3月 10 2015

年末調整のやり直しと確定申告

Q 私はサラリーマンです。昨年12月に勤め先で年末調整をしてもらいましたが、うっかりして生命保険の控除証明書を提出し忘れたことに後で気が付きました。もう少し所得税が安くなると思うのですが?
A 年末調整は勤め先がその年の最後の給与を支払う時に行います。その後で年末調整の内容に相違が出てくることがありますね。例えば、社会保険や生命保険の控除証明書を提出し忘れていたり、年末調整後に扶養親族に異動がある場合です。この場合には勤め先で年末調整をやり直すことになります。ご質問のように所得税が年末調整の額より少なくなるときには翌年1月末までならやり直しができます。勤め先からあなたに年末調整をやり直した結果生じた所得税を還付することになります。逆に所得税が年末調整の額より多くなるときには1月末以降であっても随時やり直す必要があります。勤め先では次の給与の支払いの時に所得税の不足額を徴収することになります。

Q では、先の質問の場合には所得税が戻ってくることになるのですね。でも1月末を過ぎてしまったので、年末調整のやり直しができません。どうすればよいのでしょうか?
A 所得税が還付されるのに、年末調整のやり直しができない場合には、納税者本人が確定申告をして還付を受けることができます。年末調整だけでこれまで確定申告をする必要がなかった人については、その年の翌年の1月1日から5年間いつでも還付申告をすることができます。パソコンをお持ちの方でインターネットに接続できる環境があれば、国税庁のホームページで確定申告書を作成、印刷することができますので、利用してみたらいかがでしょうか。ご不明な点は、お気軽に所轄の税務署または税の専門家である税理士までお尋ねください。

(税理士 坂井弥生)

3月 05 2015

名古屋税理士会の総務部って?

 名古屋税理士会には約4,300名の税理士が登録されていますので、その活動を支えていくためには、たくさんの部や委員会等が設置されています。その数は現在、部・委員会だけでも14に分かれています。

 その中で今回ご紹介するのは、「総務部」です。一般の会社で「総務部」と言えば、会社の組織全体に関する処理をするところで、「何でも屋さん」的なイメージではないでしょうか。名古屋税理士会の総務部も、それに近いものがあります。名古屋税理士会の会務執行規則に記載されている業務内容は16事項にも及び、その16個目には、「他の部、委員会及び特別委員会の所掌に属しない事項」という、「何でも屋さん」のイメージにぴったりの事項で締められています。

 その中で現在最も時間を費やして検討している事項の1つが、「ハラスメント防止に関する細則」の制定準備です。そこで今回は、この件についてご紹介します。

 この細則に出てくるハラスメントとは、セクシャルハラスメントとパワーハラスメントのことを言います。一般社会でも、現在ハラスメントの取扱については、とても厳しく、上場企業等においては、ハラスメント電話相談センターを設けたりして常時対応しているのが当たり前になってきています。現在、名古屋税理士会は、税理士会員約4300名とその事務局職員等20数名の大きな組織で運営されています。従って、適正で効率的な会務運営をしていくためには、各人が良好な環境で活動し、その品位及び信用を維持、確保することがとても重要なことです。そこで名古屋税理士会でもハラスメント規定を明文化し、日本国憲法に規定する国民の基本的人権を守ることを目的として、この細則の準備を進めているのです。

 ハラスメント行為は、双方の認識が大きく影響するため、その判断は大変難しいものです。そのため現在検討しているこの細則の中には、「ハラスメント防止対策チーム」や「調査委員会」を設置し、公平で正確な判断ができるように考えています。「ハラスメント防止対策チーム」は、ハラスメントに関する相談や苦情を聴取し、その対応方法を検討し、双方に対して指導、助言や仲裁等を行います。ここで話がつかなければ、調査委員会に委ねられます。調査委員会は、税理士以外に弁護士などの専門的知識のある者を構成員に加えることによって、第三者的な公平で正しい判断が可能になります。この調査委員会は、双方の意見を聴取するなどして、ハラスメントに該当するか否かを判断するのです。

 「ハラスメント防止に関する細則」の制定趣旨は、この細則名の通り、「ハラスメントの防止」です。この細則が抑止となり、名古屋税理士会に関わるすべての人が、良好な活動のため、品位及び信用を維持・確保することにより、この細則が使われることがないことを期待しつつ、現在急ピッチで準備を進めています。

 このような活動を名古屋税理士会総務部はしており、派手さはありませんが名古屋税理士会の土台となり、月に1回程度の活動を続けています。

 最後になりましたが、我々税理士は、身近な存在の税の専門家です。税金につきまして、何か疑問等がありましたら、是非、身近な税理士にご相談下さい。

(税理士 清水幹弘)

3月 05 2015

配偶者控除の今昔そしてこれから

 今年も確定申告の期限が近付いてきました。昨年から所得税について話題となった項目に「配偶者控除」がありました。配偶者控除とは納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に適用される、一定の金額(38万円)の所得控除です。適用条件では例えばパート・アルバイト収入のみを得ている配偶者であれば103万円以下となります。税金の話題で一度は「103万円の壁」を耳にした方は多いかと思います。また、配偶者控除の適用が受けられない場合でも、一定の金額を所得金額に応じて控除が受けられる配偶者特別控除があります。

 昨年末の税制改正大綱において配偶者控除の改正は見送られました。しかし、昨年の政府税制調査会等で議論されたことの他、これまでの経緯等触れていきたいと思います。

1.配偶者控除・配偶者特別控除の歴史

 配偶者控除は昭和36年、配偶者特別控除は昭和62年に導入されました。以前は両方の控除が併用して適用可能でしたが、平成16年よりどちらか一方になりました。過去の控除額の推移をまとめてみますと下記の表の通りです。

年  分 配偶者控除 配偶者特別控除
昭和46年 20万円 なし
昭和52年 29万円 なし
昭和59年 33万円 なし
平成元年 35万円 0~35万円(段階)
平成7年(現行) 38万円 0~38万円(段階)

 このようにここ20年近く金額、適用については変わらず推移しています。

2.見直しの議論

(1)政府税制調査会の議論
配偶者控除の見直しは以前より政府税制調査会で議論されてきました。例えば平成19年11月の政府税制調査会では主な意見として「①男女共同参画が進んでおり、また、配偶者の家事労働には納税者本人にとっての経済的価値等がある②現行制度は配偶者の就労の中立性を阻害している③配偶者控除等を見直し、その財源を子育て支援に充ててはどうか」等ありました。昨年の税制調査会等で議論された内容もこれを引き継いだ形となっています。

(2)パート労働者の意識との関係
 厚生労働省の「平成23年パートタイム労働者総合実態調査」によるとパート労働者が就業調整を行う理由として「自分の所得税の非課税限度額を超えると納税しなければならないから」と回答した割合は63.0%、「配偶者の税制上の配偶者控除が無くなり、配偶者特別控除が少なくなるから」37.7%でした。関連して「一定額(130万円)を超えると配偶者の健康保険、厚生年金等の被扶養者から外れてしまう」も49.3%という結果でした(複数回答可)。

(3)税制調査会からの提言
こうして以前から積み重ねてきた議論等を踏まえ、昨年11月に政府税制調査会は税制を意識せずに働き方を選べる制度として①配偶者控除そのものを廃止、②適用に際して所得制限を設ける③夫婦の所得控除枠を年収に関係なく一定にする④夫婦の税額控除枠を一定とする⑤新たな「夫婦控除」の創設(設立)の5つの案を示しました。

3.まとめ

 長らく定着してきた配偶者控除、配偶者特別控除の改正議論については今後とも税制調査会等で継続されていくと思います。みなさんも「配偶者控除が必要か」という点についてこれまでの議論、提言を踏まえて考えてみていただければ幸いです。
※配偶者控除の適用、具体的な内容、事例について不明な点がありましたら、お近くの税理士までお気軽にお問い合わせください。

(税理士 鳥居翼)

3月 05 2015

NISA(少額投資非課税制度)の概要

平成27年からの変更で利便性向上

 平成26年1月から始まったNISA(少額投資非課税制度)が、2年目の平成27年1月から一部変更となりました。

Q.NISAとはどのような制度?
A.1.金融機関に非課税口座(NISA口座)を開設して、そのNISA口座で取得した上場株式や株式投資信託などに係る配当等や譲渡益が非課税となる制度です。NISA口座で取得できる株式等は年間100万円が上限で、非課税期間は株式等を取得した年の1月1日から最長5年間(非課税期間が終了した場合、同一口座内の新たなNISA口座に移管することもできます)です。
2.NISA口座を開設できるのは、居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者で、NISA口座を開設する年の1月1日において20歳以上の方です。
3.NISA口座で取得した上場株式等の譲渡損失は、他の特定口座や一般口座の譲渡益と損益通算することや繰越控除することはできません。

Q.平成27年からの変更点は?
A.従来は、NISA口座を開設すると同一勘定設定期間内(最長4年)は金融機関の変更ができませんでしたが、平成27年1月1日以後は、一年単位での金融機関の変更が可能となりました。また、NISA口座を廃止した場合の再開設も可能となりました。ただし、変更しようとする年・廃止した年のNISA口座で既に上場株式等の取得がある場合はその年分についての変更や再開設はできません。

Q.金融機関を変更する際の注意点は?
A.金融機関変更前の上場株式等は、旧金融機関のNISA口座で保有することになり、新金融機関のNISA口座に移管することはできません。また、最長5年間の非課税期間終了後に同一口座内の新たなNISA口座に移管できないため、非課税期間の継続ができなくなります。

 平成27年度税制改正においてもジュニアNISA(未成年者口座)の創設やNISA口座の上限額引き上げなどが取り上げられていますので、動向が注目されるところです。
手続きなどの詳細につきましては、金融機関や税理士、税務署にお尋ねください。

(税理士 奥村聡)

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