10月 18 2011

寄附をした場合の税の優遇について

Q.私は、東日本大震災のあとに義援金を払いましたが、所得税について税額が軽減されると聞きました。どのようなことでしょうか。
A.個人が、義援金を寄附した場合には、その義援金が「特定寄附金」に該当するものであれば「寄附金控除」(所得から引ける金額=所得控除額)の対象となり、その引ける額だけ課税所得金額が減るので税額も減ることになります。
Q.「特定寄附金」とはどういうものですか。
A.つぎのような義援金が該当します。
① 国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金
② ・日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金
  ・新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金で最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの
③ その他、寄附した義援金が、募金団体を通じて、最終的に国又は地方公共団体に拠出されることが明らかであるもの などです。
Q.どのくらい税金が減るのでしょうか。
A.寄付金控除額は、「その年に支出した特定寄付金の額 ― 2,000円」となります(特定寄附金の額の合計額は所得金額の40%が上限)。その寄附金控除を適用して計算した課税所得金額(所得の合計から所得控除の合計を引いた額)に、税率を掛けて税額を計算するので、単純に考えれば(寄付金の額―2,000円)×税率だけ税額が減ることになります。
Q.何か手続きが必要でしょうか。
A.「寄附金控除」の適用を受けるためには、確定申告書に寄附金控除に関する事項を記載するとともに、義援金等を寄附したことが確認できる書類を添付するなどの手続きが必要です。国税庁ホームページでも東日本大震災関連のお知らせがありますので参考にしてください。

(税理士 服部守恭)
10月 04 2011

所得控除について

 所得税の税額は、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引き、その残りの金額を基礎として計算されます。所得控除の種類には、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除(この控除は女性の場合と男性の場合とで要件に差があります。)、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除があります。このうち基礎控除の額は38万円です。

 平成22年度の税制改正において、扶養控除が次のとおり大きく改正されました。この改正は、平成23年分の所得税から適用されます。

 扶養控除の対象となる扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人となります。 (1)配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。 (2)納税者と生計を一にしていること。 (3)年間の合計所得金額が38万円以下であること。(4)青色専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
 今回の主な改正点は、(1)一般の扶養親族のうち、年齢が16歳未満の人に対する扶養控除(38万円)が廃止されました。(2) 特定扶養親族のうち、年齢が16歳以上19歳未満の人に対する扶養控除について、上乗せ部分(25万円)が廃止され、扶養控除の額が38万円とされました。 上記の扶養控除の改正に伴い、扶養親族が同居の特別障害者である場合において、扶養控除の額に35万円を加算する措置に代えて、同居特別障害者である扶養親族に対する障害者控除の額が40万円から75万円に引き上げられました。というものです。

扶養控除(平成23年分)控除額

一般の控除対象扶養親族(16歳未満は除く) 38万円
特定扶養親族のうち年齢19歳以上23歳未満の人 63万円
老人扶養親族(同居老親等) 58万円
老人扶養親族(同居老親等以外の人) 48万円
  • 特定扶養親族とは、扶養親族のうち、昭和64年1月2日から平成8年1月1日までに生まれた人(年齢16歳以上23歳未満の人)のことです。
  • 老人扶養親族とは、扶養親族のうち、昭和17年1月1日以前に生まれた人(年齢70歳以上の人)のことです。
  • 同居老親等とは、老人扶養親族のうち直系尊属で、同居している人のことです。

障害者控除(平成23年分)控除額
一般の控除対象扶養親族

特別障害者(同居特別障害者以外)の場合 従前どおり40万円
同居特別障害者の場合 75万円

年少扶養親族(16歳未満の扶養親族)

特別障害者(同居特別障害者以外)の場合 40万円
同居特別障害者の場合 75万円
  • 同居特別障害者とは、特別障害者である扶養親族で、生計を一にする親族と同居している人のことです。

平成22年までとは、特に16歳未満の扶養親族に関しての扶養控除が廃止された点が大きく異なりますのでご注意ください。

(税理士 菱田裕之)
10月 04 2011

税理士の使命 ―税務支援活動―

 税理士の仕事は、税務に関する専門家として、中小企業や個人事業主の各種税金の申告や申請、税務書類の作成、税務相談などを行うことであり、この税理士業務は、たとえ無償であっても税理士以外の者が行ってはならないと法律で定められています。
 税理士には「独立した公正な立場で適正な納税義務の実現を図る」使命が与えられているためであり、これは「国家の根幹である税法の執行を守る」ことと「納税者が法律で定められている以上の税金を徴収されない権利を守る」という二つの役割が与えられていることを意味しています。
 税理士以外は税に関する仕事はできないのですから、経済的な理由で税理士や税理士法人に依頼できない納税者に対して、わたしたち税理士が税理士業務を提供していくことが「義務」となります。
 そこで社会公共的な役割として、あるいは社会貢献を果たすため、税理士会はさまざまな税務支援事業を実施しています。
名古屋国税局の施策である「記帳指導」へ税理士会から税理士を派遣したり、千種区池下の税理士会ビルにおいて一般納税者向け「税務相談室」を開設したりしています。また、青色申告会や商工会議所などについては、指定団体として税務相談や申告書作成のための税理士を派遣しています。
 さらに名古屋税理士会の傘下に名古屋市内・知多半島・岐阜県内に17の支部があり、その各支部にも「税務相談所」を併設しており、小規模な事業者を対象とした無料あるいは低廉な料金にて税務相談や記帳の指導などを行っておりますので、関心のある方は名古屋税理士会のホームページにてご確認の上、お問い合わせください。
 毎年2月16日から3月15日までの確定申告期においては「年金受給者に対する説明会」「所得税・消費税の無料税務相談」「電話相談センター」などを行っており、近年では名古屋国際センターと共同し「外国人のための税理士による無料税務相談」も実施しております。
 今年は3月11日に東日本大震災がありました。7カ月が経過しましたが被災された方の御苦労ご心労はいかがばかりかと存じます。東北の地から全国に避難されている被災者のための税務相談も、日本税理士会連合会を中心に全国の15単位会をあげて取り組む事業も計画中です。未曾有の国難に当たり、われわれ税理士もその職能を生かして使命を果たし貢献したいと考えております。

(税理士 久野耕嗣)
10月 04 2011

国税庁ホームページについて

 国税庁は1998年からホームページ(http://www.nta.go.jp/)を開設していますが、大変便利になってきているのをご存知でしょうか。
税法は法律の量が多く複雑であるといわれ、専門家でも書籍で調べる時に手間がかかるものですが、税について調べたい時、このホームページを活用してみることをお勧めしたいと思います。この国税庁のホームページは今流行の携帯モバイルでも閲覧でき、タックスアンサー(税金相談)は携帯電話でもアクセス(http://www.nta.go.jp/taxanswer/phone/)可能です。誰かと話していて「あれ?この場合税金ってどうなるんだろう?」と思った時など外出先でも調べることができるのです。
ホームページを開いてみると、トピックスには震災の関係や相続した生命保険契約に基づく年金受給者への案内などがあり、更新も随時されているようです。
 検索の方法は簡単です。例えば、「退職金をもらうとどうなるか」を調べたい時、単語を入力すれば検索することができますが、一般向けには「訪問者別に調べる」ボタンをクリックすると、個人・法人・専門家などに分類され、調べる人別に誘導されます。この場合、個人を選ぶと「基本的な情報」の画面に移り「退職金と税」を選べば解説に進みます。また、とても便利なものは相続における土地の評価です。「相続税土地の評価」つまり「路線価」などは分厚い「路線価」本をめくって調べていましたが、ここではホームから「路線価図・評価倍率表」をクリックすれば過去3年分について全国どこの土地でも調べることができます。相続税の相談の時など実際に画面を見ながら拡大したり、隣の地図を探したりして説明ができ、相談者も納得ものです。
 コンピュータが苦手でホームページの使い方が判らない時も「国税庁ホームページの使い方」を見れば解説されていてとても判りやすいと思います。読み上げ機能、文字拡大機能といったうれしい機能もあります。
 税務行政の情報も掲載されていて、情報公開や個人情報保護の掲載、事務運営についての説明、パブリックコメント提出手続き、事前照会の方法などもあり専門家としては興味の沸くところです。読者も一度、ホームページを訪れてみてはいかがでしょうか。
 ところで注意すべきことは、調べる時にその法律が事象に完全に適用できるのかを判断する力が要る時があります。経済事象について適用する税の法源には法・法令・告示などがあり、その他に判例がありますが、ホームページには通達も同時に掲載されています。通達は上級行政機関が下級行政機関に対して職務の指針を命令・指示するものであり憲法84条の租税法律主義の原則に抵触しない範囲に限られ一定の限界があるとされており、その適用にあたっては専門家の判断を受けることをお勧めしたいと思います。この現代の複雑な経済社会においては法がその変遷に合わなかったり、金額の大小や取引の状況、環境などに応じ法律が明確で一義的な完全な規定であることは不可能に近いと考えられるので、通達で補う部分がありますが、その判断、適用にあたっては専門家の判断が必要ではないでしょうか。ぜひ、その場合は税理士におたずねください。

(税理士 一川明弘)

WordPress Themes