6月 05 2012

配当金に係る税金

Q1:上場株式の配当金には、どのような税金がかかりますか。
A1:上場株式の配当金に対する源泉徴収税率は、10%(所得税7%、地方税3%)に抑えられています。株式市場の活性化のため、この措置は平成25年12月末まで続き、平成26年からは20%に引き上げられる予定です。
Q2:上場株式の配当金を受け取った場合、確定申告する必要がありますか。
A2:ご自分の投資の状況や所得に合わせて、次の3つからいずれかを選択します。

  1. 確定申告しない…配当金を受け取った時にかかる10%の源泉徴収税額のみで終える方法(申告不要制度)。
  2. 確定申告して総合課税を選択する…配当金(配当所得)を、他の所得と合算して累進税率に基づき税金を計算し、源泉徴収税額を差し引く方法。この場合、配当控除が適用となります。
  3. 確定申告して申告分離課税を選択する…配当金(配当所得)を、上場株式等の売却損失と相殺(損益通算)します。

Q3:株式投資信託の分配金には、どのような税金がかかりますか。
A3:株式投資信託の分配金には、普通分配金と特別分配金があります。普通分配金は上場株式の配当金と同じように、所得税7%、地方税3%が源泉徴収されます。しかし、特別分配金は実質的に元本の払い戻しに相当しますので、課税されません。
Q4:上場株式の配当金や、株式投資信託の普通分配金を確定申告すると、税金が戻ったり、節税になったりすることがあると聞きました。どのような場合ですか。
A4:総合課税の税率が10%より低い場合は、先のA2②(確定申告して総合課税)を選択すると有利になることがあります。また、株式を売却して損失が発生している場合には、先のA2③(確定申告して申告分離課税)を選ぶと有利になる場合があります。ただし、ご自分の投資の状況や所得によって異なるため、税理士や税務署に相談していただくとよいと思います。

(税理士 宮脇治嘉)

6月 04 2012

消費課税についての私見

1.課税段階の選択

 消費税はフランスの三大発明の一つといわれていますが、20世紀の後半に導入されたばかりの新しい課税制度です。野田政権の「税と社会保障の一体改革」でも主論点であり、消費税率を上げるか上げるべきでないかと言った大きな世論の議論があります。もちろん、誰しも税金の負担は少ない方がいいでしょう。しかし、一定の財政支出を賄う収入をカバーするためには一定の税収入が必要でしょう。資産として永久に蓄えられる部分を除いて、稼得された所得は長期的にはいつか消費されるとの考えに立てば、所得を稼得した段階で課税するのか、あるいは消費した段階で課税するのかの国民の選択であるといえます。
英国サッチャー元首相は「われわれが汗水たらして働いた結果得られる所得に課税することは、勤労を罰することだ。それよりも、個人が選択的に消費をする、そこに課税をする方がずっと公平ではないか」と言っています。また、「個人が社会に貢献したときに得られる労働の対価としての所得に課税するよりも、彼らが社会より取り出し消費する時に課税するほうが公平である。」とも言われています。

2.課税方法の変化

 課税方法は、社会や経済環境により変化します。古くは人頭税といった簡便な課税方法であったものが、租庸調、賦役、地租、年貢等といった課税方法を経て、現在の所得を基準とする課税方法になってきました。しかし、所得課税の前提になっているのは複式簿記による所得の正確な計算です。クロヨン・トーゴーサンという言葉や白色申告に対する推計課税があるように、すべての所得が正確に把握されているとは言い難い現状にあるように思えます。逆進性の問題はありますが、勤労意欲および公平性の観点からも、消費した段階で課税する消費課税へのシフトも検討すべきであると考えます。
マクロ経済的に、長期的には「国民所得は国民消費に等しい」のですが、短期的には稼得された所得はすべて消費しないで貯蓄等の資産となる問題があります。個人の生涯所得は生涯消費および遺産と等しいわけです。したがって、その短期的な消費課税の減少を填補するためにも資産課税が必要になるとも言われます。しかし、貯蓄された資産はやがてその資産が消費された時に更に消費課税されるわけですから、その二重課税の回避措置も必要でしょう。

3.課税負担の世代分担

そもそも所得というものは、先ほど述べたように概ね複式簿記による会計の利益を調整したものです。会計制度が整備運用されていない場合、その所得課税根拠は曖昧であり、現に売上に基づいて課税される発展途上国もあります。現代の日本はあまりに会計の利益という概念に引きずられているように思いますが、それに加え、交際費の一部が損金として認められない等の特例が多く所得課税は非常に複雑なものになってきています。一方、消費課税はよりシンプルであり、取引相手による牽制もある点で実効性や公平性も高いと考えます。もちろん取引牽制を担保するためのインボイス方式への変更や益税の問題等の改善は必要です。しかし、何よりも減少していく将来の世代の所得負担に頼るのでなく、多額の貯蓄資産を持っている現在世代の消費による負担を中心にして、日本の財政状況を改善していくのが自然であり実現可能性があると考えます。

(税理士 鷲野直久)

6月 04 2012

「住宅・土地税制の改正について」

1.概要

 平成24年住宅・土地税制の改正については、認定低炭素住宅について住宅ローン控除の控除対象借入限度額が引き上げられたほか、居住用財産の買換え対象が縮減されるなどの改正が行われました。

2.内容

  1. 住宅の取得
    イ)認定低炭素住宅に係るローン控除の控除対象借入限度額の引上げ
    一定の省エネ住宅(認定低炭素住宅)を取得して平成24年または平成25年中に居住の用に供した場合の住宅取得等借入金に係る所得税額控除、いわゆる住宅ローン控除の控除対象限度額が引き上げられました。居住開始年分の所得税額より控除しきれない金額は、翌年度分の個人住民税から控除(上限9.75万円)されます。対象となるのは、「都市の低炭素化の促進に関する法律」によって認定された住宅です。

      認定低炭素住宅 一般の住宅
    居住開始年 控除期間 住宅借入金等の
    年末残高の上限
    控除率 控除期間 住宅借入金等の
    年末残高の上限
    控除率
    平成24年 10年間 4,000万円 1.0% 10年間 3,000万円 1.0%
    平成25年 10年間 3,000万円 1.0% 10年間 2,000万円 1.0%

    ロ)認定長期優良住宅に係る税額控除の延長
    認定長期優良住宅を取得して居住の用に供した場合には、標準的な費用の10%相当額(上限100万円)の税額控除が認められていますが、この上限金額が平成24年分所得税からは50万円に引き下げられ、適用期限が平成25年12月31日まで2年延長されました。

  2. 土地・建物の譲渡等
    イ)特定の居住用財産の買換え等
    所有期間が10年を超える特定の居住用財産については、譲渡対価が2億円以下の場合に買換え・交換の特例が適用されていましたが、平成24年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡については、譲渡対価が1億5000万円以下の場合に限って買換え・交換の特例が適用できることとされ、適用期限が平成25年12月31まで2年延長されました。
    ロ)特定の居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の特例
    譲渡年の1月1日において所有期間が5年を超える居住用財産を譲渡し、一定の居住用財産を取得した場合で、その譲渡によって譲渡損失が生じた場合には、他の所得との損益通算が認められ、通算しきれない場合には、3年間の繰越控除が認められていますが、この特例の適用期限が平成25年12月31まで2年延長されました。
    ハ)居住用財産の譲渡損失の特例
    譲渡年の1月1日において所有期間が5年を超える居住用財産を譲渡し、譲渡損失が生じた場合には、譲渡した居住用財産にかかる住宅ローン残高から譲渡価格を控除した残額を限度として、他の所得との損益通算が認められ、通算しきれない場合には、3年間の繰越控除が認められていますが、この特例の適用期限が平成25年12月31まで2年延長されました。
    二)特定民間住宅地造成事業等のための譲渡
    特定の民間住宅地造成事業等のために土地を譲渡した場合の1500万円特別控除について、適用対象から一団の住宅建設に関する事業が除外され、適用期限が平成26年12月31まで3年延長されました。
    ホ)特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例
    個人が所有期間が10年を超える事業用の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換えを行った場合、その譲渡資産の譲渡益または買換資産の取得価額の80%相当分については譲渡がなかったものとして課税の繰延べができる制度について、買換資産の適用範囲が見直されたうえ、適用期限が平成26年12月31まで3年延長されました。

(税理士 寺澤保之)

6月 04 2012

住まいづくりのための賢い税金対策

住まいづくりには売買代金以外にさまざまな諸費用が必要となってきます。特に、この売買代金を贈与やローンによって取得する場合には、それぞれのケースに応じて贈与税や所得税等の税金費用が必要となる可能性があります。

また近年では、このような各種税金について住宅取得を促進させる様々な特例制度が設けられており、ローンを組んだ際の住宅ローン減税や、高齢者世帯から若い世代への生前贈与による住宅取得資金の非課税制度など、住宅優遇税制の内容を知っておくことは大変重要です。
ここでは住まいづくりの際に発生する贈与税と所得税に関する主な優遇制度の概要をご紹介します。

住宅取得資金の贈与の特例

平成24年度税制改正案における住宅税制の目玉は何といっても「直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税特例」の拡充・延長でしょう。国税庁資料によりますと非課税限度額が1,500万円だった平成22年度は約71,000人という多くの方がこの制度を利用して住宅を取得しています。平成23年度中の非課税限度額は1,000万円に引き下げられましたが、平成24年度税制改正案ではその適用期限が3年延長されるとともに、省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅の場合についても新たに非課税限度額を設けることとしています。

●住宅取得等資金に係る贈与税の非課税限度額
  現行 改正案
贈与年 平成23年度中 平成24年度中 平成25年度中 平成26年度中
省エネ・耐震性住宅 1,500万円 1,200万円 1,000万円
一般住宅 1,000万円 1,000万円 700万円 500万円

(注)東日本大震災の被災者については、平成24年から平成26年の3年間、省エネ耐震住宅は1,500万円、一般住宅は1,000万円

具体的には、平成24年度中は、父母および祖父母等から20歳以上の子供・孫等へ1,500万円までの住宅取得等資金を無税で贈与できるということになります。さらに従来からの暦年贈与の非課税枠110万円をプラスすることにより、合計1,610万円まで贈与税がかかりません。なお、本特例の適用要件や手続の詳細については、税理士等にご相談下さい。

2.住宅ローン控除

住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得又は増改築等をした場合で、一定の要件を満たすときは、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、所得税額から控除することができます。
平成24年度中に居住開始した一般住宅の場合は、控除対象限度額(年末残高)が3,000万円以下の部分について10年間にわたり、年末ローン残高×控除率(1%)の額が所得税より控除されます。

●一般住宅の住宅ローン控除の控除期間、控除率など
居住年 控除期間 住宅借入金等の年末
残高の限度額
控除率 各年最大控除額
平成24年 10年間 3,000万円 1.00% 30万円
平成25年 10年間 2,000万円 1.00% 20万円

また、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて認定を受けた住宅については、住宅借入金等の年末残高の限度額が、平成24年居住開始分について4,000万円、平成25年居住開始分について3,000万円とそれぞれ1,000万円の上乗せがされています。
さらに、住宅ローン等を利用しない場合であっても、既存住宅について一定の要件を満たす住宅耐震改修をしたときや認定長期優良住宅の新築等をしたときは、それぞれの規定により定められた金額を、その年分の所得税額から控除することができます。
なお、これらの制度の適用については様々な諸条件がありますので、その適用要件や手続の詳細については、税理士等にご相談下さい。

(税理士 坂口美穂)

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