4月 12 2016

新しい贈与税の特例について

Q 平成27年4月から始まった「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置」はどのような制度ですか。

A 子や孫の結婚・出産・子育てを支援するため、平成27年4月1日から、平成31年3月31日までに、両親や祖父母等(直系尊属)から子・孫等に結婚・子育て資金を一括して贈与する場合に、子・孫等毎に1,000 万円までを非課税(結婚関係の費用は300万円を限度)とする措置が創設されました。

具体的には、贈与された資金を、金融機関において20歳以上の子・孫等(受贈者)名義の専用口座により管理し、専用口座から払い出した金銭が結婚・子育て資金に充てられたことを金融機関が領収書等により確認・記録し、保存します。専用口座は、子・孫が50歳に達する日などに終了します。

なお、契約が終了する日に結婚・子育て資金の支払に充てられていなかった残額がある場合、当該残額には贈与税が課税されます。また、契約が終了する日までの間に贈与者が死亡した場合で、死亡時に結婚・子育て資金の支払に充てられていなかった残額がある場合、当該残額は贈与者から相続または遺贈により取得したものとみなされ相続税の課税対象となります。

 

Q どのような費用であれば、1,000万円まで贈与税が非課税となりますか。

A 受贈者の結婚または妊娠・出産・育児関係の一定の使途に要する費用として支払われたことが、事業者等からの領収書等により確認できる費用が対象です。

結婚関係の費用としては、挙式等に要する費用として、挙式料、会場費、衣装代、飲食代など、賃貸住宅に関する費用として、賃料、敷金、礼金、仲介手数料など、また、引越し費用が含まれます。

妊娠・出産・育児関係の一定の使途に要する費用としては、不妊治療や妊婦健診に要する費用や出産や産後ケアに要する費用、また、未就学児の医療費や保育所・幼稚園・認定こども園・ベビーシッター等に要する費用が含まれます。

なお、扶養義務者間で、必要な都度支払われる生活費または教育費については、本非課税措置にかかわらず贈与税は非課税です。

不明な点は、お気軽に所轄の税務署、または税の専門家である税理士までお尋ねください。

(名古屋税理士会高山支部・島田哲吉)

4月 07 2016

税理士制度・税務支援と臨税の現状

1.税理士制度

私たち税理士は、次の税理士法(以下「法」という)第1条を基本として業務を行っています。

「税理士は、税務に関する専門家として独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」

この税理士業務は、憲法に定める国民の義務であるところの納税の義務の履行に係わる業務であり、社会公共的使命を要求されるものです。

さらに法第2条において税理士業務とは、租税に関する種々の業務を業とする旨が定められており、また、法第52条において「この法律で別段の定めがある場合を除いて」税理士又は税理士法人でない者が税理士業務を行うことができないと定められています。

しかしながら、すべての国民に対応できるかというと、国民の中には、納税義務は発生するが税理士に依頼できない資力の乏しい経済的弱者もいらっしゃいます。

2.税務支援

上記のような納税者に対処するため法第49条の2第2項第9号において

「委嘱者の経済的理由により無償又は著しく低い報酬で行う税理士業務に関する規定」

を税理士会の会則において記載することを求めています。つまり、すべての納税者の納税義務の適正な実現を図るため、税務援助として税理士にその使命を課しているわけです。

このように税理士は「社会的公共性」「社会貢献」を基軸として税務支援を行っています。

税務支援制度は現在、1.「独自事業」(一般税務相談室、相談所)2.「受託事業」(確定申告期の無料税務相談等)3.「協議派遣事業」(記帳指導、説明会、税務相談等)の3つの方式から成り立っています。

3.臨税の現状

以上の通り、税理士業務は本来税理士独自の業務であるわけですが、法第50条において「臨時の税務書類の作成等」として、地方公共団体の職員及び農協等の役職員等に期間限定で申告時期、災害時、その他特別の必要がある場合、税目(所得税・消費税)を限定して税務書類の作成等が認められているものです。この条文は、昭和26年、まだ税理士が6千名程度で税務事務が集中する時期に対応できないことを配慮して創設されたものと言われており、現在7万名以上を要する税理士会においては十分対応できる状況と考えます。

名古屋税理士会の一部の地域では今でも、農協臨税が継続して実施されています。平成27年7月、11月には関係農協との意見交換及び関係税務署との意見交換等を行い、名古屋税理士会の臨税に対する考え方等を伝え、税理士制度における税理士の立ち位置、税理士会における税務支援制度の実施状況等を説明し、協力体制づくりに努めてまいりました。

税の専門家として、本来与えられている税理士業務の遂行により、「臨時の税務書類の作成等」という限られた環境ではなく、組合員(納税者)に適正な税務援助、税務指導が行えるよう継続して活動していくことを考えております。

(税理士 尾崎秀明)

4月 07 2016

ジュニアNISAの注意点

Q 4月からジュニアNISA (未成年者少額投資非課税制度)での運用が始まりましたが、どのような制度ですか。

A 日本にお住まいの方で、口座開設の年の1月1日において20歳未満又はその年に出生した方を対象として、平成28年から平成35年までの間に年間80万円を上限に、ジュニアNISA口座で購入した上場株式・株式投資信託等の譲渡益・配当金等が最長5年間非課税とされる制度です。なおNISAと異なり、ジュニアNISA口座開設後は他の金融機関に変更することができません。金融機関によって取扱商品やサービスが異なりますので金融機関選択には十分検討することが必要です。

Q ジュニアNISAの払出制限とはどのようなものですか。

A ジュニアNISA口座開設者が3月31日において18歳である年の1月1日以降は非課税での払出しが可能ですが、それより前に払出す場合は、過去に得た譲渡益や配当金等並びに払出し時点での含み益に対して課税されますので注意が必要です。ただし、災害・疾病等やむを得ない場合は、税務署の確認を受けることにより非課税での払出しができます。

Q ジュニアNISAでの運用資金は子供・孫への贈与税の対象になりますか。

A ジュニアNISAの年間投資上限額は80万円ですので、贈与税の基礎控除額内であり贈与税はかかりません。ただし、その年において他の資産の贈与があった場合、その合計額が110万円を超えると贈与税が課税されます。また、ジュニアNISA口座内の資金は口座開設者(子供・孫)に帰属するので、払出し資金を口座開設者以外の者が費消等した場合には、贈与税の対象になる場合があります。ジュニアNISAは途中で払出すことのない余裕資金で行う中長期投資である点に注意が必要です。

 

(税理士 吉田真紀)

4月 07 2016

所得税の確定申告期限その後

「あ、申告忘れた。」、「申告が必要だと思わなかった。」、「申告したけど間違えた。」など、所得税の確定申告期限後、気が付くことはありませんか。

このような場合、所得税の問題だけではなく、所得税の確定申告が無申告であったり、誤った申告の状態では、市県民税、国民健康保険や後期高齢者保険及び種々の行政サービスなどに大きく影響を及ぼすことがあります。

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの一年間に生じた所得について、

翌年の2月16日から3月15日までの期限内に確定申告を行い、その税金を納付することになっています。しかし、期限内に確定申告を忘れた場合や期限内に確定申告したけれども期限後に申告内容に誤りがあったと気づいた場合でも、申告や訂正を行うことができますので、気が付いたらできるだけ早く次の申告等の手続きをしましょう。

 

1.【確定申告を忘れたとき】

(1)納付税金がある場合

申告手続きは、期限内に行う確定申告と同じです。この場合は、期限後申告として取り扱われ、申告書を提出した日がその税金の納付期限となります。

また、期限後申告の場合は、通常納める税金に加えて、一定の場合を除いて、原則として申告が遅れたことに対するペナルティー的な性格の無申告加算税と利息的な性格の延滞税が課されます。なお、無申告加算税については、税務調査を受ける前に自主的に

期限後申告した場合は税率が軽減されています。(※)

(2)還付税金がある場合

申告手続きは、期限内に行う確定申告と同じです。この場合は、税金の納付ではないので無申告加算税は課されません。なお、還付申告は、5年間遡ることができます。

 

 

2.【確定申告を間違えたとき】

申告期限内に申告したけれど、申告期限後にその申告内容の誤りに気が付いた場合は、その誤りの内容により次の手続きが必要です。

(1)本来の税金より納付する税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合

申告されている税金が過少で追加納付する必要がありますので、修正申告書を提出する必要があります。修正申告の場合は、新たに納める税金に加えて、ペナルティー的な性格の過少申告加算税と利息的な性格の延滞税が課されます。なお、過少申告加算税については、税務調査を受ける前に自主的に修正申告をした場合には課されません。(※)

(2)本来の税金より納付する税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合

申告されている税金が過大で、還付してもらう必要がありますので、更正の請求の手続きをすることになります。更正請求の理由、事情を記入した更正の請求書を作成し、関係書類を添付して税務署へ提出することになります。税務署でその内容を調査し、その請求内容が正当と認められた場合は納め過ぎた税金が還付されます。原則として更正の請求期間は、法定申告期限から5年以内です。

なお、修正申告書や更正の請求書は税務署に用意されていますが、国税庁のホームペジで作成することも可能です。

※無申告加算税及び過少申告加算税については、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来するものから、税務署の調査の事前通知以後で調査着手前の申告や修正申告についても新たな加算税の対象になります。

 

(税理士 福本恵一)

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