8月 12 2014

妊娠出産の費用と所得税の医療費控除

 一人の女性が生涯に産む子供の数に数値目標を設けることなどの少子化対策が話題となっています。まずは安心して子供を産むために、今回は妊娠出産の費用と所得税の医療費控除について説明をします。

Q.妊婦健診費用は医療費控除の対象ですか。
A.対象です。妊婦健診は健康保険の適用がないため高額ですが、現在は妊婦健診の公費補助制度があるので、医療費控除の対象となる金額は、公費補助分を差し引いた金額となります。

Q.産科で行われるマタニティヨガの受講費用はどうでしょうか。
A.妊娠中に適度な運動をすることで安産が期待できますが、医師による診療を受けるために直接必要な費用でないため、対象となりません。

Q.交通費も医療費控除の対象になると聞きました。里帰り出産時の帰省費用の扱いはどうなりますか。また、入院のためにタクシーを使用した場合はどうでしょうか。
A.帰省費用については対象となりません。一方、タクシー代については病状から急を要し、電車やバス等による移動が困難な場合には全額が対象となります。

Q.分娩及び入院費用についてはどうでしょうか。
A.通常分娩及び入院費用も健康保険の適用がないため高額となりますが、多くの産科では出産育児一時金等の直接支払制度によって、窓口負担額は一時金を超える部分のみとなっています。この窓口負担額のうち差額ベッド代や日用品の購入費等を除いた部分が医療費控除の対象となります。また、帝王切開の場合には、高額療養費や民間の医療保険金の支払いを受けることがあり、これらの入金額を差し引いた金額が医療費控除の対象となります。詳しくは税理士等にお尋ねください。
最後に、医療費控除を受けるためには、領収書が必要となります。しっかり保管してください。

(税理士 宮田陽子)

8月 07 2014

NISA(ニーサ)とは

Q.NISA(ニーサ)とはなんですか?
A.平成26年1月から始まった、個人が投資した株式や投資信託の運用益や配当金が一定の範囲内で非課税になる制度です。正式名称は少額投資非課税制度と言います。現在、制度の対象者は20歳以上、投資枠は年に100万円まで、非課税の期間は5年間となっています。個人の貯蓄を投資へ変えることによって経済の成長を促すことが狙いです。

Q.今からでも始められますか?
A.始められます。口座開設可能期間(現行10年間)がありますので、今年中に始めればNISAを最大限に活用することができます。

Q.NISA口座で上場株式を70万円で買付し、その年の間に80万円で売却したとき、売却した80万円の枠を使ってさらに買付はできますか?
A.NISA口座の利用額は買付代金で計算します。このケースでは既に70万円を利用しているので、年間限度額100万円から差し引いた30万円までは買付を行うことができます。

Q.NISAを利用する注意点を教えてください。
A.メリットは前述の通りですが、デメリットもあります。損益通算や3年間の損失繰越はできません。購入した銘柄は非課税期間が終了した後、一般・特定口座か、新たな非課税投資枠に移すことになります。また、NISA口座で扱うことができるのは新規の株式や投資信託なので、既存の口座から移すことはできません。他にも、NISA口座は一人につき一つまでなので商品内容や売買手数料等を考慮して証券会社・銀行を選びましょう。また、非課税期間が終わった後の課税にも気を付けておきましょう。2014年現在の一般・特定口座の税率は20.315%です。

Q.今後NISAは変わっていくのでしょうか?
A.拡充される可能性が高いです。非課税枠を200万円以上に拡大したり、非課税の期間を延長したりする案が検討されています。

(税理士 鈴村明己)

8月 07 2014

固定資産税上がりましたか?

 毎年4月に固定資産税課税明細が市町村から送付されてきます。細部をじっくりとご覧になる方は少ないでしょうが、居宅敷地に係る固定資産税が増えたことに気づかれた方は少なくないでしょう。実はマイホーム敷地など住宅用地に関して、平成26年度から税額計算ルールが変更されています。

 固定資産税(都市計画税を含む)は、市町村が当該市町村内に所在する土地家屋等の所有者に課する税金です。市町村は原則として3年ごとに評価替えを行います。本来であれば、毎年評価替えを行うべきでしょうが、市町村内の土地家屋すべてを評価するのは労力が掛かり、徴税コストが膨大になります。そこで3年ごとに大規模な評価替えを行い、3年間は価格を据え置く制度を採用しています(但し、土地に関しては毎年簡易な下落修正を施すことがあります)。

 評価替えは平成以降、3の倍数の年度に実施されています。直近では平成24年度評価替え、次回は平成27年度評価替えとなります。評価替えの年度ではない平成26年度に住宅用地に係る固定資産税額が増額となったのは「評価額」ではなく、「課税標準額」の計算ルールが変更されたからです。

 土地に係る固定資産税は、評価額に直接、税率を乗じて算出されるわけではなく、前年度の課税標準額(税額計算の基となる金額)に負担調整措置を施して求められます。前年度課税標準額の今年度評価額(住宅用地に関しては特例率を乗じた額=特例適用後金額)に対する割合を負担水準といいますが、平成26年度からは負担水準が100%未満の場合は、前年度課税標準額に特例適用後金額の5%を加算した金額が平成26年度課税標準額(但し、この金額が特例適用後金額を超えるときは特例適用後金額)となりました。概ね前年と比較して5~7%程度税額が上がる計算です。

 これは平成24年度税制改正により、負担の均衡化を促進する観点から、税負担を据え置きとする措置が段階的に廃止されることとなり、負担水準が90%以上100%未満である場合に課税標準額を前年度(比準)課税標準額に据え置いていた措置が、平成26年度から廃止されたためです。
 他方で名古屋市を中心に地価は上昇傾向を強めています。3月に公表された平成26年度地価公示では、名古屋市の住宅地平均変動率は前年比+2.6%であり、前回の変動率+0.4%を大きく上回る結果となっています。来年は固定資産税の評価替えです。評価額は平成24年度から大きく上昇する地域が少なくないと見られ、名古屋市などでは土地に係る固定資産税の更なる増加はほぼ確実な情勢です。

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(税理士 樋沢武司)

8月 07 2014

租税教育の重要性

 4月に消費税率が3%上がり、4ヶ月過ぎた今でも日々買い物をするたび、3%の重みを実感します。そんな折、今度は数年間かけて法人税率の引き下げを行うというのです。
一方で、税率を引き上げる増税をし、同時に税率を引き下げる減税をするような状況について、子どもたちにわかりやすく説明するにはどうしたら良いのでしょうか?

 今回のようなことが政策的に行われる背景には、税金にいろいろな種類があること、そしてその成り立ちや計算方法が多岐にわたっていることが挙げられます。法人税率引き下げにあたっては「法人の国際競争力を高めるため、また企業を活性化することによって法人に元気になってもらい、そこで働く従業員の給料を上げることができるよう、まず法人税率を下げて…」などとメディア同様の説明をすることができるかと思います。

 では、一転、ご自身の給料から天引きされている「税金」がどの様なもので、どれだけ払っているかを正確に知っている方はどれほどいるのでしょうか。

 平成26年5月現在、働く日本人のうち正規・非正規含めサラリーマンといわれる方は87%を超えています。一般的にサラリーマンといわれる方は、年末に企業で所得税の精算を行う年末調整が行われるため、月々の給料からは概算で所得税が天引きされています。そのため手許に入る給料は、所得税天引き後の金額であり、さらには住民税や社会保険なども天引きされた差引残額になります。給料明細を見なければ、何をいくら引かれているかを明確に答えられない人が多いと思います。サラリーマンの多くの方は、自分で税金を計算することなく、税金の支払いまで済ませているため、痛税感を感じることが少ないと言われています。

 痛税感が少ないと何が起こり得るか?
 税金について関心が薄くなりがちになるのです。
 朝起きてから夜眠るまで、税金と関わらず過ごすことはあり得ない日常でありながら、税金について何も考えなくても暮らしていける
 日本では、「税金について自分の言葉で説明し判断すること」ができないことにもなりうるのです。
 そんな大人が多ければ「税金について」家庭で話題にあがることも少なく、子どもたちは「税金についてあまり知らない」こととなるのです。

 名古屋税理士会では、そんな危機的状況を打開するために、租税教育推進協議会(注)と連携しながら小中学校、高校、大学、社会人に向けて「租税教育」を推進しています。
 例えば小学生に対しては、自分の身近なところで税金が使われていることを再確認し、自らが納める税金の大切さを学習するといった機会を設ける必要があります。以降段階に応じて、納税者であることを自覚し、申告納税制度における種々の税金の算出・計算方法や、税金の使途等を学習、社会の構成員としての正しい判断力と健全な納税者意識を持った社会人になるための租税教育が要されます。

 租税教育は、いずれかの時点で行えばよいというものではなく、各年代において何度も繰り返し行うことが効果的なのです。
最後に、国会で3月20日に可決・成立した改正税法の中で、租税教育への取り組みの推進が税理士法に明記すべきことになりました。名古屋税理士会では、より一層、租税教育に力を入れていきたいと思っております。

(注)租税教育推進協議会は、国税関係機関、地方税関係機関および教育関係機関が協力し、租税教育の推進等を行うことを目的とする会である。

(税理士 小原香織)

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