4月 14 2015

住民税とふるさと納税

・住民税はどのような税でしょうか。
・地域生活において必要な地方自治体の行政サービスを受けることに対する税とされています。なお住民税は正式な名称ではなく道府県民税と市町村民税を合わせた名称です。また住民税は法人にも課税されますが、以下は個人住民税だけを対象とします。

・住民税はどのような特徴がありますか。
・ひとつは税額計算に必要な資料を自治体が集め、これに基づいて計算された税額を納税者が納付する賦課課税方式の税であることです。所得税では申告する義務がない場合でも住民税の申告書を提出する必要があるのはこのためです。

・よく給与収入が百三万円以下の場合税金はかからないと耳にする一方で住民税では課税になるとも聞きましたがそうなのでしょうか。
・まず住民税には所得に対して納める所得割と各納税者が均等に納める均等割があります。所得割の計算は所得税に似ていますが住民税と所得税の基礎控除の差などにより所得税額がゼロでも住民税は税額が生じる可能性があります。均等割は住んでいる地域、本人や家族の状況、所得等により非課税となることがありますが、給与収入百三万円では課税される場合もあります。

・住民税におけるふるさと納税はどのような意味があるのでしょうか。
・ふるさと納税の制度を利用すると住所地に納付するはずであった税額の一部を寄付の形で他の自治体へ分ける効果があります。しかし住民税は冒頭で述べたように地域の行政サービスに対する対価という性格もあります。ふるさと納税については特典が着目されがちですが、税そのものの意味も考えられてみてはどうかと思います。

(税理士 黒田正樹)

4月 02 2015

事業承継で失敗しない相続税対策とは

 平成25年度の税制改正で大きく変わった相続税。本稿では、中小企業経営者の事業承継を考えるうえで避けて通れない相続税対策の基本をQ&A形式で解説します。

贈与税の減税が対策の鍵

【Q1】事業承継のための相続税対策として、まずは何から手をつけたらよいのでしょうか?
【A1】現在、特に20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税については、大幅に減税がなされています。したがってまずは、この贈与税の減税を活かした生前贈与戦略の立案が重要となります。

事業承継税制の要件は大幅緩和

【Q2】中小企業経営者の事業承継の場合、次世代に残すべき資産として最重要な資産としては、何と言ってもやはり「自社株式」ですが、この自社株式に対する対策として特別な手段はあるのでしょうか?
【A2】自社株式に係る相続税対策に関しては、当該自社株式にかかる贈与税額の全額および相続税額の80%が猶予される制度があります。この事業承継税制も、平成25年度税制改正においてその適用要件の緩和がなされました。しかしこの対策を実際に適用すべきかどうかは、将来の会社の事業状況を考慮しながら総合的に決定する必要があります。

円滑な事業承継のための節税対策を

【Q3】A1やA2のような節税対策を現実に成功させるために、重要となるポイントを教えてください。
【A3】円滑な事業承継のためには、まずは財産のたな卸しを実行し、現在の資産の相続税評価額や時価を知り、その資産がどのように活用されているのか、万が一の場合の納税資金は万全か、不足するならばどのくらい足りないのかなどの現状をしっかりと認識する必要があります。そして、税理士にご相談のうえ、相続税対策のための処方箋をお考えいただき、計画的に実行していく必要があります。

(税理士 坂口美穂)

4月 02 2015

今後求められる税理士の中小企業支援等への対応

 中小企業の経営課題が複雑・多様化する中、我が国の中小企業は減少してきており2012年現在、全国386万社にまで減少し、特にここ3年は8.3%(35万社)が減少しています。
 中小企業減少に対する中小企業支援としては中小企業の黒字化・金融支援対策、後継者不足による企業の事業承継、創業支援、販路拡大等の営業支援が必要とされます。
 ここ2年の主な改定・追加対応策として、以下の6項目が挙げられます。

  1. 認定支援機関等向けマニュアル・FAQが改定され金融機関からの金融支援を受けようとする、あるいは現在、金融支援を受けている事業者が引き続き金融支援を受けようとする場合も経営改善計画申請の対象となりました。
    ※1 金融支援とは条件変更等と融資行為(借換融資、新規融資)を指します。
  2. 経営者保証に関するガイドラインは平成26年2月から適用が開始されました。
    経営者の個人保証、第三者保証についてガイドラインを定めたことより、経営者保証の弊害を解消し、事業展開や、早期事業再生等が可能になりました。
  3. 小規模企業振興基本法、改正小規模支援法が平成26年6月に成立しました。
  4. よろず支援拠点が各都道府県に開設されました。
    「よろず支援拠点」は、中小企業・小規模事業者の皆様の売上拡大、経営改善など、経営上のあらゆるお悩みの相談に対応する相談所です。
  5. 事業引継ぎ支援センター 
    全国16箇所に「事業引継ぎ支援センター」が設置され、後継者不在などで事業の存続に悩みを抱える中小企業の方の相談に対応しています。
  6. 経営計画策定支援事業は平成27年3月末をもって打ち切られる予定でしたが、改善支援センターへの申請件数が6千社を超えたことにより平成27年1月31日に事業の恒久化が決定しました。

 また、「中小企業経営力強化法」に基づく経営革新等認定支援機関(以下認定支援機関)は平成27年2月3日現在23,367となり税理士が認定支援機関の中心的な存在となっています。
このような状況において税理士会では、中小企業の身近な相談者として中小企業の経営者からの認識もあり中小企業が大幅に減少している今、税理士も中小企業支援を行っていかなければならないと考えています。
 中小企業支援には税務支援、金融支援、創業支援、ものづくり補助金等の支援、経営計画策定支援、事業承継支援、販路拡大支援等があり、税理士単独で全てができるものではありません。
 中小企業を支援するには金融機関、弁護士、中小企業診断士、その他士業、商工会議所、その他行政機関等の関係機関と連携して支援していかなければなりません。 名古屋税理士会では金融機関以外の関係団体とは交流がありましたが金融機関とは交流がないため、中小企業支援の連携を深める目的で愛知県・岐阜県全域の金融機関と初めて昨年金融懇話会を開催しました。開催により判ったことは金融機関と税理士双方が思った以上にお互いのことを知らないということでした。今後金融懇話会の開催を続けていくことにより双方の理解を深め中小企業の支援に役立つことができればと思います。
 最後に税理士会のテレビコマーシャルでも中小企業支援を打ち出していますが、「中小企業支援も税理士」と認識していただき税理士にご相談ください。

(税理士 水谷時秀)

4月 02 2015

法人税改革と青色欠損金の繰越控除について

 平成26年12月30日に平成27年度税制改正大綱が公表された。
その中で基本的な考え方として以下のように述べられている。
「今後、デフレ脱却・経済再生をより確実なものにしていく必要がある。そのため、企業収益の拡大が速やかに賃金上昇や雇用拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じてさらなる企業収益に結び付くという、経済の好循環を着実に実現していくことが必要である。税制においても、企業が収益力を高め、賃上げにより積極的に取り組んでいくよう促していく必要がある。こうした観点から、平成27年度から法人税改革に着手し、一部の黒字企業に税負担が偏っている状況を是正して、広く負担を分かち合う構造へと変革する。」
 それでは一部の黒字企業に税負担が偏っている状況とはどのようなものなのだろうか?
平成26年10月に国税庁が発表している「平成25事務年度法人税等の申告(課税)事績の概要」より法人税の申告の状況を参照してみる。

法人税の申告の状況
年度等

項目
平成24年度 平成25年度
件数等 前年対比 件数等 前年対比
申告件数

千件 2,761 99.9 2,771 100.4
申告割合

89.7 0.1 89.9 0.2
黒字申告割合

27.4 1.5 29.1 1.7
申告所得金額

億円 451,874 121.2 532,780 117.9
黒字申告1件当たり所得金

千円 59,660 114.5 66,185 110.9
申告欠損金額

億円 168,226 77.4 127,744 75.9
赤字申告1件当たり欠損金

千円 8,396 79.1 6,498 77.4

 表からも読み取れるように申告件数は2,771千件、およそ1割の法人は申告をしていないことになる。しかも黒字申告の割合は29.1%と3割にも満たない。さらに申告所得の金額を見てみても一部の黒字企業に税負担が偏っていることを物語っている。
 そこで青色申告を要件とした中小法人等(法人税法上の中小法人は資本金1億円以下を言う)以外の法人の各事業年度における繰越欠損金については控除限度額を下記の通り段階的に引き下げることとされた。この制度は確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、その各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入される制度である。簡単に言ってしまうと赤字決算になった事業年度以降の決算において黒字決算となってもその欠損金の金額の一定金額までは一定期間、黒字金額から差し引けるというものである。

  1. 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度
    その事業年度の所得の金額の100分の65(現行100分の80)相当額を限度とする。
  2. 平成29年4月1日以後に開始する事業年度
    その事業年度の所得の金額の100分の50相当額を限度とする。

 また、この繰越欠損金の控除期間は平成24年4月1日以前開始の事業年度においては7年、平成24年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度においては9年とされていたが、平成29年4月1日以後に開始する事業年度においてはその期間を10年とする改正がなされた。そして、この改正に伴い関連する帳簿保存要件も10年とされているので注意が必要である。

 ただし、全法人の約99%を占めている中小法人については、これまで同様100%の繰越控除限度額が維持されている。いずれにしても全法人の約70%が赤字法人であることや、全法人数の約99%が中小法人であることがこの制度の改正の論点となっているため公平かつ慎重な議論が必要である。
 青色欠損金の繰越控除制度についての不明な点等はお近くの税理士にお尋ねください。

(税理士 岩田英人)

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