4月 04 2011

相続税の小規模宅地等の特例の改正と本制度の意義について

 平成22年度税制改正において,相続税の課税価額の計算における小規模宅地等の特例(以下,「小規模宅地等の特例」)が大幅に改正されました。この改正により,特例の適用の範囲が狭められたと考えられます。そこで,小規模宅地制度の趣旨と改正点について説明します。
 制度の趣旨
 相続や遺贈によって取得した宅地等が事業や居住の用に供されている場合,これらの宅地等は相続人等の生活の基盤そのものである場合が多く,本制度は,相続人等の生活基盤維持を目的として設けられました。

昭和50年6月20日<通達公表>

昭和50年1月1日以後の相続又は遺贈から,通達による評価が適用され,事業又は居住の用に供されていた宅地の評価は,通常の方法によって評価した価額から20%相当額を減額することとされました。

昭和58年<法令化>

昭和58年の制度創設時の減額割合は,事業用宅地等は,不動産貸付地等についても区別をせず,一律40%とされ居住用宅地等は30%とされました。

昭和63年

バブル経済期の地価の上昇を受けて,減額割合が引き上げられました。(事業用宅地等:60%,居住用宅地等:50%)一方で,事業的規模に至らない不動産貸付業用の宅地等は適用範囲から除かれました。

平成6年<継続要件による区別>

バブル経済期の地価高騰により,更なる制度拡大要請を受け,事業や居住を継続するものについては,特定事業用宅地等,特定居住用宅地等などとして減額割合が80%に拡大する大幅な制度改正がなされました。一方,継続しない事業用宅地等,居住用宅地等については減額割合が50%に縮小されました。また,事業的規模に至らない不動産貸付業用の宅地等については,減額割合は50%とされました。

 以上のように,昭和50年の通達の公表から平成22年の改正前までは,ほぼ一貫して,特例の対象が拡大されてきました。しかし,平成22年度の税制改正では,これまでの拡大方向から完全に反転し,適用対象がかなり狭められました。

平成22年度改正<継続要件の厳格化>

 特例対象となる宅地等とは,個人が相続又は遺贈により取得した宅地等のうち,相続の開始の直前において,被相続人または被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族の事業の用又は構築物の敷地の用に供されていた一定のもので,その取得した個人が相続開始時から申告期限まで,その宅地等を所有し,かつ,事業又は居住の用に供していた場合に限り適用されることとされました。(措法69の4①)
 以上のように,平成22年度改正はこれまでの,適用範囲の拡大とは逆の方向への改正内容となっています。また、平成23年度税制改正においても基礎控除や生命保険金の非課税枠の減額が行われる見込みであり、納税資金確保の対策を含めた相続対策の見直しが必要でしょう。

(税理士 鹿野尚宏)

4月 04 2011

税理士ってどんな人・・・?

「税理士さんて、会計士さんあるいは計理士さんとどう違うの?」
「税理士って具体的にはどんな仕事なの?」 たまに、こんな質問をされます。
 我々税理士は、いずれかの税理士会(税理士会は、税理士法により定められた特別法人で、全国に15の税理士会が設立されています。)に所属しており、名古屋税理士会は名古屋市内および知多半島5市5町と岐阜県全域を区域としています。
 昭和17年に税理士の前身である税務代理士法が制定され、(この当時の税務代理士とは、弁護士、計理士、税務署OB等の国税従事者である)のちに昭和26年税理士法の施行により、税務代理士法は廃止され、国税従事者から税理士試験合格者等の税の専門家として税理士が誕生しました。
 税理士が、会計士さん又は計理士さんと呼ばれることが多いのは、この税務代理士法時代の名残や「○○会計事務所」と名付けておられる税理士事務所が多い事も一因ではないでしょうか。

 税理士は日本税理士会連合会が備える税理士名簿に登録されなければなりません。税理士名簿には氏名・生年月日・事務所およびその所在地その他が登録され、登録番号が付与されます。従って税理士は所属税理士会と登録番号が必ずあります。税理士会に登録していない者は、たとえ税理士になる資格があっても「税理士」とはいえません。この点にご留意下さい。税理士とはいえない者が、税務相談を受けたり、他人の申告書を代理で作成したりする事は、税理士法で禁止されており、犯罪となります。又、問題が起きても責任は依頼した依頼者(納税者)自身が負わなければならないのです。

 税理士業務は大きく分けて、4つあります。

  1. 税務相談
    税金の事で困ったとき、わからないとき、知りたいときに相談に応じます
  2. 会計業務
    財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務に関する業務を行います
  3. 税務書類の作成
    確定申告書、青色申告承認申請書、その他税務署などに提出する書類を依頼人に代わって作成します
  4. 税務代理
    確定申告、青色申告の承認申請、税務署の更正・決定などに不服がある場合その申立て、税務調査の立会い、その他について代理します

 難しい言葉をならべましたが、端的に言えば、税理士はあらゆる税についての専門家です。
「税」は、生きていく限り必ず関わっていく身近なことです。
 些細な疑問が生じたとき、税金の問題が起きそうなときには、「事前の相談」が賢明です。
 その為には、気軽にいつでも相談できる身近な税理士を見つけてください。
 私たち税理士は、信頼できる身近な相談相手として税についてあなたのご訪問をお待ちいたしております。

(税理士 小松佳史)

4月 04 2011

相続税について

 平成二十三年度の税制改正案では、相続税が大幅に増税される予定です。この税制改正案が可決成立すると、平成二十三年四月以降の相続では、相続税が増税となります。
 従来は、亡くなった人のうち約四%の相続に相続税が課税されていました。しかし、今回の改正によりその割合が約六%に増加すると予想されています。さらに地価の高い都市部においては二十%にも及ぶとも言われています。「基礎控除額の縮小」「生命保険金の非課税枠の縮小」「小規模宅地の評価減の縮小」という3つの大きな改正点があるためです。
 この改正についてのモデルケースを、(1)家族構成は、夫、妻(夫と同居)、長男(独立して親と別居)、長女(親と同居、未成年者)(2)夫が一億円~五億円の遺産を残して亡くなった③法定相続分通りに、妻が二分の一、長男と長女が四分の一ずつ相続したとして仮定します。(非課税財産などは考慮しない事とします)
 なお相続においては、亡くなった人(夫)を「被相続人」。相続する人(妻と子ども)を「相続人」と呼びます。

●基礎控除額の縮小

 相続税は、遺産の合計額から基礎控除額を控除した課税遺産総額に対して課税されます。
   遺産の合計額 - 基礎控除額=課税遺産総額
 遺産の合計額が基礎控除額以下であれば、相続税は課税されません。今回の税制改正では、この基礎控除額が大幅に引き下げられました。
   改正前 五千万円+一千万円×法定相続人の数
   改正後 三千万円+六百万円×法定相続人の数
 モデルケースでは、改正前では八千万円の基礎控除額がありましたが、改正後は四千八百万円になります。基礎控除額が六割に縮小されることになります。(図1)

●生命保険金の非課税枠の縮小

 従来は、生命保険金について、相続人一人あたり五百万円の非課税の枠がありました。
 ところが改正により、対象となる相続人の範囲が限定され、非課税枠が縮小されました。
   改正前 五百万円×法定相続人の数
   改正後 五百万円×法定相続人のうち未成年者・障害者・被相続人と生計をともにしていた人の数
 改正前は千五百万円までの生命保険金が非課税でしたが、改正後のモデルケースでは、該当者が妻と長女だけになり、一千万円だけが非課税になります。

●小規模宅地の評価減の縮小

 この改正は平成二十二年の改正です。相続財産に占める金額の割合が最も高い財産は宅地ですので、この改正で相続税の課税が強化されました。  被相続人が生前に居住していた宅地や事業に使っていた宅地は、一定の面積までは二十%(場合によっては五十%)まで評価を下げることができます。改正前は、相続人が居住や事業を継続していなくても評価減を認めていましたが、改正後は居住や事業を継続していないと、原則として評価減は認められなくなりました。  最後に、モデルケースでは相続税額がいくらになるか、遺産の合計額に応じて表に示しました。(図2)今後のご参考にして下さい。

(図2) モデルケースの相続税増額予測  単位:万円

 

遺産の合計額 改正前 改正後 増税額
1億円 100 315 215
2億円 950 1,350 400
3億円 2,300 2,860 560
4億円 4,050 4,610 560
5億円 5,850 6,555 705

 

妻と子2人が法定相続分通りに相続した場合

(税理士 宮脇治嘉)

4月 01 2011

相続税の納税について

Q. 相続税の納税はいつごろにするものなのでしょうか

A.相続税は、亡くなられた方の財産が基礎控除(5千万円+法定相続人の数×1千万円 ただし現行法令)を超える場合にかかってきます。この相続税は相続の発生後、十ヶ月以内に申告をして納付をしないといけません。

Q.一度に相続税を支払うのですか

A.人によっては相続財産が土地建物等しかなく、金銭での納付が困難な場合もあります。その場合に適用できるのが、長期間にわたり年賦払いで納付できる「延納」という制度です。

Q.年賦払いならば安心ですね

A.ところが、延納が認められるためには、いくつかの要件があります。(1)申告により納付する金額が十万円超であること、(2)金銭で一度に納付できない理由があること、(3)延納税額に見合う担保を提供すること等です。ただし、相続税の納期限までに、延納税額などを記載した「延納申請書」等を税務署に提出しなければなりません。

Q.延納といっても毎年の納税が負担になります

A.延納という制度によってもなお、金銭で納付することが困難な事情がある場合には、その金銭納付が困難だと認められる部分に限り「物納」という制度があります。

Q.物納というのはどこかで聞いた事がありますね

A.物納とは、金銭に替えて不動産や株式等で相続税を納める制度です。延納よりもさらに厳しい要件が加わります。この制度を受ける場合には、相続税の納付期限までに、延納によっても金銭納付が困難である事情や物納しようとする財産など、必要な事項を記載した「物納申請書」等を税務署長に提出します。その申請が適正であれば許可の通知がありますが、不適正であれば物納財産の変更を求められたり、却下や取下げの通知がなされます。なお、実際の手続きにつきましてはお近くの税理士にお尋ねください。

(税理士 岩田英人)

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