9月 09 2014

今からできる年末調整・確定申告の準備

問:所得税は一年間の収入等を基に計算されると聞きました。では確定申告の準備はそれらが確定する年明けから始めればよいのですか。
答:税額や控除額の詳細な計算などは年が明けてからになりますが、年内からできる準備もあります。生命保険料、地震保険料や国民年金の支払いによる控除証明など、年末まで予定通りに支払うことを前提とした証明書が送られてくるものがあります。これらは年内に届くものと意識し、申告時期まで保管しましょう。

問:医療費控除を受けるため領収書の保存以外に出来る準備はありますか。
答:治療に必要であったことの証明が控除適用の条件となる場合があります。おおむね六か月以上寝たきりの状態の方の介護のためにおむつ代の支出が必要であったとして医師から発行を受けるおむつ使用証明書などです。

問:勤めていた会社を年の中途で退職した場合に出来る準備はありますか。
答:給与所得について確定申告をする場合は原則「給与所得の源泉徴収票」が必要です。年の中途で退職した場合は退職から一か月以内に発行されるため、受け取っていない場合は早めに請求しましょう。
また、退職所得について確定申告をする場合は「退職所得の源泉徴収票」も必要です。

問:住宅ローンの税額控除を受ける場合はどうでしょうか。
答:新居へ引っ越した証明のため、市役所等で交付される住民票の写し、法務局等で発行される登記事項証明書などを用意する必要が考えられます。

 もちろん結果として税額に影響がない場合や申告が必要ない場合もあります。しかしいざ申告と思った段階で慌てないようこのようなものが必要となることも記憶に留めておいて頂ければと思います。

(税理士 黒田正樹)

9月 04 2014

臨税(税理士法第50条)について

1.臨税とは

 臨税とは、「臨時の税務書類の作成等」の略称であり、決して「臨時の税理士」では、ありません。
根拠条文である税理士法第50条等について要約を紹介させていただきますと、国税局長等は、地方公共団体の職員及び農協等の職員等に限り、租税の申告時期において、災害があつた場合その他特別の必要等がある場合には、税理士又は税理士法人以外の者に対し、その申請により、2月以内の期間に限り、かつ、所得税及び消費税の2税目についてのみ、無報酬で申告書等の作成等及びこれらに関する事項について相談に応ずることを許可することができるとされています。
この制度の趣旨は、確定申告時、税務事務が一時に集中することにより、限られた税理士だけでは小規模納税者に対するサービスが不足することを防止する観点から設けられました。
昭和26年の創設当時は税理士が全国で6千人ほどでありこうした制度が必要であったとしても、現在は7万4千人を超える会員数を擁する規模になっており、また、税理士による税務支援等も拡充しており、この規定の意味は薄れてきていると考えます。

2.臨税の問題点

 名古屋税理士会においては、本年3月に名古屋税理士会の全会員を対象に臨税(税理士法第50条)についてのアンケート調査を行いました。
  その結果、浮かび上がった問題点を次に述べます。

(1)税理士法50条違反

 アンケートの回答には、税理士法50条に違反している疑いのある具体的事例が多数寄せられました。
今までもそういった事例を噂としては聞くものの具体的な事例が明らかではありませんでしたが、アンケートで具体的に設問したことなどにより、噂で聞こえてきた事例では無く、実際に身近にあった、また、体験された事例のように思われる具体的な事例も数多く寄せられました。
内容としては、 税理士法50条の許可税目にない「相続税」、及び、「贈与税」、また「許可期間以外の所得税」などについて、違反事例かと疑われるような事例も散見されました。

(2)納税者(組合員)の不利益

 臨税の申告内容等に不適正な申告内容等で、納税者(組合員)が不利益を被っている事例も少なくなかったこと。
この場合、農協臨税の行う申告内容の適正性の確保とともに、申告内容に誤りがあった場合の納税者(組合員)の権利擁護と責任の所在が問題となります。
そして、何よりも農協臨税のおこなう申告内容の適正性が本当に確保されているのかも大きな問題となります。

3.名古屋税理士会管轄内の現状と取り組み

(1)名古屋税理士会管轄内の現状

 名古屋税理士会のこれまでの活動により、岐阜北、岐阜南、大垣、名古屋北、昭和などの各税務署の管轄内にある農協臨税は、すでに廃止になっております。
しかし、残念ながら未だ名古屋西、熱田、中川、半田の4つの各税務署管轄内の農協では、臨税が残っている状況です。
これらの農協臨税による各税務署に対する申告件数の合計数は、所得税が平成25年は3,292件、 24年は3,399件、平成23年は3,513件にのぼります。
同じく消費税については、平成25年は128件、平成24年は151件、平成23年は150件です。

(2)名古屋税理士会の取り組み

名古屋国税局はじめ、これら農協臨税が残っている各税務署、及び臨税の許可を受けている各農協に対して臨税廃止に向け継続して働きかけを続けているところであります。

(税理士 萩原芳宏)

9月 04 2014

消費税の軽減税率について(先行諸外国を例に考える)

 早いもので消費税率8%への引き上げから数か月経過しました。安倍首相は来年10月の消費税率10%への引き上げをするか否かの判断を今年末に行うとのことです。引き上げの場合、導入が検討されているのが「軽減税率」です。軽減税率とは、特定品目の税率を標準税率より低くすることで、低所得者の負担を軽くすることを目的にしています。諸外国では広く導入されています。
各国の導入例で、少し首をかしげるような事例をいくつか紹介します。(税率は2014年1月1日現在のもの)

【フランス】

 標準税率20%、基本的に食料品は軽減税率5.5%を適用、贅沢品については標準税率が適用されるものもあります。

世界三大珍味

キャビアは輸入品かつ高級品のため標準税率、フォアグラ・トリュフは国内産業保護のため軽減税率が適用されます。

マーガリンとバター

マーガリンは企業で生産しているので標準税率、バターは国内畜産業保護のため軽減税率が適用されます。

チョコレート

 原則贅沢品で標準税率ですが、カカオ含有量50%未満の板チョコなどは生活必需品とされ軽減税率が適用されます。

【イギリス】

標準税率20%、食料品は原則として0%の軽減税率が適用されます。

テイクアウト商品

温かい商品は標準税率、冷たい商品は軽減税率。基準は販売時点で気温より高い温度に温められているか否かです。

お菓子

お菓子は原則贅沢品として標準税率ですが、ケーキ・ビスケットは日常的に食される大衆食として軽減税率が適用されます。

【ドイツ】

 標準税率は19%、食料品は7%の軽減税率です。

店内か?持ち帰りか?

ファストフードなど店内飲食は外食とされ標準税率、持ち帰り用は食料品扱いで軽減税率となります。

【カナダ】

 標準税率5%、食料品は基本的に0%の軽減税率が適用されます。

ドーナツの個数

5個以下が標準税率、6個以上が軽減税率です。販売個数が少ないものはその場ですぐに食べる=外食とみなして標準税率が適用されます。

 いくつかの国の例を見て、もしも同様な形で軽減税率が日本に導入されたら、消費者も事業者も混乱は避けられないだろうと感じます。事業者の事務負担も増大し、そのコストが商品に転嫁されることになれば結局は消費者にとっての不利益にもなりかねません。立法目的が低所得者保護であるならば、他の方策も検討されることを望みます。

(税理士 間下京子)

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