7月 14 2011

贈与税の配偶者控除

 長年連れ添った妻に自宅の贈与をと考えていますが、税金面で何か優遇措置はありますか?
 「贈与税の配偶者控除」という特例があります。これは婚姻期間が二十年以上の配偶者から居住用不動産等を贈与された場合には、贈与された金額から基礎控除百十万円のほかに最高二千万円(合計二千百十万円)が控除される制度です。
 適用を受けるための条件は何ですか?
A 贈与を受けた時点で婚姻期間(内縁の配偶者は含まれません)が二十年以上の配偶者からの贈与です。
 そして対象となる贈与財産は、居住用不動産かその取得のための金銭ですが、居住用であれば家屋とその敷地またはいずれか一方でもかまいません。ただし、贈与を受けた年の翌年三月十五日までに居住用不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みでないといけませんから、贈与した後すぐに売却したというケースでは、この適用は受けられません。
 あと他に何か留意点はありますか?
 この特例は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか受けることができません。
 又、この特例を受けようとする場合は、たとえ税額がゼロになる場合であっても必ず一定の書類を添付して贈与税の申告をしなければなりません。
余談ですが居住用不動産を購入するための現金を贈与する場合も配偶者控除は受けられますが、現金そのものより家屋や敷地といった不動産で贈与する方が評価の面では有利になると思われます。
 また、贈与税の配偶者控除を受ければ贈与税は安くなりますが、贈与の登記の際には登録免許税等の登記費用や不動産取得税もかかります。贈与する時はこれらの費用も考慮して検討することが望ましいでしょう。

(税理士 塚田 泉)
7月 06 2011

法人税のリース取引

 リース取引といえば、以前は賃借料などの科目を使い、支払った時に損金に計上する賃貸借処理が、大半の企業において採用されていました。
 平成19年3月にリース取引に関する会計基準が改正されたことを踏まえ、税制改正が行われ、平成20年4月1日以後締結する所有権移転外ファイナンスリースについては資産の売買があったものとして売買処理を行うこととなりました。日本では大半のリースが、所有権移転外ファイナンスリースに該当します。

1.リース取引とは
 法人税法では、次のすべての要件を満たすものをリース取引と定義しており、これをファイナンスリースといいます。それ以外のリースはオペレーティングリースといい、法人税法ではリース取引に該当しないため、これまで通り賃貸借処理をします。

  1. 中途解約不能 リース期間中の中途解約が不能、又は、中途解約をする場合は、未経過期間のリース料合計額の90%以上を支払うもの。
  2. フルペイアウト 賃借人はリース資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、そのリース資産の取得のために通常要する価額のおおむね90%相当額超をリース料として支払うもの


2.所有権移転外ファイナンスリースとは
 ファイナンスリースは、所有権移転ファイナンスリースと、所有権移転外ファイナンスリースに区分されます。
 所有権移転外とされるのは、次のすべての要件に該当するものです。

  1. リース期間終了時又は中途で、リース資産が無償又は名目的な価額で譲渡されないこと。
  2. リース期間終了時又は中途で、リース資産を借り手が著しく有利な価額で買い取る権利が与えられていないこと。
  3. 借り手の特注による機械などのように、借り手によってのみ使用されるものでないこと。又は建築足場などのようにリース資産の識別が困難なものでないこと。
  4. リース期間が、リース資産の法定耐用年数に比べ相当短いものでないこと(法定耐用年数の70%相当未満、法定耐用年数が10年以上の場合は60%相当未満。1年未満の端数切捨て)

3.減価償却限度額
 所有権移転ファインナンスリースは、以前から売買処理とされており、定率法や定額法など法人が採用している償却の方法により限度額を計算します。
一方、所有権移転外ファイナンスリースは、リース期間定額法により計算します。

4.他の制度の取扱い
このように、資産の売買があったものと同様の処理を行うこととなる所有権移転外ファイナンスリース資産ですが、次のような制度の適用はありません。

  1. 圧縮記帳
  2. 特別償却
  3. 少額減価償却資産(10万円未満の資産)の損金算入
  4. 一括償却資産(20万円未満の資産)の損金算入

 なお、中小企業者等の場合は、機械等を取得した場合の税額控除や、少額減価償却資産(30万円未満の資産)の取得価額の損金算入の特例は適用があります。

5.消費税の取扱い
 ところで、会計基準が強制的に適用されることのない中小企業の場合、例外的に賃貸借処理をすることも認められています。
 同様に、消費税法でも、原則はリース資産の引渡し時にリース料総額を課税仕入としますが、例外として、リース料を支払うべき日にその支払金額を課税仕入とすることが認められています。
 ただし一度例外処理をした場合、途中で原則処理に変更することはできません。(逆の場合も同様です)翌期以降の消費税の課税方法によっては有利、不利になる場合がありますので、よく検討の上、決める必要があります。

(税理士 佐伯かおり)
7月 06 2011

消費税改正の動向

 現在、社会保障と税の一体改革が進められ、共通番号制の導入とあわせて消費税率の引き上げが議論されています。ただ、その際、低所得者ほど相対的に負担が増す逆進性を緩和するための措置として議論されているのが、①軽減税率の設定と②給付付き税額控除の2つです。ここではその2つを比較検討してみます。

1.軽減税率の設定

 これは、生活必需品への税率を低く抑えて、低所得者への負担軽減を図るものです。消費税に相当する付加価値税が約25%の北欧や、20%程度の西欧諸国では、食料品や水道、輸送、書籍、医薬品、新聞、映画などの税率を低く抑えています。ただ、この方式では税務処理が、煩雑になる懸念があります。そこで、考えられているのが、インボイス方式です。これは、英独仏など複数税率を採用している国が導入している制度で、企業が仕入先から受け取る請求書に、消費税額が明記されています。事業者は売上にかかる消費税額から仕入れにかかった消費税額を差し引いて納税します。複数税率を採用すると今よりも、税額計算が煩雑になると考えられますが、インボイスを使えば、実際にかかった税額がはっきりするので、複数税率を導入しやすくなると考えられます。ただ、問題点もあります。現状、消費税額の計算は事業者が作成した帳簿に基づき計算されています。インボイスが導入されると、さらにその発行や保管など、中小零細事業者にとって負担が増すことになります。

2.給付付き税額控除

 これは、基礎的な消費にかかった税額相当分を納税者に返すというものです。その際、高所得者には納税額から税額控除をし、税の支払いが少ない低所得者には現金の給付を行うものです。これを行おうとすると、個人の所得を正確に把握し、不正還付を防ぐと同時に、低所得者に確実に現金を支給できるように、納税と給付に利用できる共通番号制度の導入が不可欠となります。ただ、この共通番号制度にも、検討課題は多くあります。まず、第一に利用範囲をどうするか、ということです。ドイツのように、税務分野のみで利用するのか、あるいは、スウェーデンのように、税務分野に限らず、社会保障サービスや役所の各種手続きまで幅広い行政分野で利用可能なものにするのかということです。第二に制度設計をどうするか、ということです。番号と言っても、様々あります。現状の基礎年金番号または住民票コードの番号を使うのか、あるいは新たな番号をつけるのか。また、情報管理という面では、情報を一元管理するのか、あるいは、分散管理するのか。いずれもコストとリスクの面から考える必要があります。第三にプライバシー保護への懸念をどうするか、ということです。国家管理への懸念や、なりすまし、偽造などの不正行為への対策など、考慮する必要があります。

 いずれの方法を採用するにしても、それぞれに問題点や考慮すべき点があります。その議論を十分にしたうえで、消費税率の引き上げは検討されるべきものと考えます。

(税理士 佐藤孝也)
7月 06 2011

名古屋青年税理士連盟の活動

 私たち名古屋青年税理士連盟(以下、名青税)は、主に名古屋市内の若手税理士が中心となって「会員相互の親睦」、「税法その他の研修」、「税理士会の発展並びに税理士の社会的地位の向上」を目的として活動している団体です。正会員は40歳までという年齢制限があり、賛助会員を含めると平成23年4月1日現在で552名の会員が在籍しております。名青税は昭和42年に設立されて以来、45年という歴史を持つ税理士集団なのです。
 名青税の組織は、研究部、制度部、組織・広報部、厚生部、総務部から成っており、各々先に掲げた名青税の目的達成のために活動しています。また、名古屋市と知多半島を中心にして十の支部に分かれており、地域的な活動も行っております。
特に研究部では毎年、税法関係の問題を取り上げ、税法上の不均衡とされる問題や新しく導入された税制について深く追求し、若手税理士らしい熱い議論を交わしています。さらにはこれらの議論を集約、検証し、全国青年税理士連盟という青年税理士たちの全国的な組織を通じて、税についての様々な意見や要望を提言しています。

 さて今回は、私たちの活動の一例として、研究活動及び広報活動の一環として行っている税法ディベートについてご紹介します。
ご存じの通り、ディベートは教育、ビジネスの現場において論理的な思考力、分析力、洞察力、質問力、問題解決力を身につける手法として大変有効とされており、私たちが日々立ち会う税務調査などの現場においても必須の技術といえます。そして、研究活動としては、与えられたテーマについて研究するだけでなく、その成果が果たして他者との討論においても有効であるかどうかを確かめる機会として、この税法ディベートを行っています。
 また、対戦相手も税理士に限らず、税法を研究している学生たちとも行っており、実務家とは違う視点からの問題提起に対峙する機会と捉えていただくと同時に、学生たちには税理士業というものに触れる機会を提供できるのではと考えています。
 最近取り上げたディベートのテーマをご紹介しますと、「不法行為を原因とする訴訟上の和解により発生した和解金は、非課税の損害賠償金に該当するか否か?」(大分地判平21.7.6、名古屋地判平21.9.30)「離婚に伴う財産分与は、譲渡所得課税の対象となるか」(最判昭50.5.27)など、話題となった判例、もしくは税法の解釈の転換点となった判例を重点的に取り上げています。
 近年は過去の税務行政の取り扱いに影響を与えるような判例や採決事例が多く出ています。今後はそのような事例も積極的に取り上げていく予定です。

 私たち名青税の会員は、若手といっても税理士資格を持つものである以上、「若いから、経験が足りないから」という言い訳は許されない職業です。毎年のように改正される新たな税法に対応するための研鑚はもちろんですが、個人開業であるが故に経験する機会の少ないであろう「組織」としての様々な活動の場を体験させていくことも重要なことと考えております。
 尚、私たちの詳しい活動内容についてはホームページ(http://www.meiseizei.gr.jp/)をご覧下さい。若き青年税理士たちをこれからもよろしくお願いいたします。

(税理士 長尾幸展)

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