6月 14 2011

消費税の簡易課税制度について

Q:消費税の簡易課税制度とは何ですか?
A:本来消費税は売上に対する消費税から仕入や経費に対する消費税(仕入控除税額)を差し引いて計算します。(一般課税)この方法ではすべての取引について消費税の課税の有無を把握しなければなりません。しかし、小規模事業者については、事務処理が煩雑になるため、消費税を比較的容易に計算する方法として簡易課税制度を選択することができます。

Q:具体的にはどのような方法ですか?
A:実際の仕入に対する消費税を計算するのではなく、課税期間の売上に対する消費税額に業種ごとのみなし仕入率を掛けて計算した金額を仕入控除税額とします。業種ごとのみなし仕入率は次の通りです。

事業区分 該当する事業 みなし仕入率
第一種 卸売業 90%
第二種 小売業 80% 第三種 農業、建設業、製造業他 70% 第四種 他に該当しない事業 60% 第五種 不動産業、サービス業 50%

 


Q:簡易課税制度の適用には条件がありますか?
A:次の二つが条件となります。

  1. 前々年の課税売上高が五千万円以下であること。
  2. 所轄の税務署に適用を受ける年度が始まる前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していること。

Q:二種類以上の事業を営む場合の消費税の計算はどうなりますか?
A:それぞれの事業の売上高の割合に応じて計算方法が変わります。詳細については、お近くの税理士までお問い合わせください。

(税理士 坂井弥生)
6月 06 2011

税金に不服がある場合には

 税務署に申告した所得や税額が少なかったり、確定申告をしなければならない人が申告しなかったときは、税務署長は、調査した結果に基づき、更正や決定などの処分をおこないます。また、未納の税額があり督促をしてもなお納付されないときは、差押えなどの処分を行います。

税務署長への異議申立て

 税務署長の処分に不服の場合、納税者はまず①税務署長に異議申立てを行い、その決定についてなお不服がある場合には、②国税不服審判所に対して審査請求をすることができます。
 異議申立てをするときは、処分の通知を受けた日の翌日から2か月以内に、「異議申立書(処分用)」を税務署長に提出することにより行います。この申請書には、異議申立ての趣旨及び理由に関する証拠書類や、代理人の資格を証する書面などの関係書類を添付します。
 異議申し立てを受けた税務署では、その処分が正しかったかどうか、改めて見直しを行い、その結果を異議決定書謄本により納税者に通知します。なお、この異議決定により納税者にとって当初の処分より不利になるような変更がされることはありません。
 ちなみに、平成21年度における異議申立件数は4,795件であり、納税者の主張の全部または一部が認められたものが11.8%でした。

国税不服審判所への審査請求

 次に、前記のように異議申し立てに対する税務署長の決定があった場合で、なおまだその決定に不服な場合は、国税不服審判所長に対して不服を申し立てることができます。これを審査請求といいます。
 審査請求は、異議決定書謄本の送達を受けた日の翌日から1か月以内に「審査請求書」を最寄りの国税不服審判所、または処分を行った税務署に提出することにより行います。
 審査請求を受理した国税不服審判所長は、その処分が正しかったかどうかを調査・審理し、その結果を裁決書謄本により納税者に通知します。
 ちなみに、平成21年度における審査請求件数は3,254件であり、納税者の主張の全部または一部が認められたものが14.8%でした。

税務訴訟

 それでもなお認められなかった場合にはじめて、地方裁判所で訴訟手続ということになるのです。訴訟は、裁決があったことを知った日から6か月以内に起こさなければなりません。
 税務訴訟に際しては、平成14年に「税理士補佐人制度」という制度が新しく創設されました。税理士補佐人制度とは、税務訴訟で、裁判所の許可を必要とせず、税理士が補佐人として弁護士とともに出廷し、陳述することができる制度です。
 弁護士は法律のプロではありますが、税法は法律の中でも専門性が高く、すべての弁護士が税法に精通しているわけではありません。それに、情報量の面でも税務署に比べて相対的に不利です。このような現状では、多くの納税者は不利な立場に立たざるをえません。平成14年の税理士法改正で、税理士補佐人制度が創設された背景には、このような実態があるわけです。
 ちなみに、平成21年度における税務訴訟件数は339件であり、納税者の主張の全部または一部が認められたものが5.0%でした。

(税理士 吉川富造)
6月 06 2011

法人の支出する交際費等について

 法人の支出する交際費等については、法人税法上その支出について一定の制限が設けら
れているため、他の費目に比べ課税上不利な取り扱いを受けていると言えます。これを交
際費課税といいます。この制度は昭和29年から導入されていますが、当時の企業は戦後
の混乱期を乗り越えつつあるとはいうものの、まだまだ企業基盤が脆弱で資本力が弱かっ
たことから「冗費・濫費の支出を抑制し、資本蓄積に資する」という目的で導入されました。

●交際費等とは?
 法人の支出する費用が交際費等に該当するかどうかは、支出の相手が事業に関係する者であるかどうか、支出の目的が事業に関係する者と親睦の度を深めて取引関係を円滑に進めるための接待、供応、慰安、贈答その他これらに類するものであるかどうかを総合的に判断することとなっています。その為たとえ会社の経理上、福利厚生費や会議費、広告宣伝費などの費目で処理をしていたとしても内容が交際費であれば交際費と認定されます。
 これを交際費の隣接費用といい経理処理上注意が必要です。単に交際費と言わず、「交際費等」という言い方をする理由はここにあります。

●交際費等は法人税法上損金(費用)にならない?
 企業の支出する交際費等は会社の経理上交際費として損金(費用)処理をしていても、
法人税の計算をする場合には所得に加算されます。ただし、資本金の金額によっては一定の金額まで損金(費用)として認められます。

  1. 期末資本金(出資金)の額が1億円以下の法人
    交際費等のうち年間600万円までに達する金額の90%
  2. 期末資本金(出資金)の額が1億円超の法人
    交際費等の額の全額が損金(費用)として認められません

(注) 平成22年4月1日以後に開始する事業年度から、資本金(出資金)の額が5億円以上の大法人と完全支配関係にある普通法人は、資本金が1億円以下であっても上記②の法人の扱いを受けます。

●交際費等に含まれないものは?
本来は交際費等に該当するもののうち、交際費等に含めなくてよいこととされている費
用として次のものなどが挙げられます。

  1. 従業員の慰安のための運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
  2. 一定の要件による1人当たり5千円以下の飲食費(役員、従業員間などの飲食費は除く)
  3. カレンダー、手帳、うちわ、手ぬぐいなどの物品を贈答するために通常要する費用
  4. 会議に関連して、茶菓、弁当などの飲食物を供与するために通常要する費用
  5. 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会や取材のためなどに通常要する費用

 交際費等の支出は、その良し悪しは別として企業活動上必要不可欠なものであると言え、また一定の経済効果を生み出すという点では経済活性化に貢献しているとも言えます。
 しかし、無計画で過度な支出をすると逆に経営を圧迫してしまうため、適正な支出を心
掛けるべきであると言えます。また、交際費課税は法人税法に例外的に規定するものであり所得税法には適用されないため、個人事業者が支出した交際費については全額経費にすることができます。

(税理士 木塚英也)
6月 06 2011

税務調査が厳しくなること、知っていますか?!

「所得税法の一部を改正する法律案」の国税通則法改正案について

内閣から国会に提出された平成23年度の「所得税法の一部を改正する法律案」には、国税通則法の改訂も含まれ、幾つかの重要な改訂が含まれています。
特に、税務調査における税務職員等の調査権限の大幅な強化を図る重大な改訂がなされようとしているので、これについて紹介します。

  1. 帳簿や請求書・領収書などの「検査」だけだったのが、場合によっては「提示」や「提出」も必要になります。
    現行法では、単に税務職員等は、税務調査について必要があるときは、当事者に質問し、又はその事業に関する帳簿及び請求書・領収書等を「検査」することができる。と規定されているだけですが、今回の法案では、当事者への質問、帳簿や請求書・領収書の「検査」にとどまることなく、「提示」や「提出」をも求めることができるとされています。
  2. 税務職員は、調査に必要であると判断すれば、帳簿や請求書・領収書の「提示」や「提出」を求め、税務署に「留め置く」こともできるようになります。
     また、今回の法案では、税務職員は、税務調査について必要があるときは、調査において検査又は提出された帳簿や請求書・領収書を税務署に「留め置く」ことができるとの規定が新たに追加されています。
    「留め置き」とは、税務署に提出した帳簿や書類などを、税務署が調査に必要と判断する間は返さないことです。
     現行法では、帳簿や請求書・領収書の提出は断ることもできますが、今回の法案では、税務職員が調査に必要であると判断すれば、帳簿や請求書・領収書も提出しなければならなくなり、納税者が必要とするときに返してもらえないケースも生じることとなります。
  3. 税務職員の帳簿や請求書・領収書の提示や提出の要求を正当な理由なく拒否した場合の「処罰」も設けられます。
     さらに、今回の法案では、税務職員の帳簿及や請求書・領収書の提出の要求に対し、正当な理由なくこれに応じない場合、又は偽りの記載などをした帳簿や請求書・領収書を提示したり、提出した者には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰則が課せられるとの規定が設けられました。
     現行法では、税務調査において、罰則が課せられるのは税務調査を拒み続けた場合などに限られていますが、正当な理由なく帳簿や請求書・領収書の「提示」や「提出」を拒んだ場合、また、虚偽の記載などをした帳簿や請求書・領収書を提示したり、提出した場合にも罰せられることとなります。
  4. これで、「任意調査」と言えるでしょうか?
    「任意調査」は、あくまで納税者の同意のもとに行われるものであるにもかかわらず、税務職員が必要と判断すれば、帳簿や請求書・領収書の「提示」や「提出」を要求され、正当な理由なくこれに応じない場合には「処罰」をもされることになると、これはもはや任意調査の範囲を逸脱していると言わざるを得ません。
    また、帳簿や請求書・領収書が税務署に「留置き」されることにより、業務に支障が生じる恐れも危惧するところです。
(なお、平成23年4月28日現在、この法案は可決されておりません。)
(税理士 萩原芳宏)

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