1月 12 2016

身近な税相談 住宅購入と贈与税の非課税

Q 結婚を機に住宅の購入を考えています。購入に関わる税金にはどのようなものがありますか。

A 住宅の購入時と居住後、それぞれの時期に各種税金が課税されます。購入時、売買契約書等に印紙税、建物に消費税、登記に登録免許税、その後不動産取得税が課税されます。居住後は所有している間、毎年固定資産税が課税されます。ただし、これらの税金は居住用に関する様々な優遇制度により、税率等が軽減されています。

Q 住宅の取得資金について両親から贈与を受けたいと考えています。また、子供が生まれた場合やその後の生活のなかで関わってくる贈与税について教えてください。

A 贈与税の非課税限度額が新設・拡充されています。制度の概要と手続きは以下の通りです。生活の場面に応じ、親から子・孫への資金移動に有効にお役立てください。

平成21年に新設された住宅資金非課税限度額(※1,200万円)と、さらに平成28年10月1日以降は特別住宅資金非課税限度額(※3,000万円)が新設され、一定の要件の下にいずれかが適用されます。適用を受けるためには、税務署へ贈与税の申告書を提出しなければなりません。

また、平成25年に新設された教育資金の一括贈与の非課税限度額(※1,500万円)と、平成27年に新設された結婚・子育て資金の贈与の非課税限度額(※1,000万円)は、適用期間が平成31年3月末までとなっています。適用を受けるためには、管理契約を締結した取扱金融機関に非課税申告書と支払に充てた金銭の領収書等を提出しなければなりません。

※限度額は適用年分・要件に応じ違いますのでご注意ください。

名古屋税理士会岐阜北支部・岡本実穂

1月 07 2016

中小企業経営者が知っておくべきお得な税制 Q&A

Q.2015年に入り家電大手の「シャープ」や芸能プロダクション大手の「吉本興業」が「中小企業」になるというニュースを耳にしました。

大企業であった両企業はなぜ中小企業になろうとしたのでしょうか。

中小企業になることによって何かメリットがあるということでしょうか。

わかりやすく教えてください。

 

A. ご質問にある通り、近頃大企業が中小企業になるというケースが多々出てきています。ご質問にあるシャープは結局のところ政府からの批判もあり、中小企業にはなりませんでした。

中小企業とは法律や制度によって範囲は異なりますが、法人税上資本金1億円以下の法人をいいます。中小企業化を狙う大企業は減資よって資本金を1億円以下にします。実際、吉本興業は資本金125億円から資本金1億円に減資しています。

ではなぜ、吉本興業などの大企業は中小企業になろうとしているのでしょうか。それは、中小企業にしか使えないお得な税制があるからです。

ここでは中小企業経営者が知っておくべき3つの税制に的を絞って紹介します。

1つ目は、「法人税率の軽減」です。法人税率は原則23.9%となっていますが、中小企業であれば所得が800万円の範囲に限り税率が15%となります。

2つ目は、「経営改善設備を取得した場合の税額控除 」です。この制度は簡単に言うと中小企業が設備投資をした場合に、その設備投資額の7%が法人税額から控除できるというものです。

3つ目は「少額減価償却資産の特例」です。法人は資産を購入した場合、10万円以下であれば即時に経費にすることができますが、10万円を超える資産については即時に経費にすることができません。この税制は30万円未満の資産購入であれば即時に経費にすることができるというものです。中小企業にのみ認められる大きな特権と言えます。

今回は3つに絞って紹介しましたが、他にも中小企業の優遇税制は数多くあります。税理士として様々な優遇税制を使いこなして、今後とも中小企業の発展に努めて参ります。

 

税理士 末松和真

1月 07 2016

ご存じですか?「国外財産調書」と「財産債務調書」

◆はじめに

近年国外財産の保有が増加傾向にある中で、平成26年1月より「国外財産調書制度」の施行、さらに、所得税・相続税の申告の適正性を確保する観点から、従来の「財産及び債務の明細書」が見直され、新たに「財産債務調書」として整備され、平成28年1月より施行されます。

それでは、それぞれの制度について、見ていきましょう。

◆国外財産調書

<提出義務者>

居住者でその年の12月31日において、5,000万円を超える国外財産を保有する場合に提出しなければなりません。この調書は、所得税の納税義務がない場合でも、住所地を所轄する税務署長あてに提出することになります。

<記載事項>

種類別、用途別、所在別に、国外財産の種類、数量、価額等を記載することとされています。

<過少申告加算税等の特例・処罰規定>

・調書の提出の有無により、所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置あり

・正当な理由なく期限内に提出しなかった場合や虚偽記載をした場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金

◆財産債務調書

平成26年分の所得税確定申告までは、その年の合計所得金額が2,000万円超の納税者は、「財産及び債務の明細書」の提出が義務付けられていましたが、平成27年の税制改正で見直しが行われ、一定の基準を満たす方は、その年の翌年の3月15日までに、「財産債務調書」を所轄税務署長に提出することになりました。

<提出義務者>

その年分の所得金額が2,000万円超であることに加え、次の①と②いずれかに該当する方

①その年の12月31日に保有する財産の価額が3億円以上

②国外転出課税の対象資産(有価証券等)の価額の合計額が1億円以上

*有価証券等とは、株式、投資信託等、未決済信用取引等、未決済デリバティブ取引などのことです。

<記載事項>

これまでの「財産及び債務の明細書」の記載事項に加え、財産の所在や有価証券の銘柄等、国外財産調書と同様の記載事項を要することとされ、財産の価額は時価(もしくは見積価額)によることとされました。

<過少申告加算税等の特例・処罰規定>

・国外財産調書と同じく、調書の提出の有無により過少申告加算税等を加減算する特例措置あり。

・国外財産調書と異なり、不提出および虚偽記載については処罰規定なし。

◆「国外財産調書」と「財産債務調書」との関係

財産債務調書には、その年の12月31日において有する財産及び債務の金額等を記載することになりますので、財産債務調書を提出する場合には国外財産調書を提出しなくてもよいのでは?と思われるかもしれませんが、国外財産を5,000万円超有する際は、併せて国外財産調書も提出しなければなりません。

なお、国外の債務については、国外財産調書の対象ではないため、財産債務調書にその詳細を記載する必要があります。

◆おわりに

上述のとおり、平成27年分の確定申告から財産債務調書の提出が始まり、さらには、確定申告は行っていない場合でも、実は提出しなければならない国外財産調書があった、ということもありますので、一度ご自身の財産の内容を確認してみてはいかがでしょうか。これらの調書の提出義務があるかどうか、確定申告の時期にあわてないように早めに確認しておきましょう。

 

税理士 川村美香

1月 07 2016

年頭所感

あけましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年11月県営名古屋空港から国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」が飛び立ちました。戦前から日本の航空機産業をリードしてきた中部企業の技術が生かされた待ちに待った初飛行です。

「飛びたいと言っているような感じで、ふわっと飛んだ」と表現した機長の言葉が印象的でした。試験飛行を繰り返し、晴れて「型式証明」を取得した後の2018年に全日空への納入を目指すとのこと、就航後の搭乗を楽しみに、技術陣の今後のご努力に声援を送りたいと思います。同月、商業衛星を載せた純国産H2Aロケットの打上げが成功し、日本の宇宙ビジネスの可能性にも期待が寄せられます。先のノーベル物理学賞受賞へと導いたスーパーカミオカンデに対する地元企業の協力が報道され、ここ中部地方の技術力の高さが日本の航空宇宙産業の支えとなり、また基礎研究の分野にまで幅広く貢献して、今後も裾野の広い産業構造が構築されるものと期待しています。

名古屋税理士会では昨年、中小企業に対する会員の支援活動がより充実したものになるよう、「中小企業支援対策部」を分離独立して組織し、企業経営への助言、融資に係る支援で効果を上げるべく研修会の開催、金融機関等との協議を継続しております。また本年4月には改正行政不服審査法が施行され、地方行政に関する不服申立てを審理するための第三者機関にも税理士が登用されることとなりました。公的機関からの外部監査等への推薦要請には適切に対応して地域社会からの税理士に対する期待に応えるよう人材の育成に努めております。

さて、この1月から運用が開始された社会保障・税番号制度については、個人番号通知カードの配達が年末にまで遅延したこともあり、制度運営に不安を覚えるところではありましたが、①公平・公正な社会の実現、②行政の効率化、③国民の負担軽減と利便性向上から導入された「マイナンバー制度」の適正な運用に身近な税の専門家として対応していきたいと思います。来年4月には消費税率が10%に引き上げられ、同時に予定されている「軽減税率」の導入は不可避の状況にあります。単一税率の維持と給付付き税額控除の採用を訴えてきた税理士会にとっては不本意な結果ではありますが、幾つかの世論調査においても広範な軽減税率の適用を望む声が多く、財源としての総合合算制度の見送り等が議論されないまま置き去りにされてしまった印象を受けます。今年の夏に参議院議員選挙を控え、消費税軽減税率導入の賛否に限らず、今後の経済の動向によっては税率の引き上げ自体が争点となることもありましょう。改正公職選挙法の施行で選挙権が18歳以上へと引き下げられた後の最初の国政選挙です。どの様な審判が下るのか、予想が付かないところです。

名古屋税理士会は引き続き、税務に関する専門家として社会の要請に的確に対応し、真に国民・納税者の信頼に応える税理士制度確立のための活動に努めて参ります。
皆様のご多幸とご活躍、そして平成28年が素晴らしい一年となることを祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。

名古屋税理士会会長
西村高史

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