5月 08 2012

年金にまつわる税金

年金は
①公的年金等と
②生命保険契約等に基づく個人年金
とに分けられます。

(公的年金とは)

①国民年金法、厚生年金法、公務員の共済組合法などの規定よる年金
②過去の勤務により会社などから支払われる年金
などを言います。

(所得税の計算手順)

 公的年金等を受けた場合は、総合課税制度により、雑所得として所得税が課せられます。(尚、遺族基礎年金、障害基礎年金などは課税されません。)
 総合課税制度とは、給与所得、事業所得などの各種所得を合計して所得税額を計算するというものです。所得税は総合課税が原則ですが、土地・建物等や株式の譲渡による所得などのように他の所得と合計せず、分離して税額を計算する所得もあります。
 公的年金等に課せられる所得税をご理解いただくために簡単に総合課税制度による所得税の計算手順を説明させていただきます。

  1. 個人が得た所得を給与所得、事業所得、不動産所得などの各種の所得に分けます。
  2. それぞれの所得の種類ごとに所得を計算します。
  3. これらの所得を合計したものから、扶養控除や基礎控除などの所得控除を差し引いて課税される所得金額を計算します。
  4. 課税される所得金額に税率をかけて税額を計算します。
  5. 予定納税額や源泉徴収された金額を控除し、納付する又は還付を受ける金額を計算します。

(雑所得の計算)

 公的年金は所得の種類でいえば、雑所得になります。
 雑所得の金額は以下のように2つに分けて計算したものの合計額です。

  1. 公的年金等以外のもの
     公的年金等以外の総収入金額-必要経費
  2. 公的年金等
     収入金額-公的年金等控除額

 公的年金等の雑所得の金額の計算は上記のとおり年金の収入金額から公的年金控除額を差し引いて計算しますが、実際には、表1に当てはめて算出します。
例えば65歳以上の人で公的年金等の収入金額の合計額が350万円の場合には、公的年金等の雑所得の金額は次のようになります。
3,500,000×75%-375,000=2,250,000

表1 公的年金等に係る雑所得の速算表
  公的年金等の収入金額の合計額(A) 公的年金等雑所得の金額
以下
(年

65


満)
1,300,000円以下 (A) - 700,000円
1,300,000円 4,100,000円 (A)×75%-  375,000円
4,100,000円 7,700,000円 (A)×85%-  785,000円
7,700,000円超 (A)×95%-1,555,000円

(所得税額の計算)

このように算出した公的年金等の所得の金額を給与所得などの他の所得があれば、それらと合算し、扶養控除や基礎控除などの所得控除を差し引き課税される所得金額を計算します。そして、表2の税額表より所得税額を求めます。

(公的年金からの源泉徴収)

 公的年金等の支払いを受けるときは、原則として収入金額からその年金に応じて定められている一定の控除額を差し引いた額に5%を乗じた金額が源泉徴収されます。
 この源泉徴収税額は、表2を使って計算した所得税額から控除します。

表2 所得税の税額表(平成23年分適用分)
課税される所得金額(A) 税率(B) 控除額(C) 税額=(A)×(B)-(C)
以下
1,950,000円以下 5% (A)× 5%
1,950,000円 3,300,000円 10% 97,500円 (A)×10%-  97,500円
3,300,000円 6,950,000円 20% 427,500円 (A)×20%-  427,500円
6,950,000円 9,000,000円 23% 636,000円 (A)×23%- 636,000円
9,000,000円 18,000,000円 33% 1,536,000円 (A)×33%- 1,536,000円
18,000,000円超 40% 2,796,000円 (A)×40%- 2,796,000円

「課税される所得金額」に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

(公的年金の源泉徴収票)

 今まで、お話した公的年金の収入金額や源泉徴収税額は、毎年1月末ごろ送付されてくる公的年金の源泉徴収票に記載されていますので、送られてきたときには、保存をしておくことが必要です。

(年金についての重要な改正)

平成23年以降は、その年の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年の公的年金等の雑所得以外の所得金額の20万以下である場合には確定申告の必要がなくなりました。
 ただし、例えば、医療費控除による所得税の還付を受けるための確定申告はすることができます。
 また、公的年金等以外の所得金額が20万円以下で確定申告の必要がない場合であっても、住民税の申告が必要な場合がありますので、注意が必要です。

(税理士 加藤正樹)

5月 08 2012

「臨税ってなに」

名古屋税理士会としては「臨税」に対して、臨税対策室を設けて対応しています。

条文を見ますと「臨税」とは、税理士法第50条第1項(臨時の税務書類の作成等)に以下のように規定しています。「国税局長は、租税の申告時期において、又はその管轄区域内に災害があった場合その他特別の必要がある場合においては、申告者等の便宜を図るため、税理士又は税理士法人以外の者に対し、その申請により、二月以内の期間に限り、かつ、租税を指定して、無報酬で申告書等の作成及びこれに関連する課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることを許可することができる。ただし、その許可を受けることができる者は、地方公共団体の職員及び民法第34条の規定による法人その他政令で定める法人その他の団体の役員又は職員に限るものとする。」具体的には、個別通達により租税の税目の指定は、原則として申告所得税及び個人事業者の消費税に限るものとし、その許可を与える基準は、①地方公共団体②農業協同組合③漁業協同組合④事業協同組合⑤商工会の役員又は職員に限られる。
昨年の「臨税」のうち農業協同組合の職員への付与(以下「農協臨税」という)件数は、全国で726件うち名古屋国税局管内122件(うち名古屋税理士会13件)申告件数は、名古屋国税局管内で約5万件(うち名古屋税理士会約3千5百件(消費税を除く))であります。
 名古屋税理士会で「農協臨税」について問題としてとらえている点は、大きく次の2点です、第1は「臨税」付与の期間が二月以内と限定されているのに農協職員の税理士行為の日常化されている点、第2は農協の顧問税理士による組合員への税務相談が2ヶ所事務所に該当する点である。これらの点は農協との話し合いの場がないことに最大の問題があると考え、毎年協議会の開催の申し入れを行っております。
 また、税理士法改正の重点17項目の中にも「臨税制度の見直し」があり、その内容は臨税業務の許可を受けることができる者を地方公共団体の職員に限定するというものであり全国的にも「臨税」の見直しの機運が高まってきています。
我々税理士は、唯一無二の租税の専門家として、皆様のお役に立ちたいと考えています。

(税理士 松井孝穀)

5月 08 2012

一般太陽光発電設備の売電に確定申告は必要か

 一般家庭に太陽光発電設備が徐々に普及してきているようです。そこで今回は、普段確定申告をすることのない方が自宅に太陽光発電設備を設置し、余剰電力を電力会社に売電した場合の収入について、確定申告をする必要があるかどうか試算してみましょう。
一般家庭の売電収入は消費生活に付随する収入であるため、雑所得という所得区分になります。一般家庭では太陽光発電の給与所得以外の所得が20万円以下の方などであれば確定申告の必要はありませんので、売電による収入が年20万円を超えても、必要経費を控除した残額が20万円以下であれば確定申告の必要はありません。逆に減価償却費を控除して赤字になっても、他の所得と相殺することはできませんが、同じ雑所得である年金所得などとは相殺することができます。

 資源エネルギー庁による目安の数値を参考にしてシミュレーションをしてみると、表のような結果になりました。


4kW(発電出力の全国平均)×24h×365d×12%(稼働率)×0.6(余剰率)×42円/kWh(住宅用売電単価※)=105,960円
(※平成24年6月までに売電を開始した場合はその後10年間は42円で固定されます。7月以降の単価は3月31日現在未定ですが、漸減する予定です。)



太陽光発電設備は故障などがない限り初期の設備費用以外には新たな出費はありません。設備費用の当年対応分(減価償却費)のうちさらに売電に対応する部分(余剰率)だけが収入から控除できます。取得価額を240万円(1kwあたりの平均価格60万円×4kW)とすると、年間の減価償却費は、
240万円×0.059(耐用年数を17年とする定額法の場合)×0.6(余剰率=事業供用割合)=84,960円

(収入)105,950-(必要経費)84,960=20,990円

 つまり、給与所得者など普段確定申告をする必要のない方は、平均的な太陽光発電設備による売電収入であれば確定申告の必要はなさそうです。(ただし個人事業者の場合は申告する必要がありますし、消費税の課税事業者の場合は、売電収入も課税売上になりますのでご注意下さい。)また、事前届出によって定率法という減価償却方法を選択することができますが、その方法を選択すると、購入当初の減価償却費を多めに計上することができます(年を経るにつれ費用に出来る金額が少なくなっていきます)。そのような方法を選択してもし赤字となった場合で、年金所得などほかの雑所得がある方は、赤字の場合には確定申告をして相殺することによって所得税を安くすることができるかも知れません。
 実際には売電収入以外にも家庭の電気代の節約分が利益に貢献しているのですが、このような節約による利益は「帰属所得」と呼ばれ、所得税の計算対象外となっています。
 また、「住宅用太陽光発電導入支援復興対策事業」などにより国や地方自治体から補助金を受けた場合は、その補助金は一時所得になりますが、一時所得控除が50万円あるため、他の一時所得と合わせて50万円を超えるのでなければ、これも税額には影響を及ぼしません。

 なお、窓全部の改修工事など一定の省エネリフォームと同時に太陽光発電設備を設置した場合には、太陽光発電設備にも住宅特定改修特別税額控除制度を受けることができます。
「省エネ改修工事をした場合の住宅特定改修特別税額控除」は、自己所有の居住用家屋について平成24年中に一般省エネ改修工事を行った場合に、一定の要件の下で、その一般省エネ改修工事に要した費用とその一般省エネ改修工事の標準的な費用の額のいずれか少ない金額(最高200万円(太陽光発電設備設置工事が含まれる場合は最高300万円))の10%をその年分の所得税額から控除することができます。この場合は確定申告が必要となります。(この一般省エネ改修工事について住宅借入金等特別控除又は特定増改築等住宅借入金等特別控除のいずれの適用要件も満たしている場合には、どれか一つの選択適用となります。)

(税理士 本間拓巳)

5月 07 2012

相続税と贈与税の関係

Q 相続税と贈与税はどんな関係ですか。

A 相続税は、相続又は遺贈によって財産を取得したときに課される税ですが、相続又は遺贈によって取得した財産だけを課税の対象とすると、生前に財産を贈与することによって、相続開始の時点で課税されるべき財産を少なくして、相続税を回避することも可能となってしまいます。そこで、これを防止し、税負担の公平を図るという観点から、贈与税が課されています。つまり、贈与税は相続税を補完する税として位置付けられています。
 ただし、贈与税と相続税にはそれぞれ基礎控除という制度があり、税率の差異もありますので、これらを上手く組み合わせる事により税負担が軽くなる場合があります。
この場合でも、相続又は遺贈により財産を取得した人が、その相続開始前三年以内に被相続人から贈与によって取得した財産があるときは、その財産は相続税の課税財産に加算され、相続税が課されます。
 しかし、このような制度のもとでは、高齢化の進展もあり、高齢者の保有する資産の若年世代への移転が遅々として進まないので、若年世代への早期の移転を促進するため、次のような制度が設けられています。なお、両制度は併用可能となっています。

1 相続時精算課税制度
六五才以上の親から20才以上の子(子が死亡している場合は20才以上の孫)への生前贈与について選択できる制度で、贈与時には贈与財産に対する軽減された贈与税を支払い、その後の相続時に、その贈与財産とその他の相続財産とを合算して相続税を精算します。
2 直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた一定の要件に該当する者が選択できる制度で、一定の金額まで贈与税が非課税となります。この制度は平成23年12月31日で期限切れとなっておりましたが、先の国会で平成26年12月31日まで延長されました。

(税理士 小寺健二)

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