9月 08 2015

介護認定と税

Q:今年、父が要介護認定を受けました。所得税法上の障害者控除は、受けられますか?
A:要介護認定を受けただけでは、障害者控除は受けられません。
 要介護認定というのは、介護保険制度における要介護状態にある人を認定するものです。
 介護保険制度では、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護サービスを受けることができます。この介護サービスを受けるためには要介護認定を受けることが必要となります。
この要介護状態や要支援状態にあるかどうか、その中でどの程度かの判定を行うのが要介護認定(要支援認定を含む)であり、保険者である市町村に設置される介護認定審査会において判定されます。

Q:障害者控除はどうすれば受けれますか?
A:介護保険法の要介護認定の有無にかかわらず、市町村長等で所得税法上の障害者の認定を受けてください。ちなみに、障害者には、障害者と特別障害者の区分があります。
 障害者であるかどうかの判定は、その年12月31日です。
 所得税法上、障害者控除の対象となる障害者は、所得税法施行令第10条に限定列挙されており、精神又は身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害又は、身体障害者に準ずるものとして、市町村長等の認定を受けている人などとされています。

Q:身体障害者手帳等の交付を申請中の場合は、どうなりますか?
A:身体障害者手帳等の交付を受けていない人であっても一定の要件を満たした場合には、障害者控除の適用を受けることができます。

 介護認定等については、市町村役場へお尋ねください。

(税理士 早崎 日呂司)

9月 03 2015

事業売却・事業譲渡の税金

Q1:私は会社のオーナー経営者ですが、後継者がいないのため、引退して他人に事業の全部を売却することを検討しています。税金の影響が心配なのですが、まずなにを考慮したらよいでしょうか?
A1:事業を売却する場合、その売却の法的形態は何か、対価はいくらかなどの基本的な状況により税金への影響は大きく異なります。中でも法的形態は特に影響が大きいので、どれを選択しているかが重要です。事業の売却の法的形態は多様な方法が考えられますが、主なものとして事業譲渡、株式譲渡、合併などが考えられます。

Q2:事業譲渡を選んだ場合の税金上のリスクは何ですか?
A2:事業譲渡は、売却元の会社の全ての資産を買い手企業に売却し、かつ全ての負債の引き受けをしてもらうので、資産の構成によっては売却元企業に売却利益が生じ、法人税が発生するリスクがあります。また資産の種類によっては消費税も多額に発生する可能性があるため、事前に検討する必要があります。

Q3:株式譲渡を選んだ場合の税金上のリスクは何ですか?
A3:株式譲渡をする場合、売却元の株主は、株式譲渡益に対する所得税が発生するリスクが存在しています。売却元の会社には通常は影響ありません。

Q4:合併を選んだ場合の税金上のリスクは何ですか?
A4:グループ外企業と合併する場合は、税務上は「非適格合併」に分類されることが多いのですが、この場合、売却元の企業において資産に多額の含み益が存在すると、多額の法人税が発生します。事業譲渡と違って、消費税の発生はありません。売却元の株主に対しては、合併対価の額と種類によっては、みなし配当金と株式の譲渡損益が発生するため、これらに所得税が課されるリスクがあります。

(税理士 滝文謙)

9月 03 2015

税理士の専門家としての責任

 私は税理士登録をしてから20年にもなろうとしておりますが、今もって自分の勉強不足を痛感させられる事がたびたびあります。そんな場面は、最も適切な選択に辿りつくまでにさんざん遠回りをした時や、税務当局より予期せぬ指摘を受けた時や、顧客からの質問に対して答えに窮した時に訪れます。最終的には、それから資料を調べ、同業税理士にアドバイスを求め、落ち着いてじっくり考える事で問題は解決して行くのですが、そこに至るまでの過程はなかなか苦しいものです。

 一方で、税理士に顧問を委嘱している企業経営者の皆様から見た税理士というのは常に、問題に対して即時に最適な対応がある事を期待しているものと思われます。このため、日々研鑽し、自ら資質を高めている税理士であっても、たまたま直面した問題に即時に対応出来なかった事で「勉強不足」と見られてしまう事も起こり得るでしょう。

 こうした状況の中で、私たち税理士は各個人が、自分の得意とする分野の能力を伸ばそうと自己研鑽の場を求めたり、特殊な分野での顧客の期待に応えられる能力を習得できる場所を探したり、さらに、税法改正をはじめ日々変化する環境に対応して基礎的な能力を維持するため自主的に定期的な研修に参加しています。

 名古屋税理士会では会員が幅広い分野での知識と能力を高められるよう、積極的に研修の機会を設け、一定時間以上の研修受講を義務付けています。こうした活動は全国的に行われており、全ての税理士はいずれかの税理士会に所属しておりますので、税理士会の主導により全国の全ての税理士が知識と能力を高められる仕組みとなっております。税理士が税法と周辺分野の全ての知識を完全に習得するのは多大な時間を要しますが、毎年の税法の改正内容などであれば、概要を把握し本質を理解しておくことで、必要な場面が訪れた時は、適切に資料を調べて対応する事が可能です。そうした対応能力を高められるよう、税理士会は全会員対象の研修を開催しております。

 私たち税理士が専門家として顧客納税者の期待に応えるべき存在であることは言うまでもありませんが、我々が日々の業務の中で感じる顧客の「期待」は、種類も性質も多岐にわたり複雑で複合的なものになってきています。よって、それぞれニーズの違う全ての顧客に対して、常に十分な期待に応える事ができるよう税理士は、日々研鑽し、資質を高めることが求められます。

 全ての税理士が最低限身に着けなければならない知識と能力というものは税理士試験がそれを担保しています。

 私たち税理士がより研鑽に取り組む意識を向上させるため、企業経営者の皆様には引き続き厳しい目で税理士を見ていただきたいと思います。専門家としてそれに応えるのが税理士の使命ですし、税理士会はそのひとつとして研修制度が支えています。

(税理士 河合俊宏)

9月 03 2015

空家等対策の推進に関する特別措置法と固定資産税

1はじめに

 総務省統計局の集計によりますと、平成25年10月1日における住宅の空家数は、820万戸と過去最高になったということです。
そのような状況の下、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家特措法」といいます。)が、本年5月26日から全面施行されました。これに合わせて平成27年度税制改正により地方税法が改正され、空家特措法に規定する勧告の対象となった特定空家等(※)の敷地になっている土地については、住宅用地に対する固定資産税・都市計画税の課税標準の特例対象から除外されることとなりました。
※特定空家等とは、以下の状態にあるまたはそのおそれがあると認められる空家等をいいます。

  1. 著しく保安上危険
  2. 著しく衛生上有害
  3. 著しく景観を損なっている
  4. 周辺の生活環境の保全を図るため放置することが不適切

2空家特措法

 適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているので、その生活環境の保全を図り、空家等に関する施策を推進することを目的として制定されました。特定空家等に対する措置として、除却、修繕、伐採等の助言、指導、勧告、命令、代執行が可能であると規定されています。

3固定資産税・都市計画税

 固定資産税は、毎年1月1日現在の土地・家屋、また、都市計画税は、都市計画法に定められた市街化区域内にある土地・家屋の所有者に対して課税される税金です。
 税率は、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%です。
 この2つの税金には、一定の住宅の敷地になっている土地について、次のとおり課税標準を軽減する特例があります。

区分 固定資産税 都市計画税
住宅用地の課税標準の特例措置 小規模住宅用地 1/6 1/3
一般住宅用地 1/3 2/3

 小規模住宅用地とは、住宅用地のうち住宅1戸あたり200㎡までの部分をいい、一般住宅用地とは、それを超える部分をいいます。
 また、名古屋市では、平成27年度も土地の価格上昇による税負担の急激な上昇を緩和し、加えて負担の公平を図る目的で負担調整措置を継続しています。その結果、課税標準について住宅用地は、平成27年度特例適用後金額を上限として、非住宅用地は、特例適用後金額の70%を上限として据置くか前年度より税負担をゆるやかに引上げるような計算方法を採用しています。
 

4住宅用地特例の対象から除外されると

 名古屋市の場合は、昭和48年から非住宅用地であったとして計算しなおして課税標準を計算します。
 理論上は、面積にもよりますが固定資産税・都市計画税合わせておよそ2倍から4倍程度に引上げられると考えられます。

5結び

この様に空家特措法の勧告がなされると、住宅の敷地であっても非住宅用地として固定資産税の課税強化が行われることになります。
今後空家等の対応に関する選択肢は色々あると考えられます。空家の管理を適正にして、誰かが住めるようにしたり、賃貸に供したり、または、危険な空家等を取壊して賃貸駐車場やコインパーキングにしたり、どんぐり広場や児童遊園地にするという選択もあるかもしれません。その場合は、固定資産税の減免の適用もあるかもしれません。現実に課税強化までは、まだ時間がありますので、どうするのがいいのかよく考えることが大切です。

(税理士 大矢教詞)

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