11月 15 2011

年金収入の申告について

Q 年金収入があるときには必ず確定申告をしなければなりませんか?

A 必ず必要というわけではありません。年金は、公的年金と個人年金に大きく分けることができますが、公的年金のうち障害年金と遺族年金は非課税となっていますので申告する必要はありません。公的年金のうち老齢年金と個人年金(生命保険会社等との契約により受け取る年金)は、原則として申告する必要があります。

Q 原則として申告が必要ということですが、申告をしなくてもよいときもあるのですか?

A あります。平成23年分の所得税から年金所得者の申告手続きが簡素化されました。具体的には、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その年金以外の所得金額が20万円以下の人は、確定申告書の提出が不要となりました。これまでも給与所得者については、給与所得以外の所得金額が20万円以下の場合は、確定申告が不要となっていましたので、これに合わせた変更がなされました。

Q 年金収入の申告で、他に変更となったことはありますか?

A あります。年金は、給料と同じように受け取るときに税金が源泉徴収(いわゆる天引き)されていますが、その源泉徴収税額の計算について、控除対象とされる人的控除の範囲に寡婦(夫)控除が加えられました。したがって、寡婦(夫)である年金受給者は、源泉徴収税額が減少し手取金額が増えることになります。これまでも寡婦(夫)控除はありましたが、源泉徴収税額の計算には入っておらず確定申告のときに自分で税額計算に入れ、払いすぎていた税金を精算する必要がありました。なお、この変更は、平成25年1月1日以後に支払われる年金からの適用となります。

(税理士 坪井 敦)
11月 08 2011

連帯納付義務の見直し

連帯納付義務とは?

 相続税は、相続により取得した財産の価額を限度として、他の共同相続人が納付すべき相続税額について連帯して納付しなければならない義務が定められています。これを「連帯納付義務」といいます。
 (贈与税についても、財産を贈与した者は、その贈与した財産の価額に相当する金額を限度として、贈与を受けた者と連帯して贈与税を納付すべき責に任ずる旨規定されています。)
 したがって、この制度に基づき、相続人の一人が相続税を滞納した場合には、他の共同相続人にその納付を求める場合があります。
 例えば、相続人の一人が延納許可を受けて20年間の年賦による分割納付を行っていたものの、その後の資力の状況等の変化により、分割納付が困難となり、滞納が発生する場合、国税当局は、他の共同相続人に対して連帯納付義務としてその滞納の納付を求めることになります。
 相続人として自己の納税は完了していても、他の共同相続人の納税が完了するまでは連帯納付義務を負います。この規定は期間の定めがないことから、相続税の申告期限から相当期間経過した後に、本来の納税義務者の資力が低下したとき、連帯納付義務者に対して督促が行われることがあります。そのときまで連帯納付義務者が全く事情を知らない場合や、連帯納付義務者が連帯納付義務を履行する時点では長期間が経過しており、既に多額の延滞税が加わっている場合などがあり、極めて問題でした。

平成23年度税制改正

 平成23年度税制改正においては、相続税の大幅な見直しは見送られましたが、連帯納付義務者がその義務を履行する場合に負担する延滞税、現行14.6%については、同人の責めに帰すべき事由がある場合を除いて、利子税4.3%に変えるなどの措置が講じられました。
また、税務署長等は、本来の納税義務者に対し相続税の督促をした場合において、その督促に係る督促状を発した日から1月を経過する日までにその相続税が完納されないときは、連帯納付義務者に対し、①その相続税が完納されていない旨、②連帯納付義務の適用がある旨、③その相続税に係る被相続人の氏名を通知することとされました。
しかし、他の共同相続人が長期間にわたり不安定な状態が続く相続税の連帯納付義務制度は廃止すべきであり、贈与税の連帯納付義務についても同様であると考えます。
なお、平成23年度税制改正大綱の検討事項において、相続税の連帯納付義務については、「共同相続人による納税義務の履行の実態や租税の徴収確保の観点を踏まえ、そのあり方について幅広く検討を行います。」と記述されました。私たちは、これからも連帯納付義務廃止に向けて、改正要望を続ける予定です。

(税理士 長谷川敏也)
11月 08 2011

税を考える週間によせて

 11月11日(金)から17日(木)までの一週間は「税を考える週間」です。この機会に皆様に「税の役割」と「税の専門家としての税理士」について説明させていただきます。

1.税の役割

(1)公共サービスの資金の調達
国や地方公共団体は国民が生活していくのに必要不可欠な公共サービスを提供しています。この公共サービスを行うための資金は、国民が納める税金です。
(2)所得の再配分
所得や資産の負担能力の大きい人には多く税を負担してもらい、負担能力の小さい人には税を少なくすることで、社会保障を厚くして国民間の富の格差を縮める機能があります。
(3)景気の調整
好況期には所得が増えることで税収も増加し、不況期には逆に所得が減ることで税収も減少するので、民間の需要を自動的に調整するという役割を担っています。

2.税の専門家としての税理士

 我が国では、納税者が自らの所得を計算し、納税額を算出する申告納税制度を採用しています。税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場で次のような業務を行っています。

(1)税務代理
確定申告、青色申告の承認申請、税務調査の立会い、税務署の更正・決定に不服がある場合の申し立てなどについて代理します。
(2)税務書類の作成
確定申告書、相続税申告書、青色申告承認申請書、その他税務署などに提出する書類を作成します。
(3)税務相談
税金のことで困ったとき、わからないとき、知りたいとき、相談に応じます。

 また税理士は地方公共団体の外部監査制度・監査委員や裁判所の民事・家事調停制度、成年後見制度などに積極的に参画し、さらに、租税教育への取り組みなど、税理士の知識を活かして地域社会に貢献しています。

(税理士 堀部克己)
11月 08 2011

「住宅関連税制について」

 住宅については景気浮揚、高齢化社会や地球温暖化への対応などの国の政策に応じて減税制度が設けられています。しかしあまり知られていない制度もあり、例えば住宅ローンを組まずにリフォーム工事を行なった場合に受けることができる税額控除があることをご存知の方は少ないのではないかと思われます。今回は住宅の取得をする時、増改築やリフォームをする時に活用できる制度の概要を中心に御紹介します。

住宅の取得時に利用できる制度

1.住宅ローン控除(所得税・住民税)
住宅の新築等、中古住宅の取得等をした場合に入居した年分から10年間、住宅ローンの年末残高の1%(長期優良住宅については1.2%又は1%)を各年分の所得税額から控除することができます。平成25年12月31日までの入居について適用されます。
(※表A参照)
所得税から控除しきれない金額は一定の金額(最高9.75万円)を個人住民税から控除可能です。
2、長期優良住宅に係る特別控除(所得税)
住宅ローンを組まないで認定長期優良住宅の新築等を行い平成23年12月31日までに入居した場合は、標準的な性能強化費用相当額(上限1,000万円)の10%を入居年分の所得税額から控除(控除しきれない場合は翌年分から控除可能)することができます。住宅ローン控除との併用はできません。
(※表B参照)
3、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(贈与税)
父・母・祖父・祖母等から住宅取得等資金の贈与を受けた場合は、平成22年中は1,500万円、平成23年中は1,000万円までは贈与税の非課税となります。
4、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例(贈与税)
満20歳以上の者が親から住宅取得等資金の贈与を受けた場合は、親の年齢が65歳未満であっても相続時精算課税制度(2,500万円まで贈与税は非課税)を利用することができます。(平成23年中は3との併用で3,500万円迄可)

住宅の増改築・リフォームをした場合に利用できる制度

1、住宅ローン控除(所得税・住民税)
増改築等の工事費用が100万円超であること等が適用要件となります。
(※表A参照)
2、耐震改修工事をした場合の税額控除(所得税)
一定の要件を満たす耐震改修工事をした場合は、改修費用と標準的な工事費用相当額のいずれか少ない金額の10%(20万円を限度)を所得税額から控除することがで
きます。工事費用が全て自己資金であっても利用可能であり、平成25年12月31日が適用期限となります。
『住宅ローン控除と併用することができます』
3、バリアフリー改修工事をした場合の税額控除(所得税)
費用が30万円を超えるなど一定の要件を満たすバリアフリー改修工事をした場合は、工事費用との標準的な費用の額のいずれか少ない金額の10%(平成23年は20万円、平成24年は15万円を限度)を所得税額から控除することができます。平成23年度の税制改正により適用期限が平成24年12月31日まで延長されました。
『住宅ローン控除との併用はできません』
4、省エネ改修工事をした場合の税額控除(所得税)
費用が30万円を超えるなど一定の要件を満たす省エネ改修工事をした場合は、工事費用と一般省エネ改修工事の標準的な費用の額のいずれか少ない金額の10%(20万円を限度)を所得税額から控除することができます。工事費用が全て自己資金であっても利用可能であり、平成23年の税制改正より適用期限が平成24年12月31日まで延長されました。
『住宅ローン控除との併用はできません』

※3,4は借入金がなくても利用可能ですが借入金がある場合は表C参照

適用要件の事前確認が重要

 住宅関連の特例制度はご紹介した制度以外にも住宅を売却した時や買い換えた場合に損失が出た時に利用できるものなど数多くあります。適用要件を事前に確認を怠ったばかりに特例の適用を受けられなくなるケースもあるため、住宅の購入・増改築・リフォームや売却などをする予定がある場合はお近くの税理士にご相談されることをお薦めします。

表 住宅ローンがある場合の控除
A(一般住宅の新築等・増改築等)


居住年 借入金等の年末
残高の限度額
控除期間 控除率 最大控除額
平成21年 5,000万円 入居年以後10年間 1.0% 500万円
平成22年 5,000万円 500万円
平成23年 4,000万円 400万円
平成24年 3,000万円 300万円
平成25年 2,000万円 200万円


B(長期優良住宅の新築等)

居住年 借入金等の年末
残高の限度額
控除期間 控除率 最大控除額
平成21年 5,000万円 入居年以後10年間 1.2% 600万円
平成22年 5,000万円 600万円
平成23年 5.000万円 600万円
平成24年 4,000万円 1.0% 400万円
平成25年 3,000万円 300万円


C(バリアフリー・省エネ改修工事)

居住年 控除期間 借入金等の年末
残高の限度額
控除率
平成19年4月1日(バリアフリー)・平成20年4月1日(省エネ)から平成25年12月31日までに入居 入居年以後5年間 1,000万円以下の部分 イ 改修工事に係る工事費用相当部分(200万円)・・・2%

ロ 上記イ以外の工事費用相
当額・・・1%

※要件を満たすバリアフリー・省エネ改修工事の場合はA又はCのいずれかの選択となります。

(税理士 浅野高嗣)

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