8月 11 2015

住宅取得資金の贈与

Q この度娘夫婦が住宅を新築することになりました。親として資金援助を考えていますがこの場合の税金について教えてください。
A 親から子へ金銭等を贈った場合には通常贈与税が課され、基本的には一年間に受け取った財産の合計額から110万円の基礎控除を引いた金額に10%から55%の税率で課税されます。(20歳以上の子や孫への贈与の場合は特例税率が適用されます)
 ただし、今回のケースは住宅資金の贈与ということですので、一定の要件を満たす住宅の取得資金であれば平成31年6月末までの贈与については一定の金額まで非課税となります。

Q 非課税の対象となる住宅とはどのようなものでいくらまで非課税ですか。
A 住宅の契約時期や種類により非課税となる金額は異なっています。平成27年中の契約であれば、一般住宅なら1000万円、省エネ等住宅に該当するものなら1500万円までが非課税となり、平成28年以降は順次減額となります。また、平成28年10月以降に消費税率10%で契約した住宅については、平成29年9月までの契約であれば、一般住宅なら2500万円、省エネ等住宅なら3000万円まで非課税限度額が引き上げられます。こちらの場合も順次減額となり、いずれも平成31年6月末までの契約で非課税制度は終了します。

Q この非課税制度の適用を受ける場合に気を付けなければならない点はありますか。
A 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与資金を使い家屋の新築等をし、居住若しくは居住することが確実なこと、取得した家屋の床面積は50㎡以上240㎡以下であること、贈与を受けた翌年の申告期限内(通常3月15日)に申告書を提出すること等がありますが、詳しくは一度パンフレット等でご確認ください。

(税理士 棚橋一禎)

8月 06 2015

マイナンバー制度

 最近テレビ、新聞等で「マイナンバー制度」をよく耳にするようになりました。今年の10月からいよいよ付番され、本格的に動き始めます。でも、多くの方が何をすればよいのかとお悩みではないでしょうか。そこで、今回はマイナンバー制度についてご説明いたします。

1.マイナンバーの導入の目的と対象

 マイナンバー制度は、住民票を有するすべての人に対して1つの番号(マイナンバー)を付し、企業等に対しては法人番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。
 マイナンバー制度は、共通の社会基盤としてその番号を活用することにより、①公平・公正な社会の実現②国民の利便性の向上③行政の効率化を目的として導入されるものです。
また、マイナンバーの利用は①社会保障②税③災害対策の3つに限定されており、災害対策については、災害発生時に行政機関が利用することを想定しています。したがって企業が関係するのは、通常、社会保障、税の2分野に限定されます。

2.マイナンバー制度のスケジュール

 平成27年10月から12月の間に、マイナンバーと基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)が記載された「通知カード」が郵送されます。
 平成28年1月以降については、「通知カード」から個人番号と基本4情報がICチップに記録された顔写真付きの「個人番号カード」の交付を希望する方は「個人番号カード」が取得できます。
 平成28年1月以降、社会保障、税の各分野で提出する書面に順次マイナンバーを記載することになります。税務関連では、個人の平成28年1月1日の属する年分以降の申告書から、法人は平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から、法定調書は平成28年1月1日以降の金銭等の支払等に係る法定調書から、給与支払報告書は平成28年分から、その他申請書等は平成28年1月1日以降に提出すべきものからとなります。また社会保障関連では、雇用保険被保険者資格取得届他が平成28年1月1日提出分から、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等が平成29年1月1日提出分からとなります。
 他人のマイナンバーを記載する書面を作成する個人番号関係事務実施者は、マイナンバーを記載すべき従業員や報酬等の支払先に、マイナンバーの提供を要求できます。これを記載する書面の提出等に備え、書面やデータ等により収集、保管することができます。  この収集、保管はマイナンバーを利用する目的に関連したものに限られます。そのため、利用目的がなくなった時点で、保管していたマイナンバーは破棄する必要があります。さらに、マイナンバーを保管するにあたってはマイナンバーの情報漏えいの防止等のために必要な措置(安全管理措置)を講じなければなりません。
 従業員の個人番号は、平成28年1月以降に行政機関等の個人番号利用事務実施者へ提出する書類に記載すべき時までに取得すればよいので、必ずしも平成28年1月の番号制度利用開始に合わせて取得する必要はありません。個人番号を利用するときは、利用目的を本人に通知し、公表しなければなりません。
 個人番号を取得する際は、番号確認と身元確認が必要です。(1)個人番号カード(番号確認と身元確認)、(2)通知カード(番号確認)と運転免許証(身元確認)、(3)個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証(身元確認)、いずれかの方法で確認する必要があります。
 また、本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用実務実施者が認めれば、身元確認書類を不要とすることも可能です。
 番号法では、本人確認時に「個人番号カード」や「通知カード」等のコピーの提示を認めており、これらのコピーを保管しておくことも認められています。これらのコピーは、マイナンバーが記載されているため、紛失、漏えいがないよう安全に管理する必要があります。しかし、これらのコピーを保管する義務は設けられていないので、コピーを当初から保管しないか、申告書等の提出後に破棄することも可能です。
 平成28年1月以降、行政機関等でのマイナンバーの利用が開始され、平成29年1月以降は、行政機関同士の情報連携が開始されます。

 個人番号関係事務実施者には、規模の大小を問わず、①マイナンバーの利用の制限、②マイナンバーの提供の制限、③マイナンバーの収集・保管の制限、④マイナンバーの安全管理措置、といった制限があり、法令違反と判断されれば罰則もあります。特定個人情報保護員会、告示の「事業者向けガイドライン」に従い事前に準備をしていく必要があります。

(税理士 山梨元嗣)

8月 06 2015

外国人旅行者向け消費税免税制度について

Q 最近、「免税」の看板を掲げるドラッグストアや土産物店を目にする機会が増えたように感じますが、実際に免税店は増えているのですか?
A 外国人旅行者(非居住者)などに対して、これまでは家電製品や宝飾品、時計など一般物品のみが消費税の免税販売の対象となっていましたが、平成26年10月に消費税法施行令が改正され、食品類や飲料、化粧品などの消耗品も免税販売ができるようになりました。そのため、免税店が空港や都市周辺の百貨店や家電量販店から地方へと拡がっています。免税店の数も平成26年4月には全国で5,777店でしたが、平成27年4月には18,779店とわずか1年で3.25倍に増加しています。(観光庁2015年5月20日公表)

Q なぜ外国人旅行者への販売には消費税がかからないのですか?
A 消費税は国内で消費される物品の販売に課税される税なので、外国人旅行者が土産物などを購入して自国で消費する場合には課税の対象にならないからです。免税店では販売した商品が国内で消費されないように出国するまで開封してはならない旨が記載された袋や箱に梱包し封印します。同じ外国人旅行者でも自国で販売目的で購入する物品については、免税販売の対象にはなりません。

Q うちの店にもよく外国人旅行者が買い物に来ます。免税店となるにはどうしたらよいですか?
A 免税販売をする店ごとに所轄税務署長に「輸出物品販売場許可申請書」を提出し、許可を受けます。今年の4月から免税制度が、さらに拡充され、新たに商店街やショッピングセンターで免税販売手続きを代理する事業者が免税手続カウンターを設置して、各店舗の免税手続きをまとめて代行することができるようになりました。適用条件や手続きなど詳細については、お近くの税務署または税理士までご相談ください。

(税理士 坂井弥生)

8月 06 2015

平成27年度税制改正-法人税率の引き下げ

 平成27年度税制改正法が、3月31日に参議院本会議において可決・成立した。施行は原則、平成27年4月1日である。
 平成27年度の主な法人税の改正項目は、

  1. 法人税率の引き下げ
  2. 欠損金の繰越控除制度の見直し
  3. 受取配当等の益金不算入の見直し
  4. 研究開発税制の強化と縮小
  5. 所得拡大促進税制の拡充
  6. 地方拠点強化税制の創設

などである。これらのうち、「①法人税率の引き下げ」について確認する。

 平成27年度税制改正大綱(平成26年12月30日)には「『課税ベ-スを拡大しつつ税率を引き下げる』ことにより、法人課税を成長志向型の構造に変える。より広く負担を分かち合い、『稼ぐ力』のある企業の税負担を軽減することで、企業の収益力の改善に向けた取組みがより積極的になり、それが成長につながっていくように」するとされている。

 平成27年度の法人税の基本税率の引き下げの具体的改正内容は、次の通りである。

  1. 法人税の税率を23.9%(現行25.5%)に引き下げ、法人の平成27年4月1月以後に開始する事業年度について適用する。
  2. 中小法人の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%)の適用期限は、2年延長する。また、中小法人の軽減税率(19%)は、引き続き、中小法人課税全体の見直しの中で検討する。
  3. 公益法人等の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%等)の適用期限は、2年延長する。また、公益法人等の軽減税率(19%等)は、引き続き、公益法人等課税全体の見直しの中で検討する。
  4. 協同組合等の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%等)の適用期限は、2年延長する。また、協同組合等の軽減税率等(19%等)は引き続き、協同組合等課税全体の見直しの中で検討する。

 今後の法人税改革の取組みとして、改正大綱は「平成27年度を初年度とし、以後数年で、法人実行税率を20%台まで引き下げることを目指す。その際、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性を確保するため、制度改正を通じた課税ベ-スの拡大等により、恒久財源をしっかりと確保する。」と明言している。
法人税法は資本金が1億円超の企業を大企業、資本金が1億円以下を中小企業とする。今回の改正で、外形標準課税の対象を大企業に限定し、中小企業は課税の対象外としたうえで、法人事業税における外形標準課税を拡大し増税となるので、業績不振の大企業にとっては深刻な問題である。
 大手電機機器メ-カ-が1,200億円以上ある資本金を1億円に減らすことを一時的に検討したという記事が新聞に掲載された。これに対し、中小企業に実施されている優遇税制を大企業が意図的に享受するのは問題があるという批判がされた。
 改正大綱では、「中小法人の実態は、大法人並みの多額の所得を得ている法人から個人事業主に近い法人まで区々であることから、そうした実態を丁寧に検証しつつ、資本金1億円以下を中小法人として一律に扱い、同一の制度を適用していることの妥当性について、検討を行う。その上で、中小法人のうち7割が赤字法人であり、一部の黒字法人に税負担が偏っている状況を踏まえつつ、中小法人課税の全般にわたり、各制度の趣旨や経緯も勘案しながら、引き続き、幅広い観点から検討を行う。」としている。
 今後の改正の動向に注目したい。

(税理士 加藤玲子)

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