12月 09 2014

相続税・贈与税の改正

Q 平成27年から相続税が改正されると聞きましたがどのような改正ですか?
A まずは①相続税の基礎控除の縮小です。
改正前では定額控除額5000万円に法定相続人一人につき1000万円の比例控除額を加えた金額とされている相続税の基礎控除が、27年1月1日以降の相続からはそれぞれ4割減額され、定額控除額3000万円に法定相続人一人あたり600万円の比例控除額を加えた金額に改正されます。次に②相続税・贈与税の最高税率の引上げです。50%の最高税率が55%へ引上げられ、6段階ある税率構造も8段階へと改正されます。最後に③小規模宅地等(土地の評価額を減額する特例)の対象面積の拡大です。居住用の宅地について改正前は240㎡までしか適用できませんが、平成27年以降は330㎡に拡大されます。主な改正としてはこの3項目があげられます。今回の改正で全国平均4.2%の相続税の課税割合(申告件数/死亡者数)が6%程度になることが予想されています。課税割合の増加だけをみれば課税対象者が約1.5倍になることになりますが、改正後でも9割以上は課税対象にならい計算ですので様々な情報に振り回されないように気を付けてください。

Q 改正に備えて何かしておかなければいけないことはありますか?
A まずは所有している財産を把握し、それらの相続税評価額がどのくらいになるかを正確に計算する必要があります。相続税評価額がQ1の改正後の基礎控除を超えるのであれば生前贈与などの生前対策を活用してください。基礎控除を超えなかったとしても、将来相続人の間で相続争いが起こらないように遺言を作成しておくことをお勧めします。また、改正前の基礎控除を前提に遺言を作成された方は、遺言の見直しが必要になる場合もあります。

(税理士 青山徹)

12月 04 2014

贈与税と贈与税の特例について

贈与税と贈与税の特例について教えてください。

 来年から相続税の課税対象者の数が大幅に増加すると言われていますが、生前に贈与すると得だと聞きましたが
 贈与税は、相続税の補完税としての意味合いもあるため、基本的に相続税より高くなっています。しかし、その制度や特例を知っていれば相続税を節約することもできます。

Q 贈与税の基本的な仕組みについて教えてください。
A 贈与税は、1年間に取得した財産に対して税金がかかります。取得した財産の課税価格から、110万円(基礎控除)を引いて、税率をかけたものが贈与税となります。
したがって、毎年110万円までの贈与なら贈与税はかからないことになります。

Q その際、注意すべき点はありますか。
A 相続が発生した場合に、法定相続人については、3年以内に贈与でもらった財産は、相続税の課税対象になります。また、毎年同額の贈与が続く場合には、まとめて贈与したものとみなされる場合があります。

Q 特例には、どのようなものがありますか。
A 主な特例として次のような制度があります。

1.贈与税の配偶者控除
 婚姻期間が20年以上の配偶者に居住用不動産又はその購入資金を贈与された場合には、基礎控除に加えて2千万円が控除されます(3年以内でも、相続税の対象になりません)。
2.住宅取得資金の贈与
 直系尊属(父母、祖父母)から住宅及びその敷地の購入に充てる資金の贈与を受けた場合最高1千万円まで課税価格に算入されません(平成26年現在)。
3.教育資金の一括贈与の非課税制度
 平成27年12月31日までは、30歳未満の孫や子の教育資金に充てるため、父母・祖父母が一括して拠出する場合、1千5百万円まで課税価格に算入されません。
4.相続時精算課税制度
生前贈与を促進するため、2千5百万円まで無税で贈与できる代わりにその贈与財産を相続税の課税対象に含める制度です。

※ なお、実際に贈与を行う場合には、事前に税理士へ相談することをお勧めします。

(税理士 長谷川愛次)

12月 04 2014

税理士のにせ者について

年が明ければ、まもなく所得税の確定申告の時期がやってきます。
確定申告の時期には、税理士ではない人、いわゆる「税理士のにせ者」と呼ばれる人からの、甘い誘いが後をたちません。

1.甘い誘いとは?

「安い費用で確定申告やってあげますよ」
「税金を安くしてあげますよ」などの誘い。
自分の税務書類の作成を自分ですることは問題ありません。
しかし、他人の税務書類の作成は、有償であろうと無償であろうと、資格を持った『税理士』しかできません。
税理士は、必ず『〇○〇○税理士事務所』または『税理士法人□□□□』を名乗ることと法律で決まっています。
税理士でない者が税務書類を作ると、税理士法違反で罰せられます。

2.「税理士のにせ者」に頼むとどんな不利益が生じるのか?

イ.税務書類の正確性や真実性が保証されません。   
税金というものは、適正に計算するように税法で決められています。税金の不足だけでなく、払い過ぎもよろしくない訳です。
ロ.間違った申告となって、税務署から問い合わせや調査が来ても、「税理士のにせ者」は何もしてくれません。 
正しいか間違ったかの説明は、全部納税者が自分でしなければなりませんが、納税者本人が中身を知らなければ、正しい反証もできません。
ハ.正しい反証が無ければ、税務署は、税金が過少であったとか、悪意があったとかの判定をすることもあります。
また、不足の税金だけではなく、加算税や延滞税という追加の支払いが生じます。
極めて悪質だとされた場合には、所得税法違反などで、刑事罰に処されるおそれもあります。
ニ.そのほかにも次のような不利益が考えられます。
青色申告の帳簿の不備、青色申告の特典利用不足、原則満7年必要な帳簿及び領収書・請求書などの保存不足も懸念されます。

3.税理士は何をするのか?

イ.税理士は、税理士法によって、社会公共的使命を負っています。
申告だけでなく、税金の事前相談も、専門家である税理士の仕事であります。そのために日々研鑽にも努めています。
税理士は間違っても、脱税相談に乗りませんし、脱税を勧めることはもってのほかで、処分の対象になります。
ロ.税理士はまた、小学校中学校高校に出向いて、税金とは何か、を将来の子供たちに教えています。
ハ.税務申告には、個人所得税のほかにも、主なものに、相続税、贈与税、法人税、消費税があります。
 税理士及び事務所職員は、適正な税務申告に努めております。
この業務の対価が、税理士報酬です。
ニ.税理士に報酬が支払えないという、小規模な納税者の方(年金や、アルバイト、所得税還付など)には、税理士会の無料相談もあります。また、税務署の申告会場もあります。
ホ.「税理士のにせ者」は商売として、税務書類の作成の仕事を探しています。
税務申告、にせ者についての、質問や疑問や、情報については、最寄りの税務署あるいは名古屋税理士会にお寄せください。
資格を持った税理士に頼んで安心。正しい決算、正しい申告、納税をしましょう。

(税理士 川島博文)

12月 04 2014

相続税制の改正

 相続税と贈与税の改正が直前に迫りました。今回の改正により課税対象者の裾野が広がることが予想されています。今後、賢く財産を引き継ぐためには、相続税制の最新知識や情報を正しく理解し、相続に備える準備が必要かどうかを確認しておくことが大切です。
 以下において、平成27年1月1日から適用が開始される相続税制に関する改正事項について基本的な部分を取り上げました。しかし、その他にも最近の相続税制の改正事項においては、その適用開始が平成25年から平成27年と多岐に渡っており、重要と思われるものがいくつも見受けられます。したがって、いざという時に備えて、相続の現場をよく知る税理士に、必要な相続対策等を事前にご相談されることをお勧めめします。

Ⅰ 相続税

相続税は、平成25年税制改正により抜本的に改正され、課税強化が行われることになりました。以下に述べるように、基礎控除が引き下げられ、かつ、最高税率が55%になるなど税率構造の見直しが行われました。一方で、このような改正に対する激変緩和策の一環として小規模宅地等の課税の特例が拡充されることになりました。

 1.相続税の基礎控除の引下げ

  • 基礎控除が改正前の6割水準に引き下げられました。(基礎控除5,000万円 ⇒ 3,000万円、法定相続人比例控除額1,000万円 ⇒ 600万円)
改 正 前

改 正 後
定額控除 5,000万円 3,000万円
法定相続人比例控除 1,000万円×法定相続人の数 600万円×法定相続人の数

 2.相続税の税率構造の見直し

  • 最高税率が55%(改正前50%)に引き上げられ、8段階(改正前6段階)税率とされました。
改 正 前

改 正 後
法定相続分に
応じた取得価格
税率 控除額 法定相続分に
応じた取得価格
税率 控除額
1,000万円以下 10% ―― 同左
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円 2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
3億円超 50% 4,700万円 6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 3.小規模宅地等の課税の特例の見直し

  • 特定居住用宅地等の限度面積が330㎡(改正前240㎡)に拡充されました。
小規模宅地等の区分 改 正 前 改 正 後
限度面積 減額割合 限度面積 減額割合
特定居住用宅地等 240㎡ 80% 330㎡ 80%
特定事業用宅地等 400㎡ 80% 400㎡ 80%
特定同族会社事業用宅地等 400㎡ 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50% 200㎡ 50%
  • 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能となりました。
選択特例対象宅地等 適用面積の上限
改正前 改正後
特定事業用宅地等と特定居住用宅地等 400㎡ 730㎡
特定同族会社事業用宅地等と特定居住用宅地等

Ⅱ 贈与税

 相続税の補完税としての性質をもっている贈与税についても税率構造の見直しが行われました。相続税に比べ贈与税の税率構造は相対的に厳しいものとされてきましたが、若い世代への積極的な生前贈与が促進される効果を期待して緩和が図られました。従って、一般的な贈与税の税率構造は原則的に維持しつつ、直系尊属(父母、祖父母など)から20歳以上の者への贈与に係る贈与税については、軽減税率を適用することになりました。

 1.暦年課税の税率構造の見直し

  • ○ 歴年課税方式の税率を「軽減税率」(直系尊属から20歳以上の者への贈与)と「一般税率」(その他の贈与)に区分した上で、最高税率が55%(改正前50%)に引き上げられ、8段階(改正前6段階)税率とされました。
改 正 前 改 正 後
右以外の場合(一般税率) 直系尊属から20歳以上の者への贈与の場合(軽減税率)
基礎控除(110万円)を
差し引いた後の課税価格
税率 控除額 基礎控除(110万円)を
差し引いた後の課税価格
税率 控除額 基礎控除(110万円)を
差し引いた後の課税価格
税率 控除額
200万円以下 10% 同左 200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円 400万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 600万円以下 20% 30万円
600万円以下 30% 65万円 1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円以下 40% 125万円 1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円以下 45% 175万円 3,000万円以下 45% 265万円
1,000万円超 50% 225万円 3,000万円以下 50% 250万円 4,500万円以下 50% 415万円
3,000万円超 55% 400万円 4,500万円超 55% 640万円
  • 贈与者の年齢要件が60歳(改正前65歳)に引き下げられ、受贈者に20歳以上の孫が追加されました。
改 正 前 改 正 後
贈与者 65歳以上の者 60歳以上の者
受贈者 20歳以上の贈与者の推定相続人 20歳以上の贈与者の推定相続人
20歳以上の贈与者の孫(追加)

以上

(税理士 井川源太郎)

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