12月 13 2011

年末調整について

年末調整について
 今年も年末調整の季節となりましたが、そもそも「年末調整」とはどういうものなのですか。
 会社から給料をもらっている人はその給料から所得税が天引きされています。その天引きされた所得税の合計額と1年間をとおして計算する所得税の金額とは一致しないのが普通です。その一致しない所得税の金額の差額を計算して、精算することを「年末調整」といいます。

 どうして所得税の金額が一致しないのですか。
 所得税の計算は1年間(その年の1月1日から12月31日)の給料(賞与も含みます。)から、その人が1年間に支払った社会保険料、生命保険料、その人が扶養する家族の状況などをもとにその人の12月31日の現況で行います。そのため、給料をもらう際に天引きされている所得税の合計額とこの計算した所得税の額とは大概一致しないのです。
そのために、年末に家族(扶養親族)に異動がないか、支払った保険料等がないかを「扶養控除等申告書」と「保険料控除申告書」に記入して給料をもらっている会社に提出します。

 今年の年末調整で注意することはありますか。
 昨年と変わった点で、子ども手当の支給の代わりに、その支給の対象となる16才未満の子1人につき38万円の控除額(所得税の計算をするときにその計算のもととなる金額から引ける金額をいいます。)がなくなりました。そして、高校の授業料が無料になった代わりに、今まで63万円の控除額があった16才以上23才未満の子の範囲が、19才以上23才未満の子に変更されました。16才以上19才未満の子については控除額が63万円から38万円に減ったということです。
これらの変更により19才未満の子供を扶養家族としていた人は増税となることになります。

(税理士 安藤直子)
12月 05 2011

ニセ税理士にはくれぐれも注意

ニセ(偽)といって思い浮かべるものと言えば、偽物、偽札といった言葉でしょうか。
世の中には、資格がないのに資格があるように見せかけるニセ○○という‘やから’が結構いるものです。ニセ医者という言葉は耳にしたことがあるかもしれませんが、あなたのまわりにニセ税理士はいないでしょうか。
 税理士は国家資格であり、税理士試験に合格するなど、一定の条件をクリアする事が必要です。納税者からの依頼を受けて税務の代理を行ったり、税務書類の作成や税務相談をすることは税理士の業務とされ、税理士資格のある者以外は行うことができません。資格が無いのにこっそりこのような業務をすると、たとえ無償であっても税理士法第52条違反として罰せられ、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金が科せられることになります。従って税金に詳しい身近な方が、親切心から申告書等を作成した場合でも、ニセ税理士行為として罰せられ犯罪者となってしまいます。この場合、そんなつもりではなかったのに、依頼した側も依頼された側も不幸な結果となるわけです。
 それよりもっと悪質なケースでは、依頼者にあたかも税理士のように思わせ、でたらめな書類をつくったり、不当な料金を要求したり、いざとなると調査に立ち会えないためトラブルになったり、結局依頼した者が不測の損害を受け、すべての責任を取ることになるのです。
 では、どのようにニセ税理士かどうかを見分けたらよいのでしょうか。
 申告などをする際、申告書には税理士署名欄があり、税理士が関与している場合は署名捺印が必要です。ニセ者では署名捺印ができないので、署名捺印のないものはおかしいと思うべきです。又、税理士として活動している人は税理士会に登録せずに税理士を名乗ることは出来ないので、必ずどこかの支部に所属し登録しています。(各地域の税務署ごとに必ず税理士会の支部があります。)所属支部、登録番号、税理士証票、税理士バッチなどを確認し、所属の税理士会に問い合わせるなどすれば確実です。それでもひっかかるような場合は、ニセ税理士ではなく詐欺師なのかもしれません。
 これから確定申告の時期になると、税金のことをよく知っているからと「税金を安くできます」とか「安く申告書を作成してあげます」といった甘い誘いが増えてきます。こうした話に安易に乗って後で痛い目を見ないように、皆さんもニセ税理士にはくれぐれも注意してください。

12月 05 2011

年末調整について

年末調整とは?
サラリーマンやOL、パートタイムで働く方たちは、毎月の給料や賞与からあらかじめ税金が差し引かれています。しかし、ほとんどの場合、月々差し引かれた税金の合計額は、その人がその一年で納めなければならない本当の税額(年税額)とは異なっています。そこで会社は年末になると、この差額を計算して、税金を取りすぎた人へは税金を返し、納め足りない人からは不足分を徴収します。この手続きを年末調整といいます。

なぜ過不足がおこるのか?
毎月給料から差し引く税金の合計額が、どうして正しい税額にならないのでしょう。それにはいくつかの理由があります。

  1. 給料から差し引く税額を決める源泉徴収税額表は毎月の給料に変動がないものとして作られているが、実際には月々の給料は同じ金額ではない。
  2. 年の途中に、結婚したり親と同居を始めたりして扶養する親族の数が変わる場合があるが、さかのぼって税額を修正しない
  3. 1年間に支払った生命保険料や地震保険料は年末でないとわからない。

このような理由から毎月差し引かれた税金の合計額と年税額に差額が生じてくるのです。

給与所得から差し引くものには何があるか
給料の額が同じであっても人によって税額が異なるのは、税額の計算において、それぞれの人の個別の事情が反映されるからです。これらの事情は「所得控除」として給与所得から差し引くことができ、結果的に年税額が少なくなります。所得控除には主なものとして次のものがあります。

社会保険料控除
自分の給料から差し引かれている厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料のほか、扶養している家族の社会保険料を負担した場合は、給与所得から控除できます。(たとえば大学生の息子さんの国民年金保険料や母親の後期高齢者医療保険料を負担した場合がこれにあたります)
生命保険料控除・地震保険料控除
一般の生命保険料や個人年金保険料の掛金のうちの一定額や、自宅の建物や家財などにかけた地震保険料を給与所得から差し引くことができます。
配偶者控除・扶養控除
配偶者や子供、親やその他の親族を扶養している場合の控除(生計を一にしているか否か、配偶者の所得、扶養親族の年齢等の条件があります)
障害控除・特別障害控除
本人や扶養している配偶者や親族が障害者である場合の控除

平成23年度の大きな改正事項
平成23年度から実施される大きな改正点は、扶養控除の改正です。
これまでは、子供を扶養している場合には、すべての子供が扶養控除の対象でした。しかし、平成23年度からは、16歳未満の子供の扶養控除が廃止されるとともに、16歳以上19歳未満の子供の場合は特定扶養控除のうち上乗せ部分である25万円が廃止され控除できる金額は63万円から38万円へ減額されることになりました。このような改正が行われた背景には、子ども手当が支給されるようになったことと、高校の授業料が原則無償化されたことがあります。
扶養控除の改正に伴い、配偶者または扶養親族が同居の特別障害者である場合の控除にも改正がありましたので、留意ください。
なお、所得税における扶養控除の改正は平成23年からですが、住民税においては平成24年からの改正となります。

年齢 改正前 改正後
(平成23年度~)



16才未満 38万円 0円
16才以上19才未満 63万円 38万円
19才以上23才未満 63万円
23才以上70才未満 38万円
70才以上 48万円
(税理士 三田雅子)
12月 05 2011

社会保障・税一体改革のゆくえ

平成23年6月30に「社会保障・税一体改革成案」(以下、「成案」という。)が、政府・与党社会保障改革検討本部で決定され、翌7月1日に閣議報告された。この成案は、平成22年12月14日閣議決定された「社会保障改革の推進について」に基づいている。
【社会保障改革】
社会保障改革の基本的考え方は、①非正規雇用の増加等の雇用基盤の変化②地域•家族のセーフティネット機能の減退③人口、とりわけ現役世代の顕著な減少④高齢化に伴う社会保障に関わる費用の急速な増大⑤経済の低迷、デフレの長期化等厳しい経済•財政状況⑥企業のセーフティネット機能の減退を前提として、「三つの理念」と「五つの原則」注1が重要とされた。改革の優先順位と個別分野における具体的改革の方向としては、①子ども•子育て支援、若者雇用対策②医療•介護等のサービス改革③年金改革④制度横断的課題としての「貧困•格差対策」「低所得者対策」とされた。少子高齢化が進む中、国民の安心を実現するために「社会保障の機能強化」とそれを支える「財政の健全化」を同時に達成することを目指し、そのことが国民生活の安定や雇用・消費の拡大を通じて、経済成長につながっていくとされた。
【財源問題】
 社会保障の安定財源確保として、消費税を平成21年度税制改正法附則104条を踏まえ「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用」に拡大充当を図るとしている。
 税制全体としては、所得課税は、所得再分配機能の強化(所得控除の見直し、税率構造の改革)、法人課税は、国際競争力確保や雇用確保のための実行税率の引き下げ、資産課税は、再分配機能の回復と格差の固定化を防止するという観点から、課税ベースと税率構造の見直し、負担の適正化を行うとされた。
 特に近年、企業業績の悪化から法人税収、所得税収ともに減少傾向にある。それに対して消費税収は、景気が悪化していても、税収の落ち込みは少ない。ここに着目し、安定的財源として注目を集めているが、余りに過度な消費税収への期待と依存は、一つ間違えば根幹から覆されることとなる。段階的に消費税率を引き上げる意見もあるが、複数の税率が同時進行となるため事務負担の増大につながる。
 軽減税率を導入しているドイツの事例では、軽減税率適用事業が実質利権化しており、本来の逆進性対策となっていない。
自助・公助・共助を前提とした社会保障制度であるが人口動向が変化する中で、私たち国民自身が何を求め、どう負担していくかの選択が迫られている。
【今後の流れと税理士会の役割】
先に公表された「社会保障改革の推進について」に基づき成案は出されたものの、その中身についてはまだまだ不透明であり、国民的合意を形成されるにまでは、至っていない。
 税理士会に認められた建議権は、従来、「税務行政その他租税又は税理士に関する制度について、権限のある官公署に建議し、又はその諮問に答申することができる。」(税理士法49条の11)というものであったが、社会保障と税の一体改革が進められている今日では、歳入に留まらず歳出の内容に対しても意見を表明する新たな機会が与えられたという一歩踏込んだ視点に改めるべきであろう。
今後も実務に根ざし、それに裏打ちされた実行可能性の高い提言を心がけることが、納税者に一番近い、私たち税の「唯一無二」の専門家である税理士に課せられた使命であろう。

注1 「三つの理念」とは、①参加保障②普遍主義③安心に基づく活力であり、「五つの原則」とは、①全世代対応②未来への投資③分権的•多元的供給体制④包括的支援⑤負担の先送りをしない安定財源である。
(税理士 荒川章三)

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