3月 08 2016

確定申告を間違えたとき

Q 医療費の還付申告を行い、還付金を受け取り、申告内容を再確認したところ、誤りが見つかりました。どうしたらよいでしょうか。

A1 (法定申告期限3月15日までに対応する場合)

正しい内容の確定申告書を作成し、3月15日までに税務署に提出してください。

その際、受け取った還付金が少なすぎた場合は、差額が後日還付されます。

また、受け取った還付金が多過ぎた場合は、差額を金融機関又は税務署で3月15日までに納付してください。

 

A2 (還付金が少な過ぎた場合で法定申告期限3月15日以降に対応)

還付される税金が少な過ぎた場合や納める税金が多すぎた場合は、「更正の請求」という手続きを行い、正しい税額へ訂正を求めることができます。この手続きは、更正の請求書を税務署長に提出することにより行います。

税務署では、請求内容を検討して正当と認められたときは、正しい税額に減額して税金を還付することになります。

更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。

 

A3 (還付金が多過ぎた場合で法定申告期限3月15日以降に対応)

この場合は「修正申告」をして正しい税額に修正してください。

修正申告によって新たに納める税額は修正申告書を提出する日までに、延滞税と併せて納めてください。

なお、修正申告をすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかりますが、税務署の調査を受ける前に自主的に申告すれば、過少申告加算税はかかりませんので、誤りに気がつかれましたらできるだけ早く修正申告をしてください。

名古屋税理士会大垣支部・棚橋敏行

3月 03 2016

「医療費控除の特例について」

平成二十八年度税制改正大綱が昨年末閣議決定されました。法人税率の段階的な引下げ、外形標準課税の拡大、消費税の軽減税率の導入などの注目事項がありますが、今回は、所得税の中でも医療費控除の特例について解説をしたいと思います。

この特例は、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成二十九年一月一日から平成三十三年十二月三十一日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額の合計が一万二千円を超える時は、その超える部分の金額(その金額が八万八千円を超える場合には、八万八千円)についてその年分の総所得金額等から控除されるという制度です。この制度を利用するにあたっては、大きく三つのポイントがありますのでご注意ください。

はじめに、従来の医療費控除と異なるのはその対象が「スイッチOTC医薬品」だということです。このOTCとはover the counterの略語で薬局のカウンター越しに売られる事を意味していて、市販薬の事を指しています。

具体的には、要指導医薬品及び一般医薬品のうち医療用から転用された医薬品(類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く)の事を指します。参考に分類を示した表を掲載しておきます。

(参考)

分類 要指導医薬品 一般用医療品
事項 第一類医薬品 第ニ類医薬品 第三類医薬品
内容 ダイレクトOTC、スイッチ直後品目、毒薬、劇薬 特にリスクが高い    医薬品 リスクが比較的高い   医薬品 リスクが比較的低い   医療品
販売できる業種 薬局、店舗販売業 薬局、店舗販売業、配置販売業
販売者 薬剤師のみ 薬剤師・登録販売者
販売方法 対面販売のみ インターネット販売可
スイッチOTCの品例 ・コンタック鼻炎Z(鼻炎薬)

・エパデールT(中性脂肪異常改善薬)

・ルフェミン(解熱鎮痛剤)

・ガスター10(胃腸薬)

・アレグラFX(鼻炎薬)

・ロキソニンS(解熱鎮痛剤)

・ダマリンL(水虫薬)

・ストナ去たんカプセル(鎮咳去たん薬)

・アレジオン10(鼻炎薬)

・フェイタスZ(外用鎮痛・消炎薬)

・ローカスタEX(血清高コレステロール改善薬)

・DHCフクイゲン(血清高コレステロール改善薬)

※内閣府 第29回税制調査会(2016年1月28日)資料より

次に、「一定の取組」を行っている必要があります。この「一定の取組」とは、次の検診等又は予防接種(医師の関与があるものに限る。)をいいます。

  • 特定健康診査 (いわゆるメタボ健診)
  • 予防接種
  • 定期健康診断 (事業主健診)
  • 健康診査 (いわゆる人間ドック等で、医療保険者が行うもの)
  • がん検診

最後に、この特例は従来の医療費控除と同時に適用することはできず、どちらか選択して適用するということになります。従来の医療費控除制度は十万円(その年の総所得金額等が二百万円未満の人は、総所得金額等の五%の金額)を超えない場合、利用できませんでした。この特例は一万二千円を超える支出があれば対象となりますので、利用する機会が増えるかもしれません。また薬局に行った際にはどういったものがスイッチOTC医薬品なのかを確認する機会も増えそうですね。(平成二十七年十二月二十四日閣議決定された時点での情報です。施行時点で再度内容に関してはご確認ください。)

 税理士 土屋広高

3月 03 2016

名古屋税理士会の中小企業支援についての取組み

中小企業支援対策部が設置されました

 

名古屋税理士会では、平成27年度定期総会において中小企業支援対策部の設置が決定されました。中小企業支援に係る業務への対策は、税理士法第1条の使命・職責に鑑みれば極めて重要な責務であり、国や社会からの要請でもあり、中小企業の存続・発展は税理士制度の基盤を支えるものであり、支援業務への対策を積極的に推進する必要があると考えます。

税理士法第一条(税理士の使命)

税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

名古屋税理士会は、重点施作として、次の4点を掲げております。①中小企業の経営支援・金融支援・税制支援等に関する研修会を開催する。②会員が行う中小企業支援業務に係る関係機関との連携を図る。③会計参与制度及び「中小企業の会計に関する指針」の普及を図る。④「中小企業の会計に関する基本要領」の普及を図る。
ではなぜ今、中小企業支援が必要とされるのか、その理由は、中小企業・小規模事業者(中小企業等)の激減にあります。平成11年に484万者あったのもが平成24年には、385万者と約100万者、率にして約20%減少していると総務省の統計で発表されております。税理士は、中小企業等の創業から存続・発展そして事業承継に至るまで、長期に亘って関与します。税務申告、税務指導、記帳代行、記帳指導、決算書作成等を通じて中小企業に寄り添いながら継続的・日常的に支援をしております。また経営者の7割は顧問税理士等を経営問題の相談相手と考えているという中企庁が発表したアンケート回答結果もあります。なぜなら、税理士が税の専門家であることはもとより、会計のスペシャリストとして、税務の面のみならず、総合的にあらゆる角度から中小企業を支援することは、税理士が最も適していると考えるからです。中小企業を支援する税理士に対し、有益な情報を提供、研修会の開催等、税理士会は税理士を全面的にバックアップしています。また、税理士一人ひとりが、積極的に中小企業支援に取り組んでいける環境作りをしています。

日本税理士会連合会は、具体的に、中小企業の会計の質の向上を図り、中小企業の経営環境の改善に資するため、財務支援・経営支援・金融支援・税制支援と多方面からの支援を掲げております。それに伴い、名古屋税理士会でも本年度3回の研修会を開催いたしました。また、金融機関との金融懇話会を、昨年から引き続き愛知県・岐阜県の二か所で開催いたしました。中小企業を金融機関と税理士が共に手を取り合い、支援していくのが目的です。

名古屋税理士会は、昨年11月に岐阜県信用保証協会と「税理士連携短期継続特別保証制度」という特別保証制度の覚書を締結し、金融面からの支援を積極的に進めました。保証料率が、税理士会が進めている「書面添付」(決算書の信頼性を高める書類)をすることにより一部低くなるという、全国にもあまり例を見ない制度です。これを一例として、他の金融機関等でも今後このような動きが進んで行くことを期待しています。

今後も税理士は中小企業等を全力で支援して参りますので、何かありましたら、税理士へ是非ご相談ください。

 

税理士 今枝 清

3月 03 2016

家族信託と相続対策

Q1.相続対策で重要なことは何ですか?

A1.私たちが相続対策というとき、もっぱら「いかに相続税を減らすか」という「相続税対策」を考えがちです。しかし、いかに、その資産を持っている人が残りの人生を有意義に過ごすか、その資産をどう次の世代に円満に引き継いでいくかが、むしろ税額以上に重要なのではないでしょうか。そこで登場する有効な方法が「家族信託」です。

 

Q2.家族信託とは何ですか?

A2.家族信託とは、資産を持っている人が、その資産の管理や処分などの権限を家族などの身近な人に委託することで、資産を有効に管理する仕組みのことです。資産を持っている人を「委託者」、管理・運用などの権限を委託される人を「受託者」、また、信託財産の運用により収益を得る人を「受益者」、委託される資産を「信託財産」といいます。信託の場合、資産の所有権は、委託者から受託者に移転しますが、譲渡所得税はかかりません。

 

Q3.家族信託は「成年後見制度」や「遺言」と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。

A3.成年後見制度は、認知症などにより意思判断能力が十分でない人の法律行為や財産管理を本人に代わり行う制度です。しかし、本人の財産を減らさず守ることが基本であるため、土地建物などの資産を処分して、本人の残りの人生において有効に活用しようとしても簡単には処分できなくなります。しかし、家族信託であれば、所有権は受託者にあるため、資産を処分してその収益を本人のために有効に使うことは可能です。

また、遺言は、資産の承継先を一世代のみしか指定できません。例えば、長男夫婦に子どもがいない場合に、「この資産は長男Aに相続させる、長男Aが死亡した場合長男の妻Bに相続させる、長男の妻Bが死亡した場合には次男の子(孫)Cに相続させる」ということはできません。したがって、この場合には、妻の一族に資産が流出する可能性があります。

しかし、家族信託では、第1受益者を父親(存命中)、第2受益者をA(父親死亡後)、第3受益者をB(長男A死亡後)、残余財産をC(長男の妻B死亡後)とする受益者連続型の信託契約を、受託者をCとして締結することにより可能となるのです。

このように、家族信託は、持っている資産を有効に活用し、次の世代に円満に引き継ぐ有効な方法の一つといえます。

 

(税理士 堀尾博樹)

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