1月 08 2013

マンションの購入資金

 東京で一人暮らしをしている娘が、マンションを買うつもりのようです。援助してやりたいのですが、税金がたくさんかからないか心配です。いい方法はありますか?
 普通は、一人が一月一日から一二月三十一日までの一年間にもらった財産が一一〇万円を超えると、超えた部分に贈与税がかかります。ただ、一定の要件を満たした住宅取得のための資金等の贈与については、平成二五年中でしたら七〇〇万円(省エネ等住宅については一二〇〇万円)、来年なら五〇〇万円(同一〇〇〇万円)までは非課税となる特例があります。

 一定の要件とはどんなものですか?
 細かい点は省きますね。まず、贈与を受ける年の一月一日時点で二〇歳以上の人が、父母や祖父母など直系尊属から住宅等を取得するためにもらった資金であることです。取得する家屋については、登記簿上の床面積(マンション等の場合は区分所有する部分の床面積)が五〇平米以上二四〇平米以下という条件があります。お一人なのでこぢんまりとしたマンションを考えていらっしゃるかもしれません。お嬢さんに話しておかれたほうがいいですね。その上で、贈与を受けた年の翌年三月一五日までに住宅を取得し、住み始めた場合に対象となります。

 何か手続きをするのですか?
 今年の購入でしたら、来年二月一日から三月一五日までに税務署に贈与税の申告書を提出します。非課税の範囲内の金額でも、申告書を提出しないと特例の対象にはなりません。計算明細書、戸籍謄本、住民票の写し、登記事項証明書、住宅の取得に関する契約書の写し等を添付します。書類をまとめて保管しておいたほうが慌てずに済みますね。

 その他の注意点は?
 お話しできなかった条件もありますので、詳細が決まった段階で、税務署や税理士に確認されることをお勧めします。

(税理士:德永有香)

1月 07 2013

平成25年1月1日以降の税務調査手続について

 平成23年度の税制改正において税務調査手続の明確化等を内容とする国税通則法の改正が行われました。
 なお、この改正は平成25年1月1日以降に新たに納税者に対して開始する税務調査について適用されます。

- 一般的な税務調査手続きの流れ -

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上記に基づき、いくつかの点につき確認したいと思います。

1 事前通知事項の法定化

 以下の事前通知事項につき法定化されました。

  1. 実地の調査を行う旨
  2. 調査開始日時
  3. 調査開始場所
  4. 調査の目的
  5. 調査の対象となる税目(法人税、所得税、消費税、相続税等)
  6. 調査の対象となる課税期間
  7. 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
  8. 調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所または居所
  9. 調査を行う当該職員の氏名及び所属官署
  10. 調査開始日時または調査開始場所の変更に関する事項
  11. 事前通知事項以外の事項について非違が疑われることとなった場合には、当該事項に関し調査を行うことができる旨

2 事前通知事項の留意点

 税務調査に際しては、原則として納税者に対し通知されますが、税務代理を委任された税理士に対しても同様に通知されます。なお、合理的な理由がある場合には調査日時の変更の協議を求めることができます。
 ただし、税務署等が保有する情報から、事前通知をすることにより正確な事実の把握を困難にする、または調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあると認められる場合には、事前に通知せず税務調査を行うことがあります。具体的には、納税者の申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、

  1. 違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にする恐れがある
  2. その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがある

と認められる場合を示します。(従来においても事前通知のない税務調査は、現金商売や過去に重加算税が課された場合などは行われていました。)

3 提出された帳簿書類等の留置き

 税務職員は、国税の調査について必要があるときは、その調査において提出された帳簿書類等の物件を留め置く(預かる)ことができます。
 この「留め置き」は納税者の理解と協力のもと、その承諾を得て行うこととなりますが、正当な理由がなく提示・提出を拒んだり、偽りの記載をした帳簿書類の提示又は提出をした場合には、法律に罰則の定めがあります。

4 調査結果の説明と修正申告や期限後申告の勧奨

 以下の項目が法定化されました。

  1. 調査の結果、更正決定等をすべきと認められない旨を書面にて通知する。
  2. 調査の結果、更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には、原則として口頭により内容を説明する。
  3. 2.の場合、原則として修正申告又は期限後申告(以下「修正申告等」という)を勧奨することができる。

 なお、修正申告等をした場合には、不服申立てをすることはできないが、更正の請求をすることができる旨を説明したうえで書面により通知します。

5 処分理由の記載

 税務署長が、更正又は決定など納税者にとっての不利益処分をする場合には、その通知書に処分の理由を記載することとなりました。

 以上のとおり、税務調査手続が法律により明確化されたため、税理士の役割も一層重要になっていくと思われます。

(税理士 溝江重紀)

1月 07 2013

相続時精算課税のデメリット

Q1. 相続時精算課税制度の概要を教えて下さい。
A1. 贈与税の課税制度には、一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

Q2. 適用対象者を教えて下さい。
A2. 贈与者は65歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子とされています(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの)。

Q3. 税額の計算方法を教えて下さい。
A3. 適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、その贈与者(親)から1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。
その贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。

Q4. 相続時精算課税を選択した場合のメリットデメリットを教えて下さい。
A4. *メリット

  1. 相続時に相続税が発生しないと予測できれば、相続時精算課税を選択し生前贈与をしても税負担は無く、相続人の生存中に財産が移転できます。
  2. 多額の生前贈与ができます。(2,500万円まで贈与税がかからない)
  3. アパートなどの収益物件を贈与することにより、その後の所得を受贈者に移転でき、相続財産の増加を抑制することができます。
  4. 将来価値の上がると見込まれる有価証券、土地等を生前贈与することにより、相続財産の増加を抑制することが出来ます。

*デメリット

  1. 暦年課税制度には戻れません。
  2. 相続財産を減らすことは出来ません。(暦年課税の場合は相続開始前3年以内の贈与財産以外は相続財産から除かれる)
  3. 将来の税制改正があり、相続税が発生しないと見込んで相続時精算課税を選択したのに、相続税がかかってしまうこともあり得ます。

 ※相続時精算課税制度を選択される場合は必ずお近くの税理士にご相談下さい。

(税理士 長瀬徹)

1月 07 2013

年頭所感

 新年明けましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 我が国の経済は引き続き改善の兆しが見られず、個人消費・海外取引の先行きに期待を持つことができない状態であり、一昨年の東日本大震災の復興も軌道に乗ったとはいえない状態であります。加えて為替・金融情勢も厳しいものがあり、大企業から私たちの主な顧問先である中小企業に至るまで、経営を取り巻く環境には厳しい状況が続いております。
 その中で、昨年末衆議院の解散総選挙が行われ、新しい政権が発足しました。
 平成21年の総選挙において歴史的な政権交代が実現し、その総決算としての選挙といわれました。その結果の評価はこれから行われるわけですが、いずれにしても、それを選択したのは国民である我々であります。
民主主義の体制において政治の成熟度は国民の成熟度に比例するといわれますが、まさに結果責任は国民に帰するものでありましょう。
 国家財政の厳しい中で、消費税の増税が条件付きではあるものの決定されました。もとより租税制度は、その負担が公平であって納税者が納得してこそ有効に機能するものであります。 このような趣意を踏まえ、平成23年、平成  24年の税制改正大綱において納税環境整備が大きく取り上げられました。    
 現在、私ども税理士業界は日本税理士会連合会を中心に平成13年以来の税理士法改正に取り組んでおりますが、まさにこの納税環境の変化の中で税理士制度が益々重要性を増してきたとの観点から、税理士法の見直しを進めてきたものであります。

  • 税理士の業務の問題
  • 税理士の資格取得の問題
  • 税理士の信頼性確保の問題

を中心とした改正要望です。
 そしてその眼目は、この納税環境の中で国民が自ら納税額を確定させる極めて優れた申告納税制度を有効に機能させるためには税理士制度の発展・確立が極めて重要であるとの観点です。
 特に資格取得の問題に関しては、巷間でいわれている、いわゆる業際問題ではなく、他の資格に生じた問題が我々税理士制度に大きな影響を及ぼす現状を改め、国民・納税者からさらに信頼を寄せられる制度としていくというものであります。
 そのためには、研修の充実、税務援助の充実、租税教育への積極的な取組み等も欠かせません。
 名古屋税理士会は、事業活動の基本方針として、「・急激に変改する時代、社会からの要請に的確に対応し、誇りある税理士制度の維持発展に努める。・税理士法の精神に立脚し、国民・納税者から信頼される税務・会計の専門家としての自覚を持ち、責任を果たすための事業を遂行する。・組織機構を見直し、会員の参加しやすい効率的な会務運営に努める。」を掲げ、この実現のため会員一丸となって取組んでいるところであります。
 本年が、皆様のご多幸と希望に満ちた輝かしい一年となることをご祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。

名古屋税理士会会長 小川令持

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