1月 14 2014

非嫡出子と相続税

 平成25年9月4日の最高裁判決により、「非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とする。」という民法の規定は、憲法の定める「法の下の平等」に反しており違憲とされました。この判決が相続税に与える影響について説明します。

Q 嫡出子と非嫡出子の意味を教えてください。
A 嫡出子とは、法律上の夫婦である男女の間に生まれた子供のことをいい、非嫡出子とは、法律上の夫婦でない男女の間に生まれた子供のことをいいます。

Q 嫡出子と非嫡出子で相続権に違いはありますか。
A 嫡出子は父母の遺産に対して相続権があります。非嫡出子は母親の遺産について相続権がありますが、父親の遺産についてはその父親の認知がある場合に限り相続権があります。

Q 嫡出子と非嫡出子で相続分に違いはありますか。
A 今回の最高裁判決を受けて民法が改正され、嫡出子と非嫡出子は同等の相続分となりました。例えば相続人が嫡出子と非嫡出子の2人だけである場合、従来の相続分は嫡出子が3分の2、非嫡出子は3分の1でしたが、改正後はともに2分の1となりました。

Q 相続税の計算にはどのような影響が出ますか。
A 相続税の計算は、まず民法の相続分で各相続人が遺産を相続したものと仮定して相続税の総額を計算し、次に相続税の総額を各相続人が実際に相続した遺産の額で按分します。相続税の税率は累進超過税率を採用しているため、嫡出子と非嫡出子の相続分に格差がなくなったことにより相続税が減る可能性があります。

Q 相続税の申告にはどのような影響が出ますか。
A 平成25年9月4日以前に申告等により相続税額が確定している場合は、原則として従来と変わりません。平成25年9月5日以後に申告等により相続税額が確定する場合は、嫡出子と非嫡出子の相続分を同等として相続税を計算します。ただしケースによっては例外規定がありますので、詳しくは税理士にお尋ね下さい。

(税理士 安藤直子)

1月 09 2014

非嫡出子と相続税

 非嫡出子の相続分について教えて下さい
 非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子供)の相続分は、民法の規定により、嫡出子の2分の1とされていました。
 しかし、平成25年9月4日に最高裁判所は、非嫡出子の相続分に関する民法の規定(非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とする規定)は、憲法に違反するとして、無効の判断を下しました。この結果、民法の相続分において、嫡出子と非嫡出子の差はなくなりました。

 最高裁判所の判決を受けて相続税の取り扱いも変わったのですか
 平成25年12月5日に民法が改正され、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」との従来の規定は削除されました。税務上も、平成25年9月5日以後、申告等により相続税額を確定する場合においては、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定が無いものとして相続税額を計算することとなりました。

 過去に行った相続税の申告を訂正することもできますか
 違憲判断のあった平成25年9月4日以前に、申告又は処分により相続税額が確定している場合には、更正の請求は基本的にできません。
 ただし、9月4日以前に既に申告していても、相続税の申告期限前まででしたら、嫡出子と非嫡出子の相続分を同額として申告し直すことができます。
 なお、平成25年9月4日以前に相続税額が確定していた場合でも、9月5日以後に税務調査で申告漏れなどが見つかったり、遺留分の減殺請求などにより分割が決まった場合には、改めて相続税額を確定する必要があります。その際の更正の請求や修正申告は、嫡出子と非嫡出子の相続分を同額として、相続税額を計算します。

(税理士 増田信雄)

1月 09 2014

時価評価のススメ

 昨年からのアベノミクスへの期待、大胆な金融緩和などから、全国的に商業地域の土地の評価額や株価も上がりました。アベノミクスが掲げる名目3%以上の経済成長が実現されれば、不動産や株式だけでなく、様々なモノの価格が上昇していくと思われます。

 このような経済の転換期においては、会社であれば所有、運用している財産の時価を把握し、経済環境の変化に備えた会社資産の効率的な運用を行うべきですし、個人であれば、財産を時価評価し、デフレ時と異なる資産運用を検討することが望まれます。

 ただし、「時価」と言いましても、どのような評価方法に基づいて時価を算定するかは、なかなか難しいことです。例えば、土地の評価額には、相続税法上の評価額、公示価格、基準地価、固定資産税評価額、収益還元価額など多数あり、これが1物4価とも、1物5価とも言われます。また、破産等で破綻した会社の財産は平常時よりも安く買いたたかれてしまうなど、価格は売り手買い手の平常時、緊急時などの状況に大きく影響を受けます。従いまして、何をもって「時価」とするかは、どのような目的で時価を求めるかを明確にして、目的に合った時価を算定することとなります。

 さて、会社の貸借対照表で時価を知りたい財産は何があるでしょうか。土地、建物、株式、ゴルフ会員権、売上債権や貸付金なども回収可能性をチェックしたいところです。また、簿外となっている保険の解約返戻金も把握しておくべきです。時価評価に基づく“時価貸借対照表”の作成は、最初は少し手間がかかりますが、翌年からはそれほど手間ではなくなるはずですし、自社の株価の算定も素早くできるようになります。次に、時価評価したそれぞれの財産がどの程度利用されているか、また会社の業績にどの程度貢献しているのかを検討します。含み損があり利用も少ないゴルフ会員権は、利益が大きい年には処分してしまうとか、銀行からの借入金額と担保に供している財産の評価額を比較して、担保を解除していただくなど、会社の財産がより効率的に運用できる財務状況を整備していくことができます。また、「時価ベースで債務超過となったら会社をたたむ」という基準を経営者が自ら設定するなど、時価貸借対照表は、会社の方向性を決める大切な判断資料となります。

 個人でも、個人財産を時価で評価し、時価ベースの財産状況を把握しておくべきです。デフレ時とインフレ時では、資産運用方法が大きく異なります。また、相続税が、基礎控除額の縮小など、増税の方向に進んでいますので、相続税がご心配の方は、財産を相続税評価し、どの程度の相続税が課税されるか、どのような特例が使用できるか、どうすれば特例が使用できるか、財産の分割は相続税評価ベースで妥当かなどを早目に検討しておくのが良いと思います。

 このように、会社でも個人でも、財産を時価評価することは、単に評価する時点の価格を知るだけでなく、利用状況、収益への貢献度なども確認し、経済環境の変化に備えた効率的な利用の再検討や財産の組替など、将来の会社の財務状況のあり方や、個人財産のポートフォリオを検討できる機会ともなります。

 経済状況の変化に備えて、財産を時価評価してみてはいかがでしょうか。

(税理士 出口茂)

1月 09 2014

新年のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年の我が国の経済は、デフレ脱却への金融政策または財政政策によって株式相場の持ち直しあるいは円高の修正が進み、景気回復への期待感が高まって参りました。また、2020年のオリンピック東京開催の決定も好材料とされております。

 しかし、景気回復の実感は中小企業や地方経済にはいまだ浸透しているとは言えず、中部地方においてもいまだ不透明な状況が続いております。また、本年4月からの消費税率の5%から8%への引き上げが間近に迫っていること、また我が国の財政状況等大きな不安材料が存在しています。

 このような状況のもと、税理士に対する社会からの期待はますます大きなものになってきております。

 昨年12月12日に決定された平成26年度与党税制改正大綱の、「円滑・適正な納税のための環境整備の項目において、税理士制度について、申告納税制度の円滑かつ適正な運営に資するよう、税理士に対する信頼と納税者利便の向上を図る観点から、税理士の業務や資格取得のあり方などに関し見直しを行う。」とされ、税理士界が要望してきた税理士法改正がついに国会に上程されることとなりました。

 その具体的な項目は、下記のように分類され税理士会の要望はほぼ網羅されることとなりました。

  • 納税者利便の向上
  • 税理士の業務の活性化・人材確保
  • 税理士制度の信頼性の向上
  • その他

 その中でも、税理士制度の信頼性の向上のために、唱えてきた資格取得のあり方については、根本的な解決には至らなかったものの、問題点の存在は認識され大きな前進ができたものと思っております。

 また、租税教育への取り組みの推進も取り上げられました。税理士界は、徐々ではありますが租税教育への関わりを大きくしてきました。それは、大げさな言葉で言えば、租税教育こそが申告納税制度、ひいては民主主義の根幹を支えるものとの認識を持ったからです。それに対する評価がなされたものと思います。

 さて名古屋税理士会は本年も、事業活動の基本方針としている「急激に変化する時代、社会からの要請に的確に対応し、誇りある税理士制度の維持発展に努める。 税理士法の精神に立脚し、国民・納税者から信頼される税務・会計の専門家としての自覚を持ち、責任を果たすための事業を遂行する。 組織機構を見直し。会員の参加しやすい効率的な会務運営に努める。」の実現のため一層の努力をして参ります。本年が皆様のご多幸と希望に満ちた一年となることを御祈念申し上げまして新年の御挨拶とさせていただきます。

名古屋税理士会
会長 小川令持

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