2月 07 2012

住宅借入金等特別控除について

Q.ローンで住宅を購入しました。「税金が戻る」と聞きましたが?
A.「住宅借入金等特別控除」のことですね。質問の場合、次に該当すれば、納める所得税額からローン残高を元に計算した特別控除額を差し引くことができます。
①国内に住所があり、又は一年以上居住している人が ②住宅の新築・取得(中古住宅の取得を含む)又は増改築等(「取得等」とします)をして、6ヶ月以内に自己が居住している ③取得等のための借入金等があること ④住宅の床面積・借入金の返済方法等が、この規定の適用対象であること
Q.控除はどれくらい受けられますか?
A.平成23年中に居住した場合、
⑴期間は、23年以後10年間受けられます。但し、合計所得金額が三千万円以下及び適用を受ける各年の12月31日まで継続して居住している年に限ります。
⑵控除額は、借入金等の年末残高の合計額か住宅の取得対価の額(住宅取得資金の贈与を受けた金額は除きます)のいずれか少ない金額(4千万円を限度)×1%です。
(控除額は最高40万円ですが、納める所得税の額が限度になります)
Q.手続きはありますか
A.必要書類を添付した確定申告書を提出して下さい。サラリーマンの方は2年目以降、年末調整でこの適用を受けることができます。

※その他
⑴他の課税の特例を受けているとき等、この規定の適用を受けられない場合があります。
⑵「住宅借入金等特別控除」には、「認定長期優良住宅」と「特定増改築等」の規定もあります。
⑶この制度の適用期間は平成25年12月31日までの間に居住した場合となります。

(税理士 矢嶋みどり)
2月 06 2012

医療費控除について

高齢化社会の進展とともに、医療費の家計に占める割合が高くなってきています。厚生労働省の発表によると、平成21年度の国民医療費は36兆67億円、前年度に比べ1兆1983億円、3.4%の増加となっています。また、人口一人当たりの国民医療費は28万2400円、前年度に比べ3.6%増加しています。

国民医療費の年次推移

国民医療費の年次推移

 このように増加する医療費は家計を圧迫しています。いかに医療費を低く抑えるのかという問題は、国の財政においても家計においても解決しなければならない共通の課題といえるのではないでしょうか。
 この医療費負担に対応するために税制においては「医療費控除」として、その手当がなされています。多額の医療費を負担する場合には納税者の支払能力を大きく害するであろう点を考慮して導入されました。この制度の歴史は古く、GHQの要請によって1949年に結成された日本税制使節団による報告書(通称シャウプ勧告)を受け、昭和25年の税制改正において採用されています。
 さて医療費控除の計算方法ですが、まず1年間に支払った医療費を合計します。その合計金額から10万円(正確には所得金額の5%と10万円のいずれか少ない方)を差し引いた金額が医療費控除額となります。この差し引く10万円とは、一般的にどの家庭でも通常支出するであろうと考えられている見積もり金額であり、税金の計算上は考慮しないこととされています。つまり10万円を超えた部分だけを所得金額から差し引くことにより、税負担を軽くしようということです。ただし、医療費控除額はいくらでも良いものではなく、最高で200万円までとなっています。また、支払った医療費を補填する保険金等がある場合には、医療費の金額から差し引くことになります。

医療費控除額の算式
{(医療費)-(保険金等)}-(10万円と所得金額の5%のいずれか少ない方)=医療費控除額

 医療費控除と対象とされる「医療費」は、次の三つの要件に合致するものに限られています。
①次のうち一般的な水準を著しく超えない部分の金額。したがって、あまりに高額な場合には認められない場合もあります。
(イ)医師または歯科医師による診療又は治療の対価
(ロ)治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価
(ハ)病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
(ニ)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等による施術の対価
(ホ)保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話の対価
(ヘ)助産師による分べんの介助の対価

②自身又は生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費であること。
この「生計を一にする」という表現ですが、同居していれば、その要件を満たすことになると考えられがちです。しかしながら、例えば、勤務・修学・療養費等で別居している場合であっても、余暇には起居を共にしている場合や、常に生活費・学資金・療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。したがって、同居か別居かという点のみでは生計を一にするのかしないのかを判断することはできないのです。

 ③その年中に支払った当該医療費であること
医療費控除額の計算は年ごとに行い、その年内に実際に支払ったものだけを計算の対象とします。例えば12月に治療を受けたけれども、支払いは翌年1月になった場合には、その治療を受けた年分の医療費控除の対象とはならず、翌年分の対象となります。

 以上を確定申告において医療費控除を受ける際の参考としていただければ幸いです。また個別具体的な内容につきましては税理士もしくは最寄りの税務署にご相談ください。

(税理士 斎藤浩基)
2月 06 2012

情報システム委員会にて検討中の課題

 名古屋税理士会には、11の部会と2つの委員会、1室、1研究所が設置されており、この2委員会の中でITに関する所掌をしているのが『情報システム委員会』であります。
 この情報システム委員会は、平成9年5月の理事会で承認され、設置された情報基盤整備特別委員会がその前身であり、その後、平成17年6月に電子化対応特別委員会へ改組、そして平成21年6月に現在の情報システム委員会へ改組されました。
 つまり、情報システム委員会の歴史は、まさに、インターネットをはじめとしたIT技術の普及が我々税理士業界に与えてきた影響の歴史でもあります。

 本年度、情報システム委員会がすべきことは、以下の3点であります。
 (1)電子申告の普及促進
 (2)税理士会会員のITリテラシーの向上
 (3)会務・事務局の効率的運営を計るためのIT化
 この中でも、当委員会の設置当初からの最重点項目である電子申告においては、現在利用率の伸びが頭打ちになっていることから、更なる利用拡大のために
  ①深耕策:未だ利用していただけない税理士にご理解いただき利用していただく
  ②拡大策:現在利用している税理士が、全ての税目における全ての申告、申請等の手続きでの100%利用及び大企業の利用促進
  ③勧奨策:所得税を中心とする確定申告時期における一般納税者への周知
が必要であります。
 また、名古屋国税局はもとより、隣接の東海税理士会との情報交換を密にし、電子申告をより使いやすいものにしていく改善要望等を提言していきたいと考えております。
 電子申告以外に、上記(2)及び(3)について、本年度の当委員会では
『情報システム委員会は、どんどん新しいことにチャレンジしよう』
をスローガン(?)に、近年急速に利用拡大している、ツイッターやフェイスブックといったSNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)を税理士業務に活用できるような研修会を開催、さらには昨今、急速に市場に普及してきている携帯タブレットを使った会議のペーパーレス化の実現に向けた取り組みなども検討中であります。
 部ではなく委員会ですから、最終的な執行をしない代わりに、自由に情報を集め、研究したことをまとめて本会に具申・提言していくことができる位置づけであると理解しております。上記のような自由な発想から生まれる新たな提案を、税理士会および会員のために、これからも積極的に続けて行きたいと思っております。

(税理士 深川祐司)

2月 06 2012

平成23年~24年の主な税制改正について

 平成23年度の税制改正は、政局の不安定さに加え、東日本大震災への対応などで極めて異例の、複雑な経過をたどりました。しかし、紆余曲折を経ながらも昨年11月30日の修正法案成立をもって、ようやく一応の決着を見ました。ただし例年と異なり当初の改正法案がほぼそのまま成立・公布されたわけではありません。本稿では、平成22年12月に公表された平成23年度税制改正大綱(以下、当初案という)を起点として、納税者にとって特に重要性の高い主要な改正項目につき、どの項目が成立し(内容が一部修正されたものを含む)、または未成立となったのか、さらに平成23年度には未成立になったものの、平成24年度税制改正大綱(平成23年12月10日閣議決定)に引き続き盛り込まれているものなどについて概説します。
【成立した税制改正法案】
 法人課税関係の改正法案はほぼ当初案どおりに改正されました。成立した事項は以下のとおりです。①法人税率の引き下げ②減価償却制度の見直し③欠損金の繰越控除制度の見直し④貸倒引当金の適用対象法人の見直し⑤一般寄附金の損金算入限度額の縮小
 個人所得課税関係で成立した事項は以下のとおりです。①事業所得者等の帳簿記載保存義務の強化②個人住民税における退職所得の10%税額控除の廃止
 国税通則法関係で成立した事項は以下のとおりです。①税務調査手続の法制化②更正の請求の期間の延長等③更正の請求の範囲の拡充③更正等の処分の場合の理由附記の導入
 また、当初案にはなかったものですが、東日本大震災の復興に資するために成立・公布された震災復興財源確保法(修正法案と同時に成立・公布)に含まれている事項は以下のとおりです。①復興特別法人税(10%上乗せ措置)の創設②復興特別所得税(2.1%上乗せ措置)の創設③個人住民税の均等割りの引き上げ
【未成立となった主な税制改正法案】
 相続税・贈与税関係で当初案に盛り込まれていた事項(相続税の基礎控除の引き下げ、最高税率の引き上げなど)はすべて未成立となりました。ただし、これらの事項は通常の税制改正とは別枠の、消費税関連の改正(消費税率の見直しなど)を含む税制抜本改革の中で検討されることが予想されます。その他、個人所得課税関係では、成年扶養控除制度の縮減が、国税通則法関係では、納税者権利憲章の制定などが未成立となりました。
【未成立となったが、平成24年度税制改正大綱に盛り込まれているもの】
 個人所得課税関係で当初案に盛り込まれていた事項のうち、次の事項は平成24年度税制改正大綱に盛り込まれました。①給与所得控除額の上限設定②特定支出控除制度の拡充③短期就労役員退職所得の2分の1課税の廃止

(税理士 佐藤豊和)

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