10月 08 2013

「教育資金贈与の非課税特例」

 孫へ教育資金の贈与をした場合、非課税になると聞きましたがどんな制度ですか。
 平成27年12月31日までの間に、30歳未満の子や孫が、親や祖父母から、教育資金に充てるため、信託受益権を贈与された場合又は贈与契約により取得した金銭を金融機関に預け入れた場合等には、千五百万円までの金額については贈与税が非課税となります。

 教育資金とは、学校の授業料や入学金のことですか。
 学校等に直接支払う授業料、入学金、入園料等の他に、学習塾や習い事の月謝等も対象となります。学校等以外に支払うものについては千五百万円の内、五百万円までが限度です。ただし、教育資金等を支払ったことが領収書等で確認できるものが対象です。教育資金等の具体例は文部科学省ホームページに掲載されています。

 贈与の非課税の特例を受けるにはどんな手続きが必要ですか。また、払出しはどうすればいいですか。
 金融機関に孫等名義の教育資金口座を開設し、教育資金を一括して預け入れます。その際に、金融機関経由で「教育資金非課税申告書」を税務署に提出します。また、資金の払出しは、孫等が教育資金に充てたことが証明された領収書等を、金融機関に提出します。

 教育資金を追加で贈与できますか。また中途解約できますか。
 千五百万円の非課税枠内であれば、追加で贈与を受けることができます。しかし、教育資金以外の用途に使うことや、中途解約することはできません。教育資金口座は、贈与を受けた孫等が30歳になった場合等に終了となり、その時点で残額がある場合は贈与があったこととされ、贈与税の課税対象となります。

(税理士 片田絵理)

10月 02 2013

「中小企業の設備投資と特別償却制度について」

 設備投資等を行った場合の税制上の優遇措置に関して、代表的なものに、「中小企業投資促進税制」があります。この制度は、中小企業者等が、平成26年3月31日までに、一定の対象設備等を新品で取得等して、事業の用に供した場合には、特別償却が認められます。なお同様の趣旨として税額を控除する制度もありますが、今回は割愛させていただきます。

Q-1:この制度の適用対象となる事業者は?
A-1:業種は、娯楽業、風俗営業等を除くほぼ全業種で、青色申告書を提出する中小企業者等が対象となります。中小企業者等とは、資本金が1億円以下の法人(ただし、大規模法人の子会社は除かれます)、又は、資本金を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1000人以下の法人、そして、同様の従業員数の個人事業者をいいます。

Q-2:対象となる設備等とは、どのようなものがありますか?
A-2:以下の資産が適用対象資産となります。
(1)すべての「機械・装置」で1台又は1基の取得価格が160万円以上のもの。
(2)「器具・備品」のうち、①電子計算機で1台又は1基、あるいは同一種類の複数台の取得価格合計が120万円以上のもの、②デジタル複合機で1台又は1基の取得価格が120万円以上のもの、③一定の測定工具、検査工具並びに試験または測定機器で1台30万円以上かつ1台あるいは複数台の取得価格合計が120万円以上のもの。
(3)「ソフトウェア」で複数基の取得価格合計が70万円以上のもの。
(4)その他の設備として、①普通貨物自動車のうち車両総重量が3.5トン以上のもの、②内航船舶。

Q-3:特別償却とは?
A-3:減価償却制度の中では、通常の減価償却を「普通償却」といい、それ以外に「特別償却」を定めています。「中小企業投資促進税制」の下では、対象資産を取得した年度に、普通償却に加えて、取得価額の30%を特別償却費として追加して費用に計上することができます。その結果、対象資産を取得した年度は、減価償却費が取得価額の30%分だけ増加するため、納税額が少なくなります。ただし、翌年度以降は、取得した年度に取得価額の30%分だけ前倒しで減価償却費を計上するため、残りの償却できる金額がその分減少します。そのため、特別償却を行わなかった場合と比べると減価償却費が減少し、結果、納税額が増加することに留意していただきたいと思います。

 平成25年度税制改正において、「生産等設備投資促進税制」や「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」が創設され、これらの制度においても特別償却が認められています。「中小企業投資促進税制」とは、要件が異なる点もございますが、これらの制度の活用をご検討してみても良いかと思います。

 詳細につきましては、お近くの税理士または税務署にお尋ね下さい。

(税理士 野中貴憲)

10月 02 2013

税理士会が行う「税制改正に関する建議書」について

 日本税理士会連合会では、税理士法の規定に基づいて、財務省、国税庁、総務省等に、税制改正の建議を毎年行っています。税理士法第49条の11には、「税理士会は、税務行政その他租税又は税理士に関する制度について、権限のある官公署に建議し、又はその諮問に答申することができる。」と定められており、税理士は、その職業領域において広い知識を有していることから、税理士法でこのような建議が認められています。

 そこでここでは、「平成26年度・税制改正に関する建議書(平成25年6月26日)」についてご紹介します。はじめに、同建議書は税務に関する専門家として納税者の立場に立ち、次の5つの税制に対する基本的な視点を示しています。

(1) 公平な税負担

 公平な税負担は、税制を考える上で最も基本的な視点であり、納税者が負担能力に応じて分かち合うという意味である。また、公平には、水平的公平、垂直的公平とともに世代間の公平の問題があり、それらが相互に補完し合うバランスのとれた税制を構築していく必要がある。

(2) 理解と納得のできる税制

 わが国の国税のほとんどは申告納税方式によって税が確定し、賦課課税方式による個人住民税なども所得税の確定申告を基礎としている。申告納税制度の下では、納税者自らが課税標準及び税額を計算し申告を行うので、租税制度は納税者が理解できるものであり、また、その目的や内容についても納得できるものである必要がある。

(3) 必要最小限の事務負担

 租税収入に係る費用は、税務行政庁側の費用だけでなく納税者側の事務費用も併せて認識されるべきであり、過度の負担を納税者に強いることは避けなければならない。

(4) 時代に適合する税制

 税制には、納税者の経済活動における選択を極力歪めないよう中立であることが求められるが、一方では財政や経済とも密接な関係を有している。経済社会の構造変化に応じて税制が適切に対応していかなければ、新たな不公平が生じるなどの弊害を招くことになる。したがって、税制を常に時代に適合するものとすべく、その見直しを継続しなければならない。

(5) 透明な税務行政

 透明な税務行政は、公平な税負担の確保と申告納税制度を維持発展させるためには必要不可欠であり、納税者から更なる信頼を得るための施策を行っていく努力が求められる。

 以上のような基本的視点の下、同建議書は、「今後の税制改正についての基本的な考え方」として、各税目における検討すべき課題を示し、また、「税制改正建議項目」においては、所得税における所得区分の見直しや、法人税における損金算入規定等の見直しなど、具体的な改正要望として35項目を明示しています。さらに、次の2点については特に強調して意見表明しています。

(1)消費税率の引き上げに伴ういわゆる逆進性の問題は、個人所得課税及び社会保障給付を合わせた社会保障と税の一体改革の中で検討することが適切であって、個人所得課税における所得再分配機能の強化と、番号制度の導入による社会保障給付の一層の効率化・重点化により対処すべきである。
(2)平成25年度から復興特別法人税と復興特別所得税が課せられることとなったが、措置の期間に差があることから復興特別所得税額の還付を受けるために復興特別法人税申告書を長期間に渡って提出することが実務上要請されることとなる。そこで、復興特別所得税は所得税の税率構造等を見直すことで、所得税に吸収し、復興財源に充当することが適当である。

 こうした税理士会が行う建議等が契機となって、最近では、更正の請求の見直し(平成23年12月改正)や、法人税率の引き下げ(平成23年12月改正)等が実現しています。税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることが使命であり、税理士会の意見表明は、まさに税理士の使命に基づいた税理士会の義務と言えます。
 今後も、名古屋税理士会は公平かつ合理的な税制の確立と、申告納税制度の維持発展をめざすために積極的に提言していきます。

(税理士 井川源太郎)

10月 02 2013

中小企業経営力強化支援法における認定支援機関について

 中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う「経営革新等支援機関」(認定支援機関)を認定する制度が創設されました。

 認定支援機関とは、中小企業が安心して経営相談等を受けられるために、税務、金融及び企業財務に関する専門知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を国が認定する公的な支援機関です。認定支援機関は、8月15日時点で15,884機関が認定されており、このうち約76%が税理士・税理士法人が占めております。全国420万の中小企業の内366万に及ぶ小規模事業者の活性化は日本経済の成長に不可欠です。そこで①自社の経営を「見える化」したい②事業計画を作りたい③取引先を増やしたい、販売を拡大したい、新たな事業を展開したい方を対象に認定支援機関はきめ細かい経営相談を行います。また国が認定支援機関に期待している役割は(1)ホームドクター的役割(2)専門性の高い支援③継続的フォロ-アップ(3)地域支援体制の強化⑤中小企業会計の普及です。

 認定支援機関による支援が必要な制度は、大きく「金融支援」「税制」「補助金」となっています。その中でも特に認定支援機関の役割は、平成25年3月末で「中小企業金融円滑化法」が最終延長期限到来を迎えたこともあり、中小企業が安定して経営相談等を受けられるためには、非常に重要な位置づけになっています。円滑化法を利用して条件変更等を行った事業者の内、約2万社を対象として経営改善計画策定支援事業として405億円が計上されました(24年度補正予算)。経営改善計画策定支援等について、必要となる費用の2/3を補助(事業規模等に応じ、十数万から上限200万)しています。経営改善が必要な企業への経営改善計画の策定支援、モニタリングを認定支援機関が支援することが今後も必要とされています。

補助金・ミラサポの有効活用

さらに、その他補助金としては「ものづくり補助金」「創業補助金」等がトピックとなっています。ものづくり補助金とは、中小企業の持つものづくりの底力を発揮させるため、中小企業が実施する試作開発(テスト販売を含む)や設備投資を支援する制度です。創業補助金は、後継者を含む若者や女性が、業種転換や新事業・新分野に進出する場合に認定支援機関による支援を条件に補助金が交付されます。

 そして認定支援機関は、事業計画等の策定・実行支援に留まらず、7月30日に構築されたITクラウドを活用した支援ポ-タル「ミラサポ」(https://www.mirasapo.jp/)に積極的に参画して経営支援に取組むことが期待されています。

 ミラサポとは、中小企業・小規模事業者の未来をサポートするサイトです。会員登録すれば、コミュニティへの参加でき専門家との情報交換の場として利用でき、専門家派遣も利用できるというメリットがあります。今後の展開としては、補助金申請や消費税転嫁対策支援、中小企業会計の普及、中小企業税制の活用促進など、幅広く中小企業支援に取り組むことにより地域の活性化、日本の中小企業の活性化に繋がることが期待されています。

(税理士 河合伸治)

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