5月 10 2016

消防団協力事業所支援減税制度について

岐阜県において平成28年4月1日より、「消防団協力事業所支援減税制度」という制度が始まりました。
この制度は、消防団の活動に対して理解し、活動を行いやすい職場づくりに取り組み、またその活動に協力している事業所などに対して、事業税の優遇措置という形で支援を行うものです。

近年、消防団は団員数の減少傾向がつづいており、また会社員などの被雇用者の割合が8割と、現在では雇用者の協力がなくては消防団の存続は難しい状況にあるそうです。
今回はこの制度についてお答えいたします。

Q1.どんな税金が減税の対象となりますか?

A1.岐阜県における法人事業税、個人事業税が対象となります。

Q2.どのような事業所が対象となりますか?

A2.岐阜県知事の認定を受けた法人又は個人事業者が対象となります。ただし、資本金の額などが1億円を超える法人については適用はありません。

Q3.制度を受けることのできる期間を教えてください。

A3.法人は、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に終了する各事業年度、個人事業者については、平成28年、平成29年分です。(事業税の減税は平成29年度、平成30年度分)
この制度を受けるためには申請が必要となります。申請時期は法人はその事業年度終了の日から1月以内、個人事業者は、その年の翌年3月15日までです。

Q4.事業税はどのくらい減税されますか?

A4.事業税額の2分の1(100万円を限度※)です。※一定の要件を満たす場合は200万円を限度

Q5.岐阜県知事の認定とは何ですか?

A5.認定基準日(法人はその事業年度終了日、個人事業者はその年12月31日)において次のすべての要件を満たしている必要があります。

1. 県内のすべての事業所が、市町村が実施する「消防団協力事業所表示制度」による、表示票の交付を受けていること。
2. 県内の事業所に消防団員が1人以上いること。
3. 消防団活動に配慮した規定(就業規則など)を整備していること。

この制度について、詳しく知りたい方は、税理士または岐阜県へお問い合わせください。

(名古屋税理士会多治見支部・田中邦彦)

5月 05 2016

業主体への所得課税方法の違いと課題

1.はじめに

平成27年11月13日に、政府税制調査会により、「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」がまとめられました。ここでは、今後の我が国の税制について、特に個人所得課税と資産課税の制度改革について、制度の沿革を振り返り、さまざまな課題を整理しています。そして、名古屋税理士会も、同年10月9日に、東海税理士会と共催して、「所得区分と所得課税のあり方」を研究テーマに、第42回日税連公開研究討論会を開催しましたが、今回は特に、事業主体への所得課税方法の違いに着目して、長期的課題について検討したいと考えます。

 

2.個人所得の課税体系

法人と比較して、個人所得の課税においては、事業主体の所得を区分する場面が多いといわれます。これは、その性質や発生の態様によって担税力が異なるという前提に立って、公平負担の観点から、各種の所得について、それぞれの担税力の態様に応じた課税方法を定めるためと言われています。現在、日本では個人所得は10区分(利子、配当、給与、退職、事業、山林、不動産、譲渡、一時及び雑所得)に区分されており、区分された後の所得額の計算と税率の適用も複雑な体系となっています。例えば、給与所得は給与所得控除の計算をしますし、一時所得は50万円を控除後2分の1に減額します。また合計された所得額に適用される所得税率は累進的に増加する税率を適用します。

 

3.事業主体の違いによる所得税額の違い

そもそも事業とは何かという問題はありますが、その事業を行う主体が法人か個人かで所得課税方法は制度上大きく異なります。個人の場合は所得を最初に10区分して調整計算するのに対して、法人の場合は利子所得であろうが一時的な所得であろうが、原則としてすべてを合計集計してしまいます。
そして最も大きな違いは税率です。税率は区分集計した所得額に乗じて税額を算定する率ですが、所得額に関係なく一定なものが比例税率で、法人税で用いられます。一方、所得額が増加するに従ってその税率が増加するものが累進税率で、個人所得税で用いられます。この結果、同じ所得額でも、事業主体が法人か個人かで、計算される所得税額が大きく異なってきます。

 

4.事業主体の変更選択

よく「個人事業なのですがそろそろ法人化したほうがよいですか?」と質問されます。個人が法人を設立して事業主体を変更し、結果的に節税となる事例は多いと想定されます。しかし、税率を下げる目的だけで、事業主体の変更を提案する税理士はいないと考えます。もちろん節税は一つの重要な判断要素ですが、事業主体は他の経済的合理性や社会的信用等を考慮して変更選択されるべきです。

 

5.おわりに

会社法等の制度改正により、1人でも法人設立が容易にできるようになった点は、事業組織の自由化や選択の多様化という意味で評価できる一方、事業主体選択による課税公平の点では課題があると考えます。経済社会が構造変化して経済活動も国際的になり、事業主体が法人か個人かについて、最高裁判所で判決された事例もあります。長期的には、複雑になってしまった個人所得税を法人税のようにもっとシンプルにして、同じ所得課税としての整合性を図るべきと考えます。

税理士 鷲野直久

5月 05 2016

出国税について教えてください

Q 平成27年7月から出国税が施行されているとききました。概要を教えてください。

A 所得税法の特例で「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」、が正式な名称です。
日本の居住者が国外転出して非居住者になる際、その保有する株式などにかかる含み益について課税される税金です。
適用税率は原則として15.315%(復興特別所得税を含む)の税率が適用されます(個人住民税は課されません)。
Q なぜ出国税ができたのですか。

A 多額の含み益が生じている株式を保有したままシンガポールなどのキャピタルゲイン非課税国に出国し、その後に株式を売却し、納税を回避する等問題になる行為があったためのようです。

Q 国外転出者全員が対象となるのですか。

A この制度の対象者は、国外転出時に保有する対象資産の時価が1億円以上で、出国前10年で合計5年超居住者であった者です。
「国外転出」とは「国内に住所または居所を有しないこととなること」なので、海外転勤者も含まれます。

Q 対象資産は何ですか。

A 有価証券、匿名組合出資持分、未決済信用取引等、未決済デリバティブ です。
未上場の株式や公社債も対象となります。

Q 実際に売却していないので、納税資金がありません。必要な手続きなどがありますか。

A 国外転出の時までに納税管理人の届出をするなど一定の手続を行った場合は、国外転出の日から原則5年間(延長の届出により最長10年間)、納税を猶予することができます。

Q 帰国時はどうなりますか。

A 国外転出時課税の申告をし国外転出の日から5年以内(期限延長の届出を提出している場合には、10年以内)に帰国をした場合で、その帰国の時まで引き続き所有等している対象資産については、国外転出時課税の適用がなかったものとして、課税の取消しをすることができます。

Q その他注意する点はありますか。

A 含み益を有する対象資産を贈与、相続および遺贈によって非居住者に移転した場合にも同様の適用(「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」)
があります。

※実際に国外転出等の場合には、事前に税理士へ相談することをお勧めします。

税理士 天野祐子

5月 05 2016

ジュニアNISA(少額投資非課税制度)の創設

制度の概要

2016年4月よりジュニアNISAの制度が始まりました。

ジュニアNISAの利用対象者は0歳から19歳の未成年者を対象にしています。年間投資限度額は80万円であり、80万円以内の投資に対する利益や配当は課税対象になりません。運用は親権者が代行することになります。ただし、運用によって得た金銭が対象の未成年者に対して利用されることを目的にしているため、18歳までは払い出しに制限があります。

項目 概要
制度の利用可能者 0~19歳の居住者
年間投資上限額 80万円
非課税対象 上場株式、公募株式投信等
投資可能期間 平成28年4月~平成35年12月末
非課税期間 投資した年から最長5年
運用管理 親権者が代理運用、18歳までは払い出し制限あり

 

なぜジュニアNISAが作られたのか

目的は大きく3つあります。1つ目は投資家のすそ野を広げることがあります。若年層に投資に対する理解と実施を促すことで経済の活性化を図ろうとすることです。

2つ目は世代別金融資産の偏在を緩和する目的です。現在は国内の金融資産の大半を中高齢者が保有しており、若年層に金融資産が殆どない状況になっています。この制度の導入により、親(祖父母)世代から子(孫)世代への資金移動を促進しその偏在を緩和するとともに、相続等への利用も期待されています。

3つ目は長期投資の促進です。若年層は大学進学時などにまとまった金額が必要になるため、それに向けて長期で資産を形成できるように援助することが目的となっています。

ジュニアNISAを利用するときの注意点

① 制度を利用できる人について

制度を利用するためには日本国内に住んでいなければなりません。自分の孫であっても米国在住や日本国民でない場合にはこの制度は適用できません。また、制度の開始時点で20歳未満の若者で、かつ日本に在住している子供のみに限定されます。

② 引き出しのタイミングについて

引き出しのタイミングは子供が18歳を超えた後にしか行えません。その理由は、この制度が親や祖父母の資産形成ではなく、子供の進学や就職等に係る資金を準備するために設立されたものであるためです。

③ 非課税枠の利用

非課税枠は年間の投資金額総計80万円です。この金額を超えて投資して利益を得た場合には一律20%の課税がなされます。
例えば、50万円を株に投資した後に全て売却したとしても、その年の残りの非課税枠は80-50=30万円になります。
また、1年のうちに使い切らなかった非課税投資枠は、翌年以降には繰越しできません。

④ 贈与との関係

注意して欲しいのは、ジュニアNISA口座を開設することで、年間80万円までの非課税取引を行うことが出来ますが、暦年贈与の非課税枠110万円は変わっていないということです。ご両親や祖父母から、110万円の贈与を受けた場合、その贈与を受けたお金の中で、ジュニアNISA口座を活用して、非課税取引を行うことになります。

税理士  林 豊文

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