税が課税されます。

3.グループ法人間の寄附

 平成22年10月1日以降に、完全支配関係のある法人に対して寄附を行った場合、支出法人においては全額損金不算入とされるとともに、受領法人においては全額益金不算入とされます。
 例えば、親会社から子会社へ現金1,000万円を移転(寄附)した場合、これまでは親会社から子会社に対する寄附として、支出法人である親会社では寄附金控除限度額までは損金算入(限度額を超える部分は損金不算入)とし、受領法人である子会社では受贈益1,000万円を益金算入としてきました。しかし、グループ法人税制では、親会社では全額損金不算入、子会社でも全額益金不算入となります。
 なお、この取扱いは法人による完全支配関係がある場合のみ適用され、個人による完全支配関係下にある法人間で寄附をした場合には適用がありませんので注意が必要です。

(税理士 野々山浩)

3月 07 2011

情報システム委員会より

 電子申告が運用され開始され(2004年2月)、早6年が経過しようとしています。当時約3,000件だったe-Tax利用件数は、昨年は約1,600万件にまで伸びています。国は、国税15 手続を重点手続として平成25 年度末までに利用率65%という目標値が設定しました。その目標値をクリアするには、まだまだ問題点は多いと思われます。
 ある民間のアンケート調査では、e-Taxを「知っている」という回答は全体の83.7%に上っており認知はされているが、「知っているが使わない」人が約8割を占めること統計があります。認知度は昨年より上がっているのですが、利用率はほとんど増えていない状況なのです。その使わない理由としては「利用するまでの事前の手続きが面倒だから」(28.2%)、「ICカードリーダライタの入手に費用がかかる」(15.9%)、「電子証明書の取得に費用がかかる」(10.6%)などが挙げられている。また、「利用方法がわからない」という回答も9.4%あった。
 そこで電子申告を普及させるにあたって、様々な課題を挙げてきました。

  1. 住基カード、公的個人認証やICカードリーダライタの取得が手間である
  2. 公的個人認証やICカードリーダライタの初期設定手続が面倒である
  3. インターネットでの個人情報のやりとりに不安がある
  4. ほとんどの市町村で地方税電子申告(eLTAX)が導入されていない
  5. 商業登記認証の費用が高い、取得手続に日数がかかる
  6. 社内においても重要事項の電子データのやりとりはセキュリティ規定で厳しく制約が多い
  7. 税制改正が頻繁なので税務申告のシステム化に費用をかけたくない

 申請方法が多様化し、利用者の選択肢は広がったが、利用が浸透するには、更なる利便性の向上が必要です。
 そんな中、国税庁においても、ここ数年、利用者の視点から様々な改善を実施してきました。第三者作成添付書類の省略や、税理士による代理送信、所得税確定申告期間のe-Tax の24 時間受付等々あります。
 しかし、今後さらに利用率を伸ばすためには、まずシステム面の改善のみならず、電子申告制度そのものを改正していくことも必要であると思われます。電子申告を推進していくためには、従前のような紙の世界を電子に置き換えるという考え方ではなく、電子の特性を踏まえた新たな制度設計へと根本的な制度改革をしていく認識がないと、これ以上の推進は不可能です。電子政府を目指すのであれば、利用者の視点に立ったシステムの整備やサービスの改善が大前提です。そのためには、利用者が不満と思っている点を、少しでも早く改善して、各種の電子申告の利用の利便性を実感し、より多くの利用者にオンラインで使っていただけるような制度のなることを望んでいます。

検討中の課題としては、以下の点があげられます。

1.電子申告利用者に対する、効果のあるインセンティブを与えること

 現状では、電子申告をして受けられる税額控除は、たったの5,000円です。しかも毎年受けられる訳ではありません。また税理士が代理送信した場合は、控除が受けられないという状況です。これでは電子申告をするメリットが感じられません。

2.電子申告をすると翌年度以降申告書が送られないので、かえって情報が不足しデメリットがある

 公平な行政サービスを受けることを前提にするならば、翌年度以降申告書から得られる事前情報(予定納税の額など)を提供してもらえないと、かえって電子申告をすることによって情報が不足する事態に陥る。何らかの情報提供をしてほしいし、電子申告をすると翌年以降申告書が送られてこないことを周知徹底してほしい。

3.電子申告の受付時間を24時間365日にすべきである

 インターネットの世界では、24時間365日利用可能が当然の概念です。昨年は、確定申告時期は24時間と拡大されました。しかし、他の期間は限定されており土日の利用ができない。この辺りが、紙ベースの考え方が根底にある最大の原因であると思われます。

 名古屋税理士会では、このように電子申告を推進するため様々な活動を行っております。皆さんのご要望がありましたら、是非ご意見をお寄せ下さい。

(税理士 加藤厚)

3月 01 2011

相続税の非課税財産について

 相続税は原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。
 しかしながら、その財産の性質などにより課税対象とすることが好ましくないものもあります。相続税の課税の対象としない財産は「非課税財産」といい、以下のものが挙げられています。

  1. 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
    ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。
  2. 宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
  3. 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
  4. 相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち 五百万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
  5. 相続や遺贈によってもらったとみなされる退職手当金等のうち 五百万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
  6. 個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの
    なお、相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります。
  7. 相続や遺贈によって取得した財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの
(税理士 服部守恭)

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