10月 07 2014

結婚に関する税務

 気候の良い秋は結婚式の多い季節です。今回は結婚に関する税金の疑問にお答えします。

 勤務先の会社から結婚祝金が支給されました。税金はかかりますか?
 結婚祝金の金額が従業員として支給される常識的な範囲内であれば、所得税は課税されません。

 親に結婚式の費用を一部負担してもらいました。また、新居の家具の購入資金をもらいました。贈与税はかかりますか?
 結婚式費用の一部負担については、結婚式の内容や招待客との関係、地域の習慣等の事情に応じて親子で費用を適切に分担していれば、そもそも贈与に当たらず贈与税の課税対象とはなりません。
家具の購入資金についても基本的には贈与税の課税対象となりません。ただし、家具の購入資金としてはあまりにも多額である場合や、家具の購入に充てずに預金や住宅の取得資金等とした場合には、贈与税の課税対象となることがあります。

 皆様からいただいたご祝儀の合計額がかなり高額となりました。贈与税はかかりませんか?
 合計額が高額であっても、個々のご祝儀の金額が送り主との関係と照らして常識的な金額の範囲内であれば、贈与税の課税対象とはなりません。

 新居を購入する予定です。新居は夫名義としますが、共働きのため夫婦の連帯債務でローンを組み、夫婦共同で返済しようと考えています。贈与税の問題は生じますか?
 返済の年ごとに妻から夫への贈与があったものとされます。次の金額がその年の贈与税の課税対象となります。
年間のローン返済額×妻の所得÷夫婦の所得の合計額
贈与税の対象となる金額が年間で110万円を超えると贈与税が課税されます。その場合、翌年2月1日~3月15日の間に贈与税の申告が必要となります。

(税理士 佐藤輝弥)

10月 04 2014

生産性向上設備投資促進税制

 平成26年度税制改正において、国内の経済の発展を図るために「先端設備」や「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」を導入する際の税制措置が新設されました。
 生産性向上のために、新たに国内で取得又は製作した機械設備・工具器具・建物等について即時償却又は5%税額控除が可能となりました。

1.税制の概要

 A類型(先端設備)とB類型(生産ラインやオペレーションの改善に資する設備)に分けられます。
 A類型における対象設備は「機械装置」及び一定の「工具」「器具備品」「建物(断熱材・断熱窓)」「建物付属設備(電気設備・冷暖房・通風・ボイラー設備・昇降機設備・アーケード・日よけ設備・日射調整フィルム)」「サーバー及びソフトウェア(中小企業者のみ)」のうち、下記要件を満たすものです。
 ①最新モデル
 ②生産性向上(年平均1%以上)
 ③最低取得価額以上

 B類型は、「機械装置」「工具・器具備品」「建物」「建物付属設備」「構築物」「ソフトウエア」のうち、下記要件を満たすものです。
 ①投資計画における投資利益率が年平均15%以上(中小企業者は5%以上)
 ②最低取得価額以上
 対象となる設備の注意点は、①中古設備は対象外 ②国内で使用する設備であること ③生産・販売・役務提供といった生産等設備に該当するものであって、本店の機能しかない建物など間接的に必要とされる設備は対象外です。
最低取得価額は以下のとおり

1台の取得価額 1台の取得価額及び1事業年度における取得価額
機械装置 160万円以上
工具・器具備品 120万円以上 30万円以上で取得価額の合計額が120万円以上
建物 120万円以上
建物付属設備 120万円以上 60万円以上で取得価額の合計額が120万円以上
構築物 120万円以上
ソフトウエア 70万円以上 30万円以上で取得価額の合計額が70万円以上

先端設備の要件確認について
 A類型の場合、設備ユーザーが設備メーカー等に証明書の発行依頼を行い、設備メーカー等は、工業会等に最新モデル要件を満たすか、生産性向上要件を満たしていることを確認した証明書を発行してもらいます。設備の種類、用途又は細目毎に業界団体を指定されているので、経済産業省のHPで確認が出来ます。
 B類型の場合は、投資計画案を公認会計士又は税理士に確認を依頼し、公認会計士又は税理士は事前確認書を発行します。その投資計画書と事前確認書を添付して経済産業局に確認書発行申請を行い、確認書を発行してもらいます。申告時には、この確認書の添付義務があります。

2.中小企業者等に対する上乗せ措置:中小企業投資促進税制

 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)の対象設備であってA類型又はB類型に該当するもののうち、取得価額要件を満たすものについては、「上乗せ措置」として即時償却又は10%の税額控除(資本金3,000万円以下の法人等及び個人事業者)・即時償却又は7%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人)を受けることが可能となっています。

(税理士 飯田隆一郎)

10月 02 2014

交際費に関する税制改正~飲食費を中心に~

●法人が支出した交際費のうち飲食費の取扱いが改正されました

Q1 法人が交際費を支出した場合の取扱いを教えてください。
A1 得意先等との飲食や手土産、香典などは企業活動に必要な支出です。しかし無制限に交際費を認めると、必要性の乏しい飲食等を経費に計上して法人税を意図的に減少させることにつながってしまいます。このため法人税を計算する上で交際費は原則として損金に算入できません。つまり、交際費を支出しても法人税は減少しません。ただし、資本金1億円以下の中小法人は交際費のうち年間800万円まで損金算入できます。

Q2 損金算入できる交際費はないのでしょうか。
A2 一人当たり5,000円以下の飲食費は損金に算入することができます。この場合、飲食に参加した得意先等の氏名などを記載した書類を保存する必要があります。

Q3 飲食費とは具体的にどのような費用をいうのでしょうか。
A3 飲食費に該当する費用は、取引先との接待の飲食代、その飲食に伴うサービス料、ホテルでパーティを行う場合の会場費、取引先のイベントに差し入れをしたお弁当代などです。逆に飲食費とはならない費用には、接待のゴルフや旅行等の一環として昼食や宴会が行われる場合のその飲食代、得意先の飲食店への送迎費などがあります。

Q4 平成26年度税制改正での交際費に関する改正内容を教えてください。
A4 交際費のうち、飲食費(A2で説明した5,000円以下のものを除く)の50%が損金算入できることになりました。この改正は平成26年4月以後に開始する年度から適用されます。なお、中小法人は損金の額に算入できるものとして年間の飲食費50%と800万円のうち大きい金額を選択できます。中小法人では従来の取扱い(年間800万円)が有利となる場合が多いですが、大企業ではこの改正により飲食費を支出する全ての会社において減税となります。

(税理士 妹尾明宏)

10月 02 2014

所得の10区分

 現在、名古屋税理士会名古屋税務研究所では、個人の所得の区分が今のままでよいのだろうかを研究のテーマの一つとしています。

 所得税法では、その性格によって所得を10種類に区分しています。
 すなわち、①利子所得(預貯金や公社債の利子等)、②配当所得(株主や出資者が法人から受ける配当等)、③不動産所得(土地や建物などの不動産の貸付けによる所得)、④事業所得(農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得)、⑤給与所得(勤務先から受ける給料、賞与などの所得)、⑥退職所得(退職により勤務先から受ける退職手当等)、⑦山林所得(山林の立木を譲渡によって生ずる所得)、⑧譲渡所得(土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得)、⑨一時所得(懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金など継続的行為から生じた所得以外のもの)、⑩雑所得(公的年金、講演料、謝金等上記の所得のいずれにも該当しない所得)、以上の10の区分です。

 これは、「所得は、その性質や発生の態様によって担税力が異なる」という前提に立って、「公平負担の観点から計算方法、課税方法が定められている」と説明されています。
 利子所得、配当所得および不動産所得は資産性所得であり、給与所得、退職所得は勤労性所得、事業所得および山林所得は、資産性所得と勤労性所得が結合したものといわれています。資産性所得と勤労性所得は、ともに恒常性所得に該当、さらに、譲渡所得および一時所得は、臨時所得に該当し、そして雑所得は、これら9種類の所得のいずれにも該当しない所得をいうとされています。しかし、ずいぶんと複雑でわかりにくい体系で、納税者に説得力のある区分とは言い切れません。

 例えば、昨年、恒常的な馬券購入行為から生じた所得は一時所得ではなく、雑所得に該当するため、馬券の購入費用は払戻金を得るための必要経費に該当すると判示、納税者側の主張を認める判決がありました。
 所得税の取扱いでは、競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等は一時所得に該当する、と通達に明記されているにもかかわらず、判決では、「(本件)馬券購入行為は娯楽の域にとどまるものとは言い難く、恒常的に所得を生じさせ得るものであったから、雑所得に分類される。また、当たり馬券の購入費用は払戻金を得るために『直接に要した費用』に当たるのは明らかで、外れ馬券の購入費用もその他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用として必要経費に該当する」とも判示したものです。

 通達の出来た時代背景や、個人のライフスタイルが大きく変わってきているので、税法も対応していくべきだと示唆した判決です。所得分類の問題は、納税者の利害に密接な関係を持ちますので、各種所得の意義や範囲を検討する必要があります。

(税理士 長谷川敏也)

10月 02 2014

納税の猶予について

 国税の納付が困難な場合に、税務署長等が認めれば、納税の猶予を受けることができます。分割納付や延滞税の免除等の効果もあります。但し重要なのは納税者からの申請が必要ということです。下記に該当する場合は放置せず納税の猶予をご検討ください。

<要件>

1.被災者の納期限未到来の国税に係る納税の猶予(国税通則法46①)

 次のすべてを満たす場合

  1. 納税者の財産が震災・風水害・落雷・火災等の災害により相当な損失を受けたこと
  2. 1.の災害時において、納税義務が成立していて、納期限が未到来の国税であること
  3. 災害がやんだ日から2か月以内に納税者から猶予の申請がされたこと

 ※この規定は被災の時期がかなり限定されます。例えば所得税は翌年1月1日から納期限の3月15日までの間、法人税では決算日の翌日から納付期限までの間などです。

2.災害による一般的な納税の猶予(国税通則法46②)

 次のすべてを満たす場合で納付困難と認められる金額を限度として

  1. 次のいずれかの事実が生じていること
    • ①納税者の財産が震災・風水害・落雷・火災等の災害を受け、又は盗難にあったこと
    • ②納税者又は生計を一にする親族が病気、負傷したこと
    • ③事業を廃止・休止したこと
    • ④事業について著しい損失をうけたこと
    • ⑤上記に類する事実があったこと
  2. 上記⑴により国税を一時に納付することが困難とみとめられること
  3. 納税者から猶予の申請されたこと
  4. 担保の提供がされたこと(税額50万円以下又は特別な事情がある場合を除く)

 ※上記1に比べ、災害の範囲も広くその時期も、申請期間も限定されていません。

3.確定手続きが遅延した場合の納税の猶予(国税通則法46③)

 次のすべてを満たす場合で納付困難と認められる金額を限度として

  1. 法定申告期限から1年を経過した日以後に税額が確定した国税等
  2. 一時に納付することができない理由があると認められること
  3. 原則として納期限内に猶予の申請がされたこと
  4. 担保の提供がされたこと(税額50万円以下又は特別な事情がある場合を除く)

 ※例えば税務調査で修正申告書を提出した場合等で、前々年(前々期)以前の分などです。
<猶予期間>
 上記1の猶予については1年で延長なしです。
 上記2、3の猶予については原則1年ですが、認められれば、1年の延長があります。
※上記2の猶予は災害の時期も申請期限も限定されていないので、上記1の猶予を適用後、まだ納付困難で要件を満たせば、同一の災害を原因として申請可能です。認められれば最大3年間猶予されます。
<分割納付>
 上記2,3の納税の猶予については、適宜分割してその各金額ごとに猶予期間を定める場合があります。
<効果>

  1. 督促、滞納処分の制限
  2. 差押えの解除
     一定の要件を満たすときは納税者からの申請により、その差押えを解除
  3. 延滞税の免除
     猶予期間に対応する部分の延滞税の全部又は一部を免除

※納税の猶予については国税だけでなく、地方税法にも同様の規定があります。

(税理士 奥村景二)

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