8月 10 2011

上場株式の配当金にかかる税金

 上場株式を保有しています。配当をうけとったとき、どんな税金がかかるのでしょうか?
 保有されている上場株式の配当を受け取られた場合は、大口株主等を除き、平成25年12月31日までは10%(所得税7%住民税3%)の税金が徴収されています。
配当から源泉徴収された税金については、配当を配当所得として他の所得と合計する総合課税を選択して確定申告をすると、還付される場合があります。
 では、上場株式を売却したとき、どんな税金がかかるのでしょうか?
 上場株式を証券会社を通じて売却された場合は、平成25年12月31日までは、売却価額から取得価額や売却手数料などの必要経費を引いた利益に対し、10%(所得税7%住民税3%)の税金がかかります。
 上場株式を証券会社を通じて売却された時に損失が生じていて、同じ年に株式を売却して利益が出ていた場合は、その利益と損失を通算して、利益を計算することができます。
また、損失だけが生じた場合や、通算しても損失が残った場合は、翌年以降3年間にわたり繰り越すことができ、その間に生じた株式の利益と相殺することができます。ただし、損失を繰越す場合は、繰越している間は毎年確定申告をしなければなりません。
また、前にご説明した証券会社を通じて売却した上場株式の損失と株式の利益を通算した後に損失が残っている場合には、配当所得を他の所得と合計しない分離課税を選択して確定申告をすると、損失の金額を、配当の額から控除することができますので、源泉徴収された税金が還付される場合があります。
 この他にも、特定口座制度がありますし、平成26年からは非課税口座も導入される予定です。
 このように株式にかかる税金については、いろいろな計算方法がありますので、有利な方法を選択することができます。

(税理士 石井聰子)
8月 01 2011

法人税の資本的支出と修繕費の区分

法人の建物や設備、機械等の固定資産を長期間使用していると修理改良のための支出が必要となってきます。その修理改良のための支出は「資本的支出」と「修繕費」に区分して経理処理します。
修繕費に区分されれば支出金額は全額支払い期の経費になりますが、資本的支出に区分されれば支出金額は固定資産として減価償却期間に応じて経費となっていきます。

資本的支出とは、法人税法7-8-1において
「法人がその有する固定資産の修理、改良のために支出した金額のうちに当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となる」
とあります。

 

修繕費とは、法人税法7-8-2において
「法人がその有する固定資産の修理、改良のために支出した金額のうちに当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となる」
とあります。

 実務においてその区分処理は困難で、利益操作目的で処理することは当然に認められません。税務調査時においてもよく指摘されます。
 このため、法人税基本通達で定めている一定の形式基準によって修繕費と資本的支出を区分している場合は、税務上その区分による処理を認めています。

 それでは、法人税法基本通達にそって、修理改良のための支出を行った場合どのように考えて区分していけばよいか順を追って説明していきます。

1.1つの修理改良のための支出が20万円未満の場合には、それが明らかに資本的支出であったとしても修繕費に区分できます。

2.修理改良のための支出がおおむね3年以内の周期として行われるものである場合、金額にかかわらず修繕費に区分できます。

3.その修理改良の為の支出が明らかにその固定資産の価値を高めるものである場合は資本的支出となります。逆にその固定資産を元の状態に回復しただけであれば修繕費とします。

4.修理改良のために支出した金額のうちに修繕費であるか資本的支出であるか明らかでない金額がある場合において、その金額が60万円未満であればその全額が修繕費に区分できます。
又、その支出金額が前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下であれば全額修繕費に区分できます。

5.上記4同様、修繕費であるか資本的支出であるか明らかでない金額がある場合において、継続適用を要件として、その金額の30%相当額とその修理改良をした固定資産の前期末の取得価額の10%相当額のいずれか少ない方の金額を修繕費として残りの金額を資本的支出とすることができます。

 上記をまとめると下記のようなフローチャートになります。

 その他、災害で毀損した固定資産の修繕費等で修繕費か資本的支出かが明らかでないものについて、30%を修繕費、残額を資本的支出とする方法もあります。

 このように、一つの修理改良の為に要した支出については慎重に経理しなければなりません。見積書や請求書の名目によって判断するのではなく、実態によって判定しなければなりません。

 処理に迷ったら、お近くの税理士にご相談下さい。

(税理士 長瀬 徹)
8月 01 2011

大震災関連の寄附についての税制上の取扱い

 東日本大震災の被災者支援特別立法の第一弾として、震災関連の税制改正法案が4月27日に成立し、即日施行されました。この改正は被災地域や被災者の損害に対応するものが多いのですが、被災者や被災地域を応援する寄附金に関する税制の拡充も取り入れられております。寄附金に関する税金の取扱については中部地方の皆さま方にとっても関心が高いと思いますので、6月22日に成立した改正税法も取り入れながら、個人が震災関連の寄附をした場合の税金の取扱についてまとめてみました。

 まず今回の震災関連税制における寄附金控除の拡充についてですが、従来の寄附金税制について、次のように改正されました。

  1. 震災後から平成25年までの期間に震災関連の寄附をした場合の所得控除の控除可能限度枠が、総所得金額等の40%から80%に拡大されました。
  2. 認定NPO法人や中央共同募金会への寄附のうち、被災者支援活動のためのものについては、上記の所得控除に代えて、所得税額控除を選択することができるようになりました。

 また、今回の震災に関して、「ふるさと寄附金」税制の取扱も柔軟化されています。

  1. 個人の方が寄附した日本政府に対する義援金等については、最終的に地方団体を通じて被災者に配分されることから、「ふるさと寄附金(=地方団体に対する寄附金)」として、地方税額控除の対象とされました。
  2. 被災地の県や市町村に直接寄附する場合のほか、日本赤十字社や中央共同募金会などに東北関東大震災義援金として寄附する場合にも、同様に「ふるさと寄附金」として地方税額控除の対象とされました。

 そして6月22日に成立した税制改正によって、認定NPO法人に対する寄附については、被災者支援活動に限らず、税額控除を選択できることとされました。

(中央共同募金会への寄附については、震災関連税制の所得税額控除とふるさと寄附金の地方税額控除のどちらも対象になっていますが、共同募金の「ボランティア支援金」は所得控除か所得税額控除のいずれか一方だけの適用しかできず、同「被災者義援金」は所得控除と地方税額控除の両方の適用対象ですが所得税額控除は適用できません。所得税額控除と地方税額控除は同時に適用できませんのでご注意ください。)

なお、会社内の有志や地域団体などが義援金を取りまとめた場合でも、集めた義援金が最終的に寄附金控除等の適用対象法人などに寄附されるときには、その支払も寄附金控除の対象となります。ただしその有志等は税務署に対し適用対象団体に寄附されることが確実であることの確認をうける必要がありますので、最寄りの税務署又はお近くの税理士にお尋ね下さい。

どんなに寄附しても負担は2千円!?

 限度額はあるものの、ふるさと寄附金の制度を利用して寄付すれば最終的な自己負担額が2,000円程度で済むため、総務省なども震災直後からこの制度を利用した寄附を推奨しているようです。ただ、2,000円を超える寄附について控除を受けるということは、ご自身の居住地域の税収がその分少なくなるということです。その意味をよく考慮した上で、制度を有効活用していただきたいと思います。

(税理士 本間拓巳)
8月 01 2011

「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」について

「中小企業の会計に関する指針」の公表
 日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の四団体は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小企業会計指針」という。)を平成17年8月に公表しました。
 中小企業においては、従来より会計処理が税法に添った形になっている場合が多く、減価償却費を調整するなど任意に会計処理をゆがめ、会社の財務状態を適正に表現しているか不明な傾向がありました。
 この問題解決のために、中小企業に負担のない範囲で適正な会計処理を推進し、決算書の対外的信用力を高めることを目的に、会計の統一基準が設けられたのがこの指針です。平成17年に成立した会社法において導入された会計参与制度の普及のために、会計参与が拠るべき統一的な会計処理の指針を作成する必要もあったのです。
 その後、この関係四団体においては、この指針が中小企業の取引実態に合ったより合理性のある指針とするため継続的にその見直し改訂が行われてきました。

「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」の作成及び活用
 日本税理士会連合会では、この中小企業会計指針の適用状況を確認するための書類として、決算書の作成に携わった税理士又は公認会計士が記載する「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を作成しました。
 これを受けて全国の信用保証協会では、この中小企業会計指針を広める意味合いもあり、保証申込を行った中小企業からこのチェックリストの提出を受け、15 項目のうち1 項目以上の準拠により0.1%の保証料割引が行われてきました。
 また、今年4月からは日本政策金融公庫の融資についても、原則チェックリスト14項目の全てについて指針に準拠していることを条件に0.2%の金利引き下げが受けられるようになっています。
 ほかにも多くの金融機関において、このチェックリストを活用した金利優遇商品が取り扱われています。

信用保証率割引制度の見直し
 ただ、適正な会計処理を推進し決算書の対外的信用力を高めようとする中小企業会計指針及びチェックリストの本来の目的が中小企業に認識されることなく、単に保証料や金利の割引を受けようとするためだけにこのチェックリストが利用される傾向があり、一方で事実と異なる記載のあるチェックリスト等が散見されました。そのため、信用保証協会では平成23 年4 月1 日以降に終了する事業年度の割引制度適用についてはその条件を厳格化し、チェックリスト15 項目すべてが中小企業会計指針に準拠しており、事実と異なる記載がされていないことを条件とすることとなりました。

信用保証率割引制度の見直しの適用時期の延期
 この信用保証協会による保証料率割引制度の見直しについては、本年3月に発生した東日本大震災の影響を鑑み、その適用時期を延期し、平成24年4月1日以降に終了する事業年度の決算書より適用することとなりました。
 名古屋税理士会では、これからさらに「中小企業の会計に関する指針」の普及及び本来の目的に応じたチェックリストの活用を図り、中小企業のお役に立っていきます。

(税理士 米津晋次)

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