11月 14 2013

事業開始時の所得税の確定申告

 新しく事業を開始しました。所得税の確定申告をしなければならないでしょうか。
 所得金額の合計額が社会保険料控除や扶養控除などの所得控除の合計額より多い人は所得税の確定申告書を所轄税務署へ提出しなければなりません。
日本は申告納税制度であり、申告や納付を期限までに行わないと、本税のほかに①加算税や②延滞税が課されます。

 確定申告書を提出しなかった場合の、①加算税とはどのようなものですか。
 提出すべき確定申告書を申告期限までに提出しなかった場合に課されるのが無申告加算税(納付すべき本税の額の15%、50万円を超える部分については20%)です。
無申告加算税は納付をまぬがれようとして申告しない者に対する罰則的な意味あいでもうけられています。

 期限内に納付しなかった場合の、②延滞税とはどのようなものですか。
 延滞税は納期限から遅れて納付されることから、その間の利息として課税されるものです。
 税金は納税者自身が自主的に期限内に申告・納税する自主納税が本来の姿とされています。これは自主納税によって税金への意識を高めるとともに日本国に生活する国民としての意識も高めていこうというものです。
 定められた納期限までに税金を納めないことを「滞納」といいます。まじめに納税している人との公平を保つためにも、滞納が放っておかれることはありません。また、滞納者自身にとっても延滞税がかさんでいくことになり、納税が遅くなるほど負担が大きくなっていきます。それでも納付がない場合には最終的に差押処分となります。
 したがって、期限内申告・期限内納付をしないと余分な税金を支払わなければならないことになります。

(税理士 武井直志)

11月 07 2013

消費税転嫁対策について

 消費税法の一部が改正され、消費税及び地方消費税を合わせた消費税等の税率が従来の5%から平成26年4月に8%、平成27年10月に10%に引き上げられる予定です。
 1997年に消費税率を5%に引き上げた際には、スーパーなど大手業者の取引先だった多くの中小企業が、商品に価格を転嫁できず、負担をかぶる結果になったことがあり、経営に大きな影響を及ぼしました。そこで、消費税の円滑かつ適正な転嫁ができるように、消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(以下「転嫁対策特別措置法」)が成立しました。
そこで、「転嫁対策特別措置法」の4つのポイントをQ&A方式でみていきましょう。

Q1.消費税の転嫁拒否等の行為が禁止とありますが、具体的にはどういったことですか?
A1.禁止される行為は表(1)の5つとなっております。
違反行為があると認めるときは、公正取引委員会が勧告を行い、その旨を公表します。

表(1)
禁止される行為 具体例
減額 本体価格に消費税分を上乗せした額を対価とする旨契約していたが, 消費税分の全部又は一部を事後的に対価から減じること
買いたたき 原材料費の低減等の状況変化がない中で,消費税率引上げ前の税込価格に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めること
購入強制・役務の利用強制・
不当な利益提供の強制
消費税率引上げ分を上乗せすることを受け入れる代わりに,取引先にディナーショーのチケットを購入させること
税抜価格での交渉の拒否 消費税抜価格(本体価格)で交渉したいという申出を拒否すること
報復行為 転嫁拒否をされた事業者が,①~④の行為が行われていることを公正取引委員会などに知らせたことを理由に,取引の数量を減らしたり,取引を停止したりするなど、不利益な取り扱いをすること

Q2.消費税還元セールなどのような宣伝、広告が禁止とあるが何がどうだめなのですか?
A2.例えば、「消費税は当店が負担」「消費税率分値引き」「消費税ポイント還元」などの表示は禁止されます。ただ、「春の生活応援セール」や「3%値下げセール」など消費税を意味することが客観的に明らかでない場合には、禁止表示にはなりません。

Q3.メニューや値札、チラシ等で価格をどう表示したらいいのですか?
A3.消費者に誤解や勘違いをされないようにした上で、別紙②のように、表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば「税込価格」を表示しなくても良いとする特例が設けられます。
この特例は、平成25年10月1日から認められています。

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Q4.業界団体や組合等で転嫁方法や表示方法を統一することができますか?
A4.はい。ただし、公正取引委員会が定めた期間内にあらかじめ届け出ることが必要です。

 なお、詳細につきましては、税理士にご相談ください。

(税理士 金田崇志)

11月 07 2013

税を考える週間

 毎年11月11日から17日までの一週間は「税を考える週間」です。この機会に、国民の皆さんに税の仕組みや目的などを考えていただき、国の基本となる税に対する理解を深めていただこうという目的で定められました。ここで、税金とは何か、改めて考えてみましょう。

税金とは

 私たちは、国や地方公共団体から様々なサービスの提供を受けて暮らしています。このような公共サービスの提供をするには非常に多くの費用がかかりますが、その費用をみんなで「税金」という形で負担しているのです。いわば私たち国民が社会の一員として暮らしていくための「会費」のようなものといえます。また、税金は国民の間での所得格差を縮める役割も持っていて、そのために所得の多い人には高い負担を求める累進課税制度がとられています。税金がないと、私たちの間の貧富の差はどんどん開いていってしまうことになります。また、税金には景気の安定を図る役割もあります。

税理士とは

 それでは、税に関する専門家である税理士とはどのような役割を果たしているのでしょうか?我が国では、納税者が自らの所得を計算し、納税額を算出する申告納税制度を採用しています。しかし、税金の計算は複雑で専門的知識が必要となります。そこで、税理士が独立公正な立場で以下の業務を行っています。

  1. 税務代理
    納税者を代理して、確定申告、青色申告の承認申請、税務調査の立会いなどを行います。
  2. 税務書類の作成
    納税者に代わって、確定申告書、法人税申告書、相続税申告書その他税務署に提出する書類を作成します。
  3. 税務相談
    納税者が税金のことで困ったとき、わからないときに相談に応じます。
  4. e-Taxの代理送信
    納税者の依頼でe-Tax(電子申告)を利用して申告書を代理送信することができます。
  5. 税理士の社会的貢献
    税理士は租税の意義や重要性を説き、納税意識の高揚を図る活動の一環として小中学生・高校生向けに租税教室を開催しています。救急車を呼ぶ費用や公園を造る費用、毎週回収するごみを処理する費用は誰が負担しているのかなど、身近な事例から税金の大切さを説き、税についての正しい認識を子供のうちからもってもらうようわかりやすく説明しています。また、名古屋税理士会では社会に出る前の大学生や、今年初めての試みとして一般企業の新入社員向けにも租税教室を開催しています。

 他にも、地方公共団体の外部監査委員や裁判所の民事・家事調停制度、成年後見人制度にも積極的に参画しています。
 今年は特に、来年四月に消費税の税率アップも控え、より税金への関心が高まっている時期です。名古屋税理士会は、税の仕組みや目的を今一度国民の皆さんに考えていただき、税についての理解を深めていただこうということで、この期間は無料税務相談などの行事を積極的に行っています。この機会に税金に関することはどんなことでも気軽にご相談ください。

(税理士 武山卓史)

11月 07 2013

所得税と住民税の違いと注意点

 毎年納税している身近な税金にもかかわらず、意外と知られていない所得税と住民税の違いについてご説明します。
 どのような「違い」が有るのか、所得税は所得の高い人には高い税率となる超過累進税率ですが、住民税の税率はお住まいの自治体で多少異なりますが、全国ほぼ一律となっています。
 また、住民税の所得控除(税金の計算上個々人の事情に応じて差し引く金額)は所得税より低く設定されています。このような差について、所得税は所得の再配分機能が強いのに対して、住民税は負担分任(地域社会の費用を共同負担する)の性格から広く納税者に負担を求めるため、と考えられています。
 以下に主な相違点を掲載します。お手元にご自身の24年の「給与所得者の源泉徴収票」又は「所得税の確定申告書」と、本年通知の住民税の「特別徴税額の決定通知書」又は「住民税納税通知書」を用意し、下記とぜひ見比べてください。

主な相違点 所得税 住民税
課税方式 申告納税方式
(自分で税額を計算し納付)
賦課課税方式
均等割
(均等の一定の税額)
なし 所得者であれば、どなたでも一定額の負担がある
給与から天引きされる額 当月支給額を基礎
年末調整で精算
前年の所得に基づき賦課
所得控除
基礎控除、一般扶養控除等
380,000円 330,000円
所得控除
生命保険料控除の最大
120,000円 70,000円
所得控除
地震保険料控除の最大
50,000円 25,000円
所得控除
寄付金控除
有り 無し
(寄付金税額控除制度有り)
税率 超過累進税率
(5~40%の6段階)
比例一定税率(10%)

 上記を踏まえての主な注意点は、以下のとおりです。

  1. 所得税がかからなくとも住民税は発生するケースがあるので、所得控除の控除もれがないようにしましょう。
    例えば年間給与103万円までの場合、所得税は0ですが、住民税は基礎控除が5万円低く抑えられているため、支払いが有る場合には、生命保険料控除や医療費控除を申告してください。
  2. 住民税が前年の所得に対してかかるため、新入社員に住民税は発生しませんが、退職者は収入が無くても住民税が発生するということもあります。
  3. 賞与からの天引きについて、所得税は概算徴収なので天引きが必要ですが、住民税は年間金額が確定しており月々給与から徴収しているので、賞与から天引きする必要がありません。

なお詳しい情報は、最寄りの税務署や市役所、税理士事務所にお問合せいただくと、入手する事ができます。(税理士 古田喜久雄)

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