8月 13 2013

路線価とは

Q:7月1日に路線価図等が発表されましたが、路線価とは何ですか?
A:土地には、公示価格・基準値価格・路線価・固定資産税評価額・鑑定評価額・実勢価格等さまざまな評価方法があります。
路線価とは、土地の評価方法の一つで、毎年税務署が発表する、1㎡当たりの標準的な画地の宅地の価額のことです。

Q:どのようにして路線価は決まりますか?
A:路線価は毎年1月1日を評価時点とします。地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価価額等を基に決められます。路線価は、地価公示価格の概ね8割程度に設定されています。

Q:どのような時に、路線価を使いますか。
A:路線価は、相続税や贈与税の土地などの評価をする時に使います。平成25年中に、相続や贈与が行われた場合、平成25年の路線価を使用して土地の評価をします。

Q:路線価はすべての土地の評価に使用できますか。
A:路線価は、主に市街地の宅地の評価に使用します。そのため、市街地以外の土地や田畑の評価には路線価は使用しません。

Q:どのようにして路線価を使用しますか。
A:土地に面している道路に価額が設定されており、その価額を評価する土地の面積に掛ければその土地の評価額が出ます。
 ただ、土地の形や土地の周りの道路状況等により補正が加わります。

Q:路線価図等は、どこで見ることが出来ますか?
A:税務署やインターネットにより閲覧できます。国税庁のホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等を見ることが出来ます。

(税理士 佐長谷和恵)

8月 07 2013

平成25年度税制改正で新設された「所得拡大促進税制」

 平成25年度税制改正では、相続税増税、所得税の税率アップといった増税が目立つ中、新たに政策税制、給与を増加させた場合の減税制度である「所得拡大促進税制」が新設されました。今回は、この制度についてご紹介しましょう。

1.概要

税制改正大綱では、我が国の誇る多様な人材の潜在力を引き出すことが「成長による富の創出」につながるとされています。具体的には個人所得の拡大を図り、消費需要の回復を通じた経済成長を達成するために、給与等の支給を増加させた場合にその増加額の一定割合の税額控除を可能とする制度が設けられました。

2.具体的な内容

青色申告書を提出する法人が、国内雇用者(注1)に対して支払う給与等が増加した場合において、以下の適用要件を満たすときは、次の算式により計算した金額を法人税額から控除することができます。
≪算式≫
税額控除額=(注4)雇用者給与等支給増加額×10%
ただし、法人税額の10%が限度となります(中小企業者等については20%)。
≪適用要件≫
この制度の適用を受けるためには以下の全ての要件を満たすことが必要です。
(1)当事業年度の(注4)雇用者給与等支給増加額÷(注3)基準雇用者給与等支給額≧5%
   →給与等支給額が基準事業年度と比較して5%以上増加
(2)当事業年度の(注2)雇用者給与等支給額≧前事業年度の雇用者給与等支給額
   →給与等支給額が前事業年度を下回らないこと
(3)当事業年度の平均給与等支給額≧前事業年度の平均給与等支給額
   →平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと。
≪上記用語の定義≫
注1:国内雇用者 法人の使用人のうち法人の有する国内事業所に勤務する者
(法人の役員及びその役員の特殊関係者を除く)
  注2:雇用者給与等支給額 各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額
  注3:基準雇用者給与等支給額 平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度(基準事業年度)の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等支給額
  注4:雇用者給与等支給増加額 雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額

3.適用期間

平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用されます。

4.制度適用にあたっての留意点

  1. 平成23年度の税制改正の際に創設された『雇用促進税制』では、「雇用者数の増加」を制度適用の要件としていましたが、この制度は「給与支給額の増加」を要件としています。したがって、今まで雇用者数が増加していないがゆえに税額控除の検討自体を行っていなかった場合でも、今後はこの制度による税額控除の適用が可能になるケースもあるので制度適用の検討が必要です。
  2. 給与支給額の増加額については、基準年度のものと比較するのであり、前事業年度との比較ではないということに留意する必要があります。
  3. 「雇用促進税制」と「所得拡大促進税制」とは選択適用であり、重複して適用することはできません。
  4. (税理士 国枝宗徳)

8月 07 2013

新しい投資優遇制度「NISA(ニーサ)」(少額投資非課税制度)

「NISA(ニーサ)」(少額投資非課税制度)とは

少額投資非課税口座(NISA口座)において、新たに購入した上場株式や株式投資信託等については、売却益や配当金を非課税とする新たな投資優遇制度です。

平成26年1月から始まります。
NISA口座での投資期間は、平成26年から平成35年までの10年間です。
特定口座は、上場株式等の売却や配当等について口座内で損益計算や源泉徴収ができる制度ですが、特定口座では新しい非課税制度を利用することはできません。
したがって、特定口座とは別に専用のNISA口座を新たに開設する必要があります。

税務上の特典は

NISA口座にて新規に上場株式等を購入すると、最長5年間は以下の税務上の特典が受けられます。

  1. 上場株式等を売却した際の譲渡所得が非課税
  2. NISA口座で受け入れる配当所得が非課税

ただし、対象となる上場株式等や非課税となる投資額には制限があります。(別表参照)

(別表)NISA口座のポイント
項目 ポイント 注意点
対象となる上場株式等 上場株式、公募株式投資信託等 公社債や公社債投資信託は不可
非課税となる投資額 購入額で年間100万円まで、最大500万円 購入手数料は含まない
NISA口座への受け入れ 新規の購入のみ 既に保有してる株式等をNISA口座へ移管不可
口座開設時の手続き 4年ごとに「非課税適用確認書」が必要 NISA口座開設時に金融機関から税務署に申請
譲渡所得非課税の手続き 特に必要なし(確定申告不要) 譲渡損でも損益通算や損失繰越控除なし
配当所得非課税の手続き NISA口座で配当金受領が必要 「配当を当該金融機関の口座で受領する方法」を選択

NISA口座開設の注意点は

日本国内に居住している20歳以上の人であれば誰でもNISA口座を開設できます。
ただし、一人一口座のみ開設可能です。複数の銀行や証券会社で重複して開設することはできません。

証券会社等の変更は

NISA口座の開設後、4年間は他の金融機関に変更することはできません。

NISA口座で購入した上場株式等を売却した際の売却益や、毎年の配当金についての確定申告は

NISA口座で保有する上場株式等の譲渡益や配当は、非課税の適用を受けるため、翌年の確定申告は不要となります。
なお、譲渡損が生じた場合でも損失はないものとみなされることから、確定申告で他の上場株式等の譲渡益との損益通算や損失の繰り越し控除はできません。

(税理士 上島大慶)

8月 07 2013

最近の租税関連通達改正の事例について

1.通達改正の基となった事例

 通達とは、上級行政庁が法令の解釈や行政の運用方針などについて、下級行政庁に対してなす命令ないし指令とされています。租税行政においても法令解釈や財産評価などについて多数の通達が国税庁長官によって発遣されています(金子宏「租税法」18版106頁)。
 相続税や贈与税の場合、財産の評価については、基本的には財産評価基本通達(以下「評価通達」)によって評価することとされており、取引相場のない株式(いわゆる同族会社の株式)を評価する場合においては、株式保有割合が25%以上(大会社)など一定の場合には、特定の評価会社の株式として評価通達に定める特例計算によって評価(25%基準)することとなります(財基通189)。しかし、この場合の25%基準は絶対的な基準と言えるのでしょうか。
 東京高裁(東京高裁、平25.2.28)は株式保有特定会社の株式評価方法が妥当か否かをめぐる争いで、納税者側の主張を認めた東京地裁(東京地裁、平24.3.2)の判決を支持、国側の控訴を棄却する判断を下しました。
評価通達では、株式保有割合が25%以上(大会社)の「株式保有特定会社」の株式評価方式は、純資産価額方式か、あるいは「S1+S2方式」で計算しなければならないことになっています(財基通189-3)が、これは、通達が定められた平成2年当時、株式会社の設立による租税回避行為が横行したため、これを防止することを目的として手当てされたものでした。
 裁判所は今回の東京高裁の判決で株式保有割合25%という数値が「資産構成が著しく株式等に偏っている」とまでは言えないと判示して、この通達が時代にそぐわないものとなっていることを指摘したのです。
これを受けて国税庁では、本通達の「25%」を「50%」と改訂することをパブリックコメントで公表して通達の改正が行なわれました。

2.通達の改正

 平成25年5月27日付で「財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」が発遣され適用時期等については、「平成25年5月27日以後に相続、遺贈又は贈与等(以下「相続等」)により取得した財産を評価する場合に適用されることとなりました。
 また、この通達改正は判決に伴うものなので、通則法施行令(通則令6①五)に規定する更正の請求の事由に当てはまることから、過去に遡って改正後の評価通達を適用することになります。そして、過去の相続税等の申告の内容に異動が生じ相続税等が納め過ぎになる場合には、通則法(通則法23②三)の規定に基づき、本改正を知った日の翌日から2月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることができるわけです。
 さらに、平成25年5月27日以後に相続税等の申告をする者が、平成25年5月27日前に相続等により取得した財産を評価する場合にも改正通達が適用できる(「財産評価基本通達の一部改正について」通達等のあらましについて(情報))こととされました。
 なお、法定申告期限等から既に5年(贈与税の場合は6年)を経過している相続税等については、法令上、本改正に係る改正後の評価通達を適用することはできません。

3.実務への影響

 財産の評価においては、課税公平の見地から課税上の弊害がない場合においては評価通達によって評価時点での財産を統一的に評価していますが、通達制定時の条件がその後の経済環境の変化によって評価基準へ重大な影響を及ぼすような場合には、課税サイドでも判決などを待たずに速やかに基準を変更することが望まれるところです。
 なお、裁決や判決などに伴って通達が改正された場合には、発遣日以後のみでなく上記事例のように過去に遡ってその見直しが行われる(通則令6①五)ことも想定されるため、通達の改正は更正の請求(通則法23)を含め実務への影響は大きいといえるでしょう。

(税理士 浅野 洋)

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