8月 09 2012

源泉所得税とは

源泉所得税とは何ですか。
所得税は、所得者本人が、所得金額や税額を計算し、自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされていますが、これと併せて特定の所得について所得の支払の際に支払者が所得税をあらかじめ徴収して納付する「源泉徴収制度」が採用されています。このあらかじめ徴収された税金を源泉所得税といいます。

源泉徴収される所得には何がありますか。
代表的なものは、給与や退職金、年金、預貯金の利子、税理士等の報酬、講演会の講師の謝礼などです。この他にも源泉徴収の対象となる所得はさまざまで、税法によって定められています。

源泉徴収は誰が行いますか。
源泉徴収の対象となる特定の所得を支払う会社や個人などです。所得税を徴収して国に納付する義務のある者を「源泉徴収義務者」といいます。

サラリーマンですが、ある訴訟で弁護士に報酬を支払いました。源泉徴収は必要でしょうか。
給与の支払者でない個人は、源泉徴収義務者ではありませんので、源泉徴収をする必要はありません。

源泉所得税と確定申告の関係について教えてください。
源泉所得税は所得税の前払い的性格のものですので、確定申告により本来納めるべき税額を計算し所得税の精算をする必要があります。その結果、払い過ぎの場合は還付を受け、不足の場合は不足分を納めます。なお、サラリーマンは、会社が行う年末調整で精算することもできます。

来年から源泉徴収税額が変更されると聞きましたが。
東日本大震災からの復興の財源を確保するため、「復興特別所得税」が来年1月から開始されます。これは所得税の2.1%が上乗せ課税される特別税で、給与等の源泉徴収をする際に上乗せ分も併せて徴収されますので、税額の変更にお気を付けください。

(税理士 加藤達也)

8月 08 2012

路線価とは

Q 路線価とは何ですか?
A 路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」との2種類があるものの、一般的には路線価といえば、相続税路線価のことを言い、相続税や贈与税の計算をするときに使用されるものです。相続税の計算では、土地に限らず、原則として、財産は時価で評価します。しかし、すべての土地の時価を決定することはとても大変です。そこで、国は道路に価額をつけて土地を評価することとしました。この道路につけられた価額が路線価で、標準的な道路ごとに、土地1㎡当たりの価額がつけられています。路線価を使った土地の評価方法を「路線価方式」といい、主に市街地の土地を評価するときに使われます。路線価のない地域は、固定資産税評価額に基づいた「倍率方式」によりの土地の評価を行います。

Q 路線価を知るにはどうしたらよいですか?
A 国税庁が毎年7月にその年の1月1日時点の路線価を公表しています。「路線価図」という地図形式で示され、税務署で閲覧することができます。また、国税庁のホームページでも知ることができます。

Q 路線価は誰がどのように決めるのですか?
A 路線価は、税務署が地価公示価格、売買事例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基に専門家の意見を聞きながら決定します。路線価は、地価公示価格の8割程度となっています。

Q 路線価を使ってどのように土地の評価額を計算するのですか?
A 単純に、路線価に、その道路に面する土地の面積を乗じて評価額を計算する場合もありますが、評価する土地の大きさや形などの状況よって路線価を調整する場合がほとんどです。土地の奥行きが長いか短いか、間口が狭くないか、間口に対して奥行きが長くないか、土地の形はいびつなものでないか、2路線以上の道路に面していないか等の状況に応じて調整を行い評価額に反映させます。

(税理士 大野耕司)

8月 08 2012

70周年に思う信頼される税理士制度の確立

2012年の今年、税理士制度は70周年を迎えます。30年後に税理士制度は、世の中に存在しているでしょうか?
 税理士制度は、まず昭和17年(1942年)にその前身である税務代理士制度ができました。地租中心から商工業者にも税務手続を求める税制に移行していく中、専門知識を有する者に税金の相談や手続の代理を依頼する納税者が増加しましたが、その反面、悪質な税務代理業者による不正・不当業務も問題となりつつありました。昭和17年に税務代理士法が制定され、一定の資格を有する者に大蔵大臣(のちに国税庁長官)が税務代理士の許可を与えました。これにより税務代理業務を行う者は税務代理士に限定されました。
 第2次世界大戦後戦後、申告納税制度が制定され、税務運営の民主的発達が促進された結果、試験制度と登録制度を取り入れた「税理士法」が昭和26年に制定されました。その後昭和55年に改正された現行の税理士法第1条は税理士の使命として以下のように規定しています。
「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」
 申告納税制度は多くの国税および地方税に採用されている制度で、自らの税額を税法に基づいた自らの計算に従って申告することにより第一次的に確定させる制度です。これには徴税コストの低減という実務的な側面がある一方、国民主権の現行憲法下、国民の納税義務が支配に対する服従ではなく自治における責任を意味し主体的かつ能動的なものであることを示す民主的な制度といえるでしょう。
 税理士は、納税者からの信頼に基づいた委任により税務代理・税務書類の作成・税務相談をその独占業務とすることにより、その民主的な申告納税制度の維持・発展に寄与する職業集団であり、社会インフラでもあるのです。
 冒頭の問いに戻れば、税理士に対する納税者の要請(ニーズ)を敏感に捉え、信頼される税理士制度の確立を今以上に目指さなければ30年後(100周年)には世の中から消えているかもしれません。世の中から期待も信頼もされない制度の消滅は必然です。過去70年継続してきた先達の努力により現在があることをこの周年の年にあらためて思い返し、今後も日々の業務を通じて信頼の醸成に努めたいと思います。

(税理士 浅野哲司)

8月 06 2012

消費税仕入税額控除95%ルール改正

はじめに

 平成23年度税制改正法案は、当初の「所得税法等の一部を改正する法律案」(平成23年1月25日閣議決定)から2分割されました。そのうちの一つである「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」が平成23年6月30日に公布・施行されました。この中に、実務的な対応が迫られるものがあります。それが、いわゆる消費税仕入税額控除95%ルールの改正です。ここでは、本改正による実務的影響について、検討してみます。

1) 消費税仕入税額控除95%ルールとは

 消費税は、売上に係る消費税額から仕入に係る消費税額(以下、仕入税額という。)を控除した差額を納付する制度です。その控除する仕入税額は、課税売上に対応するものに限るという原則的なルールがあります。その理由として、課税売上に対応しない仕入税額については、付加価値税としての消費税の性格上、売上によって他者に転嫁することができない性質のものであるため、その事業者自身が負担すべきであるという考え方によるものです。ところが、これまでは、課税売上割合が95%以上であり、売上のほとんどを課税売上が占めるような事業者については、仕入税額についても課税売上に対応するものがほとんどであると見込まれるため、仕入税額全額の控除が認められていました。これが仕入税額控除の95%ルールと呼ばれるものです。

2) 95%ルール改正

 この95%ルールについては、本来、その事業者自身が負担すべきである課税売上に対応しない仕入税額についても控除を認めていることから、一種の益税であるとの批判がありました。平成24年6月30日の改正において、その課税期間における課税売上高が5億円を超える事業者については95%ルールを適用しないこととされました。この改正については、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されるため、対象となる会社は、対処が必要となります。

3) 95%ルール改正の影響

 課税売上割合が95%以上で、かつ、その課税期間における課税売上高が5億円を超える事業者については、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から仕入税額全額が認められなくなり、従来、課税売上割合が95%未満の事業者が適用している「個別対応方式」か「一括比例配分方式」いずれかにより仕入税額控除の計算を行うことになります。従来95%ルールに慣れ親しんできた事業者にとってはなじみがなく、計算も若干複雑になります。両方式を比較すると、事務負担はかかりますが、一般的に課税売上割合が95%以上の事業者については、「個別対応方式」の方が、「一括比例配分方式」より有利になるケースが多いと考えられます。ただし「個別対応方式」を採用しようとする場合には、日常会計処理においても対応関係を明確にする必要があります。また、一度「一括比例配分方式」を適用した場合には、少なくとも2年間は継続して適用しなければなりません。
 課税売上高5億円超が見込まれる平成24年4月以降の開始の事業者は、今後どのような対応が必要か、法令等を参考にご検討いただければと思います。

(税理士 鹿野尚宏)

WordPress Themes